著者
辻川 健治 岡田 侑己 瀬川 尋貴 山室 匡史 桑山 健次 金森 達之 岩田 祐子 井上 博之
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.103-113, 2021 (Released:2021-01-31)
参考文献数
13
被引用文献数
1

So-called “Ecstasy tablets” are tablets which are expected to contain 3,4-methylenedioxymethamphetamine (MDMA). However, they often contain different drugs such as methamphetamine (MA) and 4-bromo-2,5-dimethoxyphenethylamine (2C-B). A combination of Simon's reagent and Marquis reagent has been used as a field test for Ecstasy tablets in Japan. We examined the test performance for Ecstasy tablets. Mixtures of MDMA hydrochloride and lactose (1 or 5 mg), mixtures of MDMA hydrochloride and cellulose (1 mg) as well as pulverized Ecstasy tablets (1 mg) [main drugs: MDMA (n=39, 8.4 to 79.9% as MDMA hydrochloride), MA (n=9, 0.1 to 59.0% as MA hydrochloride), and 2C-B (n=6, 4.5 to 13.0% as 2C-B hydrochloride)] were placed on a white spot plate; then, the reagents were dropped. The color change was recorded by a digital camera. When 1 mg of the mixture of MDMA hydrochloride and the diluent was used, the lowest MDMA hydrochloride concentration giving positive was 25%, except when the combination of Simon's reagent and the mixture of MDMA hydrochloride and cellulose (1%) was used. When increasing the sample amount to 5 mg, enhancement of coloration for Marquis reagent was weaker than that for Simon's reagent because of the low sample solubility. All MDMA tablets was positive to Simon's reagent; however, 5 MDMA tablets, whose MDMA concentration was low (≤16.5% as MDMA hydrochloride), was negative for the Marquis reagent. Only 1 MA tablet (59% as MA hydrochloride) was positive for both tests. All 2C-B tablets were judged as negative for the Marquis reagent because of faint color change and influence of tablet color. We concluded that a combination of both reagents i) had acceptable sensitivity for MDMA tablets but may give some false negative results and ii) had insufficient sensitivity for MA tablets and 2C-B tablets. This study will provide useful information about the field test for Ecstasy tablets.
著者
金丸 彰寿 片岡 美華
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.323-332, 2016 (Released:2019-02-05)
参考文献数
48
被引用文献数
1

本稿では、「交流教育」「共同教育」および「障害理解教育」の歴史的変遷を整理した上で、三者の関係性について教育目標の視点で論じた。三者の歴史的変遷においては、まず「交流教育」が先に文部省によって提唱され、その後、交流教育を批判しつつ、障害のある子どもと障害のない子どもとの平等な関係を築く「共同教育」が発展する。そして、これらの実践の蓄積から障害や障害者問題を取り立てて学習する必要性が生じ、その結果として「障害理解教育」は誕生した。さらに三者の関係は以下のように位置付けられた。つまり、1)「共同教育」は障害のある子どもと障害のない子どもとの対等かつ平等な関係形成を図る教育目標をもつこと、2)「共同教育」は子どもたちの発達に応じて、集団対集団での共同学習を保障する教育目標があること、3)「共同教育」ならびに「障害理解教育」は子どもたちの「障害や障害者問題に関する科学的な認識」を深めることを指摘した。
著者
石川 正弘 谷 健一郎 桑谷 立 金丸 龍夫 小林 健太
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.7, pp.291-304, 2016-07-15 (Released:2016-08-02)
参考文献数
71
被引用文献数
1

丹沢層群および丹沢複合深成岩体は,かつての伊豆小笠原弧の火成活動に伴うものと考えられ,丹沢層群と深成岩体は,伊豆小笠原弧の上部地殻と中部地殻が島弧衝突に伴って隆起・露出したと解釈されてきた.しかし近年,丹沢複合深成岩体について岩石学,地球年代学,地球化学,岩石磁気学的な手法を使った再検討が行われ,深成岩体は中部地殻断面ではなく,衝突マグマ活動によって形成されたことが明らかにされた.さらに,丹沢変成岩から組成累帯構造を持つ角閃石が見つかり,従来説の接触変成作用だけではなく,非常に暖かいスラブの沈み込みとそれに続く急上昇プロセスが明らかにされつつある.このように丹沢山地の深成岩と変成岩の形成プロセスに関する視点は今まさに大きく転換しつつある.今回の地質巡検では,伊豆衝突帯のジオダイナミクスという視点から丹沢山地に分布する丹沢層群,丹沢変成岩,丹沢複合深成岩体,足柄層群,神縄断層を案内する.
著者
小林 陽二 福生 吉裕 赫 彰郎 金川 卓郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.263-273, 1992-10-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

動脈硬化症や血栓症に伴う〓血状態の臨床的判定の一助として Diagonal Ear Lobe Crease (ELC) の有無判定が有用か否かを768名の健康診断受診者を対象に行った。その結果, ELC (+) 群において高血圧者や心電図異常者の頻度およびTC,β-Lp, Atherogenic Index などの血清脂質は有意に高く, Apo AI, Apo AI/B ratio は低値傾向, Apo AII は有意に低値であった。各種疾患で入院中の患者34例を対象に行った寺澤らの診断法による〓血度測定とELCの有無判測の結果, ELC (+) 群で有意に〓血度は高かった。以上の成績からELCと動脈硬化症は関連性が高いものと考えられ, 動脈硬化症や血栓症に伴う〓血の判定においてELCの有無判定を考慮して良いものと考えられた。動脈硬化症は未病の状態と考えられることから, ELC有無判定のような簡易な方法で〓血状態を臨床的に診断できることは有用であると思慮定れた。
著者
岩上 裕吉 上堂 文也 松浦 倫子 庄司 絢香 三宅 宗彰 松枝 克典 井上 貴裕 脇 幸太郎 中平 博子 七條 智聖 前川 聡 金坂 卓 竹内 洋司 東野 晃治 石原 立 北村 昌紀
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.584-592, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント・SMT様の隆起性病変の診断では,まず大きさ,表面の弧の形状,隆起の立ち上がりの性状から主座を推測する.さらに,病変の部位,個数,隆起の形状,陥凹の有無と性状に着目し鑑別診断を行う.・EUSでは,病変の局在(非腫瘍胃壁構造との連続性),辺縁性状,内部エコー像を観察する.・NETは発赤や陥凹など上皮に変化を伴うことが多く,大きなものは不整形で陥凹を伴うことが多い.黄色調,表面に血管拡張を伴うことがある.EUSで第2層に連続する低エコー腫瘤として観察される.・GISTは球形で丈が高く,頂部に深い円形の潰瘍を伴うことがある.第4層に連続する低エコー腫瘤として観察される.・転移性胃癌は多発し,丈が低く陥凹を伴うことが多い.・組織診断のため,狙撃生検やボーリング生検,EUS-FNAを試み,診断困難であれば内視鏡的切除も考慮する.
著者
金窪 敏知
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1_13-1_18, 2014-03-31 (Released:2016-11-17)
参考文献数
9
著者
金城 厚 久万田 晋 植村 幸生 内田 順子 島添 貴美子
出版者
東京音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

(1)1970年代から80年代にかけて、東京芸術大学が収集した沖縄民謡調査資料(90分カセットテープ1,300巻とそれに付随する調査メモ)をデジタル化し、安定的に保存・試聴できるデータベースとして整理した。(2)沖縄県立芸術大学芸術文化研究所のウェブサイトにメタデータを公開して、多くの研究者が所用の資料を検索できるシステムを構築した。(3)音源データを複数のHDに複製し、協定に基づいて国内の複数の研究機関に配置して、遠隔地の研究者による利用の便宜、また災害への備えを図った。(4)個人研究者でも録音資料をアーカイブ化できる比較的簡易な方法を提唱することができたと考えている。
著者
野口 裕司 金子 直之
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.234-237, 2019-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
12

はじめに : 除草剤であるパラコート (PQ) は, かつて自殺企図や殺人目的の使用が社会問題になり, 本邦では1999年に生産が中止された。しかし古くから所持している人は少なくなく, また現在もPQ・ジクワット合剤 (PGL) が販売されている。今回我々は3年間で3例の自殺企図を経験した。症例1 : 53歳男性。PGLを飲用し6病日に受診。急性腎不全と肺線維化を認め持続的血液濾過透析 (CHDF) を導入。9病日にCHDFは離脱したが肺線維症が増悪し17病日に死亡。症例2 : 86歳男性。青い液体を吐いて痙攣しているのを家人が発見。救急隊接触時に心肺停止状態。警察の調査でPGLが発見され自殺と断定。症例3 : 78歳男性。自室で苦しんでいるところを家人が発見。救急隊がPGLを発見し搬送。来院時ショック状態で6時間後に死亡。おわりに : 現在市販のPGLの致死率は依然高く, 諸外国では既に厳重に規制されており, 本邦においてもより厳重な行政介入が望まれる。
著者
金 木斗 哲 Yoon Hong-key
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2002年 人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
pp.000003, 2002 (Released:2002-11-15)

1991年にニュージーランド政府がユーロピアン以外にも移民の門戸を開いてから新たな生活スタイルを求める多くのアジアの人々が当地に渡っている。特に韓国人移民の増加は目を見張るところがある。現在韓国はニュージーランドの5番目の輸出国であり、イギリスを追い越す勢いで両国の経済関係は緊密になってきた。これに伴って韓国人移民も急速に増加し、1996年のセンサスでは総人口の0.35%に当たる12,657人もの韓国出身の住民が報告された。これは10年前の426人に比べ約30倍の増加であり、彼らはニュージーランドの多文化傾向に十分貢献できるまで成長している。また、ニュージーランドにおける最大の都市であるオークランドには約1万人以上の韓国人が住んでおり、オークランド総人口の約1%に上っている。彼らの居住地域を見ると、約6割がオークランド大都市圏のNorthshore地域に居住していると推定され、アジアからの移民グループの中でも最も地理的集中度が高い。 Yoon(1997)によると、韓国人移民の職業の種類は1992年の20から1997年の55と韓国人移民の増加に伴って多様化している。また、韓国人移民が経営する事業体の数も1992年の37から1997年の636へと1600%の増加を見せている。しかしながら、韓国人が経営する事業のほとんどは、ホスト社会の経済ネットワークに浸透できず、典型的なエスニック・ビジネスの段階に止まっている。つまり、韓国人の資本と経営スタイルで韓国人の従業員を雇い、主に韓国人を客にするものである。 では、ニュージーランドへ移民する韓国人はどのような人々で、なぜニュージーランドを移民先として選んだのか。ニュージーランドにおける韓国人移民はほぼ例外なく高学歴で中産階級のホワイト・カラー出身である。また、韓国経済が好況のピークに向かっていたときに祖国を離れた彼らは、子供の教育環境ときれいでゆとりある生活環境をもっとも重要な移住動機として挙げている。このような社会経済的属性や移民の動機は、低い社会経済的ステータスと経済的理由といった従来の韓国人移民とは明らかに異なっており、新しい韓国人ディアスポラを象徴するものと言える。このように異なる社会経済的背景と移住動機をもつニュージーランドにおける韓国人移民は、移住前に描いていたパラダイスとしてのニュージーランドのイメージと現実としてのニュージーランドでの生活の間でどのように妥協し生活を営んでいるのか。本報告ではニュージーランドにおける韓国人移民の動向を1996年度センサスの分析と現地での深層インタビューより明らかにする。 ニュージーランドにおける移民政策の転換はニュージーランドの実験と評される新自由主義改革の一環として1986年に行われた。それまでニュージーランドでは社会の安定(social fabric)という名分のもとに白人特にイギリスとアイランド出身を優遇する差別的な移民政策が厳格に維持されてきたが、1986年の移民法改正によって伝統的な特定出身国選好システムを廃止された。しかし、この改正では移民者に高い英語能力を要求するなど依然として差別的な要素が多く残され、期待された投資移民の増加はほとんど現れなかった。1986年の移民法改正が批判を浴びる中、ニュージーランド移民省は1991年に‘新しい移民者の個人的な貢献により多文化社会としてのニュージーランドを促す’ため、‘ポイント・システム’と呼ばれるより進んだ移民法改正に踏み出した。このポイント・システムの導入はアジアからの移民の増加に特に効果的であった。ニュージーランドの移民法は移民の数だけでなく、移民者の年齢、学歴、技術や経済状況をも巧みにコントロールしてきた。現在、ニュージーランドにおける韓国人移民の典型は3、40代で大学教育を受けた中産階級出身である。しかし、ニュージーランドにおける彼らの就業状況をみると、65%が失業ないし非就業人口であり、就業者のほとんども記念品店、レストラン、旅行代理店などのエスニック・ビジネスに従事している。これは移民社会の初期においては共通する現象であるが、韓国人移民の場合は言葉の壁以外にも文化的な違いによって主流社会への同化にほかの移民グループより困難を極めている。 ニュージーランド移民省長官は1998年に“移民政策の失敗は数万の高級労働力が彼らの専門分野で働く展望をなくす結果を招いた”と認めた。確かに数千の高級技術を持つ韓国人移民が失業或いは非就業状態にある。しかし、ニュージーランドにおける韓国人移民社会の歴史は浅く、主流社会に適応する十分な時間がなかったことを考慮すると、彼らのアイデンティティつまり、Koreanか, New Zealanderかあるいは Korean New Zealanderかは今まさに形成中であると考えられる。また、それは移民社会に存在する3つの力、同化、隔離, そしてディアスポラの相互作用にかかっている。
著者
正林 大希 飯干 泰彦 西谷 暁子 宇治 公美子 山村 憲幸 藤井 仁 今里 光伸 金 浩敏 位藤 俊一 伊豆蔵 正明
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.1168-1172, 2015-12-20 (Released:2015-12-20)
参考文献数
20

小児の急性胃腸炎に伴う十二指腸穿孔は稀であり,病態も明らかではない.当疾患の経過中に低リン血症を呈した幼児例を経験した.症例は3 歳男児.発熱と嘔吐に続く血性嘔吐で来院した.超音波,CT 検査にて消化管穿孔が疑われて開腹し,十二指腸球部に穿孔を認め,大網充填術を施行した.術前5 日間嘔吐を繰り返して経口摂取不良であったため,術後末梢静脈栄養を開始した.胃腸炎の遷延があり,脱水,電解質異常をきたし,血清リン濃度が2.1 mg/dl と幼児としては低値となった.リン酸ナトリウム投与により正常化した.嘔吐の遷延する急性胃腸炎の幼児で,経口摂取不良が続く場合,リンの計測が重要である.また,リンの基準値は小児では高く,留意すべきである.小児の胃腸炎の多くは重篤な合併症を起こさずに回復するが,低栄養,脱水,リンを含めた電解質異常や十二指腸穿孔を引き起こし,生命にかかわる場合もあり注意を要する.
著者
馬場 駿吉 高坂 知節 稲村 直樹 佐藤 三吉 鈴木 茂 遠藤 里見 石戸谷 雅子 小野寺 亮 山田 公彦 大久 俊和 荒井 英爾 鈴木 雅明 大山 健二 粟田口 敏一 戸川 清 岡本 美孝 松崎 全成 寺田 修久 喜多村 健 石田 孝 馬場 廣太郎 島田 均 森 朗子 池田 聖 金子 敏郎 今野 昭義 山越 隆行 石井 哲夫 窪田 市世 鍋島 みどり 田口 喜一郎 石山 哲也 中野 雄一 中村 英生 五十嵐 文雄 古川 仭 作本 真 山下 公一 久保田 修 宇佐神 篤 伊藤 博隆 鈴木 元彦 間宮 紳一郎 横田 明 加藤 薫 大屋 靖彦 河合 〓 岩田 重信 横山 尚樹 井畑 克朗 瀧本 勲 稲福 繁 坂倉 康夫 鵜飼 幸太郎 雨皿 亮 山田 弘之 坂倉 健二 平田 圭甫 伊藤 由紀子 村上 泰 竹中 洋 山下 敏夫 久保 伸夫 中井 義明 大橋 淑宏 阪本 浩一 村田 清高 平沢 昌子 原田 康夫 森 直樹 白根 誠 多田 渉 小林 優子 竹林 脩文 河野 嘉彦 夜陣 紘治 平田 思 宮脇 修二 津田 哲也 山下 隆司 二階堂 真史 柿 音高 永澤 容 増田 游 後藤 昭一 西岡 慶子 折田 洋造 東川 康彦 武 浩太郎 進 武幹 前山 忠嗣 百田 統洋 堤 昭一郎 茂木 五郎 川内 秀之 松下 太 吉村 弘之 高田 順子 石川 哮 定永 恭明 大山 勝 松崎 勉 坂本 邦彦 廣田 常治 内薗 明裕 鯵坂 孝二 中島 光好
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.389-405, 1995-03-01
被引用文献数
13 16

The efficacy and safety of Kampo preparation Sho-seiryu-to were studied in a joint double-blind trial in comparison with a placebo. The study was carried out on 220 patients with perennial nasal allergy at 61 hospitals. Granules in a dose of 3 g were administered 3 times daily for 2 weeks. Moderate to high improvement was recorded in 44.6% of the treated patients and in 18.1% of those receiving placebo. The difference is significant (p <0.001). Side effects were noted in 6.5% of the treated patients and in 6.4% of the controls (not a significant deference). The side effects were mild and had no influence on the daily life of the patients.
著者
田原 美和 森山 克子 東盛 キヨ子 金城 須美子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.49-56, 2015 (Released:2015-03-06)
参考文献数
47

沖縄の代表的な祖先祭祀の一つである清明祭の伝来の経緯や行事食の変遷を概観し,併せて,日本調理科学会特別研究「行事食・儀礼食」調査の結果を世代別(若年層30代以下,中高年層40~80代)で比較しながら,清明祭の行事食が若い世代に受け継がれているのか考察を行った。沖縄の清明祭は,18世紀には中国の渡来人の集落(久米村)で執り行われており,その後,首里王府,士族,そして庶民へと伝わっていった。主な供物として,国王墓や久米村では,中国の三牲に倣ったウサンミ(御三味=豚・鶏・家鴨・魚など)を供えていたが,近年は,伝統を守っている所もあるが,大方その素材を用いた重箱料理に簡略化している。アンケート調査の結果,清明祭の認知度,経験の状況はいずれの世代も高い。行事の供物である重箱料理は,以前は手作りをしていたが,現在は一部既製品を利用する,購入するなどの割合が多くなり外部化傾向がみられる。こうした状況から,若い世代は清明祭の概要について認識はしているが,食材や調理の知識や体験が少なく,次世代への伝承が危惧される。今後は,調理技術や家庭の味を守り,受け継ぐために,清明祭の意義を理解させ,家庭や地域,教育機関等で行事食の習得を促進するなど,積極的に関わる必要があると考える。
著者
金沢裕
雑誌
臨床と微生物
巻号頁・発行日
vol.18, pp.729-738, 1991
被引用文献数
8
著者
小林 哲郎 難波 光義 黒田 暁生 松久 宗英 山田 研太郎 今村 洋一 金重 勝博 浜口 朋也 川村 智行 佐藤 譲 高橋 和眞 丸山 太郎 西村 理明 勝野 朋幸 楠 宜樹 清水 一紀 柳澤 克之 粟田 卓也 雨宮 伸 日本先進糖尿病治療研究会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.403-415, 2014-06-30 (Released:2014-07-02)
参考文献数
79
被引用文献数
1

最近,持続インスリン皮下注入療法(Continuous subcutaneous insulin infusion:以下CSII)と持続血糖モニタリング(Continuous glucose monitoring:以下CGM)が糖尿病の治療機器として普及しつつある.我々はCSIIおよびCGMに関する科学的根拠をもとに,これをコンセンサスステートメントとしてまとめた.CSIIでは適応,臨床効果,リスク管理など,さらに,運用法の実際的な要点,シックデイ,妊娠,食事・運動などに関する注意などについて述べた.CGMに関してもその適応と効果,糖尿病治療への活用法,注意点を述べた.CSIIおよびCGMは1型糖尿病,2型糖尿病の一部や妊娠中の糖尿病症例にも重要な臨床機器であり,このステートメントをもとに内科および小児科領域の患者教育に適応できる具体的なガイドラインの作成が望まれる.
著者
神尾 博代 中俣 修 古川 順光 信太 奈美 来間 弘展 金子 誠喜 柳澤 健
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1243, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】転倒の危険が少なく、より安定した立ち上がり動作を獲得することは重要である。片麻痺患者の場合、麻痺側を前方に位置した立ち上がり動作を日常生活活動として指導することが多い。そこで、足部位置を変化させることによって、その動作を遂行するためにどの程度の下肢関節モーメントが必要とされるのか把握することが必要であると考えられる。本研究では、足部を平行位にした場合と前後に置いた場合の立ち上がり動作を比較し、下肢関節モーメントについて分析することを目的にした。【方法】対象は健常成人11名(男性7名、女性4名)とした。ヘルシンキ宣言に基づいて、被験者に実験の目的・危険性等を説明し書面にて承諾を得た。立ち上がり動作の計測には、三次元動作解析装置VICON370(Oxford Metrics社製)および床反力計(kistler社製)を用いた。背もたれのない座面高を下腿長の高さとする、椅子からの立ち上がり動作を課題とした。このとき、上肢は体側に自然下垂位とし、スピードは被験者の最も楽に立ち上がれる速さとした。また、足部位置は肩幅の広さとし、一側足部を前方に置いた右前型、左前型、平行位に置いた揃え型の3種類とした。各試行とも3回ずつ行った。この時の下肢の股関節・膝関節の伸展モーメントの最大値をもとめ、各試行間での比較検討を行った。統計解析は分散分析および多重比較を行った。有意水準は5%未満とした。【結果および考察】揃え型、右前型、左前型における股関節・膝関節の最大伸展モーメントの平均値(SD)は、左股関節では揃え型が74.5(16.0)Nm、右前型が107.7(22.7)Nm、左前型が79.9(29.5)Nmであった。右股関節では揃え型が69.1(17.7)Nm、右前型が77.3(25.8)Nm、左前型が93.6(20.1)Nmであった。左膝関節では、揃え型が57.1(11.9)Nm、右前型が83.4(15.6)Nm、左前型が7.7(8.0)Nmであった。右膝関節では揃え型が63.1(18.0)Nm、右前型が11.1(10.1)Nm、左前型が91.8(22.6)Nmであった。一側下肢を前方に出すことで前方側の膝関節モ-メントは有意に小さくなった。しかし、前方側の股関節伸展モーメントは揃え型と比べてほとんど変化が見られず、後方側の股関節・膝関節モーメントは揃え型よりも有意に大きなモーメントを必要とすることがわかった。臨床場面で、麻痺側下肢を前方に出した位置での立ち上がり動作を指導する場面があるが、これらの結果から非麻痺側である後方側の股関節・膝関節伸展モーメントが十分に発揮できないと立ち上がることが困難になると考えられる。今後、片麻痺患者について検討することで確認を行いたいと考える。なお、本研究は本学の研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した。
著者
鈴木 豊史 鈴木 直人 金沢 貴憲
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.61-69, 2020 (Released:2020-02-06)
参考文献数
30

血液-脳関門(BBB)は,全身投与後の薬物を脳に送達する際の主要な障壁である。中枢神経疾患に対する治療薬の創薬開発は,薬物を脳に選択的かつ効率的に送達する技術の開発が律速であるため,他の疾患領域と比べ特に困難を極めている。鼻腔内経路は,経口および非経口経路を超えるいくつかの利点を有する。なかでも経鼻投与された薬物は,BBBを迂回することができ,主に嗅覚および三叉神経経路に沿った輸送を介してさまざまな脳領域に分布する。そのため,鼻腔内経路は中枢神経疾患に対する治療薬を脳に直接送達できる非侵襲的で簡便な投与経路として注目され,ナノシステムの利用により近年脳に薬物を標的化できる可能性が示されている。本総説では,鼻腔内からの薬物吸収性,鼻から脳への薬物送達に関与する輸送機構と鼻腔内薬物送達に利用されるナノシステムの役割について,我々の最近の知見を交えて概説したい。
著者
關 義和 小金澤 正昭
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.241-246, 2010 (Released:2010-12-14)
参考文献数
33
被引用文献数
8 5

栃木県奥日光地域では, ミミズ類の現存量は防鹿柵内のササ型林床よりも柵外のシロヨメナ型林床において多いことが報告されている。本研究では, 柵外のミミズ類の増加要因について明らかにするために, ササとシロヨメナの地上部現存量とミミズ類との関係について調査を行った。表層性のミミズ類の個体数および現存量とシロヨメナの現存量との間には有意な正の相関が認められ, シロヨメナの現存量が増加してもA0層の深さの増加はみられなかった。これらのことと, 表層性のミミズ類は表層でリターを摂食することが報告されていることから, 表層種にとってのシロヨメナの嗜好性は高いと考えられる。一方, ササ型林床では, 1コドラートで1個体が採集されたのみで, ササの現存量が増加するにつれてA0層の深さは有意に増加した。これらの結果は, 表層種にとってササは餌資源として不適である可能性を示唆する。奥日光地域の柵外では, シカの食害によりササ類が全面枯死し, いまではシロヨメナが群生している。以上のことから, 本地域の柵外におけるミミズ類増加の主要因は, シカによりササ類が消失し, シロヨメナが増加したことであると結論した。