著者
高橋 諒 蓑田 和麻 舛田 明寛 石川 信行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3C4J903, 2019 (Released:2019-06-01)

カスタマーとクライアントのマッチングビジネスを展開するリクルートでは、クライアントの情報をカスタマーに伝達するために日々大量の原稿が作成されている。本論文では、機械学習を用いてそれらの原稿の誤字脱字を検出する方法を提案する。このシステムは主に2つのパートで成り立っている。1つは複数のBidirectional LSTMを用いて各文字に対して誤りがないかの確率を算出するパート。もう一つはそれらの出力値を入力として、文全体で誤りがあるかないかを判定するランダムフォレストアルゴリズムである。この方法の有効性を示すために人工で作成した文と我々のサービスで持つ実データを用いて検証を行った。
著者
高橋 正紘
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.213-221, 2008 (Released:2008-08-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

From numerous clinical investigations and questionnaire surveys, I have obtained the following results regarding Meniere's disease. 1. Patients with Meniere's disease, as compared to the control population, differ little in lifestyles or daily anxieties, but possess significantly (p<0.01) stronger self-inhibition and engrossment. Meniere's disease may be caused by discontent with others' expression of gratitude or appraisal. 2. Low-tone sensorineural hearing loss, which resembles Meniere's disease except in not being associated with vertigo, is a milder form of Meniere's disease that occurs when the causative factors, both personal and environmental, are less severe or more transient. 3. Methods for prevention and therapy of Meniere's disease have been provided by our studies. Patients should be instructed (1) to understand the causative factors, (2) to decrease self-inhibition and not be concerned about others' expression of gratitude or appraisal, (3) to sleep well and to perform aerobic exercises, and (4) to enjoy chatting, singing or hobbies. 4. Long-lasting 60-dB hearing loss recovered to normal hearing in a 66-year-old patient with Meniere's disease after he performed aerobic exercises three times a week for several months. The results in this case suggest that the most important aspect in the treatment of Meniere's disease is increase of the local blood flow, which can be achieved by continuous aerobic exercises.
著者
高橋 正紘
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.727-734, 2010 (Released:2012-08-31)
参考文献数
20
被引用文献数
7

めまい専門施設の4年間のメニエール病患者411名(男性162名、女性249名)に対し、ライフスタイル正常化と有酸素運動を実践し(1回1時間以上を週3回以上)、原則無投薬、月一回の受診の治療を実施した。6ヶ月以上観察した83名で、めまい消失55.4%、ほとんどない27.7%、時々ある10.8%、しばしばある6.0%であった。6ヶ月以上観察した102名129耳で、初診時の低音障害からの改善47.7%、高音障害からの改善33.3%、全音域障害からの改善26.6%であった。固定した高音障害、全音域障害の改善には、非日常的な頻度・量の有酸素運動が必要であった。有酸素運動が内耳局所の循環を改善させ、水腫を改善させると推測された。発症誘因の調査結果を考慮すると、メ病は心身の奉仕や頑張りに対する報酬不足が、情動中枢を介し内耳循環不全を招き、内リンパ水腫を生む可能性が示唆された。
著者
浅田 真理 高橋 光輝 香田 夏雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.9, pp.1-6, 2014-01-16

本研究は VJ (ヴィジュアル・ジョッキー) と呼ばれる即興的映像表現を用いた環境演出への応用の可能性を考察し,実際に展開するための基礎的な位置づけのものである.ここでは筆者が制作したいくつかの研究事例を挙げ,それぞれに対するVJ表現の可能性の考察を行う.事例として,ダンスパフォーマンスとプロジェクションマッピング,Kinect,センサー,AR の組み合わせにインタラクティブな関係性を持たせた環境演出システム Cross Reality 2.0 を用いたライブパフォーマンス,そして横浜駅西口で行われたプロジェクションマッピングの事例を取り上げる.VJ 表現によるリアルタイム性,パフォーマーや観衆がプロジェクション映像に参加できるインタラクティブ性,そしてプロジェクションマッピングのような実際の空間に投影する映像表現を人を取り巻く環境への演出として捉えることで,これまでよりもさらに幅広い視野を持った VJ 表現の可能性を追求したい.This research is a study for a possibility of an application to produce environmental improvisatorial image expression with VJ (visual jockey), and this study focuses on the research for its actual development. We introduce case studies of the author's works and consider the possibility of VJ expression for each case. As the case study, we introduce live performances using environmental production systems called "CrossRealit2.0", which gives interactive relationship with the combination of dance performance, projection mapping, Kinect, sensors, and AR, and we also introduce a case study of projection mapping performed at the Yokohama Station west entrance. The real-time VJ expression, and the interactive property to which the performers and spectators can participate in a projection image enhance the possibility of VJ expression which has a broader view than before by regarding image expression projected on actual space, showing hints of projection mapping as a production for the environment which surrounds us.
著者
峰島 三千男 江口 圭 宍戸 寛治 高橋 進 久保 司 川口 洋 蔀 幸三 柴垣 圭吾 須賀 喜一 長尾 尋智 高田 幹彦 田岡 正宏 佐藤 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.351-360, 2015 (Released:2015-06-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1

透析中の末梢循環障害是正や急激な血圧低下防止を目的に間歇補充型血液透析濾過 (intermittent infusion hemodiafiltration : I-HDF) が考案された. 今回われわれは逆濾過透析液を用いたI-HDFの臨床効果を前希釈法On-line HDF (以下Pre-HDF) と比較するため, 前向き多施設共同臨床研究を実施した. 文書にて同意が得られた患者を同一施設内で2群に割付けし, 並行群間比較を行った. その際, ① 年齢 (±5歳), ② 基礎体重 (±5kg), ③ 糖尿病の有無をマッチングさせ, 36例 (18ペア) を対象とし臨床症状, QOL, 溶質除去などの観点から検証した. その結果, 臨床症状, QOLにおいて両群に有意差は認められなかった. 血液透析からの変更後, I-HDF群, Pre-HDF群とも治療が継続するにつれて収縮期血圧減少率の低下, 処置発生率低下傾向がみられた. また, I-HDFはPre-HDFに比べ中・大分子溶質の除去には劣るもののアルブミン漏出量の少ない溶質除去特性が確認された.
著者
高橋 節子
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.21-36, 2015 (Released:2015-06-30)

This study aims to specify the essential nature of a child-friendly educational environment through an analysis of the Children's Houses for 3- to 6-year-old children planned by Maria Montessori whose philosophy and method have spread all over the world. Based on her theory of how children grow and develop, Montessori designed an educational method along with a unique physical environment in which to put it into practice. In the present study, an intensive content analysis of 12 Montessori's books, consisting of her own writings and dictations of her own lectures, was conducted and revealed: (1) Montessori's grand theory of child development governed her educational method and its physical environment which was essentially planned to evoke and support children's competence and autonomy, (2) The 8 properties of the physical environment, which were indispensable to the education of young children, were identified, e.g., the environment must (a) be attuned to children's body size and their physical and cognitive abilities; (b) be responsive to children's behavior; and (c) activate children's spontaneous activities, (3) These properties were surely embodied in the physical environment in all of the Montessori Children's Houses. What we can learn from Montessori, now and for the future, is discussed.
著者
斎藤 広信 高橋 敦史 阿部 和道 物江 恭子 菅野 有紀子 横川 順子 大平 弘正
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.65-69, 2011 (Released:2011-02-18)
参考文献数
14

症例は65歳,男性.両肩関節痛を認め,近医整形外科で受診し,変形性肩関節症と診断された.1カ月後から両膝・両手首の関節痛も出現し,肝機能異常と貧血も認めたため入院した.免疫グロブリンの低下およびカルシウム値の増加から血液疾患を疑い,骨髄穿刺検査を施行した.骨髄検査ではCD138陽性の異型形質細胞がびまん性に増生し,造血細胞巣の70%以上を占め,頭部レントゲン検査での打ち抜き像,尿中Bence Jones蛋白陽性,血清蛋白免疫電気泳動と併せ,Bence Jones型の多発性骨髄腫と診断した.肝機能異常については,経過から薬物性肝障害は考え難く,自己抗体も陰性で画像所見においても異常所見が無いことから,肝生検を施行した.肝組織所見では,類洞内に骨髄と同様に多数のCD138陽性の異型形質細胞が浸潤し,肝細胞壊死を伴っていた.以上のことから,本例の肝障害の原因は多発性骨髄腫によるものと判断した.肝生検にて骨髄腫が肝障害の原因として診断された症例は稀であり報告する.
著者
中山 雅博 吉村 知倫 芦澤 圭 中馬越 真理子 廣瀬 由紀 星野 朝文 西村 文吾 田中 秀峰 上前泊 功 田渕 経司 大久保 英樹 高橋 和彦 和田 哲郎 原 晃
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Supplement1, pp.s113-s117, 2013-03-05 (Released:2014-03-05)
参考文献数
6

2002年1月から2011年12月までの10年間に当科において初回手術を施行した甲状腺腫瘍38例につき臨床的検討をした。性差は女性に多く, 男女とも50歳代, 60歳代に多かった。組織型は良性11例, 悪性27例であった。良性は全例が腺腫様甲状腺腫で, 悪性は乳頭癌が24例, 低分化癌が2例, 未分化癌が1例であった。主訴は頸部腫瘤が最も多く, 嗄声, 咽喉頭異常感と続いた。手術は良性では葉峡切除を, 悪性では総合的判断により全摘, 亜全摘, 葉峡切除を施行した。頸部リンパ節郭清は気管傍リンパ節と気管前リンパ節の郭清は悪性腫瘍の全例に行った。治療成績は未分化癌の1症例の死亡例以外は, 現在まで生存している。再発症例は6例あった。
著者
孫 明 高橋 照夫 戸次 英二
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.53-60, 1997-07-01
参考文献数
16
被引用文献数
3

本研究は, リンゴ収穫のロボット化を実現するために必要な果実検出の視覚システムを開発しようとするものである。本報では, 2値画像で果実の描画率が80%以上得られることを目標に, 色信号を用いた画像処理法を検討した。果実, 葉, 枝等の色信号濃度ヒストグラムの解析から求めたしきい値で, 収穫時のカラーTV画像に2値化処理を施した。その結果, 赤色系果実に対して色差信号G-Yのしきい値-5を用いると, 順光状態では目標の描画率80%を得られたが, 逆光状態では果実の輝度が低下して目標に達しなかった。黄緑色系果実に対しては, 2原色の差信号R-Bでしきい値30を用いると, 果実の輝度が110以上において描画率80%以上を得られた。ただし, 逆光では目標に達せず, また太陽光の葉面反射で果実と葉との識別を誤ることがあった。
著者
遠藤 達哉 早川 真由 高橋 敬亮 杉山 未紗 齋藤 昭彦 村上 幸士
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>医療用弾性タイツは保存療法として下肢の静脈循環障害や浮腫を伴う疾患へ利用されている。弾性タイツに関する先行研究では,下腿三頭筋に着目した研究が多く,運動時に頻見する走行や跳躍動作で重要となる膝関節伸筋群の研究は少ない。</p><p></p><p>本研究では,若年層における弾性タイツによる効果を膝関節伸筋群に着目し明らかにすることで,走行や跳躍動作を繰り返す運動時や,それらの動作を用いた運動介入において有意義な知見になると考えた。</p><p></p><p>そこで,弾性タイツ着用時と非着用時における膝関節伸筋群の筋持久力の相違について,等速性筋力測定機器を使用して明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>健常男子大学生26名を対象とした。測定肢位は椅子座位で,三角クッションを使用し背もたれが90°になるように設定した。右足関節は底屈位に保持した状態で,下腿の遠位端をパッドで固定し,右大腿部固定時のベルトの圧は対象内での条件を一定にするため80hpaとした。測定範囲は膝関節90°~最大伸展位とした。測定は角速度180deg/secにて,最大努力で30回3セットを行った。筋疲労を考慮しセット間は1分間の休憩を設けた。筋持久力の評価指標は,2セット目の等速運動開始4から8回の最大筋力値の平均に対し,3セット目の終了5回の最大筋力値の平均の差とした。なお1セット目は準備期として除外した。また,測定前後の変化を比較するため安静座位にて大転子と大腿骨外側上顆間1/2部位にて大腿周径を測定。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>弾性タイツ着用群,非着用群の筋持久力の比較では,弾性タイツ着用群において1.43±0.26Nm/kg,非着用群において1.67±0.26Nm/kgであり,弾性タイツ着用群は非着用群と比較し,筋持久力の低下が有意に抑制された(p<0.01)。弾性タイツ着用群は,運動前後で平均0.69±0.20cm有意に増加した(p<0.05)。また,弾性タイツ非着用群は,運動前後で平均0.96±0.14cm有意に増加した(p<0.01)。よって,弾性タイツ非着用群と比較し,弾性タイツ着用群では増加が抑制された。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>筋持久力は筋の有酸素的作業能をさしており,筋への酸素の供給が筋持久力を決定する生理的因子であるため,末梢の血液循環と筋の代謝が大きな影響を与える。筋の血流量が多いほど筋の酸素摂取量が大きく,筋持久力は高い。そのため,弾性タイツ着用群では,末梢の血液循環が向上したと推察する。これにより,筋の酸素摂取量が増加し膝関節伸筋群の遅筋線維への酸素供給の増加が考えられる。また,速筋線維の収縮にともなって生じる乳酸などの代謝産物を速やかに除去できると考える。</p><p></p><p>本研究の結果では,弾性タイツの圧により末梢の血液循環が向上し,筋の酸素摂取量が増加したため,膝関節伸展筋群の筋持久力の低下が抑制されたと考える。</p><p></p><p>今後は本研究の結果を生かし,走行,跳躍などを必要とするスポーツ場面において弾性タイツ着用における効果について検討していきたい。</p>
著者
高橋 美樹
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.46-59, 1992-10-25

本稿は,「異業種交流」,「戦略的提携」など新しい形態の企業間関係の進展を念頭におきながら,これまでの中小企業研究を整理・検討し,現段階で中小企業の企業間関係を分析する上で必要とされる視点・課題を示すものである。なお,本稿では,中小企業研究のうちでも特に「中小工業研究」を取り上げる。結局,現段階で中小企業の企業間関係を分析する上で必要とされる視点は3つに要約できる。第1に,われわれは中小企業成長の事実・可能性を正当に認めなければならないと考える。この場合,中小企業を一義的に「独占資本による収奪の対象」として把握するのは適当でない。第2に必要とされる視点は,中小企業とほかの企業が結ぶ企業間関係に,「支配・従属」関係をア・プリオリに仮定しないという視点である。第3に,以上のような2つの視点に立つならば,中小企業の企業間関係,あるいはそこでの「問題」を分析する上で,「中小」という「企業規模」がどの程度まで意味をもつかを検討する必要がある。現段階の企業間関係を特徴づけるのは,(1)専門技術をもった企業が,環境への適応を目的に,(2)自発的に参加して,自立的・継続的な企業間関係を構築し,(3)その関係が,環境適応の成功を通して,効率性・経済性を発揮するという点にある。われわれは,このような企業間関係を「ネットワーク型産業組織・企業間関係」とよびたい。そして,このような前向きの中小企業観を前提としながら,「問題」を発見し,解明することが重要だと考える。
著者
石山 敏規 高橋 隆行 中野 栄二
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.526-533, 1999-05-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
4 9

The main purpose of this research is to study and develop a robust sonar system for mobile robots. In this way, some researchers have made sonar systems which calculate the cross-correlation between the transmitted signal and the received one. However, as the number of patterns of transmitted signals are practically limited, there would be possible erroneous measurements by sonar sensors, especially when the number of the sensors is increased.In this paper, we theoretically estimate the probability of erroneous measurement by the sonar sensors, which depends on the number of the sensors and the form of the transmitted signal. Then, we designed the shape of the emitted signals so that the probability of having an erroneous measurement is in a defined range.
著者
高橋 英明
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.324, 2011-07-01 (Released:2012-02-02)
参考文献数
79
被引用文献数
2 7
著者
川越 厚良 高田 靖夫 菅原 慶勇 高橋 仁美 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.57-63, 2010-06-30 (Released:2016-09-01)
参考文献数
29

呼吸回数30回に指定した高負荷圧条件による吸気筋トレーニング(IMT)の効果を検証するために,対象者を,高負荷回数群(HF群),中負荷一般群(MC群),低負荷対照群(LC群)の3群に分け,IMTを4週間行い,呼吸機能・筋力・耐久力,運動耐容能の測定を行った.結果,HF群,MC群ともに吸気筋力・耐久力,運動耐容能は有意に増加し,HF群とMC群間に有意差はみられなかった.以上からHF群はMC群と同等の効果を得られ,新しい負荷条件でのIMTの有用性が示唆された.
著者
内田 直希 東 龍介 石上 朗 岡田 知己 高木 涼太 豊国 源知 海野 徳仁 太田 雄策 佐藤 真樹子 鈴木 秀市 高橋 秀暢 立岩 和也 趙 大鵬 中山 貴史 長谷川 昭 日野 亮太 平原 聡 松澤 暢 吉田 圭佑
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

沈み込み帯研究のフロンティアである前弧の海域下において,防災科学技術研究所は新たに日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を構築した.S-netは東北日本の太平洋側の海岸から約200kmの範囲を海溝直交方向に約30km,海溝平行方向に50-60km間隔でカバーする150点の海底観測点からなり,その速度と加速度の連続データが,2018年10月より2016年8月に遡って公開された.観測空白域に設置されたこの観測網は,沈み込み帯の構造およびダイナミクスの解明に風穴をあける可能性がある.本発表ではこの新しいデータを用いた最初の研究を紹介する.まず,海底の速度計・加速度計の3軸の方向を,加速度計による重力加速度および遠地地震波形の振動軌跡を用いて推定した.その結果,2つの地震に伴って1°以上のケーブル軸周りの回転が推定されたが,それ以外には大きな時間変化は見られないことがわかった.また,センサーの方位は,5-10°の精度で推定できた.さらに得られた軸方向を用い,東西・南北・上下方向の波形を作成した(高木・他,本大会).海底観測に基づく震源決定で重要となる浅部の堆積層についての研究では,PS変換波を用いた推定により,ほとんどの観測点で,350-400mの厚さに相当する1.3 – 1.4 秒のPS-P 時間が観測された.ただし,千島-日本海溝の会合部海側と根室沖の海溝陸側では,さらに堆積層が厚い可能性がある(東・他,本大会).また,雑微動を用いた相関解析でも10秒以下の周期で1.5 km/s と0.3 km/sの2つの群速度で伝播するレイリー波が見られ,それぞれ堆積層と海水層にエネルギーを持つモードと推定された(高木・他,本大会).さらに,近地地震波形の読み取りによっても,堆積層およびプレート構造の影響を明らかにすることができた.1次元および3次元速度構造から期待される走時との比較により,それぞれ陸域の地震の海溝海側での観測で3秒程度(岡田・他,本大会),海域の地震で場所により2秒程度(豊国・他,本大会)の走時残差が見られた.これらは,震源決定や地震波トモグラフィーの際の観測点補正などとして用いることができる(岡田・他,本大会; 豊国・他,本大会).もう少し深い上盤の速度構造もS-netのデータにより明らかとなった.遠地地震の表面波の到達時間の差を用いた位相速度推定では,20-50sの周期について3.6-3.9km/sの位相速度を得ることができた.これはRayleigh波の位相速度として妥当な値である.また,得られた位相速度の空間分布は,宮城県・福島県沖の領域で周りに比べて高速度を示した(石上・高木,本大会).この高速度は,S-netを用いた近地地震の地震波トモグラフィーからも推定されている.また,このトモグラフィーでは,S-netの利用により海溝に近い場所までの速度構造がよく求まることが示された(豊国・他,本大会).雑微動解析によっても,周期30秒程度の長周期まで観測点間を伝播するレイリー波およびラブ波を抽出することができた.これらも地殻構造の推定に用いることができる(高木・他,本大会).また,海域の前弧上盤の構造についてはS-net 観測点を用いたS波スプリッティング解析によって速度異方性の特徴が明らかになった.プレート境界地震を用いた解析から,速いS波の振動方向は,海溝と平行な方向を向く傾向があり,マントルウエッジの鉱物の選択配向や上盤地殻のクラックの向きを表している可能性がある(内田・他,本大会).プレート境界においては,繰り返し地震がS-net速度波形によっても抽出できることが示された.プレート境界でのスロースリップの検出やプレート境界の位置推定に役立つ可能性がある(内田・他,本大会).さらに,S-net加速度計のデータの中には,潮汐と思われる変動が観測されるものもあり,プレート境界におけるスロースリップによる傾斜変動を捉えられる可能性があるかもしれない(高木・他,本大会).以上のように,東北日本の前弧海洋底における連続観測について,そのデータの特性が明らかになるとともに,浅部から深部にわたる沈み込み帯の構造や変動についての新たな知見が得られつつある.これらの研究は技術的にも内容的にもお互いに密接に関わっており,総合的な解析の推進がさらなるデータ活用につながると考えられる. 謝辞:S-netの構築・データ蓄積および公開に携わられた皆様に感謝いたします.
著者
加藤 沙織 渡部 美穂 武田 輝美 高橋 俊章
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0888, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】リーチングは,発達過程の様々な場面で頻繁に行われ,姿勢制御の能力を向上させ,奥行き知覚の発達などに寄与する。しかし,脳性麻痺痙直型両麻痺児はスムーズな重心移動が困難であり,代償運動や特異的な運動パターンを用いることが多い。本研究の目的は,痙直型両麻痺児者のリーチング動作時の各身体部位の運動角度と移動距離および重心移動を定量化し代償運動を明らかにすること,リーチング促通の介入ポイントを検討することである。【方法】脳性麻痺痙直型両麻痺児者(年齢15.6±6.3歳,両麻痺群)7名,健常成人(対照群)8名を対象に座位前方へ利き手側のリーチングを行った。両麻痺群は自力,他動的骨盤前傾操作,体幹伸展操作の3条件,対照群は自力の1条件で行った。ハイブリッド高速度カメラを使用して,頭部,C7,Th7,S1,ASIS,大転子,外側裂隙,肩峰,尺骨茎状突起の移動距離・速度,頸部・体幹・股関節の運動角度を算出した。また,重心動揺計を用いて軌跡長・単位軌跡長を計測した。統計処理は,3条件のパラメータの比較には一元配置分散分析及びTuker法,両麻痺群と対照群の比較は対応のないt検定,尺骨茎状突起と各身体部位の移動距離との関係をPearsonの相関係数を用いて検討した。統計ソフトはSPSSver.22を用い,有意水準は5%とした。【結果】自力リーチングにおいて,両麻痺群は対照群より,移動距離は頭部,C7及び尺骨茎状突起が有意に長く,ASISは有意に短かい(p<0.05)。また,股関節屈曲角度は有意に小さく,上・下部体幹屈曲角度は有意に大きかった(p<0.05)。また対照群は尺骨茎状突起と外側裂隙,頭部,Th7,C7の移動距離に高い相関(それぞれr=.51,r=.64,r=.69,r=.76,p<0.01)があり,両麻痺群は頭部にのみ高い相関があった(r=.78,p<0.05)。骨盤操作の場合,体幹操作より各部位の速度の増加,軌跡長や単位軌跡長が増加し,体幹伸展は小さい傾向があった。また,尺骨茎状突起と頭部,Th7,C7の移動距離に高い相関(それぞれr=.76,r=.84,r=.87,p<0.05)があった。体幹操作の場合,骨盤操作より頸部伸展角度及び上部体幹屈曲角度は減少し,軌跡長は有意に小さかった(p<0.05)。尺骨茎状突起とASIS,頭部,S1,Th7,C7の移動距離に高い相関(それぞれr=.84,r=.84,r=.85,p<0.05。r=.91,r=.94,p<0.01)があった。【結論】下部体幹や骨盤周囲の筋緊張が低下している両麻痺児のリーチングの代償運動は,骨盤の運動性低下のため,肩甲帯や上肢を過剰に前方に移動し,目標物を目視するために頸部は過剰に伸展する傾向がある。よりスムーズな重心移動や遠い場所へのリーチングを促通するための理学療法ポイントは,リーチングと骨盤運動を連動させるための体幹操作が有効であり,少ない重心移動でリーチングが可能になることがわかった。