著者
大沢 真理 シャイア カレン マルガリータ エステベス=アベ 阿部 彩 金 英
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

日本の生活保障システムは、先進諸国の中で最も強固な「男性稼ぎ主」型であり、政府の所得再分配が貧困を削減する効果が、就業者の多い世帯や子どもにとってきわめて弱く、効果がマイナスである場合も少なくない。労働力人口の減少が憂慮される社会としてきわめて非効率で不合理なシステムであること、しかし所得再分配の効率性を高めれば、税・社会保障負担を増すことなく国民の生活を改善できることも、明らかになった。2014年2月には福井県において社会的排除に関するアンケート調査を実施した。働き者の福井の女性が、より働きがいを感じ、地域活動にも参加する条件について示唆を得られた。
著者
國中 均 西山 和孝 清水 幸夫 都木 恭一郎 川口 淳一郎 上杉 邦憲
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.52, no.602, pp.129-134, 2004 (Released:2004-05-20)
参考文献数
11
被引用文献数
5 6

The microwave discharge ion engine generates plasmas of the main ion source as well as the neutralizer using 4GHz microwave without discharge electrodes and hollow cathodes, so that long life and durability against oxygen and air are expected. MUSES-C “HAYABUSA” spacecraft installing four microwave discharge ion engines was launched into deep space by M-V rocket on May 9, 2003. After vacuum exposure and several runs of baking for reduction of residual gas the ion engine system established the continuous acceleration of the spacecraft toward an asteroid. The Doppler shift measurement of the communication microwave revealed the performance of ion engines, which is 8mN thrust force for a single unit with 3,200sec specific impulse at 23mN/kW thrust power ratio. At the beginning of December 2003 the accumulated operational time exceeded 7,000 hours and units.
著者
井澤 毅
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.15-21, 2017 (Released:2019-02-15)
参考文献数
17

これまでに多くの諸説が発表されている我が国の栽培イネの起源について,最新のゲノム情報と脱粒性などの「栽培化」により選抜された変異情報を結び付けて展開していただいた。日本の温帯ジャポニカ誕生への進化の流れをわかりやすく解説していただいている。
著者
上田 哲也
出版者
国際忍者学会
雑誌
忍者研究 (ISSN:24338990)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.3, pp.14-24, 2020 (Released:2021-09-01)
参考文献数
15

本稿は熊本藩の忍びについて、細川家の史料を元に基礎的な研究を行う事を目的としている。熊本藩の忍びは「御忍之衆」と呼ばれており、寛永五年(1628)頃から活動していた事が諸史料から明らかになった。忍びの頭領を務めていたのは吉田助右衛門で、「御忍之衆」の複数の名簿で筆頭に名前が記されている。 忍具の発注に関する文書は吉田助右衛門によって記されたものだが、忍者関係の史料として非常に価値があるものだと考えられる。この文書には当時実際に使われていた忍具の名称が記されており、いくつかの忍具は『万川集海』や『忍秘伝』のものと名称が一致している事が分かった。またこの文書からは、これらの忍具を鍛冶屋が製作していた事も判明している。 「御忍之衆」は「島原の乱」に参加しており、原城への偵察活動や攻撃を実施している。特筆す べきは「御忍之衆」の一員が、天草四郎の最期に関わっていた事である。
著者
石川 顕一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.818-819, 2016-12-05 (Released:2017-10-31)
参考文献数
5
被引用文献数
2

現代物理のキーワード電子の超高速運動を観測する・操作する
著者
Małgorzata Grabara Janusz Szopa
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.361-365, 2015 (Released:2015-02-17)
参考文献数
39
被引用文献数
6 23

[Purpose] The aim of this study was to access the flexibility of the spine in women practicing yoga as a part of the “University for Health” project. [Subjects and Methods] The study included 56 women ranging in age between 50–79 and attending 90 minutes hatha yoga sessions once a week. The measurements were performed twice-at the beginning of the project and after its completion, i.e., after 20 weeks of classes. The range of spine mobility in three planes was measured using a Rippstein plurimeter. The range of motion in the sagittal and frontal planes was measured in a standing position with the feet hip-width apart. The torsional range of motion of the subjects was measured with the trunk bent at a right angle and the legs apart. The flexibility ranges of the spine and hamstrings were also measured by the toe-touch test in a standing position. [Results] This study showed that the applied yoga exercises increased spinal mobility and flexibility of the hamstring muscles regardless of age. [Conclusion] Yoga exercises should be recommended to the elderly to make their muscles more flexible and to increase the range of motion in the joints, which is particularly important for improving their life quality.
著者
根元 裕樹 泉 岳樹 中山 大地 松山 洋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.315-337, 2013-07-01 (Released:2017-12-05)
参考文献数
38
被引用文献数
1

1582(天正10)年,岡山県の備中高松で備中高松城水攻めが行われた.近年の研究では,備中高松城の西側の自然堤防を利用した上で基底幅21 m,上幅10 m,高さ7 mの水攻め堤が3 kmにわたって築かれたとされているが,わずか12日間でこの巨大な堤防が本当に築けたのか,その信憑性が疑われている.そこで本研究では,流出解析と氾濫解析を組み合わせた水攻めモデルを開発し,水攻め堤の有無と高さによる複数のシナリオで備中高松城水攻めを再現して,水攻めの条件について考察した.その結果,水攻めには上述したような巨大な堤防は必要なく,足守川からの水の流入,備中高松城西側の自然堤防,それに接続する南側の蛙ヶ鼻周辺の水攻め堤があれば十分であることが示された.また,この結果と史料を考慮すると,蛙ヶ鼻周辺の水攻め堤は,その高さが約3.0 mであったと考えるのが合理的であるという結論に至った.
著者
佐橋 悠 北野 優香里 神津 善広 日笠 喜朗
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.140-143, 2019-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
13

症例は雑種猫,7歳,避妊雌で呼吸が苦しそうであることを主訴に来院した。飼い主が帰宅した際,呼吸が苦しそうであり,流涎を呈しているのを発見した。飼い主は外出前に防水スプレーを屋内で噴霧したとのことであった。胸部X線検査では肺野の不透過性亢進および気管支肺胞パターンが認められた。稟告,症状および画像所見から防水スプレーガス吸引による急性肺傷害と診断し,入院治療を開始した。酸素室内にて静脈点滴を行い,エンフロキサシン 5 mg/kg,SID,アンピシリン20 mg/kg BID,マロピタント 1 mg/kg, SIDおよびプレドニゾロン 1 mg/kg SIDを投与した。第4病日には流涎も止まり,食欲も回復した。第17病日には画像所見も改善した。本症例は,防水スプレーガスの直接吸引だけではなく,防水スプレーガス含有の熱分解産物が関与し,悪化した可能性がある。防水スプレー使用の際は,スプレーガスの直接吸入だけではなく, 取り扱う環境にも注意を引き払うべきである。

120 0 0 0 OA 人間情報科学科

著者
西村 昭治
出版者
早稲田大学人間科学学術院
雑誌
人間科学研究 (ISSN:18800270)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.51-52, 2015-03-25
著者
野村 駿
出版者
東海社会学会
雑誌
東海社会学会年報 (ISSN:18839452)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.122-132, 2018-07

本稿の目的は,「音楽で成功する」といった夢を掲げ,その実現に向けて活動するロック系バンドのミュージシャン(以下,バンドマン)を事例に,夢を追う若者がフリーターを積極的に選択・維持するプロセスとその背景を,若者文化の側面に着目して明らかにすることである. 若者の学校から職業への移行を扱ったこれまでの研究が,フリーターを積極的に選択・維持する若者の移行過程を看過してきたという問題意識から,バンドマンを対象とした聞き取り調査のデータを分析し,次の3つの知見を導出した.第1に,バンドマンはバンド活動を「やりたいこと」だと見なしながら,それと同時にバンドメンバー同士の相互作用の中でフリーターを選択していた.第2に,バンドマンはライブ出演に向けてメンバー間で場所と時間を共有する必要があることからフリーターを選択・維持していた.第3に,フリーターであることによって生起する金銭的困難が,バンドという活動形態の集団性とバンド単位で支払いを求める音楽業界の料金システムによって緩和されていた. 以上の知見を踏まえ,バンドという活動形態の集団性と音楽業界の料金システムが若者文化の内部構造として存在するために,それに適応しなければ夢が追えないバンドマンは合理的な進路としてフリーターを積極的に選択・維持していると結論付けた.

120 0 0 0 OA 萬葉集 20巻

巻号頁・発行日
vol.[5], 1000
著者
愼 蒼宇 檜皮 瑞樹 宮本 正明 鄭 栄桓
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は研究計画にあるとおり、広島・山口以外の瀬戸内沿岸・島嶼における対朝鮮・朝鮮人史関係資料の調査を中心に行った。まず、2017年8月には愛媛県立図書館で「愛媛県史」の収集資料整理目録をもとに、県政事務引継書の所在を確認するとともに、愛媛県歴史文化博物館では行政史料の所蔵状況を把握した。同じく8月の調査で、香川県三豊市文書館においては、旧高瀬町、旧財田町、旧三野町、旧山本町、旧仁尾町、旧豊中町、旧詫間町文書目録をもとに、寄留・教育などを中心とした資料の申請を行い、兵庫県公館県政資料館では在日朝鮮人関連の行政文書の申請と閲覧、撮影を行った。2017年12月には申請していた三豊市文書館の資料閲覧が一部許可されたので調査を行い、閲覧と写真撮影を行った。同じ調査日程で徳島県立文書館における在日朝鮮人関連の行政史料調査を行い、外国人登録などに関する資料の申請・撮影を行った。2018年2~3月には、愛媛県別子銅山における朝鮮人労働者関連の巡検踏査を行い、西予市城川文書館を訪問して、担当者の方を通じて所蔵行政史料の調査を行った。さらに、土佐市立図書館における所蔵行政史料の調査や、徳島県立文書館における行政史料調査を行い、土佐・徳島では申請・撮影も行った。土佐では朝鮮関連の古書調査・収集も行った。また、瀬戸内を通って、他地域に移動した朝鮮人に関する研究も同時進行で行い始めた。具体的には、2017年8~9月に、富山県公文書館、福井県文書館、岐阜県歴史資料館での行政史料、郷土新聞などの資料調査、申請、閲覧を行った。いずれも一部史料の収集・撮影を行うことができた。

120 0 0 0 OA 土人教化論

著者
中目覚 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1918