著者
山下 俊一 高村 昇 中島 正洋 光武 範吏 サエンコ ウラジミール 大津留 晶
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

ベラルーシにおける連携研究拠点を基盤としつつ、同時に被ばく集団のコホートをウクライナでも確立、当研究における分子疫学調査は世界でも唯一無二のコホートとなり、その学術的意義は極めて大きい。これにより、散発性甲状腺癌の発症関連遺伝子であるNKX2-1近傍のSNPは、放射線誘発癌との関連は否定的となった。さらに2011年は東日本大震災における福島第一原発事故のため、申請時の計画に加え、震災対応のために、当研究における国際連携ネットワークを活用、チェルノブイリ原発事故で得られたエビデンス、経験を福島での震災対応に活かすことが出来ている。
著者
保坂 稔
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学総合環境研究 (ISSN:13446258)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.15-23, 2008-03

The impact of environmental thought among Nazis has not always been considered with relation to the German Environmental Movement thus far. One of the causes of this is related to the influence of the 1970s. The seventies had a major impact on environmental thought. For example, Stone, Naess, and Singer were active at that time. Therefore, I believe that environmental thought before the 1970s has been underestimated. However, many studies show that the laws for the protection of nature during the Nazi Regime were in fact relatively advanced. Furthermore, the Green Party in Germany today is influenced by Anthroposophy. This paper examines the impact of environmental thought among Nazis on the German environmental movement.
著者
若木 太一
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学総合環境研究 (ISSN:13446258)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.A1-A14, 2007-08

長崎諏訪神社に伝来する謡曲「諏訪」の諸本を検討し、本文と構成、作者と成立時期、および本曲の主題と時代的背景を考察する。「諏訪」の本文を翻刻紹介し注釈を行う。また作者を能役者早水治部と伝承する根拠を掲げ、あわせて諏訪神社の能楽上演の歴史的記録を付す。
著者
大庭 伸也
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大型ゲンゴロウ類の仲間の多くは絶滅の危機に瀕している。ゲンゴロウとクロゲンゴロウの個体数は減少しているが、それらの近縁種のコガタノゲンゴロウ(コガタノ)は増加傾向にある。諸形質について種間で比較したところ、コガタノは他の2種に比べ、①高温下で幼虫の生存率及び成長速度が高まること、②成虫は活発に飛翔すること、③地域間(本州から南西諸島)で遺伝的変異がほとんどないことが判明した。以上の結果から、近年の地球温暖化の影響でコガタノが増加し、成虫は高い移動分散能力を持つことから、過去に減少または絶滅した地域へと再定着していると考えられた。
著者
河野 哲也 福島 千鶴 松瀬 厚人 土田 朋子 尾長谷 靖
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

現代の食生活において、世界的な肥満の増加と健康意識の高まりから、カロリー摂取量を抑制する目的でゼロカロリーの人工甘味料が広く用いられている。一方で、カロリーを抑制するために用いているにも関わらず、人工甘味料摂取が逆に肥満や2型糖尿病のリスクを上げることが報告されており、その健康への影響が注目されている。本研究の喘息モデルマウスでは容量依存性にアスパルテーム投与でアレルギー性気道炎症の亢進を認めていた。今回の研究により、人工甘味料:アスパルテームは既存の気管支喘息のアレルギー性気道炎症を増悪させるだけでなく、それ自体が気道炎症惹起のリスクになると考えられた。
著者
内藤 芳篤 六反田 篤 分部 哲秋 松下 孝幸
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.人骨の発掘収集(1)長崎県対馬の上県郡峰町佐賀貝塚および壱岐の石田町大久保遺跡から合計7体の人骨を発掘収集し, 復原した.(2)対馬佐賀貝塚の縄文人骨および壱岐大久保遺跡の弥生人骨についてマルチン氏の方法により人類学的計測を行なうとともに, 長崎大学および他大学保管の両時代人骨と比較検討した.2.人骨の形質(1)対馬の縄文人骨, 男性における脳頭蓋の長幅示数は80.54で, 短頭型に属していた. 顔面頭蓋では, 上顔高が64mm, 中顔幅が103mmで上顔示数は62.14であった. 歯の咬合は鉗子状咬合であったが, 風習的抜歯は確認できなかった. ピアソン氏の方法による大腿骨からの推定身長は160.83cmであった. 他地方縄文人骨との比較では, 九州本土の縄文人骨と酷似し, 津雲, 関東の縄文人骨とも比較的近似していた.(2)壱岐の弥生人骨, 頭蓋諸径が著しく大きく, 男性における脳頭蓋の長幅指数は79.29で中頭型に属していた. 顔面頭蓋では, 上顔高が72mm, 中顔幅が119mmで, 上顔示数は60.50であった. また鼻根部は陥没し, 縄文人的形態をとどめていた. 歯の咬合は鉗子状咬合で, 右側上顎犬歯に風習的抜歯が認められた. 推定身長は158.20cmであった. 他地方弥生人骨との比較では, 低身・低顔を特徴とする西北九州の弥生人骨と近似し, 長身・高顔を特徴とする北部九州・山口地方の弥生人骨, あるいは朝鮮半島の同時代人骨とは異なっていた.3.今後の方針壱岐・対馬は地理的にみて人類学上きわめて重要な地域であり, 今後さらに人骨資料の収集, 研究につとめたい.
著者
植田 弘師 松永 隼人 永井 潤 水田 賢志 田中 義正 水谷 龍明 内田 仁司
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

LPAシグナルは神経障害性疼痛、線維筋痛症モデルの形成と維持機構の共通鍵分子である事を明らかにし、創薬標的分子に対する阻害剤探索やin slico解析、最適化合成を行った。慢性疼痛は免疫系を含む複数のフィードフォワード機構により構成されることを見出したので、特異的薬剤処置やLPAプライミングした培養アストロサイト、iPS細胞、T細胞をin vivo疼痛機構に再構成する研究を実施した。その結果、ミクログリアLPA3受容体-サイトカインによる形成・維持機構、アストロサイトLPA1受容体-ケモカインによる維持機構が主な仕組みであることが明らかになった。
著者
高村 昇 平良 文亨 折田 真紀子 高橋 純平
出版者
長崎大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本研究で明らかにすることは、1)チェルノブイリ周辺地域における甲状腺超音波所見の自然史と、2)甲状腺がんの自然史およびその長期的予後、である。研究代表者が20年以上にわたって共同研究を行ってきたジトーミル州立診断センターでは、2006年からは現在福島県民健康調査で使用されている超音波装置と同じ機器を使用して甲状腺超音波検査を実施し、全ての受診者の画像を経年的に保存している。本研究では、事故(1986年)前に生まれ、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくをうけた群(被ばく群)と事故後に生まれ、甲状腺の内部被ばくを受けていない群(非被ばく群)の両群における初診時の画像を、福島県民健康調査の甲状腺検査の診断基準に合わせて分類(A1、A2、B)し、それぞれの群の画像を前向きに解析していくことで、甲状腺超音波所見の自然史を明らかにしていくと同時に、被ばく群と非被ばく群における所見の違いの有無についても解析を行った。その結果、被ばく群と非被ばく群において、甲状腺超音波所見に差異があったが、年齢で調整することによって有意差は消失することを明らかにした。すでに結果を取りまとめて論文を執筆し、国際専門雑誌に投稿している。今後は、甲状腺がんと診断された症例については、診断される以前の画像を後ろ向きに解析することで、甲状腺がん超音波所見の自然史を明らかにしていく。放射線被ばく群と非被ばく群における所見の違いの有無についても明らかにすると同時に、甲状腺がん症例の手術後の経過について前向きに解析することで、甲状腺がんの長期的予後についても明らかにする。
著者
高橋 達也
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1993年から1997年まで、マーシャル諸島甲状腺研究(The Marshall Islands Nationwide Thyroid Disease Study)によって、現地で医学的・疫学調査が行われた。具体的には、甲状腺疾患に対する臨床理学的検査、超音波検査、穿刺吸引細胞診、癌が疑われる症例に対する外科手術、及び外科手術標本に対する病理組織学的検討が実施された。また、甲状腺機能検査として、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモン(T3、T4)、及び抗甲状腺自己抗体が測定された。さらに、随時尿のヨード排泄量も測定された。今回、その研究の結果を踏まえて放射線による甲状腺癌発生とヨード欠乏について検討した。ヨード欠乏は、甲状腺結節のリスクであることは広く知られている。そこで、尿中のヨード濃度を研究調査に参加した364人の成人と、69人の子供の随時尿について測定した。また、代表的な食物についてヨード含有量を測定した。マジェロ在住の309人では、正常だったのは25%で、他はすべてヨード欠乏状態だった。特に、3人(1%)は、重度の欠乏状態だった。この中での、甲状腺結節発生頻度を見るとヨード欠乏群は女性で、正常群の3倍の発生率だった。しかし、男性ではこの傾向はなかった。外洋に孤立するリキエップ環礁での成人55人では、正常はわずか5人(9%)で残り90%以上は、ヨード欠乏であった。このうち7人(13%)は、重度欠乏であった。甲状腺結節の発生は、女性では1.2倍であった。本研究によって、今までは予想もされていなかったほど高頻度(30%以上)の中等度-重度ヨード欠乏が認められた。この、マーシャル諸島での食生活上の問題の原因は、不明である。しかし、放射線被曝による甲状腺結節発生を修飾している可能性が大きく、今後の継続した研究が必要である。
著者
山下 俊一 鈴木 啓司 光武 範吏 サエンコ ウラジミール 大津留 晶
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

正常ヒト甲状腺初代培養細胞から多分化能幹細胞様細胞を誘導することに成功した。詳細な検討から、甲状腺細胞のリプログラミングや上皮-間葉転換が、発癌時の癌幹細胞の発生に関与している可能性が示唆された。甲状腺癌発症関連遺伝子のひとつと考えられているFOXE1の、癌組織における発現パターンの変化も明らかにした。また、日本人症例でFOXE1、NKX2-1近傍のSNPsが甲状腺癌発症と関連することを明らかにし、これは本邦にとって重要な結果である。さらに、分子標的剤Imatinib が、従来の化学療法・放射線治療時のNF-kappaB活性上昇を抑制することを見出し、予後不良な甲状腺未分化癌の新規治療法となることが期待された。
著者
岩永 正子 Nader Ghotbi 小川 洋二 乗松 奈々 山下 俊一
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.266-270, 2006-09

近年18-Fポジトロン放出放射性同位核種を用いたPET(positoron emission tomography)およびPET/CTが悪性腫瘍などの臨床画像診断分野で急速に普及している。しかし,日本と欧米ではPET(PET/CT)の臨床応用に極めて異なる点がある。欧米ではPETは主として確定診断・ステージング・治療後フォローアップなどの癌診療に適用されているが,日本ではそういった癌診療以外に,無症状の健康人に対する癌検診の適用が20%も占めていることが特徴である。PETガン検診の急速な普及の背景には,PET検診センターと旅行会社がタイアップした「PET検診ツアー」ブーム,「数ミリの極微小のがんが発見でき,これまでの検査より癌の発見率が高い」「被曝線量は2.2mSvと年間に受ける自然被曝線量よりも低く安全」という偏った情報のみがマスメディアで過剰宣伝されていることなどが考えられている。日本では以前から医療用被曝の割合が高いことが知られ,PET/CTによる癌検診の普及により新たな医療被曝の増加が懸念される。PET検査の18-Fから出るγ線のエネルギーは高く(511 KeV)被検者だけでなく介護者・医療スタッフの職業被曝の問題もある。PET(PET/CT)の臨床腫瘍学における検査の妥当性・有効性については欧米から多くの報告があるが,PET(PET/CT)による一般健康人の癌検診(いわゆるマス・スクリーニング)は欧米では行われていないこともあって,その妥当性と放射線被曝について評価した研究は非常に少ない。そこで我々は,既知論文・PETモデルセンター・日本人癌罹患率などのデータをもとに,無症状の一般健康人を対象にしたPET(PET/CT)癌検診の検査の妥当性と放射線被曝線量を評価した。
著者
正本 忍
出版者
長崎大学
雑誌
多文化社会研究 (ISSN:21891486)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.103-124, 2015-03-01

This article examines the matters of personnel and organizational management put into practice by the crown in Old Regime France through the analysis of personnel transfers of police officers between different brigades of the mounted police troops (Marechaussee) in Upper-Normandy between 1720 and 1750. Personnel relocation policy was introduced in the mounted police after its total reorganization of 1720. The crown gave consideration to policemen's personal wishes to move to another brigade, but it could not force all of its members to move. Thus relocation did not function properly as a way to manage personnel matters and was not necessarily efficacious way in administering the troops of the mounted police.
著者
高村 昇 林田 直美 松田 尚樹 中島 正洋
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

チェルノブイリ事故後、小児甲状腺がんが激増したが、甲状腺がんと甲状腺結節との発生頻度には地域ごとに強い相関があることも示された。そこで我々は、ジトミール州において、事故後のスクリーニングで甲状腺結節を指摘された住民(結節群)と、甲状腺異常を指摘されていない住民を対照群として追跡スクリーニングを行い、甲状腺結節の長期的予後についての臨床疫学研究を行った。その結果結節群では結節数、径ともに有意に増加していたのに対し、対照群では結節の発生は認められなかった。細胞診での悪性は結節群の3例のみであったが、悪性の可能性が否定できない判定困難例を併せるとその割合は対照群より有意に高かった。
著者
加藤 克知
出版者
長崎大学
雑誌
保健学研究 (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-17, 2009-03

南米古代アンデス社会におけるヒト頭部の変工または加工に関係する風習的事象,「人工頭蓋変形」,「生体頭蓋穿孔(開頭術)」および「首狩りと首級」という3つのテーマについて,筆者のデータを交え形質人類学の観点から解説した.それぞれは古代アンデス社会に深く浸透し,おおむねアンデス文明成立当初からインカ帝国滅亡の日まで,社会の中で連綿と生き続けた.ペルーの考古学の父であるJulio C. Telloは,古代アンデス社会においては,頭部は宗教的シンボル,権力のシンボルであり,最も高貴な神格をもったものであった,と述べた.つまり,これらの頭部関連風習の原点は,古代アンデス社会における頭部崇拝の宇宙観にあったと考えられる.
著者
谷山 茂人 柴野 啓輔 ニー ライミトナ 篠原 充 高谷 智裕 荒川 修
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大學水産學部研究報告 (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.1-3, 2010-03

これまでシロサバフグは一般に無毒種とみなされてきたが、萩市近海産同種の肝臓266個体の毒性を調査したところ、6.0%の個体に2.0MU/g以上のマウス毒性が認められた。毒力は総じて低く、いずれも10MU/g未満であった。日本近海産のシロサバフグは微量ながら肝臓に毒をもつことがあり、食品衛生上注意を要することが示された。
著者
山下 俊一 高村 昇 中島 正洋 サエンコ ウラジミール 光武 範吏 鈴木 啓司
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

チェルノブイリ周辺の海外連携研究拠点並びに欧米共同研究機関と共に放射線誘発甲状腺がんの分子疫学調査を以下の項目で推進した。特に、国際社会における専門家交流と学術研究成果の新知見などの意見交換ならびに今後の調査研究推進について国際交流実績を挙げた。① 7月3~5日:ジューネーブにて開催されたThe 15th meeting of WHO REMPANに参加し、チェルノブイリと福島の教訓と今後の研究に向けた協議を行った。8月28~29日:カザフスタンでの第12回国際会議“Ecology, Radiation and Health”、11月22~23日:台湾での第32回中日工程技術検討会、平成30年2月3~4日:長崎での第2回3大学共同利用・共同研究ネットワーク国際シンポジウム、3月2日:ベラルーシにて開催された国際甲状腺がんフォーラム、3月5日:ロシアのメチニコフ国立北西医科大学での世界展開力強化事業に関する調印記念シンポジウム等に参加し、放射線と甲状腺に関する研究成果を発表した。② 共同研究者として平成29年5月~平成29年10月までベラルーシ卒後医学教育アカデミーよりPankratov Oleg先生を客員教授として招聘し、小児甲状腺がん全摘手術後の放射性ヨウ素内用療法の副作用研究を行い、平成29年11月~平成30年3月までロシア・サンクトペテルブルクより北西医科大学のVolkova Elena先生を客員教授として招聘し、内分泌疾患の臨床疫学研究と、日露両国における診断治療法の違いについての比較研究を行なった。チェルノブイリ周辺諸国より6名の研修生を7月13日~8月16日まで受け入れた。サンプリング収集と解析については、チェルノブイリ現地における大規模コホート調査研究を推進し、生体試料収集保存管理のバイオバンク構築維持を引き続き継続している。
著者
野崎 剛一
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

鶏卵の輪郭を観察すると卵の左右に差が生じていることが観察される。鶏卵の左右回転方向が雌雄に大きく関与しているという仮説を立てた。卵の歪み計測で卵の捩れを検出するために、卵の全輪郭を捉える3台のカメラ構成による計測システムを考案した。卵の捻れ方向を解析すると、卵の歪みや傾きは、振り子の強制振動と同じリミットサイクルと酷似している。この特性は、卵の回転方向が雌雄で逆、つまりメス卵は右に回転し、オス卵は左に回転しているものと想定される。3面撮影のプロトタイプシステムの構築と検証を行い、実現すれば、採卵鶏種のオスひな殺処分問題の解決につながり、鶏卵を孵化前に食料、ワクチン開発の需要に使える道が開ける。
著者
山下 俊一 大津留 晶 高村 昇 中島 正洋 光武 範吏 難波 裕幸
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

チェルノブイリ原発事故後激増した小児甲状腺がんの成因と長期健康影響を明らかにする研究目的で、すでに確立した海外拠点との学術交流による分子疫学調査を計画的に推進することができた。特にWHOやNCRP、EUなど欧米の放射線安全防護に係わる国際プログラムに積極的に参画し、低線量被ばくのリスク評価・管理について交流実績を挙げた。旧ソ連3ヶ国(ベラルーシ、ウクライナ、ロシア)における放射能汚染地域の住民データ、生体試料の収集から遺伝子抽出活動を継続し、放射線誘発甲状腺がん疾患関連遺伝子群の探索を行い、候補遺伝子のSNPs多型を解析した。その結果、DNA損傷修復酵素、がん抑制遺伝子群のSNPsの交洛関係を見出した。同時にChernobyl Tissue Bankという国際共同研究体制の運営に継続参画し、放射線誘発甲状腺がんの潜伏期や被ばく時年齢、病理組織像などの違いを詳細に検討し、臨床像の特徴についての解明を試みた。その結果、放射線被ばくによる甲状腺癌は非被ばくの散発性甲状腺がんと比較してもその予後や再発率に大差なく、通常の診断治療指針の遵守による生命予後の良さを明らかにすることができた。網羅的遺伝子解析の途中結果では疾患感受性遺伝子SNPs候補を見出している。上記研究成果は国内外の学会で報告すると同時に、WHOなどの低線量被ばく安全ガイドラインへの取組に保健医療行政上からも貢献している。放射線の外部被ばくによる発がんリスクだけではなく、放射性ヨウ素類の選択的甲状腺内部被ばくにより乳幼児・小児期被ばくのリスクが明らかにされ、今後の原発事故対策や放射線安全防護基準策定の基盤データの整備につながり社会的波及意義が大きいと期待される。
著者
横尾 美智代
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

昨年度は少人数のインタビューや参与観察を中心に調査を実施した。その結果明らかになった問題点について、本年度はさらに集団を対象に身体影響やライフスタイルに関する自記式質問紙調査を実施した。また一方でパソコン使用に伴う身体影響について、客観的指標(血圧)を用いて測定した。データ入力、解析等の作業は長崎大学医学部5年生9名(大西翼、小竹源紀、梅津久、榊原聡介、山内祐介、山口麻紀、和田英雄、吉村映美、伊藤暢宏)の協力を得た。自記式質問紙調査は、60歳以上の高齢者116名(男性52名、女性64名)に56項目の質問紙を配布した。調査は平成15年6-7月に市内2箇所の高齢者パソコンサークルで実施した。回答率は100%であった。特徴的な結果を列挙すると、自覚症状としてパソコン使用前後で変化が見られた項目は「目の疲れ」は症状の悪化が指摘されていた。頭痛、肩頸腰痛、手指の痛み、視力低下等は症状に変化は見られなかった。また、パソコン学習開始後の外出回数の変化は、「増えた」という回答が17%、「変化無し」が57%であった。他の項目『身だしなみ』や『睡眠時間』の変化はほとんど見られなかったが、パソコン使用により外出機会が増加したことが指摘された。一方、血圧測定は11名の協力者(男性3名、女性8名,平均年齢67.8 SD±42)に簡易型血圧計(オムロンHEM-741C)を貸与し、起床時、就寝時、パソコン使用前後の血圧測定と、一日のパソコン使用時間の記入を依頼した。期間は約30日間であった。対象者には降圧剤服用者が3名含まれていた。各人の平均値を求め、パソコン使用前後の血圧値の変化を対応のあるT検定で解析したところ、拡張期、収縮期ともに血圧に有意な違いは見られなかった。使用時間は10分から数時間と大きな開きがあったが、血圧との関連は見られなかった。以上のことから、パソコンに関心のある高齢者は引きこもる傾向よりも、外出機会が増える傾向が示唆された。これは、彼らの多くが外に指導を仰いでいるためであると思われる。閉じこもり傾向の自覚はみられなかった。パソコンと血圧値には関連がみられなかったが、対象人数、調査期問には課題が残されている。特に、対象者間の調査期間、パソコン使用時間の違いは解析のバイアスになったことが推察される。今後はさらに長期問の観察が必要であると思われる。