著者
金井 智恵子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉マネジメント学会
雑誌
日本社会福祉マネジメント学会誌 (ISSN:24364061)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.14-20, 2021 (Released:2021-07-09)
参考文献数
26

男性の自閉スペクトラム症(ASD)に比べて,知的な遅れがなく,症状が顕著でない女性のASDは,認知や行動上の問題があるにもかかわらず,診断が困難であるため,適切な医療・福祉支援につながりにくいことが多い.この背景には,『DSM—5』の診断が男性の典型的なASD 症状を基準としているため,典型例とはいえない女性のASD の症状を見逃している可能性がある. そこで本稿では,女性のASD に関する先行研究および症例報告をもとに,女性のASD の臨床的特徴と治療・支援のあり方について議論した.
著者
平田 義郎 山崎 裕子 金子 芙弥 野中 真美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.318-323, 2023-08-01 (Released:2023-08-01)

冊子で定期購読をしていた学術雑誌は,1990年代に電子ジャーナルが登場すると,大学図書館ではビッグディール契約と呼ばれるコレクション契約を締結するようになった。ビッグディール契約はシリアルズクライシスに歯止めを掛ける一定の効果があったが,学術雑誌の価格上昇問題は解決しておらず,その対応策として注目されてきたのがオープンアクセスである。そうした流れから,転換契約と呼ばれる,出版社に対して行われる支払いを購読料からオープンアクセス出版料にシフトさせることを意図した契約を締結する大学図書館が増えてきた。本稿では,転換契約やその課題等を解説すると共に,論文公表実態調査等のオープンアクセスに関する大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)の取り組みを紹介し,今後の展望等を述べる。
著者
笹川 智子 金井 嘉宏 村中 泰子 鈴木 伸一 嶋田 洋徳 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.87-98, 2004-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
30

本研究の目的は、日本版Fear of Negative Evaluation Scale(FNE;石川ら,1992)の短縮版を作成し、その測定精度を項目反応理論(IRT)の観点から評価することであった。項目数を削減することによる情報量の損失を、段階反応モデルを用いることで補い、12項目五件法の尺度を構成した。テスト情報関数の形状から、作成された短縮版は幅広い尺度値レベルで安定した測定精度を保つことが示された。特に特性値の高い被検者に対しては30項目二件法の原版よりも有効性が高く、Leary(1983)のBrief Fear of Negative Evaluation Scale(BFNE)との比較においてもすぐれた測定上の特徴をもつものであった。また、簡便なスクリーニングテストとしての有用性や、他の尺度との併用など、臨床・研究場面への応用可能性が論じられた。
著者
土屋 賢治 松本 かおり 金山 尚裕 鈴木 勝昭 中村 和彦 松崎 秀夫 辻井 正次 武井 教使 宮地 泰士 伊東 宏晃
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

背景と目的自閉症スペクトラム障害(ASD)の危険因子として父親の高年齢が指摘されている。今年度の本研究では、父親の高年齢が児の認知発達にどのような影響を与えるかについて、本研究では、父親の年齢という非遺伝的要因の発症への寄与を、関連因子の評価を交えて、prospectiveおよびretrospective二つの方向を交えた疫学的探索的研究を行った。方法(1)Retrospective研究:自閉症・アスペルガー障害または特定不能の広汎性発達障害(ASD)と診断され総IQが70以上の84名(5~27歳、女性14名)、精神科診断を持たない208名(5~34歳,女性104名)から、臨床情報を取得するとともに、母子手帳を通じて両親の生年月日を確認し、出生時の父親・母親の年齢とASD診断との統計学的関連をロジスティック回帰分析を用いて検討した。(2)Prospective研究:浜松医科大学医学部附属病院産婦人科(静岡県浜松市東区)および加藤産婦人科(静岡県浜松市浜北区)の2病院を2007年11月19日より2009年7月1日までに妊婦検診を目的に受診し、研究への参加の同意が得られた全妊婦780名と、その妊婦より出生した児809名を対象とした。この児を最長3年3ヶ月追跡し、Mullen Scales of Early Learningを用いて、運動発達および認知発達(視覚受容、微細運動、受容言語、表出言語)を3~4ケ月ごとに繰り返し測定した。また、父親の年齢と関連する生物学的要因として、生殖補助医療に関するデータを収集し、関連を解析した。結果とまとめ(1)出生時の父親の年齢が高いほど、児のASD診断のリスクが高いことが示された。母親の年齢には同様の関連は見られなかった。出生時の父親の年齢とASD診断のリスクとの関連の強さは、母親の年齢や出生順位、性別、自身の年齢を考慮に入れても変わらなかった。(2)粗大運動、視覚受容、微細運動、表出言語の発達、発達指標の到達、ASD疑い診断に、出生時の父親の年齢は統計学的に有意な関連をしていなかった。しかし、生殖補助医療の有無(なし、IVF、ICSI)は、いずれの発達変数においても、なし-IVF-ICSIの順に発達が遅れる傾向が認められた。欠損値に対する配慮からStructural equation modelingによって解析を進めたが、サンプル数の限界のため、父親の年齢と生殖補助医療の交互作用については言及できなかった。結論父親の年齢とASD発症リスクの生物学的基盤としての生殖補助医療の関与を確定することはできなかった。しかし、その可能性が示唆されるデータが一部から得られた。
著者
金子 真司 後藤 義明 田淵 隆一 赤間 亮夫 池田 重人 篠宮 佳樹 今村 直広
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.259-264, 2018 (Released:2018-11-15)
参考文献数
18

福島県十万山(浪江町・双葉町)の森林火災(2017年4月29日~ 5月10日)の延焼地において、火災直後に山頂部のアカマツ林と谷部のスギ林で樹木と土壌の試料を採取して放射性セシウム(RCs: 134Cs+137Cs)濃度を測定して火災の影響を調べた。樹木については、同一木の幹の燃焼側と非燃焼側から樹皮を採取した。土壌は燃焼地と隣接する非燃焼地から堆積有機物層と表層土壌を採取した。アカマツでは燃焼樹皮が非燃焼樹皮に比べて現存量とRCs 濃度とRCs 蓄積量が小さかった個体が存在した。また、アカマツ林、スギ林で調査したすべての堆積有機物層のRCs 濃度が燃焼箇所に比べて非燃焼箇所で高かった。
著者
武石 悠霞 金 中
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 文学研究篇 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature (ISSN:24363316)
巻号頁・発行日
no.49, pp.119-226, 2023-03-24

ディープランニングが進歩に伴い、人工智能(AI)による詩歌の創作研究が盛んに行われるようになった。著者の研究チームは最近深層学習による和歌生成モデル「和歌VT」を提案した。「和歌VT」は条件付き変分オートエンコーダーと自己注意メカニズムを組み合わせ、指定されたキーワードによって質の高い和歌を生成することができる。本論文ではDice 係数による類似和歌の検索方法を提案し、「和歌VT」モデルによって生成された3首のAI 和歌を例に挙げ、人間和歌との比較の観点から分析を行った。Dice 係数を計算するこの検索方法で類似和歌を客観的に順位付けし、膨大な和歌データから最も目標和歌と近い和歌を選び出すことができる。この和歌検索方法は研究者が和歌を検索する上での参考の一つとして提示することが出来ればと考えている。同方法によって、和歌生成モデル「和歌VT」が創作したAI 和歌と類似する人間和歌を選び出し、その文法や語彙の組み合わせを比較し、AI 和歌の特徴と独創性を分析した。分析結果により、「和歌VT」モデルは人間和歌の主題、文法、句の構造、及び用語を正確にマスターし、独創的な単語の組み合わせ方により斬新的な和歌を生成できることが認められた。 With the development of artificial intelligence(AI)technology, research on poetry creation has been receiving increasingly close attention. In this article, a Waka retrieval method that calulates the similarity index of Waka based on the Dice coefficient is proposed. The method can objectively rank similar Waka poems based on the similarity index, and provide an objective method by which researchers can select similar Wakas from a large number of Waka poems. Using this Waka retrieval method, we select human Waka poems that are similar to the AI Waka generated by the WakaVT model, and analyze the originality of AI Waka through comparing AI waka and human Waka in terms of the features of vocabulary matching. The analysis results show that the WakaVT model has accurately learned the words and grammar of human Waka, as well as the logical structure and causality between sentences, and can generate novel AI Waka using new word collocations and metaphors. This research is expected to be useful not only for the study of AI Waka but also for the study of human Waka poems.
著者
金子 希代子
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.119-131, 2007 (Released:2012-11-27)
参考文献数
33
被引用文献数
2 3

食品に含まれるプリン体は,呈味性ヌクレオチドとして知られるように,うま味の素となっている.プリン体の由来は,主に細胞に含まれる核酸である.そのため,プリン体は,美味しいものや細胞数の多いものに多く含まれる.食事で摂取されるプリン体の5~9割は24時間以内に排泄される.しかし,尿酸の排泄は限られているため,尿酸は体内に残りやすくなっている.尿酸値を上げる食品として,プリン体,フルクトース,アルコール,下げる食品として,タンパク質(特に乳製品),ビタミンC,ポリフェノール,フラボノイド,食物繊維,コーヒーが報告されている.食品中のプリン体含量を種類別に示した.一部の高プリン体食品の摂取には気をつけた方が良い.生活習慣病に奨められる通常の1食分には,140-180mgのプリン体が含まれる.豆腐・卵・野菜を中心とした食事に含まれるプリン体は30-60mgであるため,痛風・高尿酸血症では,1食を豆腐・卵・野菜を中心とした食事にすることにより,ガイドラインで奨められる1日400mgを実施することができると思われる.
著者
田金秀一郎 丸野勝敏
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.366-368, 2019-12-20 (Released:2022-10-21)

鹿児島県下甑島にてマムシグサとムサシアブミの推定自然雑種個体Arisaema japonicum Blume × A. ringens (Thunb.) Schottが確認されたので,和名をコシキマムシグサ(新称)として報告する.
著者
金 小海
出版者
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

2019年においては、動物実験で得られた甲状腺の標本の病理診断を終わらせた。標本は大きく2種類に分け、一回照射と連続照射された動物の病理標本からなる。 いずれも胎仔期、1週齢あるいは7週齢の標本に分けており、「過形成」から「腺腫」、「腺癌」までいろんな病理像が観察された。この診断結果に基づいて統計解析を行い、主に線量依存や照射時年齢依存性について有意差があるかどうかを調べた。結果、1週齢のマウスにおいて、放射線照射(一回照射)による甲状腺の腫瘍性病変の増加がコントロール群と比べて有意差があるのを認めた。また、甲状腺腫瘍の発生頻度は線量に依存して増加する傾向であるのも認められた(高線量4Gyでは、胸腺腫とリンパ腫など病変が発 生するため逆に低下)。上記の年齢と線量に依存しての変化は同じ低線量率の動物実験でも行ったが、病理診断結果と統計解析ともにコントロール群と比べ有意差を認められなかった。また、病理診断により病変が観察された一部標本に関しては、放射線による甲状腺がん発がん段階で関与すると推測される遺伝子CLIP2の免疫染色を行った。CLIP2は、人では放射線誘発の甲状腺癌に関与するという報告はあるが、マウスなど動物実験での報告はまだである。今回の免疫染色の結果などは、今後症例を増やし、統計解析まで行う必要性を得られ、グループごとの遺伝子変異解析により放射線誘発甲状腺がんのバイオマーカーの探索は、発がん機構解明のための基礎的情報を得るのに一歩踏み出したことになる。
著者
金山 佐喜子 小野 昌彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.157-169, 2007-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究では、保健室登校をしていた12歳女児への教室登校支援について検討した。彼女の保健室登校は教室での困難な課題からの回避の機能をもち、そして彼女の回避行動は養護教諭のかかわりによって維持されてきたと分析された。個別支援計画のおもな内容は、困難な課題を克服するための目標設定行動や支援依頼行動の指導、教室登校計画と授業準備の支援、学校や家庭との連携(母親指導含む)であった。1か月にわたる支援の結果、彼女は教室に復帰した。追跡調査の結果、支援終了後も教室登校は継続していた。
著者
冨岡 和子 梁 善雅 遠藤 金次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.11-16, 1993-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2

代表的な食肉および魚肉の加熱調理過程でのイノシン酸の量的変化に及ぼす昇温速度および食塩とショ糖の添加の影響について検討した。その結果は次のように要約できる.1) 急速 (7.5℃/min) または緩慢 (0.8℃/min) に昇温加熱した場合, 肉中のイノシン酸の分解率は肉の種類によって異なるだけでなく, 加熱速度依存性を示す両加熱速度におけるイノシン酸分解率の比も肉の種類によって異なった.2) 加熱過程での肉中のイノシン酸分解率と肉中のイノシン酸分解酵素活性との間に正の相関関係の存在することが認められた.3) 加熱過程での肉中のイノシン酸分解の加熱速度依存性と肉中のイノシン酸分解酵素の変性温度との間に正の相関関係の存在することが認められた.4) イノシン酸の分解はショ糖の濃度にほぼ比例して抑制されたが, 食塩の影響は肉の種類によって異なるだけでなく, 切り身のままとそれをすり潰したものとの間で異なった.
著者
伊藤 寛武 金子 雄祐
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.2P4GS1004, 2022 (Released:2022-07-11)

インターネット広告配信は、インターネット業界の主要なビジネスの一つです。その中でも、リターゲティング広告は特に効果的な配信形態として知られています。その一方で、リターゲティング広告の配信効果については、いまだに学術的な議論が続いています。本研究では、リターゲティング広告における広告入札と配信成果の間にある因果関係を、広告配信オークションの最低入札価格を閾値とした回帰不連続デザインを適用して推定した。実際のリターゲティング広告配信プラットフォームのデータを用いて推定を行った結果、多くの広告主において、アプリ起動や課金などの広告配信における主要なKPIに対してポジティブなリフト効果を確認することができました。
著者
金子 邦彦
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.65-68, 2004-01-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
36