著者
瀬渡 賢 青木 篤人 田代 真一 田中 学
出版者
一般社団法人 スマートプロセス学会 (旧高温学会)
雑誌
スマートプロセス学会誌 (ISSN:2186702X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.28-32, 2017
被引用文献数
4

In order to perform stable pure argon MIG welding, duplex current feeding MIG welding has been developed. In the previous experimental study, higher droplet temperature and deeper weld penetration were obtained in the duplex current feeding MIG welding compared with those of the conventional MIG welding. However, the similar effects are considered to be realized also by the conventional MIG welding with short wire extension through increase in welding current. In this paper, basic characteristics of the duplex current feeding MIG welding were compared with those of the conventional MIG welding with the short wire extension. Consequently, it was found that the duplex current feeding MIG welding achieved the deeper weld penetration without an undercut unlike in the case of the conventional MIG welding with the short wire extension.
著者
津田 茂子 田中 芳幸 津田 彰
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.81-92, 2004
被引用文献数
2

妊娠後期 (妊娠36週以降) の妊婦79名 (平均年齢30.0歳、19~41歳) を対象として、妊娠後期の心理的健康感と出産後のマタニティブルーズとの関連性を調べるとともに、マタニティブルーズに及ぼす産科的要因 (母体合併症の有無、出産経験、新生児の状態、分娩時の異常) と世帯形態、年齢などの影響を検討した。妊婦の心理的健康感は自記式のWHO Subjective Well-being Inventory (SUBI)、すなわち「心の健康度」と「心の疲労度の少なさ」の2つの下位尺度から構成された質問紙によって測定し、マタニティブルーズはSteinのマタニティブルーズ自己質問表によって出産後5日目に評価した。<br>SUBIの標準化された得点区分に従えば、対象者の妊娠後期の心理的健康感は、心の健康度と心の疲労度の少なさ、いずれも高く自覚されていた。臨床上、マタニティブルーズと判定されるマタニティブルーズ高得点者 (8点以上) は16.2%であり、先行研究と比較すると、若干低い発症率であった。出産後5日目のマタニティブルーズ症状は妊娠後期の心理的健康感と有意な負の相関を示した。すなわち、妊娠後期の心の健康度が高いほど、マタニティブルーズの全症状と4つの下位症状 (情動易変性、抑うつ感、精神運動制止、自律神経系症状) は軽度であり、同様に、心の疲労度が少ないほどこれらマタニティブルーズの症状も少なかった。また、マタニティブルーズ症状と関連する産科的要因として、年齢の高さ、母体合併症、新生児の異常などが示された。さらに、心の健康度と心の疲労度の少なさの関数として、マタニティブルーズ症状得点は有意もしくは有意傾向をもって減少した。重回帰分析の結果は、出産後5日目のマタニティブルーズを予測するSUBI下位尺度項目として、身体的不健康感の少なさ、近親者の支え、社会的な支え、達成感、人生に対する失望感の少なさなどが、説明変数として有意であることを明らかにした。さらに、ロジスティック回帰分析の結果より、臨床的なマタニティブルーズの発症を予測する要因は妊娠後期の心の疲労度の少なさであることが示された。<br>これらの知見より、出産後のマタニティブルーズの影響を軽減するための方策として、妊娠後期の心理的健康感、とりわけ心の疲労度を少なくすることが重要であること、さらに、管理する必要のある産科的要因として母体合併症の有無や新生児の異常が明示され、介入の方向性が明確になった。
著者
谷田 創 齋藤 拓 田中 智夫
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.148-156, 1992

繁殖豚の家族群飼管理モデル(ファミリーペンシステム)の有用性を検討することを目的とし,今回はこのシステムにおける子豚の吸乳行動について2つの実験を行なった.ファミリーペンを形成するにあたって,まず種雄豚2頭と繁殖雌豚7頭を群飼した.成豚への飼料給与は,コンピュタ自動給餌機を用いて個体別に行なった.実験1: 成豚,離乳後の子豚(離乳子豚),離乳前の子豚(哺乳子豚)からなるファミリー群を構成した.その結果,離乳子豚は,妊娠後期の雌豚に対して定期的に吸乳行動を起こし,この雌豚は分娩前に乳汁を分泌するようになり,その後,6頭の子豚を分娩したが,そのうち5頭は栄養不良により衰弱死した.また,離乳子豚が,哺乳子豚の吸乳行動とその母豚の授乳行動のサイクルに同期して,乳を盗むことが観察され,離乳した子豚をファミリーペンの中で継続して飼育することは,妊娠中の雌豚に悪影響を及ぼすだけでなく,哺乳子豚の吸乳行動をも阻害することが認められた.実験2: 実験1のシステムを改善し,離乳子豚を含めずに,成豚と,出生時期の近い異腹子豚だけからなるファミリー群を構成した.その結果,母豚の授乳行動には同期性が認められ,子豚の吸乳行動が各母豚に分散したため,1頭の母豚に集中することはなかった.また,妊娠中の雌豚に対して子豚が吸乳行動を起こすこともなかった.群内の繁殖雌豚の分娩時期をそろえ,離乳時に子豚を群れから隔離することにより,妊娠雌豚に対する吸乳行動を防止するとともに乳の盗み飲みも無くし,行動の自由を与えられた成豚と子豚を一つの群れとして総合的に管理することができた.今回の調査結果から,従来のストール飼育に代わる繁殖雌豚の管理法としてファミリーペンの実用化の可能性が示唆された.
著者
藤本 智久 岡田 祥弥 行山 頌人 森本 洋史 中島 正博 西野 陽子 皮居 達彦 田中 正道 久呉 真章
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100114, 2013

【はじめに】 当院では,極・超低出生体重児に対して発達フォローアップとして新版K式発達検査を実施しており,その経過で,発達の遅れを認める児を経験することがある.その中には発達がキャッチアップする児とキャッチアップせずに発達遅滞や発達障害と診断される児がいる.今回,修正18ヶ月までにキャッチアップした児としなかった児について検討したので報告する.【方法】 当院 周産期母子医療センターに入院し,発達フォローアップの依頼のあった極・超低出生体重児(入院中に明らかな脳障害や染色体異常を認めた児を除く)で,修正12ヶ月前後および修正18ヶ月前後の新版K式発達検査において各領域の発達指数が85未満の値を示した児のうち,継続調査が可能であった53名(男児23例,女児30例)を対象とした.さらに,修正18ヶ月までにキャッチアップを認めた児(キャッチアップ群)21例(男児8例,女児13例)と修正18ヶ月でキャッチアップを認めなかった児(非キャッチアップ群)32例(男児15例,女児17例)について,在胎週数,出生体重,Apgar Score,修正3ヶ月前後のGeneral Movements(GMs)評価,新版K式発達検査の経過および予後について検討した.なお,統計学意的検討は,t-検定およびMann-WhitneyのU-検定,カイ2乗検定を用いて行い,危険率0.05以下を統計学的有意とした.【説明と同意】 対象児の保護者には,フォローアップについての説明および情報の取り扱いについて紙面および口頭にて説明し,同意を得て実施した.【結果】 周産期情報の比較では,在胎週数は,キャッチアップ群が,平均31.0±3.2週,非キャッチアップ群が,平均29.1±3.3週,とキャッチアップ群の方が統計学的有意に長かった(P<0.05).しかし,出生体重およびApgar Score 1分値,5分値では有意差を認めなかった.また,修正3ヶ月前後のGMsの結果では,キャッチアップ群でFidgety Msを認めたものが17例,Abnormal Fidgety Ms(AF)を認めたものが,4例であった.非キャッチアップ群では,Fidgetyを認めたものが19例,AFを認めたものが13例であった(有意差なし).新版K式発達検査の経過をみると,12ヶ月において,姿勢運動領域(PM領域)のDQは,キャッチアップ群が80.5(以下中央値),非キャッチアップ群が87.4と統計学的有意にキャッチアップ群が低かった(p<0.05).しかし認知適応領域(CA領域),言語社会領域(LS領域),全領域では,有意差を認めなかった.さらに18ヶ月において,PM領域のDQは有意差を認めなかったが,CA領域,LS領域,全領域のDQではキャッチアップ群が有意に高値を示した(p<0.05).予後について比較すると,最終的に2歳半以降で自閉症などの発達障害を認めた児は,キャッチアップ群が1例,非キャッチアップ群は8例であった(有意差なし).【考察】 今回の結果より,キャッチアップ群と非キャッチアップ群を比較すると周産期の情報では,統計学的に有意差を認めた項目は,出生時の在胎週数のみであった.横塚らは,早産児では在胎期間が短くなるほど修正月齢よりもさらにゆっくりとした発達を示し,3歳頃にキャッチアップすることが多いと述べており,在胎期間は,キャッチアップの有無を考える上でも重要であることを示していると考える.また,修正3ヶ月前後のGMs評価では,統計学的有意差は認めなったが,非キャッチアップ群の方がAFを多く認めた.GMsは,予後予測としては信頼性の高い評価であるが,観察者の習熟度によるところが大きく有意差が出なかったのかもしれない.また,新版K式発達検査の経過をみると,12ヶ月での運動発達の遅れは,18ヶ月までにキャッチアップされることが多いが,認知面,言語面での発達の遅れは18ヶ月になるにつれて目立ってくることを示している.また,予後についても,キャッチアップ群は1例,非キャッチアップ群が8例に発達障害を認めたことより,修正18ヶ月での言語社会性の発達の遅れは,7割以上は正常発達にキャッチアップしていくが,自閉症など発達障害に注意して経過を追っていく必要があると考える.【理学療法研究としての意義】 本研究は,極低出生体重児の発達経過を見ていくなかで,発達の遅れを認める児であっても大半が,キャッチアップを認めるようになることを示しているが,在胎週数や修正18ヶ月での言語発達の状況等によっては,注意して経過を追っていく必要があることなど両親への発達のアドバイスを行う基礎資料としても有用であると考える.
著者
大山 正 田中 靖政 芳賀 純
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.109-121, 1963
被引用文献数
12 16

This study is an attempt to investigate the affective meaning of 16 colors and 14 symbolic words as judged by Japanese and American subjects and to seek synesthetic correspondence between the colors and the words. Four groups of subjects (Japanese male college students, Japanese female college students, American female highschool students and American famale college students) rated the colors, and two groups of subjects (Japanese and American female college students) judged the words on a 35scale semantic differential. Color cards and semantic scales used, and two of the four color-groups of subjects were the same a those of the factor-analytical study previously reported (<i>Jap. psychol, Res., </i> 1962, 4, 78-91).<br>First, in connection with colors, a good agreement was found among the four subject groups in their judgment of meaning of each color represented by mean scale scores (See Fig. 1-4 in the text). Secondly, it was noted that scales correlating highly with the Munsell Hue were mainly Activity scales (e.g. <i>hot-cold, near-far, womanly-manly, unstable-stable, dangerous-safe, excitablequiet</i>). Scales correlating highly with Value were in the main Potency cales(e.g. <i>heavy-light, deep-shallow, full-empty, hard-soft, tense-relaxed, strong-weak, dry-wet.</i>) Evaluative scales (e.g. <i>beautiful-ugly, good-bad, clear-muddy, fresh-stale, healthy-unhealthy, new-old</i>) appeared to have no such particular correlation with any of the Munsell dimensions. However, colors ranging from Yellow to Blue generally tend to be rated as positive on Evaluative scales(i.e., toward <i>good</i>), whereas colors approaching to and departing from the Purple-Red region tend to be rated negatively (i.e., toward <i>bad</i>). Black and Gray were judged as <i>bad</i> whereas White was rated as <i>good</i>.<br>In connection with the 14 symbolic words, it was discovered first that the factor structures of both Japanese and American <i>Word</i>-spaces were reasonably similar to each other but quite different from the factor structure of the <i>Color</i>-spaces. In the former, the Evaluative factor was most salient while in the latter the Activity was most salient, although three factors-Evaluation, Potency and Activity-were as a group most dominant in each of four concept-culture group. Secondly, on the basis of 15 descriptive scales, 5 for each factor, it was discovered that symbolic words display similar affective meaning to certain colors (Table 2). For example, ANGER and JEALOUSY were found to be closely associated with Red, while SIN and FEAR were related to Black and Purple. ETERNITY, VIRGINITY, and QUIETNESS, on the other hand, were associated with Blue or White, while HAPPINESS, HOME and LOVE with Green. Thirdly, the whole scale profile of each word was correlated with that of each color. Basically similar associative relations were obtained between words and colors, as discovered above.<br>The results obtained in this part of study were in general agreement with results obtained by Obonai and Matsuoka (<i>J. gen. Psychol</i>., 1956, 55, 229-239) who used direct word-color associations to assess the synesthetic relations. Differences between their study and ours were submitted to test in the last part of the present study by asking a new group of subjects to choose a color associate from 16 color-stimuli for each of the concept words, where the colors and words used were the same as in earlier parts of this study. The obtained data confirmed the Obonai-Matsuoka study. In general, it was concluded that the semantic differential provides a useful method for assessing the association between different classes of concepts.
著者
田中 貴広 木村 保 建内 宏重 安井 正佐也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3O1022, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】 筋は作用と逆の運動を行った場合に伸張される。股関節屈曲可動域制限が存在する場合、大殿筋やハムストリングスが筋由来の制限因子として容易に想定できる。しかし臨床上、股関節屈曲可動域制限を有する患者で大殿筋やハムストリングスの走行に一致した伸張感を認めることは少なく、股関節深層外旋筋群(以下、深層外旋筋)や股関節外転筋群と想定される部位に伸張感を認めることが多い。 解剖学書の一部には深層外旋筋に股関節伸展作用があると記されており、一部の深層外旋筋が股関節屈曲可動域の制限因子になりうると推測できるが、股関節屈曲角度の増加に伴いどの筋がどの程度伸張されるかは明らかではない。 本研究の目的は、股関節屈曲角度と深層外旋筋の伸張率との関係を明らかにすることである。【方法】 名古屋大学大学院医学研究科の解剖実習用献体(股関節疾患の既往のない)1体2肢を対象とした。 計測前に第3腰椎と第4腰椎の間で切断し、下肢帯を側臥位に固定した。深層外旋筋を剖出するため、殿筋筋膜、大腿筋膜を剥離し、大殿筋、中殿筋は停止部で切離、反転し、深層外旋筋を露呈した。また膝関節と股関節の可動性を十分確保するため大腿四頭筋とハムストリングスを剖出し、大腿四頭筋および外側筋間中隔を遠位部で切離した。その後、深層外旋筋を個別に剖出し、各筋の起始部、停止部を確認した。各筋の中央に位置する筋線維を決定し、その筋線維の起始部、停止部に標識となる直径1mm程度の針を挿入した。 計測は股関節屈曲伸展、内外転、内外旋中間位を開始肢位とした。矢状面上の骨盤長軸を基本軸、大腿骨の長軸を移動軸とし、股関節内外転、内外旋中間位に保持しながら股関節を0度から75度まで15度ずつ屈曲させた。その際ハムストリングスが伸張されないよう膝関節は屈曲位とした。起始部、停止部に挿入した針を指標にし、各屈曲角度における梨状筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋の筋長をテープメジャーにて筋線維の走行に沿い計測した。 股関節屈曲伸展中間位での筋長計測値を基準に各関節角度における筋長を正規化した後、2肢の値を平均した。【説明と同意】 名古屋大学大学院医学研究科(第29回人体解剖トレーニングセミナー実行委員会)に本研究の主旨を説明し承認を得て実施した。【結果】 梨状筋、上双子筋の筋長は股関節屈曲角度の増加に伴い伸張され、股関節75度屈曲位でそれぞれ119%、113%であった。下双子筋の筋長は股関節屈曲30度まではほぼ変化がなかった。30度以降は徐々に伸張されたが他の筋に比べ最も伸張率が低く股関節75度屈曲位で105%であった。大腿方形筋は股関節屈曲30度まではほぼ変化がなかったが、45度屈曲位で110%、60度屈曲位で124%、75度屈曲位で133%と股関節屈曲30度以降に急激に伸張され、今回対象とした筋の中で最も伸張率が高かった。【考察】 本研究で対象とした深層外旋筋は股関節屈曲角度の増加に伴い全て伸張されたことから、機能解剖学的な観点から深層外旋筋が股関節屈曲可動域制限因子となりうることが確認できた。筋の伸張率という指標を考慮した場合、深層外旋筋の中でも大腿方形筋が最も股関節屈曲可動域制限を起こしうることが示唆された。股関節屈曲に伴い、深層外旋筋の停止部は矢状面上に投影した股関節中心と筋の停止部を結ぶ線を半径として円弧を描きながら前方へ移動する。筋の起始部は固定されているため、その半径が大きいほど筋の停止部の移動距離が長くなり筋の伸張率は高くなる。大腿方形筋は、深層外旋筋の中でも最も遠位に位置しているため、股関節中心と筋の停止部との距離は最も長くなる。したがって、今回対象とした深層外旋筋の中では、大腿方形筋が最も伸張率が高くなったと考えられる。 今回の調査はホルマリン固定した遺体を対象としたため、股関節屈曲75度以上の深層外旋筋の動態までは言及できなかった。今後、新鮮遺体などを対象にすればより深い屈曲位での制限因子について推察することができると考える。【理学療法学研究としての意義】 皮膚、筋、関節包など異なる組織がどの程度関節可動域制限に寄与しているか動物実験により検討した報告は散見するが、機能解剖によって、どの筋がどの程度関節可動域制限に寄与しているか検討した報告は極めて少ない。 股関節屈曲可動域制限は下衣の更衣動作や段差昇降など日常生活動作を制限する機能障害であり、筋が制限因子と考えられる症例も少なくない。本研究で得られた知見は臨床上で股関節屈曲可動域の制限因子を特定する際の一助になると考える。
著者
佐々木 寧 田中 規夫 湯谷 賢太郎 ホモチュエン サマン
出版者
埼玉大学工学部
雑誌
埼玉大学紀要. 工学部 第1編 第1部 論文集 = The Science and Engineering Reports of Saitama University (ISSN:18804446)
巻号頁・発行日
no.38, pp.49-57, 2005

This study reports the damage at the coastal area in south Thailand by Indian Ocean Tsunami occurred at Dec.26.2004. The investigated area covered about 250 km at Andaman seaside from Phuket to Ranong. For elucidating the effect of vegetation on tsunami protection, the representative vegetation was classified according to the stand structure of the tree. The representative trees were classified into five and their stem diameter (d), tree height, branch structure, density of the trees and the forest-width to the Tsunami-direction were investigated. From the survey, mangrove, especially Rhizophora apiculata forest, was effective to protect Tsunami damage with its complex root structure. Anacardium occidentale was also effective with its large diameter branches at low height from the ground level. On contrary, Casuarina equisetifolia has assumed little effect to reduce the velocity when their diameter grow large (d>0.5m) with large stem-spacing (7-30m).
著者
桑原 克義 福島 成彦 田中 凉一 宮田 秀明 樫本 隆
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.354-361_1, 1986
被引用文献数
2

ムラサキイガイに残留する低極性有機蛍光物質濃度の数値化の試みとして, 蛍光分析と蛍光検出器付きHPLC分析を行った. 蛍光分析では, 大阪港, 京都舞鶴, 北海道各海域でよく類似したスペクトル (Ex λmax=ca.310; Em λmax=ca.350nm) を与えた. HPLC分析では, 共通する残留性のピークとその他のピークに別れた. 試料間で, 蛍光分析で約10倍, HPLC分析で約100倍以上の差が得られ, 本方法が上記化合物による海産食品汚染監視の一指標になるものと考えられた.
著者
吉川 真 吉光 徹雄 高木 靖彦 出村 裕英 野口 高明 宮本 英昭 川口 淳一郎 藤原 顕 安部 正真 岩田 隆浩 川勝 康弘 田中 智 森 治 矢野 創
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.7, 2006

小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワの観測で、500m程度の小さなS型小惑星についての理解が深まったが、我々は、さらに次の小天体探査ミッションについての検討を行っている。次のミッションとしては、S型と同様に小惑星帯で主要なタイプとなっているC型小惑星の探査を行いたい。このタイプでは、有機物や水をより多く含んでいると思われており、生命前駆物質の科学としても重要である。ここでは、これまでのミッション検討結果をまとめて報告する。また、是非、多くの研究者に小天体探査に参加してもらうことを呼びかけたい。
著者
田中 俊明
出版者
梅光学院大学子ども未来会議
雑誌
子ども未来学研究 (ISSN:18817424)
巻号頁・発行日
no.13, pp.3-11, 2018-12-28

本論文では、子どもの心の安らぎや喜びという視点から野外の自然に触れること、及び、野外に出かけて自然の世界を美しく楽しいものとして感じる心を幼児期から育み強めていくことについて進化心理学的に考察した。子どもたちが野外の自然に触れて、自然の世界を美しく楽しいものとして感じることは、不安やストレスから解放されて、心の底から安らぎと喜びを感じて生きることに直結すること。それが進化的過去に形成された人間の本性にマッチした、子どもが人間らしく成長していくために適した生き方なのだという視点を、今後の保育や教育の中に取り入れることの必要性について論述した。
著者
郭 芳 田中 弘美 任 セア 史 邁 Hou Kaku Hiromi Tanaka Saeah Lim Mai Shi カク ホウ タナカ ヒロミ イム セア シ マイ
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.126, pp.15-32, 2018-09-30

本研究では「京都子ども調査」を分析することにより,子どもの自己肯定感に及ぼす要因を確認し,それらの要因の自己肯定感への影響の程度について,実証的に検証した。その結果,自己肯定感に影響を与える要因には「性別」「経済的要因」「関係的要因」があることが実証された。また,経済的要因の自己肯定感への影響はある一方で,「親・親戚との関係」「学校での生活」「友人の有無」という関係的要因のいずれもが自己肯定感に影響していることが明らかになった。
著者
真田 知世 田口 晶彦 川瀬 善一郎 小平 紀久 久野 芳之 田中 貴 山中 菜詩 梅村 朋弘 鈴木 孝太
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.603-608, 2020-09-15 (Released:2020-10-10)
参考文献数
10

目的 気象環境の変化によって引き起こされる気象病において,気象環境の変化を把握し,事前の予防行動からリスクを軽減することが重要である。そこで,気象データとレセプトデータを組み合わせて分析を行う「Health Weather」の取り組みを立ち上げ,10歳未満の小児ぜん息を対象として,気象と疾患の関係性について検討した。方法 10歳未満の小児ぜん息の外来患者数を対象とし,全国を7つのエリアに分けて,気象データ(気温,湿度,気圧,風)を説明変数とするポアソン回帰分析を行った。さらに,ポアソン回帰モデルを用いて,気象の変化から予測される10歳未満の小児ぜん息の外来患者数の変化を表す予測モデルを作成した。結果 気象データから予測される10歳未満の小児ぜん息患者数と実際の患者数を比較してみると,各エリアにおいて,作成した予測モデルが実測の患者数をほぼ再現できていることが確認された(0.77≦R2≦0.96)。結論 気象データとレセプトデータを組み合わせた分析から,気象と10歳未満の小児ぜん息患者数の関係性を把握できることが確認された。また,Health Weatherの取り組みが,気象病における気象と疾患の関係性の把握につながる可能性が示唆された。
著者
寺岡 歩 齋藤 いずみ 田中 紗綾 佐藤 純子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.82-91, 2019
被引用文献数
1

<p><b>目 的</b></p><p>分娩取扱い病院で約8割を占めている産科混合病棟の,助産師と看護師による分娩期の看護時間と看護行為を明らかにし,助産師と看護師が協働する分娩期看護の安全性の向上に資する示唆を得ることを目的とする。</p><p><b>対象と方法</b></p><p>正期産経腟分娩の事例を対象とした。産婦の入院から分娩後2時間値の測定終了までを分娩期とし,調査員がタイムスタディ法を用いて産婦と新生児に関わった全ての看護者の看護時間と看護行為を測定した。</p><p><b>結 果</b></p><p>調査期間の14日間に10例(初産婦4名,経産婦6名)の分娩があった。</p><p>分娩期の経過時間中央値は467.0分で,1組の母児に対して分娩期に関与した人数の中央値は助産師が6名,看護師は2名,提供した看護時間中央値は助産師が436.5分,看護師が41.0分であった。</p><p>観察された看護行為26項目のうち看護時間の上位3項目は,助産師では「助産診断(産婦の観察)」「看護記録」「直接分娩介助」,看護師では「新生児介助」「間接分娩介助」「(診療,処置の)準備・後片付け」であった。</p><p>助産師と看護師の看護時間および看護行為は,事例の個別性および分娩進行状態に対応して変動がみられた。</p><p>入院から子宮口全開大に至るまでの時間に看護者間の連絡回数が集中しており,情報交換や業務調整が行われていた。</p><p><b>結 論</b></p><p>分娩期に観察された看護行為から,助産師と看護師はそれぞれの専門性に応じた役割分担をしていることが実証された。</p><p>産科混合病棟では分娩第2期までの経過時間に看護者間の連絡を密にして,他科患者への業務調整ならびに分娩準備を行うことが重要である。それにより,分娩第2期・第3期に母児に対し集中して看護することが可能になり,分娩期の安全確保につながることが示唆された。</p>
著者
田中 康博 坪井 崇 レビット 順子 田中 まゆ 田中 教義 渡辺 宏久 勝野 雅央
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.80-88, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
30
被引用文献数
1

要旨: パーキンソン病(PD)に対する言語療法はLee Silverman Voice Treatment®が嚆矢となり,その後に病態解明や治療法の開発が進んできた.本稿では,米国のParkinson Voice Project(PD 専門の言語治療クリニック)で行われている治療法を中心に紹介する.本施設ではPDにより低下した発声・発話機能の回復を目的とした個別療法と,改善した発声・発話機能の維持を目的とした集団療法の2つの治療プログラムが提供されている.いずれの治療法においてもPD患者が日常生活で良好な発話が保てるよう緻密に構想化されたアプローチのみならず,患者のモチベーションを高めるための創意工夫が随所に施されていた.
著者
田中 紘世 齊藤 泰一
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.2, pp.601-606,

ファイルレスマルウェアでは,ダウンロードされたマルウェア本体 (ペイロード) はハードドライブ上に格納されることはない.ダウンロードされたペイロードは,OSの機能により直接メモリ上に展開され,実行された後,削除される.メモリ上から削除されること,ファイルとしての実体を持たないことが,ペイロードのフォレンジックを困難とする.ハードディスク上に存在するドロッパー・ローダーは,ペイロードをダウンロード・実行するのみであり,これを解析してもマルウェア全体としての動作を解析できない.我々は Linux において想定されるファイルレスマルウェアに使われる技術を分析し,その対策法について考察した.本項では Linux システムコール memfd_create を利用したファイルレスマルウェアへの対策手法を述べる.
著者
田中 敦子
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.136, no.11, pp.127-133, 2020-11-30 (Released:2020-11-28)
参考文献数
37

In this review, the status quo of social acceptance of CCS is discussed in relation with international efforts to establish understanding on CCS. The author analyzed suspended 43 CCS project cases out of total 133 cases, and identified major impacting factors: economic reasons, legislative reasons, political reasons and social protests were 50%, 25%, 10% and 12% respectively. All of these impacting factors are within the range of social acceptance considerations, and could be solved by stakeholder engagement efforts. The author reviewed ISO/TC265 CCS standards which encourages to establish preferable social acceptance on CCS project by way of stakeholder engagement process and risk communication process. The author summarized recommendations from CCS stakeholder engagement process. Then, the author surveyed reports on public perceptions on CCS and CCS outreach works. Finally, the author researched literally succeeded and failed cases in of social acceptance gaining among communities in vicinity of CCS site and discussed the issue.