著者
高橋 悠也 野崎 望 小川 誠
出版者
一般社団法人日本粘土学会
雑誌
粘土科学討論会講演要旨集 (ISSN:24330566)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.110, 2004

塩化コバルト水溶液を用いたイオン交換反応により、層状ケイ酸塩マガディアイトの層間にコバルトイオン(_II_)を導入した。仕込み比によってCo(_II_)含量の異なる青色の生成物を得た。加熱処理に伴う構造、色の変化について調査した。
著者
大平 昌美 岩本 彰太郎 山川 紀子 樋口 和郎 岡村 聡 辻岡 朋大 綿谷 るみ 村山 萌 高橋 悠也 東久保 和希 福喜多 晃平 牧 兼正
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, 2017

はじめに タナトフォリック骨異形成症(TD)罹患児では人工呼吸管理が必須であるため早期に気管切開が行われ、その後に経口摂取可能となる例も少なくない。しかし、生後から長期間の経口気管挿管を経たのちに摂食可能となった症例の報告はなく、特に喉頭蓋欠損を合併した症例に対する摂食嚥下訓練方法は確立されていない。今回、生後から長期間の経口気管挿管を経た無喉頭蓋合併TD罹患児に対して実施した摂食嚥下訓練の取り組みについて報告する。 症例 出生前にTDと診断された9歳女児。出生直後より呼吸障害のため人工呼吸管理されていた。諸事情から経口気管挿管管理が8年5カ月間続いた。その間、経鼻経管で栄養管理され、経口摂取は行われなかった。気管切開施行後、唾液の嚥下を認めたことから摂食嚥下訓練の適応があると判断した。訓練開始にあたり、喉頭内視鏡検査では喉頭蓋欠損を認めたものの声門閉鎖可能であった。嚥下造影検査(VF)では、水分およびミキサー食・まとまり食・ゼリーの形態を10°〜30°のギャッジアップの姿勢で試みたが、誤嚥および喉頭侵入は認めなかった。同結果を受け、週5回、1日1回の頻度でPTによる呼吸リハビリ後、STによる口腔内マッサージおよび経口摂取訓練を実施したところ、約1カ月にはヨーグルト10cc程度の経口摂取が可能となった。 考察 経口摂取開始にあたり、長期間の経口気管挿管に起因する声門閉鎖不全が懸念された。そのためVF前に喉頭内視鏡検査を実施したことで、喉頭蓋欠損を同定することができた。その後のVFでは、喉頭蓋欠損による誤嚥に留意したが問題なく嚥下できていることが確認できた。また、本症例は嚥下機能が比較的保たれており、感覚過敏等による摂食拒否がなかったことがスムーズな経口訓練につながったと考える。今後、経口摂取機能のさらなる 発達を促すにあたり、無喉頭蓋の嚥下機能への影響に関して精査・検討する必要がある。
著者
高橋信次
雑誌
臨床放射線
巻号頁・発行日
vol.5, pp.563-658, 1960
被引用文献数
2
著者
高橋 靖幸
出版者
新潟人間生活学会
雑誌
人間生活学研究 (ISSN:18848591)
巻号頁・発行日
no.8, pp.89-101, 2017

幼稚園や保育所での実習において、学生がその対応に戸惑いと困難をおぼえる場面のひとつは子どもたち同士のけんかやいざこざといった対人葛藤場面である。学生向けに書かれた実習のためのテキストをみると、子どものけんかの仲裁には「子どもの気持ちを大切にすること」が求められることが多い。しかしながら、「子どもたちのけんかやいざこざを解消するためには、かれらの心を共感的に理解することが必要だ」という語りは、現場での経験の浅い学生に困難をもたらす可能性がある。なぜなら問題の中心が、いかにトラブルを解決するかという具体的な仲裁の方法の議論から、いかに子どもの気持ちを共感的にとらえることができるかという新たな議論へ移行することになる可能性を持つからだ。本稿はこうした語りを「共感的理解」言説と呼ぶ。本稿の目的は「共感的理解」言説に内在している問題性を整理し、別の角度から問題を捉えるための枠組みをエスノメソドロジー研究の知見から学び、そしてエスノメソドロジー的な視点から保育の実践を実際に観察し分析してみることにある。それらを踏まえて、エスノメソドロジー的な理解の枠組みが、実習に臨む学生への指導にどのように利用可能かについての考察を行う。本稿の分析と考察の結果として、子どもたちの対人葛藤の仲裁においてはひとつの手続きがあることが明らかとなった。すなわち、「開始の準備」「事実の確認」「動機の確認」そして「規則の確認」という手順である「子どもの心を共感的に理解する」とは、本校の事例に即して言えば、保育士と子どもたちのあいだで、仲裁のための準備が整い、ふたりに何があったのかが双方の聞き取りにより確認され、なぜそうしたことになったのかが同定され、そしてそのような場合にはどうするべきなのかが了解されるひとつひとつの段階の到達のなかで形成されることであった。このような点に着目することで、けんかやいざこざの仲裁について、実習前の学生へ指導や助言を伝える機会に「共感的理解」言説とは違った語りを示すことができるものと考えられる。
著者
松原 静郎 佐藤 輝夫 高橋 泰
出版者
一般社団法人日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.129-130, 1992

小学校5年から中学校1年, 中学校2年から高等学校1年の各学年間で追跡調査を実施した。「理科得点」と, 関心・態度に関する合成変数「科学の価値」と「理科の学習」を設定し, 経時変化と前年度の結果が次年度の及ぼす影響を調べた。科学の価値には大きな変化は見られず, 理科の学習では望ましくない方向への変化が見られた。次年度への影響は, 同一変数間で大きいが, 異なる変数間ではわずかに理科の学習と理科得点の間に影響が見られた。
著者
高橋 日出男
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.217-232, 2001-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2

本研究では,梅雨季 (6・7月) の日本における「雨の降り方」の地域性と年乏の差異(「陰性」・「陽性」梅雨)を知るために,梅雨季総降水量に対する日降水量の階級別の寄与にっいて検討した.日本全体を大きく二分する場合,総降水量に対して上位階級(大きい日降水量の階級)の寄与が大きい地域には,九州地方,中国地方西半,四国~東海地方南岸,および中部山岳域西部が該当する.西日本であっても,南西風に対して山地風下にあたる地域では,風上側に比べて上位階級の日降水量の寄与は相対的に小さいことなど,大地形との対応が認められる.総降水量に対して下位あるいは上位階級の日降水量の寄与が大きい場合を,それぞれ「陰性」あるいは「陽性」梅雨と考えるならば,両者の判別は極端な少雨年を除き可能であると考えられ,同程度の総降水量であっても「陰性」・「陽性」それぞれの場合が認あられる.また,「陰性」・「陽性」いずれの場合であっても,平均状態に認められる「雨の降り方」の基本的な地域性は維持されている.
著者
鷹嘴 亜里 飯嶋 一侑樹 森谷 祐介 鈴木 南帆 倉橋 慎太郎 山川 信子 高橋 若生
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.30-34, 2019 (Released:2019-07-10)
参考文献数
9

身体疾患で入院した認知症患者に対する認知症ケアサポートチーム(以下ケアチーム)の役割について検討を行った.対象は,ケアチームが介入した65歳以上で,かつ認知症生活自立度III以上の130例(平均年齢86±6歳)とした.入院の原因は肺炎,骨折が多く,行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)が67%の症例で認められた.ケアチームによる介入は入院後平均9.1日で開始され,介入期間は平均34.0日間であり,その内訳は看護ケア単独57%,看護ケア+薬剤調整40%,前者+家族指導3%であった.介入終了時,BPSDは改善64%,不変35%,悪化1%の割合であった.自宅から入院した症例のうち,退院後自宅へ戻ったのは46%で,54%は転院もしくは施設に入所した.BPSDを伴う認知症の入院患者に対しては,認知症の専門知識を持った多職種からなるケアチームのサポートが有用と思われる.
著者
加瀬 善洋 仁科 健二 川上 源太郎 林 圭一 髙清水 康博 廣瀬 亘 嵯峨山 積 高橋 良 渡邊 達也 輿水 健一 田近 淳 大津 直 卜部 厚志 岡崎 紀俊 深見 浩司 石丸 聡
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.11, pp.587-602, 2016-11-15 (Released:2017-02-20)
参考文献数
52
被引用文献数
3 4

北海道南西部奥尻島南端の低地における掘削調査から,泥炭層中に5枚のイベント堆積物を見出した.イベント堆積物の特徴は次の通りである; (1)陸方向および川から離れる方向へ薄層化・細粒化する,(2)級化層理を示す,(3)粒度組成の特徴は河床砂とは異なり,海浜砂に類似する,(4)粒子ファブリックおよび堆積構造から推定される古流向は概ね陸方向を示す,(5)渦鞭毛藻シストおよび底生有孔虫の有機質内膜が産出する,(6)海側前面に標高の高い沿岸砂丘が発達する閉塞した地形において,現海岸線から内陸へ最大450mほど離れた場所まで分布する.以上の地質・地形学的特徴に加え,過去に高潮が調査地域に浸水した記録は認められないことから,イベント堆積物は津波起源である可能性が極めて高い.14C年代測定結果と合わせて考えると,過去3000-4000年の間に1741年および1993年を含めて少なくとも6回の津波が発生しているものと考えられる.
著者
CLEM TISDELL 高橋 春成
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR GEOGRAPHICAL SCIENCES
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.37-50, 1988-01-28 (Released:2017-04-20)
被引用文献数
1

有袋類,単孔類の世界であるオーストラリアへも,過去外部からの人間の渡来により有胎盤類が2度にわたり持ち込まれている。古くにはアボリジニによってイヌ(Canis familiaris dingo)が,また1788年以降のヨーロッパ人による入植・開拓ではブタ(Sus scrofa),ヤギ(Capris hircus),スイギュウ(Bubalus bubalis),ロバ(Equus asinus),ラクダ(Camelus dromedarius),ウシ(Bos taurus, Bos indicus),ウマ(Equus caballus),ヒツジ(Ovis aries),ネコ(Felis catus),イヌ(Canis familiaris)などがそれぞれ持ち込まれた。これらの有胎盤類はその後間もなく再野生化し,オーストラリアの農業や生態系に軽視できない影響をもたらしている。再野生化へのいきさつとしては,粗放的飼養による離脱,飼育価値の低下や居住地移動に伴う遺棄,逃亡といったものや,将来の食料源としての意図をもった解き放ちなどが抽出される。再野生化動物の分布パターンには乾燥地 / 半乾燥地-ラクダやロバ,湿潤地-スイギュウやブタといったそれぞれの適応性に応じた特徴がみうけられ,それらは生息環境となる植生タイプとも密接に関連している。各地で再野生化をとげた動物達は特に農業面に被害をもたらしている。農作物に対しては再野生化したブタやヤギなどによる食害,ふみつけ,ほりおこしなどが深刻である。家畜に対してはブタ,ヤギ,スイギュウ,ラクダ,ロバなどと放牧家畜の間に生じる食物や水をめぐっての競合,ブタによる子ヒツジの補食などが特に粗放的な放牧地帯で問題となっている。さらには,ブタ,ヤギ,スイギュウなどが病原菌や寄生虫の保菌者や媒介者となる点も懸念されている。その他,柵や水飲み場の破損なども各地で発生している。従来の生態系に対しても,これら再野生化動物の与えるマイナス面が指摘される。植物相にはブタ,ヤギ,スイギュウ,ラクダなどによる食害,ふみつけ,ほりおこしといった被害がみられ,また,スイギュウ,ロバ,ヤギなどの活動による土壌浸食も生じている。動物相にも補食,競合,生息地の破壊による影響がみうけられる。たとえば,従来の両棲類,爬虫類,鳥類などはブタの補食による影響を受けている。逆に再野生化動物が有効に活用されている例としては次のようなものがあげられる。まず,ブタ,ヤギ,スイギュウなどはリクリェーションハンティングの好対象となり,ハンターに狩猟の醍醐味を提供している。また,捕獲されたブタ,ヤギ,スイギュウ,ラクダなどの肉は国内で自家用食肉,地方の食堂用食肉,ペットフードなどとして消費されるとともに海外へも輸出されている。たとえば,ブタ肉の年間輸出量は1000万オーストラリア・ドル(1984年)にもおよんでいる。その他,ヤギはオーストラリアのカシミア工業に,またスイギュウはノーザンテリトリーの観光業にそれぞれ寄与している。スイギュウやロバなどは捕獲されペットや家畜としての再利用もなされている。このように再野生化動物は有害面と有益面の2面性をそなえているといえるが,これまでオーストラリアにおいては有害面,特に農業に与える被害にのみ関心が集中してきたきらいがある。そして,行政的,資金的なバックアップのもとに農業被害の実態とその除去に関する情報分析が進められ,その最終目標には再野生化動物の根絶がかかげられてきた。しかしながら,今後は分析の十分でない生態系への影響に対しても分析をすすめる必要があり,また,生物資源としての効果的な活用といった点をふまえた新たな管理のあり方について検討を加えていく必要がある。
著者
小山 倫史 高橋 健二 西川 啓一 大西 有三
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.61-67, 2010-03-26 (Released:2010-03-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

近年多発しているゲリラ豪雨では,極めて短時間に降雨量が変化するため,斜面表層部の湿潤履歴によっては,数秒単位で多量の雨水浸透が発生し,斜面安定性を著しく低下させ,斜面崩壊を誘発する.したがって,数秒単位の鋭敏な雨水浸透現象を評価する必要性があり,そのためには,まず,降雨量を数秒単位で精度よく計測する必要がある.本研究では,超音波レベル計を用いてリアルタイム雨量計の開発を行った.本雨量計は,超音波により円筒形の雨受けに溜まった水位(降雨量)を1秒ごとに計測することで,従来の転倒枡型雨量計を用いた場合に生じるタイムラグを生じることなく,リアルタイムで精度よい計測が可能である.また,雨量計測の結果を1次元の飽和–不飽和浸透流解析に用い,従来の降雨強度として用いられる時間降雨量(あるいは10分毎降雨量)を入力値とした場合と比較し,降雨境界条件の入力方法の相違が降雨の浸透特性に与える影響について調べた.
著者
大竹 伝雄 東稔 節治 久保井 亮一 高橋 保夫 中尾 勝実
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.366-373, 1979-07-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
16
被引用文献数
3 1

液体エジェクターをガス分散器として用いたときの, スロート内の流動状態, 生成気泡径, 槽内ガスホールドアップについて実験的に検討した.スロート内の流動状態は, スラグ流, 環状流, 気泡流, ジェット流に大別でき, これら各領域を気液流量比 G/L 対スロート内液流速 uLT 基準のFroude 数, Fr (=uLT2/gDT) の線図で示した.気泡径分布, ガスホールドアップ εG, 体面積平均気泡径 dBvs の Fr や G/L に対する依存性は, 遷移 Froude 数 Frc を境に大きく変化する. Fr≦Frcのスラグ流-環状流領域では, 気泡径分布の幅は広く, G/Lを増加するとその標準偏差は増加し, εG も同一ガス流量の条件下の気泡塔における値 εG0 と変わらない. Fr>Frc の気泡流-ジェット流領域では, 1~4 mm の小気泡が均一に分散した流れとなり, Frを増加またはノズル-スロートロ径比 DN/DTを減少すると, εG は増加し, dBυs は減少する.各領域における平均気泡径, ガスホールドアップは, Fr, G/L および DN/DT を含む実験式で相関された.
著者
宮地 恵美 中内 涼子 鈴木 弘美 高橋 佐智子 宮島 雄二
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.39, 2006

<B><緒言></B>病院における小児の事故としてはベッドからの転落が圧倒的に多く、転落防止指導は非常に重要である。当病棟では、小児病棟の安全管理として、成人用ベッドとは異なる、四方に柵のついたサークルベッド(以下、高サークルベッドとする)を使用し転落防止に努めている。入院時のオリエンテーションでは、付き添い者に口頭で指導を行い、転落注意の警告文を表示したり呼びかけているが、転落は絶えず発生している状況である。今まで以上に具体的な対策を立案し、実施する必要性を感じた。<BR><B><目的></B>転落防止対策としての写真付きシートを作成し、それを用いて付き添い者への指導を行うことで、付き添い者の意識向上を図り、転落件数を減らす。<BR><B><方法></B>高サークルベッドの使用が必要な、付き添い者のいる0-4歳の入院患児を対象に、従来の指導方法:A群と、写真付きシートを使用した指導方法:B群での転落件数の比較検討と、アンケートによる付き添い者の意識調査を行った。写真付きシートは、乳児の人形を用いて、ベッド柵を正しく使用しないことで今にも転落しそうになっている状況や実際に転落してしまった場面の写真を載せた。入院時に持参して説明後、ベッド柵にかけ、退院時に回収した。付き添い者へのアンケートは、自由意志でありプライバシーは守られる事、同意を頂けなかった場合でも治療に影響しない事を記載し、倫理的配慮に努めた。各120例ずつ回収した。<BR><B><結果></B>転落件数は、A群延入院患者数3003人中9件(1件/334人)から、B群延入院患者数2968人中2件(1件/1484人)と有意に減少した。意識調査に関する質問内容については、「入院中注意してベッド柵を一番上まで上げていましたか」に対して、A群:できた39例(33%)・中段までしか上げていなかった21例(18%)・できなかった60例(49%)、B群:できた41例(34%)・中段までしか上げていなかった27例(23%)・できなかった52例(43%)で、有意差は認めなかった。「入院中、何を見て(聞いて)ベッド柵を一番上まで上げておこうと思いましたか(複数回答可)」については、A群:看護師の説明41%・柵についている警告文33%・掲示板に貼ってある警告文11%・看護師の声かけ8%、B群:看護師の説明31%・写真付きシート24%・柵についている警告文23%・掲示板に貼ってある警告文7%・看護師の声かけ9%であった。<BR><B><考察></B>写真付きシートを用いた転落防止指導で、小児の転落事故が有意に減少した。付き添い者が、実際に転落する場面の写真を見ることで、視覚的に危険性をイメージすることができたと考える。また、入院中常にベッド柵に写真付きシートを掲げ、付き添い者の目に留まるようにしたことで、転落防止について常に意識を持つことができ、付き添い者が代わった場合も転落防止の意識付けになったと考える。意識調査から「柵についている警告文」「看護師の説明」も有効であることが伺え、視覚的な指導方法と組み合わせ、看護師が声かけを繰り返すことも事故防止に有効であった。今後の課題として、今回の取り組みのような視覚的に効果のある説明や指導を十分に行っていくと同時に、小児病棟の入院患児の幅広い年齢層に対応できるような具体的な指導を考えていきたい。
著者
高橋 保雄 森田 昌敏
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 : journal of environmental chemistry (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.455-464, 1998-09-17
参考文献数
15
被引用文献数
5 7

河川水を原水とした水道水では総ハロゲン化消毒副生成物濃度は冬季に最低値 (50μg/l弱) を示した後, 徐々に増加し, 8月に最高値 (200μg/l強) を示した。ハロゲン化消毒副生成物を類別に見ると, ハロ酢酸, トリハロメタンはメジャー成分であり, ハロアセトアルデヒド, ハロアセトニトリル, ハロアセトンは中間成分であり, ハロプロピオン酸, ハロニトロメタンはマイナー成分であった。なお, 中間成分ではハロアセトアルデヒド濃度は必ずハロアセトニトリルより高かった。個々のハロゲン化消毒副生成物を見ると, トリハロメタンではクロロホルムは明白に季節変動を示し, プロモジクロロメタン, ジブロモクロロメタン, プロモホルムの順に濃度は極端に低くなっていた。ハロアセトニトリルではメジャー成分であるジクロロアセトニトリルは季節変動を示し, マイナー成分であるプロモクロロアセトニトリル, ジブロモアセトニトリルは一年中ほぼ一定であった。ハロアセトンではメジャー成分である1, 1, 1-トリクロロアセトンは季節変動を示し, マイナー成分である1, 1-ジクロロアセトンは全く季節変動を示さなかった。ハロアセトアルデヒドではメジャー成分であるトリクロロアセトアルデヒドは季節変動を示したが, マイナー成分であるジクロロアセトアルデヒドは季節変動を示さなかった。ハロ酢酸ではメジャー成分としてジクロロ酢酸, 中間成分としてトリクロロ酢酸, マイナー成分としてプロモクロロ酢酸, ジクロロブロモ酢酸等であった。ハロプロピォン酸では多くは2, 2-ジクロロプロピオン酸, 一部2, 3-ジクロロプロピオン酸であった。<BR>地下水を混合した水道水では総ハロゲン化消毒副生成物濃度は冬季, 夏季で二分し, 約100μg/l~約200μg/lである場合と, 季節間の差が認められず100μg/l弱~約150μg/l強である場合があった。中間成分のハロアセトアルデヒド濃度がハロアセトニトリルより低かった以外では, ハロゲン化消毒副生成物の類別量の順位は河川水を原水とした水道水と同じであった。河川水を原水とした水道水中の個々のハロゲン化消毒副生成と比較して, トリハロメタンではプロムを含有したトリハロメタンが増加し, ハロアセトニトリルではジブロモアセトニトリル, ハロアセトアルデヒドではトリブロモアセトアルデヒド, ハロ酢酸ではジブロモクロロ酢酸が高い濃度で検出されていた。逆に濃度が低かった副生成物としてジクロロ酢酸がある。<BR>高度処理を施した水道水では総ハロゲン化消毒副生成物濃度は季節間の差が認められず, 約50μg/l~約100μg/lの濃度であった。ハロゲン化消毒副生成物の類別量の順位は地下水を混合した水道水と同じであった。そして, 河川水を原水とした水道水中の個々のハロゲン化消毒副生成物と比較して, 全てのハロゲン化消毒副生成物の濃度は低かった。<BR>同一水道水を供給されても, 受水槽・高置水槽を経由した水道水は水道本管からの水道水に比較して, 総ハロゲン化消毒副生成物の濃度は高く, また受水槽・高置水槽中の滞留時間の長い水道水程, 総ハロゲン化消毒副生成物の濃度は高かった。今回調査した受水槽・高置水槽は比較的密閉状態であったので, ハロアセトン以外の類別ハロゲン化消毒副生成物, 及び類別のメジャー成分である個々のハロゲン化消毒副生成物も滞留時間の増加, 即ち有効残留塩素の接触時間に相関して増加していた。