著者
丸山 一郎 阿部 芳春 江原 暉将 白井 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.184-192, 2002-02-01
被引用文献数
9

本論文では,事前収録されたテレビ番組に対して番組VTRと事前電子化原稿から聴覚障害者向けの字幕を自動的に付与する技術の中で,音声と字幕の同期タイミングを検出する字幕提示タイミング検出手法について述べている.背景音が重畳している放送音声に対しては,音素HMMワードスポッターだけに基づいたタイミング検出手法では十分な検出精度が得られない.番組の原稿中の各文に対してワードスポッティングにより複数のタイミング候補を検出し,音響的なゆう度に加え三つのスコア(原稿の時間順序,原稿から推定される発声時間との比,音声らしさ)を用いた動的計画法を行い,番組全体として最適なタイミングを選択する手法を提案した.ドキュメンタリー番組10回分を対象とした評価実験において,許容検出誤差を1秒とした場合に検出率99.0%,3秒とした場合に99.7%の検出精度が得られ,実用的な方式であることが示された.
著者
沢 俊行 平良 善進 白石 浩之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.49, no.442, pp.1092-1100, 1983-06-25
被引用文献数
1

円形フランジ締結体に曲げ外力が作用したときの各ボルトに発生する軸力の増加分を推定する因子である曲げ内力係数を二次元弾性論および弾性床上のはり理論により解析する方法を示し、ボルト穴中心円直径が曲げ内力係数に及ぼす影響について検討している。さらにボルトに発生する曲げモーメントの影響を考慮した応力についても解析方法を示した。これらの結果を確かめるための実験を行い、両者はかなりよく一致することを示した。
著者
森田 孝夫 藤本 眞一 城島 哲子 吉川 正英 石指 宏通 赤井 靖宏 青山 美智代 白嶋 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.268, pp.17-22, 2009-10-30

チーム基盤型学習(TBL)は個人学習、グループ学習、全体セッションの三つの過程からなるインタラクティブな授業方法である。「LENONシステム」((株)寺田電機製作所)はレスポンスアナライザーの一種で、クラスメンバーの意見を「face to face」で瞬時に把握できるため双方向対話型授業に有用であり、TBLにおいては全体セッションを効果的に運営するために用いられていた。今回、TBLの「グループ学習」で用いる「PCスクラッチカード」を新たに開発し「LENON」に追加したため、「LENON」はTBLのすべてのプロセスを支援できるツールとなった。「LENON」によるTBLの支援の概要について報告する。
著者
山崎 敦子 渡邊 剛 川島 龍憲 小川 奈々子 大河内 直彦 白井 厚太朗 佐野 有司 植松 光夫
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.406-406, 2008

サンゴ骨格の窒素同位体比を用いて過去の海洋表層の栄養塩濃度とその起源を復元し、新たな古環境指標としての可能性を検討するため、外洋の沖ノ鳥島と石垣島轟川河口からサンゴ骨格試料を採取し、その成長方向に沿って窒素同位体比・総窒素量を1ヶ月の分解能で測定した。また比較のため、それぞれの窒素同位体比の測線に平行して沖ノ鳥島サンゴではBa/Ca比、Mn/Ca比を、石垣島サンゴではMn/Ca比を測定した。その結果、窒素同位体比・総窒素量の平均値は共に石垣島の方が高く、沿岸の方がサンゴの窒素同化が盛んであることを示した。さらに石垣島サンゴでは、河川からの流入物質の影響が窒素同位体比、総窒素量とMn/Ca比に反映し、沖ノ鳥島サンゴでは、海洋の鉛直混合や湧昇に伴う深層からの栄養塩の供給と海洋表層の窒素固定が窒素同位体比の変動要因として考えられる結果となった。今後、サンゴ骨格の窒素同位体比は海洋の栄養塩の挙動を復元する指標となることが期待できる。
著者
佐藤 篤 衣川 修平 東 理恵 白川 治
出版者
近畿大学臨床心理センター
雑誌
近畿大学臨床心理センター紀要 = Bulletin of center for clinical psychology Kinki University
巻号頁・発行日
no.3, pp.159-167, 2010-10-01

[要約] 近畿大学医学部附属病院メンタルヘルス科における認知症に対する心理検査の現状を報告する。 「もの忘れセット」の名称で、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、Mini-Mental State Examination(MMSE)、Alzheimer's Disease Assessment Scale認知機能検査(ADAS-Jog)、Clock Drawing Test; 時計描画テスト(CDT)の4つの検査を施行している。検査を施行する際の注意点ならび解釈の着眼点を示し、認知機能評価の中で心理検査に求められる役割を述べた。今後の課題としてMCIやFTDの鑑別に敏感な認知機能評価のテストバッテリーを組むことが求められる。
著者
白水 始 三宅 なほみ
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 = Cognitive studies : bulletin of the Japanese Cognitive Science Society (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.348-376, 2009-09-01
被引用文献数
6

When one starts to learn a new discipline, it is essential to understand the terminology, to the point where one can use it comfortably across many situations. This study shows some effects of collaborative reflection on such learning, or transfer. We devised a two-year curriculum of teaching cognitive science to lower-division undergraduates, including the term of “schema,” and revised it along with our four-level model of collaborative conceptual change into enriching concrete, hands-on experiences and collaborative reflection. By comparing three sets of curricula, we found that ample experience with reflection yields durable understanding and promotes students' spontaneous use of “schema” in their end-term reports or conversations. Detailed analyses of five students' use over one-and-a-half years showed that one's understanding differed from that of others, but was highly correlated with her or his own preceding understanding. These results imply that ample experience provides a “core” to start one's learning and collaborative reflection makes the diversity of such cores explicit, which propels further constructive interactions that promote each one's deeper understanding and cross-situational learning.
著者
磯田 達也 井上 創造 花沢 明俊 野原 康伸 白水 麻子 杉山 康彦 平田 真理 町田 京子 中島 直樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.2197-2209, 2016-10-15

本研究では,看護師の業務分析のため,33日間にわたり看護師の業務行動データを収集する実験を行い,業務中の看護師の行動の激しさおよび,業務時間に影響を与える要因について分析を行った.データ収集実験では,38人の看護師を被験者に設定して,装着型の小型センサ端末を装着した状態で業務を行ってもらい,加速度データおよび看護師間の対面情報,看護師業務情報を収集した.また,赤外線を用いた情報通信機器によって看護師の位置情報も同時に収集した.本稿では,看護師業務中の行動の激しさを目的変数,看護師業務ごとの回数,対面回数,場所ごとの訪問回数などを説明変数に設定して,決定木(回帰木)を用いた要因分析を行った.その結果,他の看護師との対面回数が多く,病室に何度も訪れている看護師や,リハビリ介助業務や行動介助業務などの患者の介助に関わる業務を行う看護師ほど,行動の激しさが大きくなるという結果を得た.また,業務時間が業務効率に直結していると考え,各業務時間の長さに影響を及ぼす要因について回帰分析によって調べた.その後,単回帰分析により有意水準5%で有意となった説明変数の業務だけを抽出し,その業務に対して決定木を用いた要因分析を行った.単回帰分析の結果,14の業務において有意な結果が得られた.また,決定木による要因分析の結果,ほとんどの業務において他の看護師との対面人数が業務時間に影響を与えていることが分かった.また,食事介助業務中に特定の場所に訪れる看護師ほど業務時間が長くなるという結果を得た.
著者
有熊威 北野貴稔 白石展久 小山和也 河又恒久
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.553-554, 2011-03-02

近年、複数多種のセンサ情報を多角的に解析し、実世界をより正確に認識することで、応用サービスに精度向上などの付加価値をつけたいという需要が増加している。しかし、センサ情報から実世界を認識するエンジンの多くは、特定の応用サービスを指向して設計されてきたため、既存の認識エンジンの解析結果を新しい応用サービスへ流用することは困難であった。本研究では、複数種類の認識エンジンを収容し、応用サービスへ解析結果を一元提供する中間層として、「実世界認識エンジン活用プラットフォーム」を提案する。提案した中間層の試作・検証実験を通して、中間層により解析結果が複数の応用サービスから容易に利用可能になることを検証した。
著者
山田洋志 白石展久 有熊威 亀井真一郎 河又恒久
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.551-552, 2011-03-02

各種のセンサで収集したデータを解析エンジンで解析した結果を効率的かつ<br />低コストで利用するためのアーキテクチャを提案する.解析エンジンとアプ<br />リケーションとの間に解析結果を管理し,蓄積・検索機能を提供する中間層<br />を用意し,アクセスのためのインターフェースを定義する.これによって解<br />析結果を利用するアプリケーションの構築を容易にし,また,解析エンジン<br />のシステムでの利用を簡易にする.
著者
白上 房男 岡島 義昭 前小屋 千秋 高田 芳矩
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.413-418, 1989-09-05
被引用文献数
1 3

土壌中の水溶性及び交換性の無機態窒素を迅速に連続測定するFIA法を検討した.亜硝酸及び硝酸態窒素の測定ではジアゾ化-アゾ化合物生成に高温反応(90℃)を適用した.なお,硝酸態窒素の測定では還元カラム(Cu-Cd粒状,φ3×300mm)の活性寿命及び還元効率への流量依存性を評価した.アンモニウム態窒素の測定では多孔質膜分離-インドフェノール法の常温反応における最適条件を検討した.土壌2gを浸出液50mlで振り混ぜ抽出し,その40μlを各成分の測定に供する.本法の繰り返し測定の再現性は相対標準偏差で0.3〜0.5%であり,定量範囲は亜硝酸態窒素:0.1〜7ppm,硝酸態窒素:1〜20ppm,アンモニウム態窒素:1〜150ppmである.なお,3成分連続測定の所要時間は約10分間である.
著者
渡邉 志 塚本 博之 松本 有二 中川 雅文 白濱 成希 宮本 和典 中谷 直史 冨田 雅史 森 幸男
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.75-84, 2014-04-25

8名の被験者(20代男性)について1/fゆらぎを持つとみなせる楽曲(以下,1/fゆらぎ楽曲)および環境音(白神山地のせせらぎ音)を聴取させたときの加速度脈波解析を行った.加速度脈波の測定は1/fゆらぎ楽曲および環境音の聴取前・聴取中・聴取後の合計300s間行い,その後Visual Analog Scale(VAS)による主観評価測定を行った.加速度脈波解析の結果,交感神経活動の指標値であるLF/HFについては,1/fゆらぎ楽曲の聴取時に有意に減少する傾向が見られた.一方,環境音聴取時には増加する傾向が見られた.また,これらの音源の印象についてのVASによる主観評価値から被験者を分類し考察することを試みた.
著者
阿波 邦彦 堀江 淳 長江 真弥 村田 伸 林 真一郎 今泉 裕次郎 市丸 勝昭 直塚 博行 白仁田 秀一 江越 正次朗 堀川 悦夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Db1202-Db1202, 2012

【はじめに、目的】 COPDの骨格筋筋力低下は、全身持久力、ADL、健康関連QOLの低下、予後にも影響している。今回、外出に制限が生じ始める6分間歩行距離400mをもとに、大腿四頭筋筋力を体重で除した体重支持力指数(WBI)のカットオフ値を求めた。そして、そのカットオフ値でCOPD患者を2群に分け、身体機能、身体能力、ADL、健康関連QOLの比較をすることでWBIのカットオフ値の有用性を検討した。【方法】 対象は、研究の参加に同意が得られた男性COPD患者116名であった。平均年齢は74.4±8.7歳、BMIは20.6±3.8、%FEV<sub>1.0</sub>は50.8±23.6%であった。なお、対象の選定は、歩行に支障をきたすような骨関節疾患、脳血管障害や重篤な内科的合併症の有する者、理解力が不良な者、測定への同意が得られなかった者は対象から除外した。主要測定項目はWBIとした。副次測定項目はmMRC息切れスケール、呼吸筋力検査(PImax、PEmax)、握力、片足立脚時間、5m最速歩行時間、Timed Up and Go Test(TUG)、30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)、6分間歩行距離(6MWD)、漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT)、長崎大学呼吸ADL質問票(NRADL)、健康関連QOLはSt George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)とした。予後指標はupdated BODE indexとした。統計学的解析は、外出に制限が生じ始めるWBIのカットオフ値を6MWD-400m以上群と未満群に分け、ROC曲線にて分析した。また、分析されたWBIのカットオフ値でWBI高値群と低値群に分け、2群間にて副次測定項目の比較をStudents' t-testで分析した。なお、帰無仮説の棄却域は有意水準5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、佐賀大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施し、ヘルシンキ宣言に沿った研究とした。なお、対象には研究の主旨、方法、同意の撤回などについて文書を用いて口頭にて説明したうえで同意を得て実施した。【結果】 外出に制限が生じ始めるWBIのカットオフ値は54.7であった。なお、ROC曲線下面積は0.798、感度は0.735、1-特異度は0.348であった。WBI高値群とWBI低値群における副次測定項目の比較は、mMRC息切れスケール(1.8±1.0vs2.3±1.0、p=0.008)、PImax(85.1±35.3vs56.0±28.8cmH<sub>2</sub>0、p<0.001)、PEmax(82.4±37.5vs54.4±32.1cmH<sub>2</sub>0、p=0.001)、握力(33.5±7.2vs 25.5±7.8kg、p<0.001)、片足立脚時間(67.0±42.0vs 22.7±30.2秒、p<0.001)、5m最速歩行時間(2.9±0.9vs3.9±1.5秒、p=0.001)、TUG(6.0±1.8vs9.1±4.6秒、p<0.001)、CS-30(18.3±4.5vs13.4±5.0回、p<0.001)、6MWD(416.7±110.6vs281.0±139.4m、p<0.001)、ISWT(411.9±170.4vs247.3±149.5m、p<0.001)、NRADL(78.7±20.3vs63.9±26.7点、p=0.001)、updated BODE index(3.7±3.0vs7.4±4.8、p<0.001)に有意差が認められた。しかし、SGRQ(39.3±17.5vs45.9±18.1、p=0.06)には有意差は認められなかった。【考察】 COPD患者における外出に制限が生じ始めるWBIは中等度の予測能を認めた。WBI低値群は、WBI高値群よりも各身体機能、身体能力、ADL、予後指標において有意に低値を認めた。これは先行研究と同様の結果であった。しかし、健康関連QOLに有意差は認められなかった。その原因として、健康関連QOLには筋力などの身体機能以外にも不安や抑うつなどの精神的症状も関与しているためと考えられる。今回の研究では、外出制限を6MWDの測定値で検討しているため、想像の域を脱していないことである。そのため、今後の課題は外出制限の具体的な設定や患者背景を検討してゆく必要がある。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、外出に制限を生じ始めるWBIのカットオフ値を推定する一つの指標となりうる可能性が示唆された。しかし本研究では検討課題も多く残された。そのため今後も研究を重ねていき臨床の場面にて活用できるような指標に展開したいと考える。