著者
及川 和美 荒金 圭太 倉藤 利早 斎藤 辰哉 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.453-456, 2011

本研究は,「水中だるまさんがころんだ」運動時の心拍数と酸素摂取量の変化から水中運動としての「だるまさんがころんだ」の特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性8名(年齢 : 21±2歳,)とした.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」と発声している時に最大努力で水中を移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとした.鬼に到着するまでを1セットとし,3セット繰り返した.セット間には,3分間水中立位安静を行った.測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした.運動後の心拍数および酸素摂取量は,1セット目の運動時と比較して,1セット目以降の運動時が,同等あるいはそれ以上の値を示した.水中でも陸上の「だるまさんがころんだ」と同様にインターバルトレーニング様の心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「水中だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持つことが明らかになった.
著者
川上 憲人 原谷 隆史 金子 哲也 小泉 明
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.55-63, 1987-01-20
被引用文献数
25

電気関連部品の製造にかかわる2事業所の従業員3,987名を対象として,8種類の生活習慣とZung自己評価式抑うつ尺度による抑うつ症状との関連性を検討した.結果として3,160名(79.3%)から有効回答を得,年齢・婚姻状態・学歴の人口統計学的要因,職業関連要因,健康状態,経済的・時間的余裕の各種の交絡要因の影響を考慮した上で,男性では朝食を毎日とり,運動・飲酒の習慣があり,肥満度が-10%より上の場合に抑うつ得点が有意に低かった.女性では睡眠7〜8時間で,運動習慣があり,喫煙しない場合に同じく抑うつ得点が低かった.本研究で得られた関連性は,ただちに両者の因果関係を示すものではないが,これらの健康習慣が抑うつ症状の減少に役立っている可能性は高いように思われた.
著者
中井 滋 鈴木 一之 政金 生人 和田 篤志 伊丹 儀友 尾形 聡 木全 直樹 重松 隆 篠田 俊雄 庄司 哲雄 谷口 正智 土田 健司 中元 秀友 西 慎一 西 裕志 橋本 整司 長谷川 毅 花房 規男 濱野 高行 藤井 直彦 丸林 誠二 守田 治 山縣 邦弘 若井 建志 渡邊 有三 井関 邦敏 椿原 美治
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-31, 2003-01-28
被引用文献数
34 5

2008年末の統計調査は全国の4,124施設を対象に実施され,4,081施設(99.0%)から回答を回収した.2008年末のわが国の透析人口は283,421人であり,昨年末に比べて8,179名(3.0%)の増加であった.人口100万人あたりの患者数は2,220人である.2007年末から2008年末までの1年間の粗死亡率は9.8%であった.透析導入症例の平均年齢は67.2歳,透析人口全体の平均年齢は65.3歳であった.透析導入症例の原疾患ごとのパーセンテージでは,糖尿病性腎症が43.3%,慢性糸球体腎炎は22.8%であった.2008年に透析液細菌数測定を行った施設の52.0%において透析液細菌数測定のための透析液サンプル量は10 mL以上確保されていた.施設血液透析患者の治療条件では,全体の95.4%は週3回治療を受けており,1回治療時間の平均は3.92(±0.53;s.d.以下略)時間であった.血流量の平均値は197(±31)mL/分,透析液流量の平均値は487(±33)mL/分であった.ダイアライザではpolysulfone(PS)膜使用患者が50.7%と最も多く,膜面積平均は1.63(±0.35)m<SUP>2</SUP>であった.ダイアライザ機能分類ではIV型ダイアライザを使用している患者が80.3%と最も多かった.体外循環を用いた血液浄化療法を施行されている患者の治療前各種電解質濃度平均値は以下のようであった;血清ナトリウム濃度138.8(±3.3)mEq/L,血清カリウム濃度4.96(±0.81)mEq/L,血清クロール濃度102.1(±3.1)mEq/L,pH 7.35(±0.05),HCO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>濃度20.7(±3.0)mEq/L.施設血液透析患者のバスキュラーアクセス種類では,自己血管動静脈瘻が89.7%,人工血管動静脈瘻は7.1%を占めていた.2007年1年間のHCV抗体陽性化率は1.04%であり,透析歴20年以上の患者のHCV抗体陽性化率は極めて高かった.また,透析前血清クレアチニン濃度,血清アルブミン濃度,血清総コレステロール濃度,かつまたは,body mass indexが低い患者でHCV抗体陽性化リスクは高かった.
著者
金子 洋平 中村 仁 塩田 あづさ 鈴木 健 鈴木 達哉 幸 由利香 牛尾 進吾
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.3-10, 2014 (Released:2014-04-05)
参考文献数
10

ナシ萎縮病菌(Fomitiporia sp.)の伝染源と考えられる担子胞子の飛散消長を明らかにした.2008~2011年に野外において,延べ8個の子実体を供試し,それらの直下にグリセリンゼリーを塗抹したスライドグラスを設置して担子胞子を採取した.4年間における胞子飛散は断続的であったものの,開始時期は5月31日~7月7日,終了時期は11月10日~11月21日の間であった.それぞれの時期の気温は,17.0~24.5°C,12.1~14.1°Cであり,飛散開始時期はいずれの年も梅雨期間中であった.12月から翌年の5月までは担子胞子の飛散はほとんど認められなかったことから,1年間における飛散期間は,概ね6~11月であると考えられた.この期間中における飛散の中断時期は,降雨の無い日が継続した時期(主に夏季)と概ね一致した.2011年の夏季に供試子実体に散水を適宜行ったところ,胞子の飛散はほとんど中断しなかった.室内試験において,本菌の胞子の飛散は20~30°Cの範囲で起こり,10,15および35°Cでは胞子の飛散は停止した.また,乾燥条件が継続すると,胞子の飛散は停止することが明らかとなった.気温と水分条件は胞子形成およびそれに続く飛散に影響を与えた.
著者
藤井 俊彰 金子 正秀 原島 博
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.1312-1318, 1996-09-20
被引用文献数
75 6

本論文では, 3次元空間の情報を「光線」により表すという新しい枠組を提案する.この枠組においては, 画像情報の取得を「光線情報をサンプリング」, 任意視点からの画像の合成を「光線情報の読出し」と定式化することができる.さらに, 光線情報を取り扱うのに有用な光線パラメータ表現を導入, 基本的な性質を概観し, 光線パラメー夕が張る空間の観点から視域, 視野を再定義し, 光線の情報量を定量的に表すことに成功した.また, 光線表現を用いたいくつかの応用についても言及する.ここでは, 任意視点画像や可変焦点画像の生成, 自然画像とCGとの合成, 3次元空間情報の冗長性に関する検討, ホログラムパターンの情報圧縮について述べる.
著者
守屋 純二 竹内 健二 上西 博章 赤澤 純代 元雄 良治 橋本 英樹 金嶋 光男 小林 淳二 山川 淳一
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.87-93, 2014
被引用文献数
1

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome : CFS)は6ヵ月以上持続する,休息後も改善しない強い疲労感を主症状とする。発熱,睡眠障害,頭痛などの症状を呈し,著しく生活の質が損なわれる。原因として,ウイルスによる先行感染,免疫学的な変調,中枢神経系の,特に海馬における形態的・機能的変化などが報告されている。しかし,明らかな原因は不明で,診断マーカーや治療法は確立していない。<br>今回報告する症例は16歳男子高校生で,インフルエンザ罹患後の持続する発熱と強度の倦怠感などを主訴とした。既に複数の医療機関において約1年間の精査・加療を受けるも原因は不明で,CFSと診断された。当科紹介時に再度CFSの診断基準を満たすことを確認し,三黄瀉心湯エキス7.5g/分3とデュロキセチンを併用したところ,4週後には疲労・倦怠感は軽減した。しかし,熱型は不変,食欲低下を認めたため,補中益気湯エキス7.5g/分3を追加したところ,劇的に症状が改善した。<br>西洋医学的に治療に難渋するCFS のような疾患に対して,漢方治療が有効な治療方法として使用できると考え報告する。
著者
金森 博雄
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.13-18, 1971-09
被引用文献数
3

The fault parameters of the Great Kanto earthquake of September 1, 1923, are determined on the basis of the first-motion data, aftershock area, and the amplitude of surface waves at teleseismic stations. It is found that the faulting of this earthquake is a reverse right-lateral fault on a plane which dips 34° towards N20°E. The auxiliary plane has a dip of 80° towards S55°E. This means that the foot-wall side moves approximately north-west with respect to the hanging wall side. The strike of the fault plane is almost parallel to that of the Sagami trough, and the slip direction is more or less perpendicular to the trend of the Japan trench. This earthquake is therefore considered to represent a slippage between two crustal blocks bounded by the Sagami trough. A seismic moment of 7.6×1027 dyne-cm is obtained. If the fault dimension is taken to be 130×70 km2, the average slip on the fault plane and the stress drop are estimated to be 2.1m and 18 bars respectively. This slip is about 1/3 of that estimated from geodetic data. This discrepancy may indicate an existence of a pre-seismic deformation which did not contribute to the seismic wave radiation, but the evidence from other observations is not very firm.|関東地震の断層パラメターをP波の初動分布と長周期表面波の振幅からきめた.その結果,この地震はN20°Eの方向に34°傾いた面上での右ずれ・逆断層であらわされることがわかつた.断層面の大きさを130×70km2とすると,断層面上でのすべりは約2m, stress dropは18バールである.断層上でのすべりのむきが相模troughの走向に平行で,日本海溝に垂直であり,また震源が浅く(地殻内)かつ日本海溝から遠くはなれていることを考ると,関東地震は海と陸のリゾスフィアの相互作用の直接の結果とは考えにくい.むしろ,この地震は海と陸のリゾスフィアの相互作用によつて2次的に起つた,相模troughを境とする二つの地塊のずれによるものであると解釈できる.地殻変動の大きさから推定されているすべりの大きさは7mであるが,これは表面波の振幅から推定された値2mよりはるかに大きい.この違いは種々の誤差を考慮にいれてもなお有意義と思われる.このくいちがいは,全体の地殻変動量のうち2分以内の時定数をもつもののみが地震波の発生に関与したと考えれば説明できる.

3 0 0 0 OA 将棋早稽古

著者
大橋宗金 編
出版者
大橋宗金
巻号頁・発行日
vol.前編, 1886
著者
菊地 金男 正宗 良知
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血学会雑誌 (ISSN:05461448)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.710-715, 1987 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9

Relation between perioperative blood transfusion and prognosis after surgery for gastric cancer was studied retrospectively on 2086 patients who had undergone histologically curative operation in the 2nd study of Cooperative Study Group of Surgical Adjuvant Chemotherapy for Gastric Cancer. These patients were divided into the 3 groups according to the administraiton of anticancer drugs (A: MMC, B: MMC+FT, C: FT). The survival and recurrence rate of transfused patients were compared with those of non-transfused patients in each histological stage of A, B and C groups.Macroscopic factors of recurrence such as lymph nodal metastases, tumor size and serosal invasion in transfused patients were overestimated, and total gastrectomy with splenectomy and wide extirpation of lymph nodes were performed along with blood transfusion. But microscopic factors of recurrence in transfused patients were better than in non-transfused patients.Five-year actuarial survival rate in transfused patients was generally lower than in non-transfused patients. Especialy the 5-year survival rates of transfused patients in stage II of A, C groups and stage III of A, B groups were respectively lower than those of non-transfused patients. Five-year actuarial recurrence rate in transfused patients was higher than in non-transfused patients. The 5-year recurrence rates of transfused patients in stage I of A, B groups, stage II of A group and stage III of B group were severally higher than those of non-transfused patients. Those rates were statistically significant.
著者
宮川 修 金谷 貢 大川 成剛
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

微細な非晶質シリカを含む歯磨剤(ETL)と,比較的に粗大な結晶質のリン酸水素カルシウム二水塩を含む歯磨剤(NSA)とによってブラッシングしたチタン表面の微細形態,化学組成,不動態皮膜の化学構造,および歯磨剤中に取り去られたチタンの性状をXGT, EPMA, SPM, XPS, XRDによって調べた.得られた結果を総括すると以下になる.1)ETLではcomet tail様の,またNSAでは平行線状の条痕がそれぞれ,ブラッシングされた面に観察され,後者のほうが表面粗さは格段に大きかった.どちらもpH値が下がるにつれて条痕が不明瞭になっていった.2)ETLではcomet tail状条痕に対応してSiが存在し,Siに対応して高濃度の酸素の存在が認められた.またNSAでは平行線状条痕にそってCaとPが存在し,これらに呼応して高濃度の酸素も存在した.どちらもpH値が下がるにつれて,歯磨剤中の砥粒由来のこれら元素は減少した.3)XPS分析によると,ETLでブラッシングした面のSiは,不動態酸化皮膜中にのみ存在し,最表面近傍においてチタンケイ酸塩として存在することが示唆された.4)NSAでブラッシングした面のCaとPはかなり深くからも検出され最表面近傍ではCaとPを含む複雑なチタン酸塩が生成したことが示唆された.5)プラッシシグに使われた歯磨剤スラリー中には,0.2〜0.3μmの微細なチタン研磨屑が単独の遊離した形で,また砥粒に付着した形で見いだされた.5)ペースト中チタンからのTi_<2p3/2>ピークは弱くて広範囲にブロードしていたが,TiO_2のTi_<2p3/2>より高い結合エネルギーを有する化学種の存在も示唆された.6)XRDはNSA中のリン酸水素カルシウム二水塩のCaイオンがTiイオンで置換される可能性を示唆した.
著者
金野 美奈子
出版者
神戸大学
雑誌
国際文化学研究 : 神戸大学国際文化学部紀要 (ISSN:13405217)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.29-49, 2007-02

ジェンダーに関する規範理論と実践はジェンダー平等の概念と不可分であるが、ジェンダー平等をどのように概念化するのがふさわしいかは社会の歴史的状況によって異なる。本稿は、とりわけ先進諸国において過去30年ほどの間に顕著に現れてきた様々な多元主義状況、なかでも近年重要性を高めてきていると言われるワーク・ライフスタイル選好にかんする個人間の多元性に着目し、現代にふさわしいジェンダー平等の概念はどのようなものかを検討するものである。まず、このような多元性についてのこれまででもっとも包括的な議論である、キャサリン・ハッキムの選好理論をとりあげ、日本においても近年、この選好理論を支持するデータが得られつつあることを見る。次に、このような現代的状況にふさわしいジェンダー平等の概念として、多元主義的ジェンダー平等の概念を素描する。ジェンダー平等の多元主義的概念化とは、人々のワーク・ライフスタイル選好の根幹にジェンダー関係をめぐる世界観があることに着目し、これらの異なったジェンダー的世界観を生きる人々の間の平等を構想するものである。これに対しては、従来のフェミニズムの立場からいくっかの批判が予想される。ここでは主な批判として、「選好」に基づく概念化に対する批判、および多元主義的概念化に対する批判(特定のワーク・ライフスタイルモデルの優越性や不適切性の指摘、および統計的差別問題の指摘)を取り上げ、それぞれ妥当性を検討する。最後に、多元主義を真に可能にする社会的意味世界の構築という観点から、本稿で素描されたジェンダー平等概念にもとつく規範的社会理論がとりうる方向性を展望する。
著者
杉浦 徹 櫻井 宏明 杉浦 令人 岩田 研二 木村 圭佑 坂本 己津恵 松本 隆史 金田 嘉清
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.779-783, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

〔目的〕回復期リハビリテーション病棟退院時に移動手段が車椅子となった脳卒中患者に求められる自宅復帰条件を検討すること.〔対象〕移動手段が車椅子の脳卒中患者で,転帰先が自宅もしくは施設・療養病床となった68名とした.〔方法〕自宅群(28名)と施設群(40名)を群間比較し,ロジスティック回帰分析にて転帰先因子を抽出した.また,入院時に家族が想定した転帰先と実際の転帰先の関係を分析した.〔結果〕ロジスティック回帰分析では「食事」と「トイレ動作」が転帰先因子として抽出された.また,入院時の転帰先意向は最終的な転帰先に反映される傾向がみられた.〔結語〕移動手段が車椅子での自宅復帰条件には「食事」と「トイレ動作」が求められ,患者の家族とは入院当初から自宅復帰に向けた展望の共有が重要となる.
著者
金谷 欣明 橋田 真輔 藤井 徹也 丸山 修一郎 横山 伸二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.947-951, 2008
被引用文献数
2

経肛門的直腸内異物は比較的まれな疾患であり,異常な自慰行為のエスカレート等により突発的に生じることが多い。今回われわれは中高年男性に発生した経肛門的直腸内異物の2例を経験したので報告する。症例1は71歳の男性,すりこぎ様の太い木製の棒を自ら肛門より挿入し,抜去不能となり当院の受診となった。外来での抜去は困難で,腰椎麻酔下にこれを用手経肛門的に摘出した。症例2は55歳の男性,空のジュース缶を自ら肛門より挿入し排出困難となり,近医で経肛門的摘出を試みられたが成功せず,当院の救急外来を紹介となる。症例1同様,腰椎麻酔下に用手経肛門的に摘出した。いずれも外来での摘出は疼痛や腸管浮腫のため困難であったが,腰椎麻酔下では肛門括約筋の弛緩も得られ,用手経肛門的に摘出可能であり無麻酔下に摘出困難な場合,試みられるべき有効な治療法の一つと思われた。
著者
葛西 恭一 石田 恵梨 小林 由佳 曽我 幸一 金光 大石 坂本 京子 竹中 信也 柳田 國雄 伊谷 賢次
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.257-261, 2013-02-20
参考文献数
12

症例1は75歳男性.心房細動にてダビガトラン220mg/日服用開始したところ,5日後より食道閉塞感,ゲップを自覚.上部消化管内視鏡検査にて中部食道に白色の膜様付着物を伴った潰瘍性病変を認めた.ダビガトランを継続しながらプロトンポンプ阻害剤(以下PPI)を服用したところ潰瘍は治癒した.症例2は68歳,女性.発作性心房細動に対しダビガトラン300mg/日服用開始77日後より胸焼けを自覚.上部消化管内視鏡検査にて中部食道に白色の膜様付着物を伴った潰瘍性病変を認めた.ダビガトランを中止しPPI投与したところ潰瘍は治癒した.ダビガトランは循環器領域で使用頻度が高まると予想される薬剤であり,薬剤性食道潰瘍の原因となり得ることを念頭に置く必要がある.
著者
花井金蔵 著
出版者
興文社
巻号頁・発行日
1914