- 著者
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齊藤 邦行
速水 敏史
石部 友弘
松江 勇次
尾形 武文
黒田 俊郎
- 出版者
- CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
- 雑誌
- 日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.2, pp.169-173, 2002-06-05 (Released:2008-02-14)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
-
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岡山大学農学部附属農場の水田において,水稲品種日本晴を供試して有機栽培を1990年に開始し,7~9年目の3ヵ年に米飯の食味と理化学的特性を比較した.試験区は基肥に完熟堆厩肥と発酵鶏糞を用い,農薬施用の有無により有機・無農薬区(油粕追肥),有機・減農薬区(除草剤,油粕追肥),有機・有農薬区(除草剤+殺虫殺菌剤,化学肥料追肥),さらに化学肥料のみ用いた慣行区(除草剤+殺虫殺菌剤)の4区を設定した.食味官能試験の結果,3ヵ年の平均でみると総合評価と粘りは慣行区に比べ,有機・無農薬区,有機・減農薬区との相違は小さかったが,有機・有農薬区の食味は劣った(粘りのみ有意).有機・無農薬区の総合評価は慣行区に比べ1996年には劣り,1997年には優り,1998年にはほぼ等しかったことから,有機質肥料の施用による食味の向上や,農薬施用の有無が食味に及ぼす影響は明確には認められなかった.1997年に,各試験区の一部について無施肥栽培を行ったところ,いずれの区でも総合評価は向上し,これには精米のアミロース含有率ではなくタンパク質含有率の低下とアミログラム特性の向上により粘りの増加したことが関係すると推察された.さらに1998年には,実肥施用を行わず基肥を増施することにより,有機・無農薬区,有機・有農薬区では精米のタンパク質含有率の低下とともに総合評価が向上した.以上の結果,有機質肥料を用いて良食味米の生産を行うには,穂肥・実肥における肥効発現に留意し,登熟期に窒素吸収を抑制することが重要であると結論された.