著者
齊藤 正彰
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.1-56, 2021-03-31
著者
菊池 城治 雨宮 護 島田 貴仁 齊藤 知範 原田 豊
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.34, pp.151-163, 2009-10-20

警察や一般市民の間で,声かけなどのいわゆる不審者遭遇情報は,より重篤な性犯罪などの前兆事案として捉えられているものの,実証的な研究はこれまでなされてきていない.本研究では,犯罪学における近接反復被害の分析手法を応用し,声かけなどの不審者遭遇情報とその後の性犯罪発生との時空間的近接性を検証する.A都道府県警察における3年間の不審者遭遇情報(1,396件)と屋外での性犯罪(599件)の認知データを地理情報システム(GIS)とシミュレーション手法を用いて時空間的に解析したところ,声かけなどの不審者遭遇情報と性犯罪は時間的にも空間的にも近接して発生していることが分かった.具体的には,声かけなどの不審者遭遇情報発生後,少なくとも1ヶ月にわたって発生地点から1kmの範囲において性犯罪の発生件数が有意に高いことが示された.この結果に基づいて,本研究の限界を踏まえつつ,実証データに基づく警察活動への考察を行う.
著者
赤羽根 良和 永田 敏貢 齊藤 正佳 篠田 光俊
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11080, (Released:2016-12-22)
参考文献数
12

【目的】肩関節周囲炎に続発する夜間痛の臨床的特徴を明らかにするため,非夜間痛群,夜間炎症群,夜間拘縮群で比較検討した。【対象】対象は肩関節周囲炎100 例であった。対象の肩関節X 線正面像からAHI,HHD,AHI/HHD 比,GHA を測定し,肩関節可動域は屈曲,外旋,内旋角度を測定し,それぞれで比較した。【結果】AHI,HHD,肩関節屈曲可動域は3 群間で有意差を認めなかった。非夜間痛群と比較して夜間拘縮群は外・内旋域が減少し,GHA が増大していた。また,非夜間痛群と比較して夜間炎症群はAHI/HHD 比が減少し,GHA が増大していた。夜間炎症群と比較して夜間拘縮群はGHA が増大していた。【結論】夜間炎症群および夜間拘縮群は肩甲骨が下方回旋位となっていた。また,夜間痛の発症が炎症を起因とした場合は,肩関節可動域の回旋域が比較的保たれていた。しかし,拘縮を起因とした場合は,肩関節の回旋可動域が減少することがわかった。
著者
白石 直人 齊藤 圭司 田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.862-866, 2017-12-05 (Released:2018-09-05)
参考文献数
11

熱力学は理工系の大学生のほぼ全員が学ぶ基礎的な物理学の分野である.第一法則と第二法則を中心にした独自の論法から非自明で実用的な結論が導かれる様子に感銘を受けた人も多いだろうし,一方で,力学や電磁気学とは違って曖昧模糊としたマクロな対象を扱う奇妙な学問だと感じた人もいるだろう.いずれにせよ,熱力学は遠い過去に完成された学問であり,その周辺には研究すべき素材など残されていないと思っている人がほとんどだろう.しかし,実際には,熱力学に関わる未解決問題は数多く残されていて,現代的な研究の対象にもなっている.本稿では,その一例として,熱力学の定番の対象である熱機関に関する我々の新しい定理を紹介する.我々は,おそらくカルノーの時代から多くの人が抱いただろう「許される最大の効率であるカルノー効率を達成し,かつ仕事率がゼロでない熱機関は可能か?」という疑問に対して「不可能だ」という一般的かつ決定的な結論を得たのである.熱力学の教科書に登場するような一般的な熱機関を考えよう.高温の熱浴から熱を吸収し,低温の熱浴に熱を放出し,吸熱量と発熱量の差を力学的な仕事として外に取り出す装置だ.熱機関は石炭による火力発電などで今も用いられている.効率(吸収した熱のうち仕事として利用された割合)は熱機関の性能を表す重要な指標である.熱力学で学んだように,効率は熱浴の温度だけで決まるカルノー効率を決して超えない.一方,実用性を考えると,仕事率(単位時間あたりに生み出される仕事)も重要な指標である.有名なカルノー機関の場合,効率は望みうる最大のカルノー効率を達成するのだが,準静的過程を用いるため仕事率の方はゼロになってしまう.これでは使い物にならない.この状況は,効率を高くしたために仕事率が犠牲になったように見える.これはどのくらい一般的なことなのだろうか? 物理法則が許す範囲で,ありとあらゆる仕掛けを用い,様々な賢い工夫をするとして,効率はカルノー効率に一致するが仕事率はゼロにならないような熱機関を設計できるだろうか? 我々はこの自然な疑問を解決した.我々は,一般的な熱機関の効率と仕事率がきれいなトレードオフの関係を満たすことを証明し,その帰結として,このような「夢の熱機関」は決して作れないことを示したのである.この結果の背景には非平衡統計力学の研究の蓄積がある.そもそも,この研究では「マクロな系をマクロな視点から扱う」という熱力学の方法を離れ,無数の微小な粒子についての古典力学とマルコフ過程によって熱機関を記述している.このようなモデル化の方法はアインシュタインのブラウン運動の理論以来の長年の研究に支えられている.さらに,今回の結果が可能になったのは,非平衡統計力学の分野でこの20年ほどの間に急激に進展した「ゆらぐ系の熱力学」についての知見があったからだ.ゆらぎの定理,ジャルジンスキー等式などのキーワードを目にしたことがあるかもしれない.これらのテーマに関連して深められたエントロピー生成率の概念などが我々の仕事でも重要な役割を果たしている.「ゆらぐ系の熱力学」の従来の研究の多くはミクロな系で意味を持つ新しい物理を指向していたが,本研究のように,ミクロな視点に立つ非平衡統計力学からマクロな系のマクロな性質を議論する方向もこれからさらに発展していくことを期待している.
著者
楠見 孝 西川 一二 齊藤 貴浩 栗山 直子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.265-275, 2020-10-10 (Released:2020-10-15)
参考文献数
12

本研究の目的は,プログラミング教育の授業実践に対する小中学校教員の意欲とその規定因を解明することである.小中学校教員633人にWeb 調査を行った結果,プログラミングを教える機会をもちたい小学校教員は1/3であった.残りの2/3の教員に,教える機会をもちたくない理由を尋ねたところ,半数の教員がプログラミングについてよく知らないこと,他の仕事が忙しいことをあげていた.回答者のうち,コンピュータ不安をもつ者は3割,コンピュータを苦手とする者は半数であった.パス解析によって,プログラミング教育の授業実践に対する意欲の規定因を分析した結果,(a)プログラミングスキルが高いことが人-AI の協働社会への肯定的認知に影響し,教育効果への期待を高め,教育に関与する意欲を高めていた.一方,とくに,小学校教員では,(b)プログラミングスキルの低さが,コンピュータ不安や固定的マインドセットを介して,教育への関与の意欲を低下させていた.
著者
齊藤 昇 依岡 秀典 江渕 喜徳 土居 義典 小沢 利男 森木 利昭 原 弘
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
動脈硬化 (ISSN:03862682)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.997-1003, 1987-08-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
13

One female inpatient, K. N., aged 57 years, suffered from liver cirrhosis, hypothyroidism, hypoadrenalism and bleeding tendency. After admission she received the administrations of diuretics such as furosemide and spironolactone to improve her anasarca, and also those of levothyroxine and prednisolone to fill up the deficient thyroid or adrenal functions.Slight to moderate elevations of transaminase activities, alkaline phosphatase activity of total bilirubin and increased gamma globulin concentrations were observed in this case, while low levels of triiodothyronine, total thyroxine, cortisol or urinary 17-hydroxycorticoid.Serum LCAT activity was extremely decreased, that was, 16nmol/ml/hr. She also had extremely low levels of serum lipids or apoproteins. For examples serum total cholesterol was 16mg/dl, triglyceride 18mg/dl, HDL-cholesterol 8mg/dl, phospholipid 27mg/dl, apoproteins A-I, C-II or C-III 0mg/dl, A-II 2.8mg/dl, B 10mg/dl and E 0.8mg/dl. VLDL-Chol, VLDL-TG, VLDL-PL and LDL-TG were smaller in the proportions of lipoprotein fractions, while HDL-TG, LDL-Chol and LDL-PL larger.One rare cirrhotic case with extremely low levels of serum lipids, apoproteins or lipoprotein fractions were shown in this article.
著者
齊藤 有里加 下田 彰子 梶並 純一郎 小川 義和
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.493-496, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
3

理系学芸員課程の授業教材として,モバイル端末アプリケーションiNaturalistを使った体験を実施した.演習は国立科学博物館付属自然教育園で行われ,動植物の管理,保存,活用についてレクチャーと,植生管理のための生物モニタリングの試みとしてiNaturalistのシステムを紹介し,「バイオブリッツ」を体験し,ディスカッションとアンケートを行った.本発表では,大学生がiNaturalistを操作し,博物館資料として野外生物情報を習得し,公開するまでの過程を紹介し,野外博物館の資料特性理解の効果について考察する。
著者
内海 健太 齊藤 智
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.349-366, 2016 (Released:2018-03-21)
参考文献数
67

The goal of this review paper is to elucidate prospective memory (PM) mechanisms by identifying the roles of inhibition. Recently, inhibitory functions in PM have become of interest, but little is known about them. Previous studies examining the relationship between PM and inhibition can be broken into two categories: (1) studies that have examined the relationship using analyses based on the correlation of scores in related tasks and (2) studies that have employed experimental manipulations and have focused on inhibition that actually functioned in the PM remembering process. In reviewing these studies, we have found that both response inhibition and representation inhibition are involved in PM. Based on these results, we suggest that PM involves two control processes and that the separate inhibitory mechanisms apply to each of the control processes. This cognitive psychological hypothesis is supported by neuroscience studies. Finally, we argue that this distinction in the roles of inhibition is important for the development of PM theory.
著者
齊藤 由倫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.55-64, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
28

ごみ減量に関する意識高揚を目的に,市民アイデアコンテストが日本各地で行われている。本研究は,その応募作品から主要な応募者の意識を発掘できるかを実証分析するため,群馬県主催のコンテストを対象に応募作品のテキストマイニング分析を行った。応募者の 8 割超を占めた小学生の作品に焦点を絞って分析した結果,多くの小学生がもつ理解として,頻出名詞の「紙」「服」「ペットボトル」「皮 (食品廃棄として)」が指すごみへの問題意識が強いこと,ごみ種別ごとにリデュース,リユース,リサイクルのどれを推進すべきかの認識の強さが異なることが明らかとなった。一方,コンテストの一般的な審査による得点と抽出語の関係分析からは,言語的に他と類似しない一部の独創的な作品が高評価を得て入選しやすい特性が示された。したがって,応募者の多数意見を捉えることのできる本論の手法は,既存のコンテストに新たな付加価値を見出せることが期待された。