著者
網田 健次郎 星野 正邦 本間 智晴 若林 久嗣
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.193-197, 2000-12-15
被引用文献数
12 40

1999年5月から12月に新潟県海川で天然遡上アユ, 標識放流したアユ種苗, 流下アユ仔魚および他の生息魚を採集して F.psychrophilum の検出を試みた。 IFAT または nested PCR により検査した結果, 放流前のアユ種苗の一部, 採集された全てのグループのアユと他の4魚種(ヤマメ, ウグイ, ウキゴリ, ヨシノボリ)および成熟アユの卵から本菌が検出され, また, 河床の微細藻類や河川水の一部が PCR 陽性を示した。 これらの結果から親魚から仔魚への冷水病菌の伝播, 放流魚や他魚種等から天然遡上アユへの伝播の可能性が示された。

1 0 0 0 OA 支那歴史綱要

著者
若松節, 池田尚 編
出版者
成城学校出版局
巻号頁・発行日
vol.巻之6, 1889
著者
前沢 千早 西塚 哲 若林 剛 野中 孝昌
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

NACC1は多能性維持に関連する転写因子ネットワークの一員として認識され、その過剰発現は腫瘍の悪性形質と関連が指摘されている。本研究では、NACC1が細胞質内ヒストン脱アセチル化酵素HDAC6と結合し、細胞骨格関連分子(α-tubulin、cortactin)のアセチル化制御により腫瘍の浸潤・転移能の制御に関与していた。また、NACC1は乳癌のHSP90のアセチル化制御によりERBB2の発現の維持にも関与していた。核内ではSUMO化を受けたPML分子と結合し細胞増殖、アポトーシスに影響を与えていた。NACC1の過剰発現は腫瘍の悪性形質を誘導し、細胞運動・浸潤・増殖能に影響を与えており格好の治療法的分子となり得る可能性が示唆された。
著者
川角 由和 中田 邦博 児玉 寛 岡本 詔治 森山 浩江 若林 三奈 松岡 久和 潮見 佳男
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、第一にEU域内市場の拡大・展開を受け、EUレベルで進行する私法の統一化の動きを全体として跡付けてその特質を解明すること、第2に、こうした動きを基礎づける近代ヨーロッパ私法の原理(とくに契約法にみられる原理的共通性)や統一私法典の構想等を分析し、わが国の私法への影響を考察することにある。今回の研究期間内には、とくにこうしたヨーロッパ私法統一の動向そのものの分析と、日本法に対してそれがどのような影響を及ぼすのかを比較法的手法を用いて解明することに重点を置くものとした。この期間内には、本研究の中核メンバーによってヨーロッパ契約法原則の意義を明らかにし、それが日本法にどのような影響を及ぼすかを検討するシンポジウムを、比較法学会において開催した。また、こうした研究作業の基礎資料となる「ヨーロッパ契約法原則」についての翻訳プロジェクトに取り組み、すでに潮見佳男=中田邦博=松岡久和『ヨーロッパ契約法原則I・II』(法律文化社、2006)の刊行を終わり、IIIの刊行を予定している。また、これまでの研究成果を集大成した『ヨーロッパ私法の展開と課題』の刊行が予定している。以上のように、本研究は、さらなる展開を示しつつあるヨーロッパ私法・契約法の全体像を解明するために、さまざまなプロジェクトにおいて深化し、またすぐれた研究成果を挙げている。
著者
若林 良和
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、カツオを漁獲する漁船乗組員たちを漁撈集団、そして、そこでの集団生活を海上生活構造と位置付けて、その移動と交流に着目した実態把握を推進し、その特性を明らかにすることである。漁船の大型化、航海・漁撈機器の高度化、エンジンの高馬力化のなかで、太平洋海域を大きく移動しながらカツオを漁獲する漁船乗組員の生活にっいて、生活史法をもとに検討した。主たるフィールドは沖縄県(宮古島市)、鹿児島県(枕崎市)、愛媛県(愛南町)、高知県(土佐清水市、中土佐町)、静岡県(焼津市)などである。カツオ漁船乗組員(現役者・引退者)のライフヒストリーをインタビューにより収集するとともに、関連のライフドキュメントを確保した。また、併せて、地域社会の基本的な文献・史料も収集して整理した。また、鰹節製造業者、さらには、マグロ漁船乗組員との対比によって、カツオ漁船乗組員の移動と交流の実態をより明確に把握できように配慮した。本研究で得られた知見を概括すると、以下のようになる。1.海上生活構造の生産的局面である漁業労働においては、閉鎖性、随時性、危険性という特殊性がより明確になり、カツオ漁船乗組員は労働規則・慣行上、大きく行動規制されている。特に、海域移動が拡大するに伴い、操業期間が長期化し、労働強化は顕著になっている。2.海上生活構造の消費的局面である衣食住については、漁業労働への従属性が高く、また、海域移動の拡大と航海期間の長期化のなかで、少しでも娯楽性を高めようとする生活の創意工夫が見られる。3.こうした環境下にあるカツオ漁船乗組員は母港への帰港、あるいは、補給地への寄港で、家族との交流、さらいは、地元住民との交流が物心の両面において展開されることが素描できた。この点は質的調査のメリットが遺憾なく、発揮でき、調査手法の妥当性も検証できた。(770字)
著者
牧野 俊郎 若林 英信
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は,熱工学の立場から人間の生活環境と地球の自然環境のほどよい共生を図ることをめざす萌芽的な研究である.人間の生活環境の改善はわれわれの当然の希望であり,とりわけ日本の蒸し暑い夏を快適に過ごすための努力はあってよい.ところが,その生活環境の快適さを実現するために空気調和機器(エアコン)をもってすれば,その使用電力分が地球大気に熱として放出され,さらにその電力生産にともなう熱が大気に放出されて,地球の温暖化を促進する.すなわち,エアコンに頼って快適さを追求しつづける限り,生活環境と地球環境との共生は難しい.本研究の要点は,(1)壁によるふく射冷却と(2)水蒸気を呼吸する壁である.電力よりは自然の自律制御機能に依存して人間の快適さを追及することである.本研究では,夏に涼しく冬に暖かい生活・暮らしの実現に貢献できる技術の開発のために,ふく射伝熱と水蒸気を呼吸する高熱伝導性の多孔質体に注目する.自律的な生活環境制御機能をもつ生活空間の壁をバイオマスの暖かさをもって実現することをめざす.このような人間生活と自然現象を見つめる熱工学研究の萌芽が育つことの社会的意義は大きいと考える.平成19年度(初年度)は,室内の生活空間における伝導伝熱・対流伝熱・ふく射伝熱・相変化をともなう熱・ふく射・物質輸送(heat, radiation and mass transfer)現象を考察し,その現象をよりよく制御するための生活環境自律制御型の高熱伝導性・高吸湿性の室内壁ユニット(第一壁)の開発を行った.すなわち,まず,計10種の第一壁の試料を作製した.次に,測定装置を作製し,第一壁の(有効)熱伝導率・(全垂直)放射率・平衡(質量)含水率を測定した.
著者
若林 攻 河野 均 佐藤 幸治 BRASS Sussan NICOLAUS Bea BOGER Peter SUSSANE Bras BEATE Nicola PETER Boger BEATE Nicoau 小川 人士 BOGER Pecter
出版者
玉川大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

当該研究グループの既往研究によって得られている,“Peroxidizing除草剤の作用機構:クロロフィル生合成過程のProtoporphyrinogen-IX oxidase(Protox)阻害,Protoporphyrin-IXの蓄積,エタン発生を伴うチラコイド膜の破壊,光合成色素の減少"と言う,所謂Peroxidizing植物毒性作用を説明するために,当該研究グループ提案中であった“活性酸素が関与するラジカル反応によりチラコイド膜が破壊される"とする機構の構築と確認する検討を行いこれに成功した。次に,前記の帰結の発展応用研究に当たる「ポルフィリン代謝の制御」に関する検討を行い,植物の生長調節,藻類を利用した水素生産,活性酸素の制御による疾病治療等に応用が期待される基礎的データを得た。研究成果は以下((1)〜(5))に纏められる。(1) HPLC-lsoluminol化学発光を原理とする全自動脂質分析システムを用い,protox阻害剤処理後に生ずる過酸化脂質を測定し,活性酸素が関与するチラコイド膜破壊の機構を明らかにした。(2) 緑色植物細胞系を用いて,Protox阻害剤によるチラコイド膜破壊作用を緩和させる薬剤を見出す検討を行い,光合成電子伝達系阻害剤がチラコイド膜破壊作用を緩和させることを見出した。(3) クロロフィル生合成能を有する植物培養細胞(馴化Nicotiana glutinosa,Marchantia polymorphaその他)を用いた生理活性試験を行い,上記の[1],[2]を含むPeroxidizing植物毒性作用が緑色植物の葉緑体中で普遍的に起こることを確認し,Peroxidizing除草剤の作用機構を明らかにした。(4) 得られた生理活性データに関して定量的構造-活性相関解析を行い,光存在下で活性酸素を発生させチラコイド膜破壊を誘導する新しい強力なprotox阻害剤の分子設計と合成に成功した。(5) Peroxidizerと光合成電子伝達阻害剤が藻類の光合成明反応に及ぼす効果を確認し,その結果を藻類の水素生産制御に応用する可能性を見いだした。
著者
林 農 神近 牧男 若 良二 原 豊 田川 公太朗 河村 哲也 山田 廣也
出版者
鳥取大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
2000

本研究は、世界各地の乾燥地で運転可能な風車と風力発電を開発することを目的として着手した。得られた研究業績の多くは、その取り組みの容易さから、サボニウス風車と直線翼垂直軸風車の数値シミュレーションにまず成果を得た。風車の性能試験は風洞実験施設の設計と建設に時間を必要としたこと、新技術風車もまた設計と試作に時間を必要としたので多くの研究業績を得るまでには至らなかった。この研究期間の内に挙げることができた研究業績は次のように分類することができる。(1)直接研究:サボニウス風車、垂直軸風車の数値シミュレーション、風洞実験など(2)関連研究:(a)沙漠に関する研究(b)風力発電に関する研究:(i)風況精査に関する研究(ii)風車の要素技術に関する研究本研究のために開発した風洞は、風車研究用風洞として世界に稀な特性を有する風洞である。すなわち、動翼ピッチ可変式の軸流送風機により定常風のほかに自然風のように時間とともに風速が変動する風を吹かせられる風洞であり、脈動風、突風、瞬間風の3種類の変動風パターンを発生することができる。この科学研究費補助金は地域連携を推進するための助成金であるので、地域の産学官連携に携わる人達、鳥取大学と共同研究を望む人達、流体力学の分野で活躍する研究者達、風力発電を事業化しようとする自治体の人達など、鳥取大学を訪れる多くの人達に沙漠環境風洞を見学する機会を提供した。さらに、本研究費の趣旨に則って、地域の企業との産学連携を積極的に推進するために多くの共同研究を受け入れ、鳥取県、NEDOや企業などからの委託研究も積極的に受け入れた。さらに、本研究は、最終年・平成14年度に文部科学省の21世紀COEプログラムに採択された鳥取大学「乾燥地科学プログラム」の自然エネルギーグループに研究が引き継がれる幸運が重なることになった。したがって、地域連携推進研究費で設計し試作した新技術風車は、その風車の改良を含めて、乾燥地科学プログラムのなかで、詳細な特性試験と再設計を繰り返して完成品へと導かれることになる。
著者
若生 謙二
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-12, 1982-07-31
被引用文献数
1 1

本研究では,最初に動物園史の時代区分を行い,各時代の特性を個別に論及した。次に各時代の相互の関連性を動物園観を媒介としてとらえ,歴史的全体像と動物園観の形成過程について論述した。その結果,動物園の歴史的展開過程は遊園地型動物園の系譜と近代動物園を指向する系譜の2軸型の発展構造としてとらえられ,従来の研究において欠落していた花鳥茶屋などの見世物園地と電鉄系の遊園地型動物園は前者の系譜に位置づくという歴史的な全体像を明らかにした。動物園を娯楽的施設とみる動物園観の形成過程は,このような2つの系譜を軸とする発展構造のなかから生み出されたものと考察された。
著者
山本 博美 若松 秀俊
出版者
足利工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本年度は、3年間にわたって開発した通信回線を含む電子保護システム全体について、実際に特別養護老人ホ-ムの施設で運用を繰り返し、その信頼性や経済性などについて研究を行った。まず、特別養護老人ホ-ムに設置した電子保護システムに、前年度までにシュミレ-ションを行って確認したパ-ソナルコンピュ-タ-とモデムを接続し、さらにNTTの電話回線を接続した。また実際に監視側コンピュ-タ-(研究室)から施設側コンピュ-タ-をアクセスし、徘徊デ-タの転送収集を平成3年3月から平成4年3月の期間にわたり、繰り返し行った。同時に市販の多機能ポケットベルが作動することを確認し、老人の外出時の救護が平均約10秒程度であることがわかった。これは介護者が、救護のために警戒する出入口に急行し、出入口に設置してある警報解除スイッチを操作した時間である。このことから電子保護システムは、介護者が目 を離した隙に徘徊性老人が外出しても、確実に警報を発し介護者も平均10秒以内に急行していることからいって、その有用性が確認できた。つぎに、電話回線を通じて施設側コンピュ-タ-から送られてくる警報デ-タは、収集プログラムの改良を行い、短時間で転送できるようデ-タ圧縮転送方式およびデ-タ処理のプログラムを開発した。なお、監視システムをパ-ソナルコンピュ-タ-で構成できたので、経済性の面で有利である。また今後は、一施設のみならず栃木県圏内の数ケ所の施設間で、ネットワ-クを構築し、電話回線を通じて送られてくる警報デ-タの処理および分析が必要である。また、デ-タの送信時のノイズ等による影響については、ソフトウエアの開発によりその影響を取り除き、確実にデ-タ送信できるシステムに改良した。
著者
福田 央 日吉 智 砂川 英之 田中 健太郎 藤田 仁 山根 雄一 若林 三郎
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.299-302, 2001-08-25
被引用文献数
3

清酒もろみの原料利用率の向上を目的とし, セルロース, キシラン, およびペクチン溶解酵素といった, いわゆる植物細胞壁溶解酵素が, 清酒もろみの並行複発酵に及ぼす影響を検討した.セルロース, キシラン, およびペクチン溶解酵素を有する市販酵素剤の添加により, 蒸米の溶解およびアルコール発酵は顕著に促進され, またアルコール収得量も増加し, 原料利用率の向上が得られた.さらに, 麹菌を小麦フスマを基質とした液体振盪培養に供して得られた培養上清液よりアミラーゼ・プロテアーゼを除いた粗酵素液を調製し, もろみ発酵試験に供した.この結果, もろみ発酵・原料利用率ともに顕著に向上し, 酵素剤添加区の最高値に匹敵する結果を得た.調製した粗酵素液は著量のセルロース, キシラン, およびペクチン溶解活性を有することから, これらの植物細胞壁溶解酵素が, 清酒もろみでの蒸米の溶解・糖化に対する促進効果を有することが強く示唆された.
著者
夏目 敦至 若林 俊彦 鈴木 正昭 古山 浩子 近藤 豊 竹内 一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

我々はDNAのメチル化などのエピジェネティクスが癌精巣抗原(Cancer-testis antigens, CTAs)の発現調節にも関与していることを見出し、5-aza-deoxycytidineをグリオーマに作用させるとCTAsの発現が活性化することを認めた。そしてCTA特異的細胞傷害性T細胞によってHLA拘束性に傷害される。以上にDNAメチル化阻害剤と癌ワクチン療法の組み合わせで強力な免疫療法の開発の展望を示した。一方、HDAC阻害剤のうち、SAHA, MS-275, FK-288は米国において白血病における臨床試験が行われている。また、脳神経外科領域でなじみのある抗てんかん薬のバルプロ酸がHDAC阻害活性を有しているのも興味深い。DNAメチル化酵素やHDACとともにEZH2も分子標的となりうる。現在、エピジェネティクス異常を標的とする治療薬の開発が急速に進んできており、グリオーマにおいて適応になるのも近い将来可能になると期待される。
著者
武若 耕司 上田 多門 丸屋 剛 山口 明伸
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、海洋コンクリート構造物の完全非破壊型塩害予知システムの構築を目的とし、ハードおよびソフトの両面から実験的ならびに解析的検討を実施した。主な研究成果は以下の通り。(1)構造物の劣化進行を予測する塩害劣化シミュレーションモデルを構築した。(2)供用構造物中の塩害劣化進行をモニタリングし,構造物の劣化予知が出来るシステムを確立した。(3)劣化予知にあたって既定値とすべきパラメータ(腐食発生限界塩化物イオン濃度やひび割れ発生限界鉄筋腐食量)を定量化した。
著者
柴田 真志 若村 智子 柴田 しおり
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の主たる目的は、起床時体温低値児童の日常身体活動量、就寝時メラトニン量、体温日内リズムなどの特性について検討することであった。本研究で明らかになった主な結果は、次の通りである。1)朝型夜型得点は、早寝早起きや身体活動量と相関関係が認められた。2)身体活動量が多い歩数高値群の体温日内リズムは、起床時と就寝時に差がなく、昼が有意に高かったが、一方歩数低値群は、起床時が昼および就寝時に比べ低値であった。3)日歩数と就寝時メラトニン量の間には、有意な正の相関関係が認められた。4)日歩数とΔ体温値(起床時体温-就寝時体温)の間には正の相関関係が認められた。したがって、日歩数が高値であるほど、起床時に比べて就寝時の体温が低く、睡眠導入が容易であると推察された。5)起床時体温低値児童の夜間体温変動を観察したところ、一般児童に比べ、夜間最低体温時刻が朝方に後退していることが認められた。6)夏の体温(全対象者の平均値)は、冬に比べて起床時、昼および就寝時ともに高かった。冬の日歩数が夏に比べて8,000歩ほど低下した児童もまた同様な傾向であった。しかしながら、冬の日歩数が夏に比べて増加した上位11名(4,500歩ほど増加)の児童では、冬の起床時体温の低下が抑制され、夏と有意な差は認められなかった。以上のことから、日常身体活動量は、体温の日内リズムに影響を及ぼす可能性が示唆された。低い身体活動量によって、就寝時メラトニン量が低値で、就寝時体温に十分な低下が見られず、夜間最低体温時刻が朝方に後退した結果、起床時体温が低値である可能性が考えられた。
著者
若林 隆 仁木 一郎 吉田 松年 早川 哲夫 JERZY Krechn ZDZISLAW Wai MICHAL Wozni
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1.培養細胞系によるミトコンドリア(ミト)巨大化実験モデルの確立:従来の動物(マウス、ラット)に代わって培養細胞系による実験モデルを確立し、ミト巨大化の機序解明を可能にした。2.ミト巨大化機序の解明:様々な病的条件下でのミト巨大化の普遍的機序に、フリーラジカルが直接関与することをin vivo,in vitroの実験系で証明した。3.ミト巨大化の細胞病理学的意義の解明:巨大ミト存在下の細胞がやがてアポトーシスに陥る事を培養細胞系で見いだした。フリーラジカルに晒された細胞内ミトは、巨大化により自らの酸素消費量を減少することによって酸素ラジカル産生を減少させ細胞内フリーラジカル量の増加を緩和しようとするのであり、ミト巨大化はオルガネラ・レベルでの適応と考えられる。4.フリーラジカルスカベンジャーによるミト巨大化阻止の成功:coenzyme Q_<10>,α-tocopherol,4-OH-TEMPOにより、in vivo,in vitroでの種々病的条件下でのミト巨大化の阻止に成功した。6.臨床応用を目的としたフリーラジカルスカベンジャーの開発:in vivoの実験系で4-OH-TEMPOの副作用がみられたので、新たに6種の誘導体を合成しスカベンジャー効果を培養細胞系で検討した結果、4-octanoyl-,4-lauroyl-TEMPOに4-OH-TEMPOよりはるかに優れたスカベンジャー効果が見られ、in vivoの系で検討中。