著者
清水 裕 水田 恵三 秋山 学 浦 光博 竹村 和久 西川 正之 松井 豊 宮戸 美樹
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-12, 1997
被引用文献数
1

The purpose of our study on the 1995 Hanshin Earthquake was twofold. First, we investigated the operation of the relief shelters, including relief activities. In this part of the study, we focused on the leaders of the shelters. The second purpose of this study was to reveal factors contributing to the effective management of the shelters. About three weeks after the Hanshin Earthquake, we conducted interviews with 32 leaders of the relief shelters and of volunteer workers. We were mainly concerned with the conditions of the emergency facilities, how leaders were selected and what managerial problems they faced. The result of our study showed three types of motivation for becoming leaders. The first occurred naturally as an outcome of their activities; the second by their own choice; and the last because of their regular job positions. These results were analyzed and categorized by the type three quantification analysis. We found that the most effective management of the relief shelters was under leaders chosen by the last method; that is, those who held positions of leadership in their regular jobs.
著者
西川 開
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.213-233, 2019-10-15 (Released:2019-11-15)
参考文献数
117
被引用文献数
1 2

本論文はOstrom & Hessにより提起された知識コモンズ研究系統化の試みの現在までの成果を明らかにしたうえで、その結果について理論的考察を行い、同プロジェクトの基礎付けを行うことを目的とする。知識コモンズ研究とは1990年代に台頭した、共有される知識資源とその管理制度に関する研究領域である。まず、ProQuestなど4つのデータベースを用いて抽出した88件の文献を対象とするシステマティックレビューを行い、自然資源を対象とするコモンズ研究の方法論を「知識」資源の性質に合わせて修正・応用するアプローチが確立しつつあることを明らかにした。次いで、同アプローチにおける「コモンズ」という概念の明晰化、既存のコモンズ研究における同アプローチの位置づけの再検討、同アプローチの課題点の整理とそれを踏まえた今後の研究の方向性の提案を行った。
著者
柴田 昌幸 高森 頼雪 江川 優子 山口 智央 中川 慧人 中村 めぐみ 大江 啓史 成田 圭 田中 由理子 小林 倫子 三科 友二 三科 雅子 明石 雅博 笹本 貴広 土屋 昭彦 西川 稿 横田 亜矢 杉谷 雅彦 滝川 一 山中 正己
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.327-332, 2021-05-01 (Released:2021-05-14)
参考文献数
16

症例は38歳女性.X月1日に友人との食事会でマカダミアナッツを多量に摂取した.翌日から悪心・嘔吐が出現し,徐々に倦怠感,褐色尿,皮膚黄染も伴ってきた.症状改善ないためX月9日に前医受診し,急性肝炎と診断され入院.各種ウイルスマーカーや自己抗体は陰性で,画像検査で器質的異常も認めず入院後も肝機能は増悪した.X月15日に当院転院し,PTが40%未満に低下したためステロイドパルス療法を開始したが,意識障害も出現し状態は悪化した.血漿交換および持続緩徐式血液濾過透析を施行し,計6回の血漿交換後より肝機能は正常化傾向となった.集中治療を脱し,状態が安定してから肝生検を施行したが非特異的な組織像であり,マカダミアナッツのリンパ球刺激試験を実施したところ強陽性で薬物性肝障害と診断した.治療離脱後も問題なく経過し,第46病日に退院となった.食品から劇症肝炎に至り救命された症例は極めてまれであり報告する.
著者
片岡 裕美 村松 泰余 福井 貞夫 峯 孝則 西川 淳一 扇間 昌規
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-53, 2012-04-23 (Released:2017-01-27)
参考文献数
6

The water level of PET bottle mineral waters sold on hot summer days seem to vary. This led us to simulate the high temperature condition (37℃) and examine the change in the quantity and quality of natural mineral water in unopened PET bottles. The results showed that approximately 1 g of water was lost per week when the bottle was kept unopened at 37℃. There was also a change in quality, due to precipitation of calcium carbonate, decline of hardness, and decrease of pH.
著者
岡田 章 松本 結希 山越 達也 西川 誠 福島 恵造 杉岡 信幸
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.716-725, 2014-12-10 (Released:2015-12-10)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Recently, use of inhaled corticosteroid anti-asthmatic drugs has been increasing due to the increase of bronchial asthma patients. However, there are some side effects of inhaled corticosteroid, such as hoarseness, which can affect a patient's quality of life (QOL). Therefore, to contribute to the proper and individual use of these anti-asthmatic drugs, we conducted a statistical analysis to determine the cause of hoarseness by collecting information to find a relationship between the rate of patients suffering from hoarseness, their personal backgrounds and each inhaled corticosteroid.In our present study, the rate of hoarseness onset in smokers was 4.15 times higher than that of non-smokers. On the other hand, fluticasone propionate (FP) is the component of inhaled anti-asthmatic drugs, which has the largest average particle size. Rate of hoarseness onset of inhaled FP was higher than any other component of inhaled corticosteroids. However, in inhaled anti-asthmatic drugs having FP as the main corticosteroid component, difference of the onset of hoarseness was observed between five nozzle types of devices. This result suggested that the cause of this difference was derived from the individual shape of the device's nozzle.In this study, it was revealed that the difference in nozzle types of devices and the particle size of drug components affect mainly the occurrence frequency of hoarseness. These results provide helpful information about appropriate use of inhaled anti-asthmatic drugs including effective patient education for self-administration.
著者
西川 隆太郎 森本 雄貴 濱口 哲也 浦田 久志 寺邊 政宏 三木 誓雄
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.883-886, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
5

症例は70歳,男性.10日前に,経肛門的に直腸に牛乳ビンを自己挿入したが摘出不能となっていたため,下腹部不快感と残便感を主訴に当院救急外来を受診した.来院時,直腸内に口側に向かって開口した牛乳ビンの存在が確認された.消化管穿孔の合併はなく,透視下に鉗子・バルーン・スネアによる摘出を試みたが,摘出は不可能であった.そのため,市販の吸盤と紐で即興に作成した吸引器具による摘出を試みたところ,容易に摘出に成功し,手術を回避することができた.今回用いた手技は非常に簡便かつ効果的であり,従来の方法では摘出困難な直腸内異物に対して,特に有効な方法と考えられるものであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
野田 泰一 西川 輝昭
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.71-76, 2013-02-28 (Released:2018-03-30)
参考文献数
5

A Japanese version of the amendment of the International Code of Zoological Nomenclature in September 2012 was presented with some comments.
著者
大久 長範 鈴木 直樹 斎藤 毅 畑中 和成 佐々木 準哉 西川 正純
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.287-291, 2013 (Released:2013-10-18)
参考文献数
19

高電圧マイナスイオン発生器を油フライヤーに使用したときの油の酸化劣化を評価した。500nmにおける吸光度,トランス脂肪酸の生成は高電圧マイナスイオン発生器を作動させると進行が抑制された。食パンの揚げ試験において,対照に比べ高電圧マイナスイオン発生器の使用では有意に水分含量の低下が認められた。高電圧マイナスイオン発生器の使用により14種の油臭成分が半減することが示された。高電圧マイナスイオン発生器を作動させると槽内の温度が速やかに低下する傾向があり,槽内の油の流動が高まっていると考えられた。
著者
坂井 麻里子 柏木 敏宏 江口 香織 西川 隆
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.233-241, 2015-06-30 (Released:2016-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

非失語性の失書を伴うタイピングの障害を呈した症例を報告した。症例は 69 歳,右手利き男性, 脳梗塞により発症した。病前はパソコン操作に習熟し, ブラインドタッチが可能であり打鍵速度は書字より格段に速かったが, 発症後, 失書とともにタイピングの障害を認めタイピング速度も低下した。失語, 失読, 失行や構成障害は認めなかった。失書では音韻選択・配列の問題はなく, 「文字運動覚心像」の表出面の障害,すなわち「運動覚性失書」と考えられた。タイピングの誤りにも音韻選択・配列の問題はなく, ほとんどが打鍵位置の空間的誤りであり, 「タイピング運動覚」の障害に基づくものと考えられた。 本例の病巣は左中心前回,角回皮質から皮質下, 上・下頭頂小葉であり, 書字における音韻選択や配列に関わるとされる左中前頭回後方部に病変は認めなかった。タイピングは書字の過程と神経基盤の一部を共有しており, 本例では書字運動に関わる部位が損傷されたことにより, タイピングにも書字と類似した誤りが出現したと推測される。
著者
西川 哲男 齋藤 淳 松澤 陽子 伊藤 浩子 大村 昌夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.708-710, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
3
被引用文献数
3 2 7

副腎不全は副腎から分泌されるステロイドの絶対的または相対的欠乏により発症する病態である.副腎不全は特異的な症状発現が少ない.非特異的な全身症状や精神症状,消化器症状のため見逃され易い.悪心,嘔吐,発熱といった症状は高頻度に副腎不全にみられるが急性腹症,感冒などと誤診され治療が遅れて,命を落とすことになるので充分な注意が必要である.プライマリ・ケアの日常診療でも本疾患を念頭において病歴,身体所見より誤診しないことが大切である.
著者
西川 建
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.004-010, 2009 (Released:2009-01-25)
参考文献数
31
被引用文献数
1 2

Proteins with wholly or partly denatured structure in vivo are called intrinsically disordered or natively unfolded proteins (NUPs). Functional importance of NUPs has been revealed by NMR studies as first reviewed by P. Wright in 1999. Since then, computational analyses on NUPs have also been intensively carried out to predict that about one third of eukaryotic proteins are occupied by NUPs. I will start my overview with a question why it was historically so late to find out NUPs as one of important subjects of protein science, and then move on to several issues such as, whether NUPs are really specific to eukaryotes or not, what means a particularly higher fraction of NUPs existing in the cell nucleus, what is the evolutionary implications of NUPs and so on. The contents will be described from rather a personal point of view.
著者
横井 勝彦 竹内 真人 小野塚 知二 倉松 中 高田 馨里 松永 友有 福士 純 永岑 三千輝 田嶋 信雄 鈴木 淳 西牟田 祐二 奈倉 文二 須藤 功 西川 純子 山下 雄司 千田 武志
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、総合的歴史研究を通じて軍縮と軍備管理を阻む近現代世界の本質的構造を解明することにある。第二次大戦以降、武器取引は急速に拡大し複雑化したが、その構造はすでに第一次大戦以前に形成されていた。その点を明らかにするために、われわれの研究プロジェクトでは武器移転という事象を、経済史・国際関係史・帝国史・軍事史などの多角的な視点から分析した。分析概念として武器移転を歴史研究の分野に適用したのは、わが国でも本研究プロジェクトが初めてである。
著者
西川 洋史
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.675-680, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
8

生物分類や発生生物学領域の研究で作製される透明骨格標本は,生体標本にアリザリンレッドSやアルシアンブルーなどの染色液を浸透させ,硬骨及び軟骨を染色後に内臓・筋肉の組織を透明にした標本である。透明骨格標本の作製方法は様々であるが,一般的にホルマリンや水酸化カリウムなどの危険な化学薬品を使うことが多い。脂質除去に用いるキシレンやアセトンなどの有機溶剤は,臭気が強いため,生徒によっては気分が悪くなることがある。このような安全性や快適性の問題から,授業において生徒に透明骨格標本を作製させることは難しい。タンパク質分解で用いるトリプシンや透徹に使う高純度グリセリンは高価であり,中高等学校における生徒実験としてルーチン化するにはコスト面で問題がある。また,透徹処理で使用する水酸化カリウムは,強アルカリのため生徒が扱う際には注意喚起と皮膚接触時の対応が必要であり,安全性に気をつける必要がある。しかし,透明骨格標本の製作過程では,生体をほとんど解体する必要がないため,微細な骨を紛失することがなく,骨の立体配置やバランスもほぼ完全に保存されている。従って,骨と内臓の位置関係や運動機能,発生を考えるのに適した教材と言える。例えば海洋環境教育や理科教育における持続的発展教育ESD(Education for Sustainable Development)での活用事例がある。そこで本研究では,安全性向上のために透徹用試薬を検討した。具体的にはトリプシンの代わりにパパインを使用した。また,水酸化カリウムとグリセリンの代わりに各種弱アルカリ物質と洗剤を検討した。その結果,リン酸水素ニナトリウム飽和溶液が透徹に効果的であることがわかった。
著者
中村 寛海 西川 禎一
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.175-184, 2006 (Released:2006-08-08)
参考文献数
39
被引用文献数
2

Listeria monocytogenes is the causative agent of foodborne listeriosis in humans. Japan has an average of 83 cases of listeriosis per year and an estimated incidence of 0.65 cases per million residents, which is lower than the values reported in some European countries and the United States. Nevertheless, the level of contamination in retail food products in Japan is roughly equivalent to that reported in these countries, where large outbreaks have occurred. Japan might therefore face a similar risk of foodborne listeriosis outbreaks. Ready-to-eat seafood (such as cold-smoked fish) has been linked to sporadic cases of listeriosis. In Japan, a wide range of ready-to-eat seafood products are consumed in great quantities. We investigated L. monocytogenes contamination in commercially available ready-to-eat seafood products during 1999 and 2000. L. monocytogenes was isolated from 13% (12 of 95) of the tested products. All the positive samples were cold-smoked fish products. Molecular typing of the isolates suggested that the products were contaminated with persistent strains that were unique to their respective manufacturers. We investigated manufacturing plant A to trace L. monocytogenes isolates to the source of contamination. As the result of this, a combined analysis of the seasonal prevalence of this bacterium and molecular typing of the isolates in the plant suggested that the product contamination was associated with the slicing machines. Implementation of an effective washing and cleaning regime for the slicing machines resulted in a marked decrease in the incidence of L. monocytogenes contamination of the finished products.