著者
杉本 興運
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

研究の背景と目的 本研究は、東京大都市圏における若者の種類別の観光・レジャーの実施状況を明らかにし、大都市における若者の観光・レジャー活動の特性や全体的傾向を把握することを目的とする。先行研究である杉本(2018)の研究では、パーソントリップ調査を基にして開発された大規模人流データを分析することで、東京大都市圏における若者の日帰り観光・レジャーの外出時間や訪問先にみられる特徴を明らかにすることに成功した。しかし、訪問先での活動目的が「観光・レジャー」一択の属性情報しかなく、より細かい種類で分類したときの観光・レジャー活動の実施状況についてはまだ分かっていない。<br><br>研究方法 大都市圏に居住する若者に対してWebアンケート調査を実施した。具体的には、東京大都市圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県)に居住している15歳以上34歳未満の人々を対象として、28種類の観光・レジャーそれぞれにおける1)直近1年間での活動の実施の有無、2)実施した場合の同行者、3)実施した場合の訪問先について質問した。なお、調査には株式会社コロプラのサービスを利用し、Webアンケートは2018年1月5日に配信・回収した。<br><br> 分析方法としては、各質問の単純集計結果から傾向を読み取るとともに、若者の基本属性を基にしたクロス集計の結果から属性による違いを明らかにする。<br>分析結果 回収したサンプル数は全部で1,115人となった。紙面の都合上、1)の分析結果のみを記す(図1)。種類別にみると、「ショッピング」(565人)の実施者数が最も多く、それに続いて「テーマパーク・遊園地」(370人)、「グルメ」(348人)、「動物園・水族館」(274人)、「コンサート・演劇」(259人)の順に実施者数が多い。したがって、これらが東京大都市圏における若者が観光・レジャーで行う一般的な活動であると言え、都市観光の要素が非常に強い。若者に特有の活動と考えられる「アニメ・マンガの場所やイベント」(146人)、「ナイトクラブ・ライブハウス」(61人)に関しては、実死者数は相対的に高いとは言えない。
著者
鹿間 時夫 / DOMNING DARYL P.
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編
巻号頁・発行日
vol.1970, no.80, pp.390-396_1, 1970

1965年8月当時横浜国立大学地学教室学生であった龍野伸武と同教室の尾崎公彦が, 長野県上水内郡戸隠村土合の水内層群猿丸層(猿丸砂岩礫岩層下部)より哺乳類の巨大な助骨を発見した。現地は裾花川と楠川の合流点の近くの川岸である。一見海牛類のものであることは明かであったので, 鹿間は1969年Berkeley滞在中DOMNINGと共同研究をした。骨はバナナ状に肥厚し強く曲り, 先端部は断面が円形に近い。California大学の標本と比較検討の結果, 現世絶滅の有名なリチナ海牛に近い種Hydrodamalis sp.であることが判った。リチナ海牛H. gigasの最小に近い大形の中新世種Metaxytherium jordaniの助骨よりは曲り方大であるが, 基部の形はリチナ海牛よりも中新世種に近い。Californiaの鮮新統よりjordaniとgigasの中間的な新種が発見されているので, 之との比較が考えられる。北太平洋の海牛の系列は単系的でMetaxytherium jordaniよりHydrodamalis gigasへの進化しか見られない。現世ベーリング海に分布したHydrodamalisが鮮新世には太平洋の両岸ではるか南方にまで分布していたことは意義深い。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.931, pp.126-131, 1998-03-09

2月のイスラエルでは防毒マスクが売れた。国外退避を図る人々は飛行場に詰めかけた。米英両国による対イラク武力行使が日程に上る情勢下、イラクの報復が懸念されていた時期だ。 しかし本当にスカッド・ミサイルが飛んで来たとしても、イリャ・ロイトマンはイスラエルを捨てない。1990年8月、28歳だった彼は生まれ育ったソ連(当時)を脱出した。
著者
中村 敦子
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.883-911, 1999-11-01

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著者
野間 正二
出版者
佛教大学文学部
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
no.95, pp.73-84, 2011-03

ヘミングウェイは、パパ・ヘミングウェイと呼ばれてきたように、米国における理想的な男性像のひとつの象徴とこれまで見なされてきた。ヘミングウェイ自身も、生前、そのマッチョな男性像を造りあげるのに努力を惜しまなかった。しかし死後出版された作品、たとえば『エデンの園』などが読まれるようになると、そうした男性的なヘミングウェイ像がゆらぎはじめた。その動きの急先鋒となったのは、いわゆるフェミニストとよばれる批評家たちであった。フェミニストたちは、ヘミングウェイの作品のなかに、作家ヘミングウェイの心のなかに隠されていた両性具有の願望や女性への変身願望を読みとっている。そこでここでは、わたしは、『エデンの園』をフェミニズムの視点から再読することで、そうしたフェミニストたちの主張を再検討した。ヘミングウェイフェミニズム性差人種黒人女性
著者
國澤 純
出版者
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

腸内細菌を介した免疫制御は、様々な疾患に関わることが分かり、健康科学における新潮流となっている。これまでの研究の多くは、腸管管腔や上皮細胞の粘液層に存在する細菌に焦点が当てられ解析が進められてきたが、我々は、これらの部位だけではなくパイエル板などの腸管リンパ組織の内部にも細菌が共生していることを明らかにし「組織内共生」という新概念を提唱してきた。本年度はこれまでの研究を拡張して大腸粘膜組織にも着目し、大腸粘膜固有層に存在するマクロファージに共生する細菌としてStenotrophomonas Maltophiliaを同定し、その共生メカニズムの解明を行った。骨髄由来もしくはマウスより単離したマクロファージとStenotrophomonas maltophiliaの共培養により、ミトコンドリア呼吸とIL-10産生が増加することを見いだした。さらにsmlt2713遺伝子にコードされる分子量25 kDaのタンパク質を欠損したStenotrophomonas maltophiliaではIL-10の産生誘導能が欠失すること、逆にIL-10欠損マクロファージではStenotrophomonas maltophiliaによる細胞内共生が破綻することから、smlt2713とIL-10はそれぞれ菌、宿主細胞において共生を成立させる必須因子であることが判明した。大腸のマクロファージはIL-10を産生することで恒常性の維持に貢献していることから、本研究結果は、大腸における細胞内共生ネットワークを介した恒常性維持機構の一つを提唱したものとなる。
著者
細見 晃司
出版者
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

腸内細菌を介した免疫制御は、アレルギーなどの免疫疾患や糖尿病などの生活習慣病など様々な疾患に関わっていることが分かり、健康科学における新潮流となっている。我々は、腸管管腔だけではなくパイエル板などの腸管リンパ組織の内部にも細菌が共生していることを明らかにし「組織内共生」という新概念を提唱してきた。本年度は、アルカリゲネスが宿主細胞である樹状細胞の内部に共生していることに着目し、樹状細胞とアルカリゲネスとの共生メカニズム、さらにそれに連動する免疫制御との関連について培養細胞を用いた解析を行った。昨年度の検討から、アルカリゲネスと樹状細胞の共培養系における樹状細胞の免疫学的な機能変化について大腸菌を比較対象として解析し、アルカリゲネスは大腸菌に比べて樹状細胞からのIL-6などの炎症性サイトカインの産生誘導能が低いこと、さらにそのメカニズムとして菌体成分であるLPSの活性が弱いことを見出している。本年度は、生理学的な観点から樹状細胞の機能変化について検討し、アルカリゲネスを取り込んだ樹状細胞では、ミトコンドリアの基礎呼吸量が上昇していることが明らかになった。ミトコンドリア活性は細胞死と関連することから、樹状細胞のアポトーシス細胞死について解析したところ、大腸菌を取り込んだ樹状細胞はアポトーシスが誘導されるのに対して、アルカリゲネスを取り込んだ樹状細胞ではアポトーシスがほとんど誘導されなかった。この結果はアルカリゲネスの樹状細胞内共生において重要な知見であると考えており、現在、その分子メカニズムの解明を進めている。
著者
大平 晃久
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.2, 2021-03-31

本稿では,負の記憶の景観化の事例として,関東地方における1968年以降の返還,かつ返還面積の比較的広い米軍基地跡地45か所を取り上げた。これら基地跡地の記憶が,現地へのモニュメントや解説板などの設置によって,いかに可視化されているかを調査・報告するとともに,アメリカの歴史地理学者フットの示した,負の記憶の景観化の4類型について考察を行った。 対象とした基地跡地のうち,基地跡地に関わるモニュメントがあるのは7か所,解説板があるのは12か所にとどまる。米軍基地跡地そのものを記念したモニュメント類は皆無で,基地跡地の記念が忌避され,あえてモニュメントがつくられていないようにみうけられる事例もある。さらに、米軍基地跡地のなかには,「平和」という表象によって否定的に記念されている事例,基地闘争への勝利・基地跡地の復興を記念することによって否定的に記念されている事例があることを示した。これらはフットが4類型の一つとして定義した,現地を放置する,景観的な「抹消」とは異なるものの,現地において表象レベルで米軍基地跡地の記憶を「抹消」するものであり,フットの4類型に若干の見直しが必要であることを試論的に示した。
著者
井上 広子 桑野 稔子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.421-430, 2012

日本では,やせや肥満が問題視される一方,BMI は「やせ」や「正常」と診断されるものの,体脂肪率が高い「正常体重肥満」の実態やその特性は,十分に明らかにされていない.そこで,本研究では女子大学生を対象に普通体型 (18.5 ≦BMI<25) の者を体脂肪率別に3 分類し,身体状況,血液パラメーター,体型認識,食品群および栄養素等摂取量の実態を把握し,体脂肪率との関連について検討を行った.対象者は,BMI が18.5-24.9 の範囲内に属する女子大学生57 名である.調査項目は,身体計測,血液生化学検査,ボディイメージ調査,食物摂取状況調査である.統計解析は,体脂肪率3 分位 (Body Fat Percentage: BFP<25.0, 25.0 ≦BFP<30.0, BFP ≧30.0) に分類し,体脂肪率分類別の各パラメーターにおける比較検討を行った.その結果,血清中HDL-Chol 濃度においては,BFP<25.0%group, 25.0 ≦BFP<30.0group に比較し,BFP ≧30.0group が有意に低値を示し,血清中中性脂肪濃度,レプチン濃度は有意に高値を示した.食物摂取状況調査においては,BFP 高値のほど油脂,果実類の摂取量が有意に多かった.本研究結果より,BMI が正常域であっても正常体重肥満者は血液生化学検査や食物摂取状況調査の結果より,今後適切な栄養教育の必要性が示唆された.
著者
近藤 沙耶香
雑誌
日本文學 (ISSN:03863336)
巻号頁・発行日
no.115, pp.45-63, 2019-03-15