著者
宮前 智一 細川 太郎 土谷 友利 前原 充 西岡 賢一 兵井 純子 鈴木 康文
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.21-32, 2004-09-30
被引用文献数
2

力学に関する学生実験やこども達への演示教材としてパチンコの玉を転がす滑走台を製作した。長さ2mのカーテンレールをベニヤ板に打ちつけたものである。」三の速さ(Vm>2m/s)は, 玉がレール上の特定の場所を通過するときに発する電気信号の時間間隔を記録することによって測定した。レールの先端に発射台を取り付け, そこから飛んだ玉の飛距離を測定した。レールの途中にもう一つの玉を置き, 玉どうしの衝突についても演示や測定を行った。これらの測定で求めた玉の運動エネルギーを力学的エネルギー保存の法則に照らして比較考察した。また衝突における運動量についても考察した。これらの考察によって, "慎重に測定した結果からは, 従来の物理教材で無視されがちな効果が見える" ことが例示できた。この教材は, 用い方を選ぶことで, 大学生, 高校生, 中学生, 小学生それぞれに力学現象への興味と有意義な理解を与えるものである。
著者
宮下 美香* 中川 恭好 鈴木 健一朗
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.77-85, 2012-07-01 (Released:2015-01-06)
参考文献数
32
被引用文献数
2

年間を通じて高い気温と湿度が保たれるタイ王国では食材が豊富なこともあり、様々な発酵食品が存在しており、タイ料理の独特の風味や旨味に欠かせないものとなっている。これら発酵食品には乳酸菌が生息することが知られていて、風味や旨味の付与、また高温多湿における食品の保存に重要な役割を担っている。本稿では、様々なタイの発酵食品とそこに生息する乳酸菌の多様性について、著者のこれまでの調査結果を交えて概説する。
著者
鈴木 寿 大西 弘之 有本 卓
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.5, no.6, pp.431-441, 1987
被引用文献数
4 1

連想データベースを自己組織化する簡単で効率の良い方法を提案すると共に, 自律移動知能ロボットへ応用する.システムは, 予め規定された処理部と, 初期状態では空白な記憶部とから成る.現時点の入力信号に対し, 処理部はこれに似ている過去の入力信号を記憶部から検索し, その関連情報を呼び出す.もし現入力信号の随伴情報がこの関連情報と一致しなければ, 新たな情報が記憶部のデータベースに付加され, その影響は次回の処理に反映される.このように記憶状態と入力信号の双方に依存して, データベースは自己組織化的に成長してゆく.データベース組織化の履歴は入力系列に依存するので, 個々のデータベースは固有な構造を獲得する.もし十分な長さの入力系列が与えられると, 入力信号と関連情報の対応関係は, 入力系列のそれに一致するようになる.脳における直観的情報処理の概念的ではあるが本質的なモデルを与えているという点で, また実用的立場からは, 要求された応答をユニパーサルに学習する学習機構へ応用できるという点で, 本システムは意義深い.この学習機構を利用した廊下用のカメラ方式自律移動ロボットを紹介する.ロボットの頭脳は, プロセッサーi80286を搭載したマイクロ計算機によって構成され, ロボットの行動は, C言語に追加設計した小規模のロボット言語を用いて制御される.良好な実験結果が示される.
著者
野田坂 伸也 鈴木 俊二
出版者
日本緑化工学会
雑誌
緑化工技術 (ISSN:03865223)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.1-14, 1982-03-31 (Released:2011-02-09)
被引用文献数
1

岩手県の中部にある貯水開始後15年たったダム湖の, 定期的に水没と露出をくり返すゾーンの植生調査を行なった。このダム湖は4~5月の雪どけ時に満水位になり, その後9月までは減り続け15~20m, 低下する。10月から再び上昇し満水位より数m低い状態が冬の半ばまで続く。2~3月は流入量が減るため低下し夏の水位に近くなる。この年満水位は約60日続いた。植生調査によって知り得たことを列挙する。(1) 水没深15m水没期間230日のゾーンで生育していた植物は木本11種, 多年草14種1年草11種。水没深10m, 水没期闇190日のゾーンで生育していた植物 (ただし上記の分を含む) は木本23種, 多年草19種, 1年草14種。水没深5m・水没期間60日のゾーンで生育していた植物 (上記の分を含む) は木本67種, 多年草31種, 1年草14種。以上は, たまたま調査区域に出現したものだけであるから, 調査が進めばこれよりはるかに多くの植物が長期の水没という厳しい条件に耐えられるということが見いだされるだろう。(2) 水没深 (当然水没期間と関係がある) と群落の変化の関係を見ると, 浅いところから深い方へむかって, 高木・亜高木林-低木林-多年草群落-1年草群落という変り方をしている。これは生活形で見ると「木本型=地上部・地下部共生き残る-多年草型=地上部は枯れ, 地下部だけが生き残る-1年草型=地上部・地下部共枯れ, タネから再生する」という変化で環境圧の増大に対応していることになる。(3) 水没深の浅い区域では, ダム建設以前にあった植生の影響が強く残っている。はっきりわかるもので水没深7m付近までは, 元の植生が残っている。(4) 長期水没~露出をくり返す区域でもふつうの場所と同じように, 地形や土壌の違いが植生に影響している。(5) 水没深と樹高・草丈とは相関関係がある。しかし, 一部の植物でははっきりしない。(6) サクセッションはふつう地にくらべるとかなり遅く, 深いところではほとんど停滞してしまうと考えられる。(7) 部分的に水没し, 一部が水面上にでている植物は, 春になるとそのままの状態で水面上の部分は開葉し, 花を咲かせる。しかも近くの陸上の同種の個体と同時期にこれを行なう。(8) 水がひいたあとで発芽してくる早さは種によって異なるが, 早いものは1週間後にははなれて見ても一帯が緑になったことがわかるほどすみやかに生長してくる。
著者
今田 恒夫 亀井 啓太 鈴木 和子
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.129-135, 2015-12-20 (Released:2015-12-20)

血清尿酸値の調節には,遺伝素因に加えて,生活食事習慣,合併症などの背景因子が関与している.本検討では,2004年に山形県高畠町の地域健康診断を受診した1599名(男性45.1%,平均年齢61.3歳)を対象として,血清尿酸値と尿酸代謝関連遺伝子の一塩基多型SLC22A12(rs505802),ABCG2 (rs2231142)の関連に,背景因子(年齢,性別,高血圧,糖尿病,肥満,飲酒,喫煙,腎機能,脂質異常)が与える影響を横断的に検討した.交絡因子で補正した重回帰分析では,SLC22A12とABCG2各遺伝子多型と血清尿酸値の関連は,腎機能正常群(推定GFR 60mL/分/1.73m2以上)では有意であったが,腎機能低下群では有意ではなかった.性別では,男性において各遺伝子多型と血清尿酸値の関連がより強かった.また,ABCG2遺伝子多型は喫煙と有意な交互作用を認め,喫煙群で遺伝子多型と血清尿酸の関連が強かった.本検討結果より,日本人地域住民において,尿酸代謝関連遺伝子SLC22A12とABCG2の一塩基多型は血清尿酸値の独立した関連因子であり,その関連性には,腎機能,性別,喫煙などの背景因子が影響することが示唆された.
著者
鈴木 拓央
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6454号)
著者
鈴木 与範 小磯 知之 阿部 洋丈 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.48, pp.9-14, 2005-05-25
参考文献数
16
被引用文献数
1

ネットワークやハードウェア,ソフトウェアなどの障害によって,ネットワーク上のサービスはしばしばサービス不能状態に陥ることがある.本研究の目的は,クライアントからの要求によってサーバの状態が更新されるような形態のインターネットサービスに対して,ハードウェア障害や通信障害などを自律的に乗り越えるシステムを設計することである.我々は自律的に環境変化を克服できるサービスをSustainable Serviceと呼んでいる.本稿では,仮想機械の技術とPeer-to-Peerネットワークを用いたSustainable Serviceの実現方式について述べ,さらにそれらを発展させた内容についても考察する.Network services sometimes fall into unavailable in some reason(network error, hardware error, software error, etc.). The objective of our research is to develop a system which can make survices on this system sustainable. Our system aims to cover not only static services but dynamic services. We describe a service as Sustainable Service when it can stand any error autonomically. In this paper, we introduce the method to realize Sustainable Service by using virtual machine technology and Peer-to-Peer networks. Moreover, we discuss advanced techniques for improving proposal system.
著者
鈴木 裕美
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.354, pp.138-142, 2005-05

価はいずれも高い。東京の下町、上野にあっても、洋食店「さくらい」ではオムライスが1260円、ハンバーグは1470円、ビーフカツレツに至っては単品で2940円もする。しかも、店舗はビルの7階。銀座線上野広小路駅から徒歩1分の大通りに面しているものの、一見客がふらりと立ち寄れる立地ではない。 しかし、エレベーターが7階で開くと、そこには席が空くのを待つお客がずらりと並ぶ。
著者
前川 望 伊藤 由紀 金沢 ユリ 関口 若栄 鈴木 保子
出版者
日本新生児看護学会
雑誌
日本新生児看護学会誌 (ISSN:13439111)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.51-55, 1999-03

発達障害が予測される児に対し,早期からのリハビリテーションが重要といわれているが,児の状態により早期から取り組めないことがある.今回,ポジショニングとリラクゼーションを工夫することにより,リハビリテーション導入が可能となった.本研究で提示する症例は,極低出生体重児で脳性麻痔となった男児である.問題点は,1)啼泣時や不機嫌な時に異常姿勢が強く哺乳ができない.2)物音に敏感で中途覚醒が多く十分な睡眠が得られないであった.問題点1)2)に対して,ポジショニングとリラクゼーションの工夫を行い,児の反応を評価した.その結果,夜間の睡眠時間が平均5時間が7時間となった.1回の哺乳畳も100cc~180ccが160cc~170ccと安定した.哺乳時間は35分~40分が20分となった.本症例において,以下のことが確認でき,リハビリテーション導入が可能となった.1.適切な姿勢は運動や生理機能を促すうえで重要である.2.音楽は気持ちを落ち着かせ,心安らかにする.3.沐浴は筋緊張を緩和する.4.ポジショニングやリラクゼーションの工夫は,異常姿勢の緩和や生活リズムの獲得に有効である.Early introduction of physical therapy is important for infants in who developmental disabilities are predicted. However, conditions of those infants will not allow early application of physical therapy. In this report our experience with a very low birth weight male baby with cerebral palsy is discussed. The major problems in nursing this baby were: 1) difficulty in breast feeding due to spastic posture when he was crying or anxious, 2) dyssomnia due to acoustic irritability. To resolve these problems, we adjusted the position of the baby and the environmental arrangement under which his relaxation could be expected. We evaluated the effect of the adjustments by observing his status. As a result, the average sleeping time at night increased from 5 hours to 7 hours. The amount taken at one feeding stabilized at 160-170cc, previously varying from 100-180cc. The time necessary for feeding decreased from 35-40 minutes to 20 minutes. The reduction of spastic posture and the acquisition of a regular life cycle enabled the introduction of physical therapy. This case suggests that: 1) proper position is important to promote motor function and physiological function, 2) music may calm irritability, 3) bathing may reduce muscle tonicity. Adjustment of positions and environmental arrangements are effective in reduction of spastic posture and acquisition of a regular life cycle.
著者
平木 潔 太田 善介 三好 勇夫 原田 英雄 鈴木 信也 六車 昌士
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1-2, pp.6-12, 1966-04-30 (Released:2010-03-16)
参考文献数
21

Spontaneous mammary carcinoma of AKR mice and Xray-induced mammary carcinoma of C58 mice, both known as low-cancer strains, were investigated by electron microscopy.In AKR mammary carcinoma, intracytoplasmic type A and extracellular type B particles were present. In C58 mammary carcinoma, extracellular type C particles were observed. In both tumors, mature virus particles, i.e. type B and type C particles, were formed by the process of budding of cytoplasmic membrane of carcinoma cells and present in the lumina of the milk ducts. Aberrant form of type C particles, which contained a filamentous structure instead of a nucleoid was also seen in C58 mammary carcinoma.In serial in vivo transplantation of those carcinoma cells to the same strain mice, these virus particles were always present and formed from carcinoma cells, although the number of virus particles reduced almost successively with transplantations in AKR mammary carcinoma.In tissue culture of C58 mammary carcinoma cells, type C particles similar to those in the original tumor were observed extracellularly. On the contraty to the presence of type B particles in the original AKR mammary tumor, however, two tissue culture strains derived from in vivo transplanted AKR carcinoma cells contained type C particles. These type C particles were conceivable to be the leukemia virus that naturally harbored in AKR mice and happened to have been tranferred to the tissue culture probably through its latent infection in carcinoma cells.
著者
山口 莉奈 正田 悠 鈴木 紀子 阪田 真己子
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.913-914, 2016-03-10

山口・正田・鈴木・阪田(2015)は、平成20年3月に告示された新中学校学習指導要領保健体育における「ダンス」単元の必修化に伴って、現職教員が授業実施に対する不安を抱いており、その不安が大きく分けて5つの項目から構成されることを示した(例えば「生徒に対する不安」、「指導法に対する不安」など)。本研究では、この5項目をもとに、現職教員の不安を定量化するためのダンス指導不安評価尺度を作成するとともに、ダンス指導不安を抱えて研修会を受講した現職教員が持つ不安がいかなる特徴を持つのかを探究した。これにより、ダンス指導不安を引き起こす具体的な要因を特定し、それに対する有効な解決策の提案が可能となると考えられる。
著者
湯沢 雍彦 鈴木 敏子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.392-400, 1974

1. 安乗の母と子の意識は, 一致率が横浜市より5~30%低く, ズレが大きい.そのの上, 本調査では否定的回答の一致率が高い.<BR>2.母と子別の意識のズレ方では, 両地域の子が母より否定的回答に傾斜している点は同様であるが, 安乗において一層その傾向が著しい.<BR>3.母と子の意識のズレを大きくしている要因は, 4分の1の家族が父親出稼ぎ中であり, 母親の95%が一日平均8時間49分も家庭外労働に従事している.そのうえ親子が一緒に食事をする家族が少なく, 母子の話し合う時間は一日30分以下というのが62%もある。その他親子揃って外出する機会はまれで, 親の世代に比べ子どもは仕事の手伝いをしなくなったなど, これらが親子の接触を乏しいものにしていると考えられる.<BR>4.社会的経済的諸条件の変化が影響して, 漁業継承を期待, 希望する母子は2, 3例にすぎず, 漁業に代わる具体的な将来像や展望も見出していない.したがって, 漁業継承を前提としていた親子関係は動揺しており, それが母と子の意識のズレを大きくしているようである.
著者
鈴木 雅光
出版者
日経BP社 ; 1985-
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.383, pp.74-77, 2014-06

表向き、いくら有利に見える投資案件でも、全く名前を知られていない会社から勧誘を受けたら、さすがに警戒する。そこで著名人を広告塔に使えば、「誰もが知っているあの人が広告に載っているのだから安心」というように、信頼感を高めることができる。 こ…
著者
鈴木 圭 佐川 真由 保田 集 嶌本 樹 古川 竜司 柳川 久
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;餌動物の捕食者認識能力は,彼らが持つ生態的特徴によって様々に変化する.本研究ではこれまで研究されてこなかった夜行性,樹上性および滑空性という生態的特徴を持つタイリクモモンガ <i>Pteromys volans</i>の捕食者認識能力を,視覚と聴覚に注目して調べた.捕食者の存在が本種の出巣に要する時間を変化させると考え,33個のねぐらで以下の 5実験を行い,出巣に要する時間の変化を調べた.1) 視覚実験: 本種の営巣樹洞木から約1m の距離に,捕食者であるフクロウの剥製を置いた ( N=19)2)視覚実験対照区 : フクロウの剥製の代わりにプラスチックケースを同様の方法で置いた ( N=7).3)聴.覚実験 : 本種が巣から顔を出した際にフクロウの声を聞かせた ( N=18).4)聴覚実験対照区 : フクロウの声の代わりに本調査地に普通に生息するカッコウの声を同様の方法で聞かせた ( N=7)5) 通常行動 : 剥製やプラスチックケースを置かず,いずれの声も聴かせなかった ( N=22).出巣に要し.た時間に影響を与える要因を調べるために,一般線形混合モデルよって解析し,多重比較検定によって群間の差をみた.その結果,本種が出巣に要した時間は,フクロウの声を聞かせた時 (平均 1446秒)に,他の実験に比べて長くなった.それに対し,通常行動 (55秒),カッコウの声を聞かせた時 (275秒),フクロウの剥製(58秒)やプラスチックケース (108秒)を置いた時の 4実験の間で時間に違いはみられなかった.つまり本種は聴覚によって捕食者認識を行い,捕食者と非捕食者の区別も可能であった.それに対し,視覚はほとんど役立っていないことがわかった.本種の様な滑空性リスは樹上性リスから進化し,現存する樹上性リスは視覚および聴覚の両方で捕食者を認識できる.夜行性になったことや滑空能力の獲得に必要な立体視に伴って視野が狭くなったことが,滑空性哺乳類の視覚による捕食者認識能力を低下させるのかもしれない.
著者
久保 久彦 鈴木 亘 㓛刀 卓 青井 真
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.4_13-4_29, 2017 (Released:2017-08-31)
参考文献数
20

2015年小笠原諸島西方沖の地震をはじめとする小笠原諸島周辺の深発地震による地震動の特性把握および予測を目的として,本研究では強震動指標の空間的な分布やその距離減衰の様相を調べた上で,深発地震による地震動の距離減衰式を構築した.深発地震による地震動の距離減衰は地域毎に様相が異なっており,東日本前弧,東日本背弧,西日本および伊豆半島から伊豆・小笠原諸島にかけた地域の順で各地域への波線経路上での内部減衰と散乱減衰の双方またはいずれかが弱いと考えられる.これを踏まえて本研究では各地域で異なる非幾何減衰係数を持つ距離減衰式を提案している.また深発地震時の地盤増幅を評価した上で,過去の地震を対象とした地震動予測を試みた.
著者
鈴木 誠治
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.120-124, 2011-04-05

モンシデムシ属は小型脊椎動物の死体を幼虫の餌として育児を行うことで知られている.雌雄双方が育児に参加し,幼虫に口移しで給餌したり,外敵から幼虫を防衛したりする.本稿はモンシデムシ属のオスによる育児参加に関する最近の研究をその適応的意義と給餌量調節という二つの観点からレビューし,現在残されている問題点を議論した.