著者
平川 経晃 小寺 良尚 福田 隆浩 公益財団法人日本骨髄バンク 黒澤 彩子 田島 絹子 山崎 裕介 池田 奈未 小島 裕人 田中 秀則 金森 平和 宮村 耕一
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.153-160, 2018

<p>骨髄バンクコーディネートにおける実情把握を目的として,2004年1月~2013年12月に日本骨髄バンクへ登録された患者18,487人,ドナー延べ223,842件の解析を行った。末梢血幹細胞移植例は除外した。移植到達患者あたりのコーディネート件数の中央値は11件,登録から移植までの日数中央値は146日,登録患者の40%が移植未到達であった。HLA6/6抗原フルマッチドナー推定人数が多い場合に,移植到達率が上昇し,移植到達日数が短縮した。ドナー側のコーディネート終了理由は年齢・性別で異なり,20代男性ドナーは健康理由による終了率が低く,ドナー都合による終了率が高かった。複数回コーディネートを受けたドナーのうち,前回の終了理由が患者理由の場合,ドナー理由で終了した場合と比較して採取到達率が高かった。本結果を基盤情報として,より効率的で迅速なコーディネートを目指した施策の検討が必要であると考えられた。</p>
著者
田中 綾乃
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.54, pp.215-226,232, 2003-04-01 (Released:2009-07-23)

This essay treats of Kant's concept of intuition. Intuition shown as the key subject in Kant's Critique of Pure Reason is mainly sensible intuition.Kant's argument, however, was not understood at that time. Traditionally, intuition meant intellectual intuition. Therefore, conforming to this tradition, Kant's concept of intuition was regarded as a degradation from a high degree of "intellectuality" to a lower degree of "sensibility", which was criticized.But I think the opposite, that is to say, that neither intellectuality nor sensibility is necessarily the property of intuition itself. In this essay, I try to show that the original property of intuition is "immediacy", and examine the case of Kant.In addition, I aim at the idea that the symbol is identified as intuitive cognition in Critique of Judgment, and I try to clarify the important role of intuition in Kant's philosophy.
著者
山形 拓 平澤 大 藤田 直孝 尾花 貴志 菅原 俊樹 大平 哲也 原田 善博 前田 有紀 小池 良樹 鈴木 憲次郎 山本 康央 日下 順 田中 恵 野田 裕
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.2211-2219, 2014 (Released:2014-07-29)
参考文献数
20

【目的】Barrett腺癌は正常扁平上皮下へ側方進展することがあり,癌が表層に露出していないため内視鏡による範囲診断が困難となる.Barrett腺癌の扁平上皮下進展部の内視鏡的特徴を明らかとし,その範囲診断に酢酸撒布法が有用であるかを検証することを目的とした.【対象と方法】当センターで内視鏡切除したBarrett腺癌25例を対象とした.扁平上皮下進展の存在と進展範囲を病理学的に検討した.その後,Barrett腺癌の扁平上皮下進展部の内視鏡画像をReviewし,その同領域の内視鏡的特徴および出現頻度を検討した.【結果】Barrett腺癌25例中10例(40%)に扁平上皮下進展を認めた.扁平上皮下進展部の内視鏡所見は,白色光では淡い発赤,扁平隆起,NBIでは淡い茶褐色を呈していた.扁平上皮下進展部に1.5%酢酸を撒布すると,小孔,小白斑,溝状の構造が観察され,この所見をSmall White Signsと呼称した.上述の所見によるBarrett腺癌の扁平上皮下進展部の範囲診断正診率は白色光50%,NBI 43%,酢酸撒布法100%であった.【結語】Barrett腺癌の扁平上皮化進展部の内視鏡診断に酢酸撒布法は有用であった.
著者
山岸 未沙子 青木 宏文 田中 貴紘 高橋 一誠 米川 隆 金森 等
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
巻号頁・発行日
pp.122, 2015 (Released:2015-10-21)

本研究は,運転支援や機能訓練に役立てる知見を得るために,高齢ドライバの人間特性を多角的に把握することを目的とした.本報告は,そのうち運転適性検査を用いて高齢ドライバの刺激-反応特性を検討した.50代15名,60代40名,70歳以上45名が参加し,全員にインフォームド・コンセントを行った後,認知機能検査や高齢者講習と同種の運転適性検査器を用いて7つの検査を実施した.7つ中4つの検査の反応時間と正答率を用いた分析から,60代以上は刺激数が増加すると反応は遅延し,足反応と刺激数増加が同時に生じる場合には年齢差が顕著になることが示唆された.また,青色に対するパフォーマンス低下が60代以上の反応時間と正答率でみられ,赤色に対しては反応が速くなるという色の効果が示された.以上の結果から,運転適性検査により高齢ドライバの刺激-反応特性が得られ,運転時のパフォーマンス低下につながる要因が示唆された.
著者
田中 悠也 川上 祐貴 久野 成夫 鷲澤 秀俊
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1252, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】Patellofemoral Pain Syndrome(膝蓋大腿疼痛症候群,以下PFPS)とは膝蓋骨後方または周辺に痛みを生じる疾患であり,整形外科的な膝の主訴で最も多い疾患の1つである。保存療法が第一選択とされており,変形性膝関節症への発展の可能性が示唆されている点から理学療法介入が重要な症候群である。PFPSの原因は内側広筋の筋機能障害や膝蓋骨の位置・トラッキング異常,股関節筋力の低下などが報告されており,これらに対する治療介入の報告は多いものの,治療の成否に影響する因子の報告は少ない。そこで本研究では,初期評価時の項目と1-2カ月後の理学療法治療の成否の関連を検討し,治療の成否に影響を与える初回評価時の因子を探索することを目的とした。【方法】対象は整形外科クリニックの外来に通うPFPS患者のうち,1-2カ月の理学療法を行った20名(平均年齢39.4±15.6歳,男性6名,女性14名)とした。PFPSの診断はCowan(2002)を参考に,1)歩行・階段・スクワット・走行・座位保持・膝立ちのうち少なくとも1つ以上で痛み,2)膝蓋大腿関節面の圧痛またはCompression Test,Clarke’s sign,伸展抵抗運動のうち1つで痛みが存在することを基準とし,除外基準は変形性関節症や関節内病変,腱疾患とした。初期評価時に性別・年齢・身長・体重・罹患期間の問診を行い,Visual Analogue Scaleを用いた1週間の最大の痛み(以下VAS-W)及び1週間の平均の痛み(以下VAS-U),質問紙票であるAnterior Knee Pain Scale(以下AKPS)の測定を行った。また,膝関節30°程度屈曲位のSkylineView(Laurin)におけるレントゲン画像からLateral Patellar Tilt,Lateral Patellofemoral Angle,Congruence Angleを算出した。治療の成否は介入後のVAS-W・VAS-U・AKPSの改善度より判断し,1)VAS-Wが2.0cm以上の改善,2)VAS-Uが2.0cm以上の改善,3)AKPSが15点以上の改善,のうち2つ以上を達成したものを良好群,その他を不良群とした。統計解析はJ STATを使用し,良好群と不良群における問診項目,初期のVAS-W・VAS-U・AKPS,VAS-W・VAS-U・AKPSの変化,レントゲン画像の比較を対応のないt検定で行った(有意水準5%)。【倫理的配慮,説明と同意】すべての被験者には研究に対する説明および同意を得た上で実施した(当院倫理審査委員会:承認番号240907F)。【結果】治療良好群は11名,治療不良群は9名であった。改善度は,治療良好群ではVAS-Uは4.0±1.1cm,VAS-Wは5.7±1.9cm,AKPSは23.6±10.4点に対して,治療不良群は0.7±1.5cm,2.1±2.6cm,6.7±6.4点であった。治療良好群では初期評価時のVAS-Wが7.9±1.4cmに対して不良群は6.5±1.2cmと有意に小さく,Lateral Patellofemoral Angleでは良好群は11.4±2.2°に対して不良群は15.2±4.6°と有意に大きかった。【考察】PFPS患者に対する1-2カ月の理学療法介入として,初期評価時のVAS-W(1週間の最大の痛み)が大きいこと,およびLateral Patellofemoral Angle(膝蓋骨の外側傾斜)が小さいこと,が治療成功への影響因子と示唆された。しかし,本研究では同一の治療内容および治療回数ではないため,今後の調査が必要である。また,PFPSは多因子性の原因と考えられていることから,今後は本研究で測定していない股関節筋力や下肢における異常動作などの他の因子の影響を行う必要が考えられた。【理学療法学研究としての意義】PFPSは保存療法が第一選択であり,多因子性の原因であるため,その治療には理学療法士の臨床判断に依存する割合が大きい。本研究によりPFPSの多因子の中でも重要な因子が明らかとなり,加えて予後予測の判断が可能となるため,本研究はPFPS患者に対し理学療法を行う上での一助となると考える。また,本邦においてPFPS研究は少なく,研究面においても,本研究は日本のPFPS研究を発展させていく上での一助となると考えられる。
著者
田中 昌史 隈元 庸夫 齊藤 徹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A3O2020, 2010

【目的】<BR>除雪作業は降雪地域における冬期間の腰痛発症の主要な要因であり、積雪量の増加に伴う雪の投擲高さが増加することは、より強い筋活動が要求され、動作の反復により疼痛や疲労感などの出現に影響するものと思われる。本研究は、ショベルを用いた模擬除雪動作において投擲高さの違いによる筋疲労の変化を筋電図学的に検討することを目的とする。<BR><BR>【方法】<BR>被験者は高血圧や有痛性疾患などのリスクを有しない健常男性8名(21.3±1.6歳、身長167.5±5.5cm)とした。運動課題は、室内にて市販の柄長型除雪用ショベルを把持し、ショベル上に置いた5kgの重錘バンドを一定の高さ(身長の50、75、100%)に水平設置したバーを超える投擲とし、被験者にはあらかじめ負荷の無い投擲動作を反復させ、課題施行時の両足部およびショベルの位置は同一となるよう設定した。投擲動作は、重錘バンドを投げ上げる投擲期(2秒)、ショベルを開始位置に戻す復元期(2秒)、ショベルを床上に置いて静止する休止期(2秒)の計6秒を1動作として、メトロノームのリズムに合わせて100回反復するよう指示した。各高さの運動課題は充分な休息時間を経て実施した。運動課題時の筋積分値(IEMG)および平均周波数(MPF)を表面筋電計(MyoSystem1400 EM123、Noraxon社)にて測定し、導出筋は両側の僧帽筋上部線維、腰部脊柱起立筋、大腿直筋とした。統計処理は、Friedman's test後、post hoc testとしてWilcoxon t-test with Bonferroni correctionを用いて、有意水準を5%未満とした。<BR><BR>【説明と同意】<BR>被験者には本研究の意義、目的、方法、起こりうる危険、動作施行の中止基準について、口頭ならびに文書によるインフォームドコンセントを行った。<BR><BR>【結果】<BR>両側の僧帽筋および腰部脊柱起立筋のMPFとIEMGはいずれの高さにおいても有意な変化を認めなかったが、両側の大腿直筋は全ての高さにおいてMPFの有意な低下とIEMGの有意な増加が認められた。投擲動作途中から非投擲側腰部脊柱起立筋の休止期における高自発放電(動作開始当初の休止期自発放電平均値+2SD)が全ての高さで見られ、高自発放電と大腿直筋のMPFの低下およびIEMGの増加はほぼ同時期に出現する傾向があった。高自発放電の出現数は高さ別に、50%で7例、75%で8例、100%で7例であった。また、出現時期は高さ別に、50%では61.9±11.1回、75%で64.5±17.7回、100%で55.6±21.4回であった。<BR><BR>【考察】<BR>出現すると推測していた腰部脊柱起立筋の疲労が見られなかったことから、本実験の負荷は僧帽筋および脊柱起立筋に対して低いものであったことが考えられた。一方、ショベル先端の挙上に作用する非投擲側腰部脊柱起立筋の高自発放電および大腿直筋の疲労が見られたことから、大腿直筋による膝伸展によってショベルを挙上させ、腰部脊柱起立筋の活動を代償した投擲であったことが考えられ、下肢筋力低下を生じやすい高齢者では非投擲側腰部脊柱起立筋の疲労が生じ、腰痛等の発生につながる可能性が示唆された。また、高自発放電の出現時期から投擲高さおよび投擲回数をふまえて定期的に休息を取る必要性が考えられた。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>降雪地域において自己所有の住居に居住する者にとって除雪は避けられない動作であり、安全な居住環境を保全する上で冬季の重要な作業である。安全な除雪動作手順の開発や積雪に伴う行政等による除排雪基準の確立は、高齢化および過疎化が進展する地域において重要と考える。除雪動作における筋活動および筋疲労の見地からこれらの一助となることを期待したい。<BR>
著者
和田 英喜 宇井 雄一 田中 佑佳 山本 英樹 丸山 仁実 林 哲也 尾嶋 良恵 木下 昌樹 新田 功児 西分 和也 石原 均
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 = The journal of extra-corporeal technology (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.56-58, 2002-03-01
被引用文献数
3

【要旨】新たに開発された,アイシン社製IABP装置,CORART BP21(BP21)を使用する機会を得たので,当院で使用しているデータスコープ社製System97e(97e),System98(98)との比較も含め,シミュレーション回路による,応答性・不整脈への追従性の実験および臨床使用で総合的に評価した。BP21は98と同様に拡張・収縮に要する時間が短く,高心拍への追従性が良く,R波デフレーションを選択するのにも十分な性能を有していると考えられた。カテ先センサー付のP1バルーンを使用した際は,センサーオート機能で優れた不整脈への追従性を示した。また搬送時の移動性に優れ,新しく開発されたバックアップモードは臨床上の有効性も示唆された。
著者
田中 浩
出版者
山口県立山口博物館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

・研究目的ヤマネGlirulus japonicusは、ヤマネ科Gliridaeに属する1属1種の日本固有の小型哺乳類である。1975年に天然記念物に指定され、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧に指定されている。主に夜行性で、樹上をおもな生活の場とし、さらに生息密度が低いため、調査が困難であった。近年、調査機器の発達と調査方法の確立により、生態や生活史特性が明らかになりつつある。しかし、関西以西の本州・四国・九州では調査はほとんどなされておらず、依然、生態や生活史については謎のままである。本州西端山口県におけるヤマネの冬眠、繁殖、個体間関係、生息環境利用などを明らかにし、ヤマネの生活史特性を解明し、東日本個体群との生活史特性の差異を明らかにしたい。・研究方法調査地に20m間隔の格子状のグリッドを設定し、その交点近くの木の1-1.5mの高さに、出入り口直径3cm、高さ20cm×幅15cm×奥行15cmの巣箱を150個設置した。利用個体調査は原則月2回以上実施した。また、トラップによる捕獲を試みた。ヤマネ捕獲個体は、すべて体重・頭胴長・尾長・後肢長・耳長などの計測を行い、幼獣以外の個体にはマイクロチップを皮下に挿入し、個体識別を行った。巣箱利用個体が撮影されるように、赤外線センサーによる自動撮影カメラや自動撮影ビデオカメラを設置し、巣箱の利用実態調査を行った。成獣には、発信機を体表面背中側に装着した。・研究成果ヤマネの巣箱利用は、4月の巣箱設置後すぐに利用する個体があらわれた。4月~11月は巣箱利用個体の撮影ができた。幼獣は9月から11月に観察され、11月の体重が15gにも達していない個体があった。早い個体は11月には冬眠に入ったが、遅い個体は12月になり冬眠した。これまで、調査が進んでいる中部地方の長野県の個体群に比べると、冬眠期間は短がかった。ヤマネが持ち込む巣材は、スギの樹皮で、細かく引き裂き持ち込んでいた。成獣と幼獣の巣の大きさに違いがあり、幼獣は単独で越冬していた。調査地には、複数個体のヤマネが生息し、繁殖・冬眠などの生態調査の適地であることがわかった。
著者
田中 芳一 東 敬子 平田 孝
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.457-462, 1985-07-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

保存中の市販無菌調製豆乳の品質評価指標を設定するために,各種生菌数,官能検査,色調変化,pH,酸化還元電位(ORP),化学発光量,遊離アミノ酸含量等について検討した。工場で入手した製造直後の豆乳を5, 25,37℃の各温度区で0~2カ月保存し,各実験に供した。菌数測定の結果,微生物汚染は観察されなかった。官能検査では25℃2カ月保存のもの,37℃半月保存のものは明らかな変質(P<0.01)が認められた。色調変化として黄色から白色,または退色への移行傾向があった。pHは保存直後にわずかに酸性側に変化した。高温に保存したものはORPが低下し,また化学発光量が増加した。遊離アミノ酸の組成や含量は変化しなかったが,アンモニアの生成が観察された。アンモニア含量は保存温度,保存期間に高い相関性をもっており,アンモニアが豆乳の品質評価指標として有効であると思われた。
著者
田中 則広 Norihiro Tanaka
出版者
淑徳大学人文学部紀要委員会
雑誌
研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
no.5, pp.27-39, 2020

植民地統治期の朝鮮における最大の民族運動である「3・1独立運動」から100年目を迎えた2019年、日本と韓国、および、日本と朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)は、歴史認識をめぐって対立し、解消の兆しの見えない状況が続く。こうした中、本稿では歴史認識をめぐる捉え方の差異を検証する一環として、日本、韓国、北朝鮮の各国で放送されたテレビニュースを中心に、内容の比較・分析を試みた。その結果、3・1独立運動に対する報道姿勢について、それぞれの国において顕著な特徴のあることが明らかになった。
著者
田中 裕隆 新納 浩幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin455, 2020 (Released:2020-06-19)

物体検出は、教師あり学習によって解決できる画像認識のタスクの一つである。物体検出の教師データにはBounding Boxとクラスラベルがある。これらの教師データの作成は一般的に人手で行われるためコストが高い。本研究は、教師データに用いる正確なBounding Boxの作成を目的とする。人手による正確なBounding Boxの作成は高コストであるが、正確性を要求しないBounding Boxであれば、人手であっても比較的低コストに作成できる。そこで、物体に対して余裕のある低コストなBounding Boxから、正確なBounding Boxを作成する手法を提案する。提案手法では、人手で作成したBounding Boxを用いて、その内側の領域に対するセマンティックセグメンテーションによって得られた推定領域全体を、正確なBounding Boxとした。この手法によって、物体に対して余裕のあるBounding Boxから、より正確なBounding Boxを作成することができた。
著者
田中 誠也 磯田 弦 桐村 喬
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

近年,新たな観光資源としてアニメ作品の背景として利用された地点をめぐる「アニメ聖地巡礼」が注目を集め,ファンに呼応する形で地域も様々な施策を行っている.本報告では,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の1つであるツイッターの位置情報付きの投稿データを用いて,アニメ聖地と認められている地域内で巡礼者がどのような地点を訪れているのかを,時系列に見ていくことで地域の施策の動きと聖地巡礼者の動きの関係性を分析していく.
著者
廻角 侑弥 久保 峰鳴 幸田 仁志 福本 貴彦 今北 英高 藤井 唯誌 稲垣 有佐 田中 康仁
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.61-65, 2020-07-22 (Released:2020-08-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1

[目的]人工膝関節全置換術後患者の杖歩行が自立するまでの日数(歩行自立日数)に影響を及ぼす要因を術前項目より検討した。[対象]片側の人工膝関節全置換術を施行した99名とした。[方法]測定項目は歩行自立日数,自己効力感,痛みの破局的思考,安静時痛,歩行時痛,膝関節屈曲可動域および伸展可動域,等尺性膝伸展筋力,歩行速度とした。統計解析はピアソンの相関係数を用いて歩行自立日数との関係性を分析し,また歩行自立日数を目的変数,他項目を説明変数とした重回帰分析を行った。[結果]歩行自立日数は,自己効力感(r=-0.40),痛みの破局的思考(r=0.27),等尺性膝伸展筋力(r =-0.24),歩行速度(r=-0.25)との間に有意な相関関係を認めた。重回帰分析の結果,歩行自立日数に影響を及ぼす要因として自己効力感のみが抽出された。[結語]人工膝関節全置換術後の杖歩行の自立には筋力や歩行速度だけでなく,自己効力感が影響すると示唆された。
著者
杉田 聡 田中 誠二 後藤 芳美 丸井 英二
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、1945~1952 年の占領期において、厚生省等の日本の行政機関と、GHQ/SCAP/PHW(連合国最高司令官総司令部 公衆衛生福祉局)との協同や対立と構造を分析した。分析には、国立国会図書館に所蔵されるGHQ 文書、特に占領開始から終了までのGHQ/SCAP/PHWの業務日誌であるDaily Journalを用いた。厚生省とPHWの会合記録を集計分析した結果、占領開始時の厚生省衛生局長である勝俣稔が重用されていることが明らかとなった。また、①日本脳炎対策のための岡山県の野外調査と、②衛生教育のために全国を巡回した公衆衛生列車の立案実施の実態を明らかにした。