著者
井下 綾子
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

日本人の先天性難聴原因遺伝子の中で最多であるGJB2遺伝子変異(コネキシン26)の発症原因の探求を目的とした。GJB2遺伝子変異モデルマウスの聴覚発育段階での内耳の機能・組織学的評価の結果、高度難聴およびコルチ器形成不全を認めた。これらは柱細胞内のmicrotubules形成やGERのアポトーシス遅延との関与が判明し、将来的なGJB2遺伝子変異難聴の根本的治療確立に大きく貢献するものと考えられる。
著者
奥野 久美子
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

菊池寛の作品「岩見重太郎」および「入れ札」を中心に、大正期文学と博文館長篇講談とのかかわりを明らかにした。「岩見重太郎」においては博文館長篇講談が典拠であることを明らかにした。また「入れ札」でも同叢書が利用されていた可能性、および同叢書が川村花菱など大正期の他作家にも利用されていたことを証した。具体的成果は学会での口頭発表 2 件、論文 2 本である。
著者
小粥 太郎 道垣内 弘人 沖野 眞己
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究代表者および研究分担者は、研究課題に掲げた諸問題について、現行法の内容・問題点・改正の要否を詳細に検討した上で、包括的に改正の提案をまとめ、公表した。また、検討過程および提案内容の詳細および背景については、2009年度中にその解説という形で公表される。この成果は、今後、本格化することが予想される民法(債権法)改正作業の基礎となることが期待されるものである。
著者
沢山 美果子
出版者
順正短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、仙台藩領内に残された懐胎、出産をめぐる史料を手がかりに、近世民衆の生命観と身体観を明らかにすることにある。またその特色は、1)死胎、流産に関わる死胎披露書という個別の女性たちの妊娠、出産のプロセスにせまる事が出来る史料を手がかりに、女性たちの労働と身体観、そして胎児、赤子の生命観の内実にせまること、2)近年、各地域をフィールドに進展してきた生命観、身体観をめぐる研究に学びつつ、今まで収集した仙台藩東山地方の史料の読み直しも含めて、身体観、生命観を明らかにするという点にある。なお仙台藩の支藩である一関藩のことを含めた検討については別に発表した(研究発表、参照)ので、報告書では、仙台藩領内を中心に、近世民衆の生命観と身体観への接近を意図した。その結果明らかになったことは四点ある。一つは、仙台藩の赤子養育仕法、そして一関藩の育子仕法が人々にとって持った歴史的意味である。妊娠、出産について厳しく管理する懐胎・出産取締りの制度は、むしろ人々の出生コントロールへの意思を意識化させる側面を持っていたという点である。二つには妊娠・出産や堕胎・間引きをめぐる藩・共同体・家族と医者、産婆の関係、とくに人々の堕胎・間引きの要求に応じる民間の医者や産婆の存在が明らかとなった。三つには、流産、死胎、堕胎の方法に関する史料群を読み解くことで民衆の出生コントロールへの意思を明らかにすることができた。四つには、近世後期の診察記録や仙台藩領内に配布された薬を探るなかで、医者の診察記録は民衆の生命観、身体観を探る上での重要な手がかりがあることが明らかとなった。
著者
沢山 美果子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、東北日本の一関藩をフィールドに、一関藩の「育子仕法」のなかで作成された史料群をおもな手がかりに、武士、農民家族の性と生殖について、妊娠、出産という具体的な局面に即して追究した。その結果、「家」の維持・存続と子どもの養育との矛盾のなかにあった農民と下級武士は、堕胎・間引きなどによって出生をコントロールしようとし、そのことが、死胎披露書に記された高い死産率の原因と考えられることなどが明らかとなった。
著者
浅川 修一 藤森 一浩 清水 厚志 堺 弘介 満山 進 小島サビヌ 和子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では次世代シーケンサーを用いてメダカおよびトラフグの各組織(速筋、遅筋、腸、眼、脳、心臓、肝臓、卵巣、精巣、初期胚など)から得た小分子RNA(miRNA, piRNA, siRNA)の塩基配列を解読し、その発現プロフィールを明らかにした。精巣、卵巣以外の各組織ではmiRNAが主要な発現産物であったが、精巣、卵巣ではpiRNAが主要な発現産物であることが推定された。またメダカとトラフグに共通に発現している未同定の小分子RNAを多数見いだした
著者
天野 清
出版者
中央大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

(1)幼児の読み(READING)能力等の発達についての構造分析・縦断的実験調査:都内2幼稚園の年少クラス児34名(調査開始時年齢範囲3:4〜4:2)を対象にかな文字の読みの習得に関する調査を、4カ月間隔で6回実施し、約2年間追跡したが、その結果、以下の知見が得られた。(1)幼児のかな文字習得は、早い子は3歳後半期から、多くは4歳前半期から習得し始め、その多く(73.5%)は、年中クラス末までに基本音節文字のほとんどを読める状態になるが、その過程には顕著な個人差が認められる。(2)音節分析の発達は、かな文字の読みの習得に先行して発達し、かな文字の読みの習得を条件付けている。(3)順序性の理解の発達は、音節抽出の発達に先行した進み、音節抽出が一般化する段階で、言語的水準に達する。(4)幼児の音節分析、かな文字の読みの習得の時期、進行を大きく条件付けている要因は、語彙能力(語彙発達指数)である。(2)語、文の読み方の構造と発達過程についての実験的分析:語・文の読みテスト及び語の読み過程の音声と下唇の運動を測定する特殊な実験装置で、調べた結果、以下の知見が得られた。(1)幼児は、かな文字の読みの習得に応じて、語・文を読み・理解できるようになり、3歳代からかな文字を読み始めた幼児の1部は、年中クラス期末に、小学1学年担当の文章を読み・理解できる水準に達する。(2)文の読み方の発達テンポは非常に緩慢で、一部の幼児は、年中クラス期末までに、単語読みの段階に達するが多くは逐字読みの段階に留まる。(3)子どもの語の読み・理解過程は、(a)逐字的な音読、(b)つぶやき、(c)下唇のわずかな運動、(d)黙読による分析の4種の分析過程があり、それらの分析諸形式と総合過程としての単語読み及び逐字読みとが結合した形式で進行している。(4)(3)の事実から、幼児の語の読みの発達は、(1)分析過程が前面に出た逐字読み(第1次逐字読み)の段階から、(2)総合過程の色彩をもつ逐字読みが前面に出た第2次の逐字読みの段階を経て、(3)単語読みの段階に至ると仮説することができた。
著者
清水 惠司 梶 豪雄
出版者
高知大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

神経幹細胞(NSC)は、自己複製を行いながら非対称性分裂を行うことでニューロンやグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト)を生み出すとされているが、どのようなメカニズムによって分化・誘導されているか解明されていない。bHLH型転写因子であるOlig2は、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OLP)と運動ニューロン(MN)の発生に必須の因子であり、ニューロン/グリア分化制御機構の鍵を握る因子であると考えられている。Olig2は抑制型の転写因子で、下流因子を抑制することによりOLP/MNの発生を誘導すると考えられているが、いまだ直接的な下流因子は同定されていない。オリゴデンドロサイトは、胎生12.5日(E12.5)頃より前脳ではganglionic eminence(GE)、脊髄では腹側のpMNドメインの脳室下層から生じることが証明されている。そこで、E12.5のOlig2ノックアウトマウスと野生型マウスから前脳のGE、および脊髄を採取し、cDNA subtraction法により野生型で発現されているが、ノックアウトマウスで発現しなくなった因子、すなわちOlig2の下流因子を現在も懸命に探索し続けている。一方、最も悪性度の高い神経膠芽腫(GBM)はOlig2転写因子を高率に発現しているとの報告もなされている。そこで我々は、各種グリオーマ細胞株に対し、DNAマイクロアレイを用いて転写因子発現差異について網羅的解析を続けており、現在英文投稿の準備中である。今後とも本研究を継続する事で、腫瘍化に至る過程でのOlig2の役割を解明すると共に、首尾よくOlig2下流因子が同定できれば、パッケージング細胞を改変する事で得られた高力価レトロウイルスベクターを用いて、Olig2下流因子をGBM細胞に導入することで高分化しうるかどうか検証する計画である。
著者
作山 葵
出版者
自治医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高齢化が進行し骨粗鬆症の患者数が増加しており,ビスフォスフォネート系薬剤(以下BP薬)の服用による顎骨壊死が多く報告されている. BP薬がインプラントへおよぼす影響をインプラント周囲骨形成の観点から研究を行った.インプラントと骨接触率は,下肢においてBP薬投与の有無により顕著に有意差があった.下肢と顎骨では,インプラント周囲への新生骨形成が異なるため新生骨形成を解明するには顎骨を観察する必要がある.またBP薬を投与していない時に,活発な骨形成が認められた.BP薬は, インプラントが骨結合した後でもインプラント周囲骨へ影響をおよぼすため定期検診が重要である.
著者
亀山 佳明 西山 けい子 村澤 真保呂
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

われわれの研究の主要な目的は、スポーツや芸能、ダンスなどの身体的パフォーマンスがリズムとどのように関係するかを調べることであった。この目的を達成するために、まず一方において、パフォーマンスとリズムに関する過去の研究や文献を渉猟し、それらを詳しく調べることによって理解することをめざした。また、もう一方において、特定のパフォーマンスを選定して、それらの現場に足を踏み入れ、調査することであった。ここで選定されたのは、スポーツ領域ではサッカー(びわこ成蹊スポーツ大を中心とした関西学生リーグの参与観察と監督・選手へのインタビュー調査)とボート(龍谷大学ボート部の朝日レガッタにおける活動の参与観察と選手へのインタビュー調査)、また芸能では能(金春康之氏の公演取材とインタヴュー取材)、さらにダンス(黒田育世氏の公演取材)などである。これら両者の活動を平成17年度から18年度にかけて並行して行いながら、考察のための基礎的なデータ収集に努めた。さらに、それらのデータと先の理論研究を相互につき合わせることによって、パフォーマンスとリズムとの関係についての探求のための研究会を重ねた。そして、平成19年にいたって、以上のような基礎的な作業にもとづいた、われわれの研究の成果を日本社会学会などいくつかの学会において発表するとともに、それらの一部を『龍谷大学大学院研究紀要』等に掲載してきた。パフォーマンスの研究は社会学の領域においては、いまだ確立されていない状況にあり、そこに、われわれは「リズム」という方法論からのアプローチを試みた。リズムという視点にこだわったのは、リズムを介してパフォーマーの身体が生成するという考え方に由来しており、この点から、パフォーマンスを「身体の社会学」として考察することが可能となるからであった。われわれの調査研究にもとづく身体の生成論的研究は社会学の領域に新しい知見をもたらすといえよう。
著者
黄 盛彬
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

昨年度に引き続き、日本と韓国両方の政策当局および関連業界、専門家などを対象に積極的に聞き取り調査を行い、数回にわたって韓国での実際の「日本大衆文化」の受け入れ状況、そして日本における「韓国文化」の実態にっいても調査を進めてきた。一連の研究作業の成果は、単行本としての出版を目指しているが、本研究を進めながら研究の対象を、両国における関係認識のほうにシフトさせた経緯があり、今年度においても直接的な研究の成果は「日韓の相互認識」に関連するものが多かった。その第一の理由は、昨年7月以来、いわゆる「歴史教科書問題」や「靖国神社問題」で韓国内の世論悪化などを背景に「日本大衆文化」の追加開放が中断されている状況が続いたことに関連している。この問題をめぐる韓国内のメディア言説や政策担当者とのインタビュー結果などから、「日本文化開放政策」が一般の貿易政策とはちがって、さまざまなレベルの日本認識(他者像)に大きく影響されていることがわかった。「日本文化禁止」政策にも過去の歴史をめぐる記憶や政治が大きく関わっており、その点を解明した上でさらに近未来の展望を示す作業がより緊要な作業であると指摘できた。一方で、2002年W杯の共同開催をきっかけに両国間の文化交流・交易の動きは大きく進展した。しかし、一連の現象においても、日本と韓国それぞれの「自画像」と「他者像」をめぐってさまざまな相互作用が見られたので、いわば両国における相手認識がどのように国内政治へ動員され、いかなる作用をもたらすのかを解明する作業に主に取り組んできた。なお、今後も本研究テーマの問題意識を維持しながら、「東アジアの文化の地形を、市場、イデオロギー、民族、言語などの多様な層の分節状況および相互に影響しあう複雑な絡まりのダイナミックス」を解明する作業を続けていきたい。本研究はその出発点となるものであった。
著者
高橋 美穂
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

東京湾と相模湾の海水を採水し、シリカ化学種の変化から、シリカ(ケイ酸)の消費挙動を検討した。一般には春に相模湾で珪藻の栄養となるシリカ化学種が枯渇するが、2003年の冷夏では、春の時点で、東京湾、相模湾ともに、珪藻の栄養となるシリカ化学種が枯渇することなく余っていた。夏季の影響は秋季には通常の暑さの年と同じ、状況に回復していた。このことから、春にその年の夏の暑さについて珪藻のシリカの摂取のされ方から予測できると考えられる。また、淡水では、このシリカ化学種の測定が難しかった。そこで、まず、淡水に存在するシリカの調製を行った。また、この溶液を用いて、質量分析計によるイオン化方法を変え、測定方法によって生じるシリカの検出される化学種の比較を行った。
著者
松村 和則 柳沢 和雄 前田 和司 甲斐 健人 西原 康行 矢崎 弥
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

研究は、以下のような構成でまとめられた。序:松村和則「白いスタジアムのある風景-「開発とスポーツ研究」序説-」I 鹿島の開発とW杯柳沢和雄「鹿島開発とワールドカップ-外発的発展の必然としてのワールドカップ-」橋本政晴「『地域』へとコンテクスト化されるメディアイベント-鹿嶋市S地区におけるT氏のサポーター活動を事例として-」石岡丈昇「農業退出者の軌道とサッカー開発-地元旅館業者からみたワールドカップと鹿島-」II 「在日」とW杯鈴木文明「2002FIFAワールドカップと在日朝鮮人-大阪生野区・コリアタウンにおけるワールドカップ観戦会を通して-」III 札幌の開発とW杯大沼義彦「五輪開催都市からW杯開催都市ヘ-札幌市におけるメガスポーツイベント誘致と都市開発-」前田和司「2002FIFAワールドカップと都市開発-札幌ドーム建設をめぐって-」IV 招致問題とW杯甲斐健人「ワールドカップキャンプ招致のシナリオと国際交流-三重県鈴鹿市の事例-」矢崎弥「キャンプ誘致と地域づくり・地域活性化-新潟県十日町市クロアチア共和国代表チームキャンプの事例-」西原康行「ワールドカップ新潟開催の遺産-あるボランティアの活動から見えるもの-」調査資料Richard Light"The 2002 FIFA World Cup on Youth sport and Identity石岡丈昇・松村和則「中津江村住民意識調査」
著者
平野 恒夫 村上 和彰 小原 繁 長嶋 雲兵
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

分子軌道計算は、材料化学や医薬品開発のために欠くことのできない手法であり、現在本方法は化学工業においても広く利用され始めている。分子軌道計算は、基底関数の数Nの4乗に比例する演算量および、補助記憶量を必要とするため、タンパク質等の巨大分子の計算は、事実上不可能であった。そこで、本研究では演算時間の大幅な短縮と補助記憶量の削減を目的として、分子軌道計算のための専用計算機MOE(MO Engine)とそれを用いた分子軌道計算プログラムの開発を試みた。このシステムの実現には、既存分子軌道計算プログラムの改良、MOE-LSI(MOE用高度集積チップ)の作成ならびにその専用ボードへの実装が必要である。本研究で開発しようとしたMOEは、パソコンにIEEE1394と呼ばれる標準プロトコルを用いて接続される専用並列計算システムであり、その最小単位であるMOEL-SIを、今回新たに開発した。性能は200MFlopsである。このMOEL-SI5個をボード上に実装した。5個のMOEL-SIはPPRAM-Linkを用いて相互結合されているので、1ボードあたり1Gflopsの性能を示す。一方、分子軌道法計算プログラムの改良としては、現在広く世界で使われているGAMESSをベースに行った。
著者
岸本 健雄 佐方 功幸 稲垣 昌樹 竹内 隆 浅島 誠 山本 雅 正井 久雄
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

特定領域研究「細胞周期フロンティア-増殖と分化相関」(細胞増殖制御)は、平成19年度から5ヶ年計画で発足し、平成23年度末で終了を迎えた。本研究では、この特定領域研究の総括班業務を引き継ぎ、以下のように、領域終了にあたって領域としての研究成果をとりまとめ、その公開をはかった。(1)「研究成果報告書」を、全班員(前期あるいは後期だけの公募班員や途中辞退者も含む、総計91名)をカバーした冊子体で作成した。本報告書は8章からなり、領域としての研究成果の概要だけでなく、各班員毎の研究成果の概要も掲載し、総頁数456頁の冊子となった。班員、関連研究者、文科省等に配付した。(2)公開の領域終了シンポジウム「細胞増殖制御」を、平成24年8月30、31の両日、東京工業大学・蔵前会館(目黒区大岡山)で開催した。領域メンバーのうち、前後両期の参画者を中心として31名が講演発表した。参加者総数は約100名で、評価委員も出席した。領域としての主な研究成果を、概観できるシンポジウムとなった。(3)領域の終了に伴う事後評価のためのヒアリングを、平成24年9月12日に文部科学省で受けた。後日、評価結果は「A」(研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの成果があった)であるとの通知が届いた。(4)領域ホームページで、上記の公開シンポジウムもアナウンスし、領域としての成果を発信した。これらにより、本領域の設定によって得られた研究成果を周知するとともに、領域メンバー間の有機的な連携を再確認し、細胞周期制御関連分野の研究の今後の発展に資することができた。
著者
齋藤 雅通 池田 伸 土居 靖範 近藤 宏一 谷口 知弘 棚山 研
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

調査に基づく共同研究の結果、研究論点として、ドイツの各都市でNPO法人によって推進されている都市マーケティング(Stadtmarketing)の重要性を析出した。また都市マーケティングは、都市型サービス産業が直面している課題の解決の一視点でもあると結論づけた。この点を具体的に明らかにするために2005年2月および9月に、マンハイム及びケルンの都市マーケティングNPO及び商工会議所、市役所(スポーツ局、文化局)、地域スポーツNPO等関連団体へのインタビューと資料収集を実施した。都市マーケティングのより深い究明については、今後も継続して研究する課題である。各メンバーによる研究としては、(1)齋藤雅通は、ドイツにおける都市型の小売商業集積であるパサージュの実態調査に基づいて理論的可能性と限界を明らかにした。(2)土居靖範は、ドイツのケルンおよびカールスルーエの都市交通経営体や運輸連合の調査を行い、財源調達のしくみを主に解明した。またLRTの国内への導入を、具体的にJR富山港線のLRT化の経緯と課題を調査研究した。(3)近藤宏一は、主にドイツにおける都市公共サービス、とりわけ文化・芸術関連サービス(オーケストラ、歌劇場、美術館)と観光および公共交通にかかわる組織の現状と課題について調査と資料収集を行った。(4)棚山研は、サッカーの日韓W杯開催時から開催地である新潟の継続調査と調査データの整理を行った。併せて、2度にわたるドイツのスポーツクラブの調査を通じて、日独のスポーツクラブの運営、生活文化への定着度についての比較を試みた。(5)池田伸は、現代都市における消費者研究およびそれに係わる調査方法論について、社会統計学や文化人類学などの周辺領域の成果を含めて検討した。その結果,現代都市のポストモダニティをマーケティング(消費者行動)の社会学として構想するにいたった。(6)谷口知弘は、京都市出町地域の取り組みの現地調査に基づいて、市民参加のまちづくりについて論究した。
著者
G・M McCrohan PAUL G. BATTEN
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究はコミュニケーション方略の明示的指導が学習者の方略使用に与える影響を報告し、彼等の方略使用における変化を観察し、さらに方略使用に対する彼等の自信の変化を報告することをその目的とする。分析の結果3年間の調査期間中により多くの種類のコミュニケーション方略を使用するようになっていることが明らかになった。しかしながらあるタイプの方略 についてはその使用頻度が増えることはなかった。調査参加者はそれらの方略を自信を持って使用することができなかった。また、学習者は、対話者の上下関係に応じて、自分たちの発話言語を切り替えることができず、CSsの練習に合わせて語用論的能力の訓練も必要であることも分かった。
著者
衛藤 幹子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度のイギリス調査では、12の女性団体を調査した。イギリスの女性団体の多くは、大きく2つの包括組織(NCWGBとNAOW)に統合される一方、女性の意見を政府の女性政策に反映させるという役割を担う「全国女性委員会(Women's National Commission, WNC)」が全組織を束ねている。イギリスにおける女性政策の形成過程では、個々の女性団体の提案は、NCWGBとNAOWから、WNCに渡され、WNCが取りまとめて、政府に提起するという政策形成の行程が確立していた。平成16年度のデンマーク調査は、(1)EUおよび北欧5力国との協力関係、(2)デンマーク政府と女性団体との関係、(3)デンマークにおける代表的な女性団体の実態の3つのレベルで実施した。デンマークのジェンダー関連政策の形成において女性組織の意見は政府政策の中に反映されていたが、それは女性団体の一方的な圧力行動の結果ではなく、デンマーク政府がこうした非政府団体の意見を求め、それを政策に取り入れようとしているからであった。平成17年度のスウェーデン調査では、ストックホルム大学のドゥルデ・ダレループ教授のもとで、(1)政策決定における女性団体の影響力、(2)スウェーデンにおける代表的な女性組織の実態、(3)クオータ・プロジェクトの活動調査と学術交流を行なった。国家の主導の所謂「上からのフェミニズム」という通説に反して、現実にはスウェーデンの女性団体は大きな政治過程において強い影響力を行使していた。ジェンダー平等局は、非政府・非営利女性活動組織との対話の場を定期的に設定していた。平成18年度は、(1)9月17日に実施されたスウェーデン総選挙に初登場したフェミニスト政党の選挙キャンペーンの観察と(2)フィンランドにおける女性団体と政党との関係を調査した。スウェーデンでは、フェミニスト政党の選挙運動に参加し、スウェーデンの女性たちが世界のトップ・レベルにあるスウェーデンの男女平等政策に必ずしも満足しておらず、真の平等を求めて政党が結成されたこと、すなわち「上から」の国家主導の変革と同時に、「下から」の女性たちのエンパワーメントが不可欠であることが明らかになった。また、フィンランドの女性運動は、よく組織化され、すべての女性団体の頂点には、NYTKISという政治家一研究者一活動家の連携組織が結成され、女性の声が政治に直結する仕組みがあることがわかった。
著者
古池 弘隆
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

本研究は高所から撮影したビデオ画像とパ-ソナルコンピュ-タを組み合わせて、静止した画面上に表示された対象物の位置を、ディジタイザ-により読みとる装置を開発し、それを実際の交通流現象の調査解析に応用しようとするものである。昨年度のビデオカメラの精度に関する基礎実験、座標変換のソフトウエアの開発、商店街での歩行者や自転車の実測調査・分析に続き、本年度は応用研究に力点を置いた。宇都宮市内には3ヵ所のスクランブル交差点があるが、そのひとつが高校生の通学路にあたっており、スクランブル現示時に多くの学生が自転車に乗ったまま交差点を横断し、スクランブル交差点として機能しているかどうか疑問であった。そこで本研究で開発された調査手法により、ビルの屋上から交差点をビデオカメラで撮影し、その画像を解析した。比較のためにもう一ヵ所の典型的なスクランブル交差点においても同様な調査を行った。解析の結果、高校生通学時の自転車交通が交通量の9割を占め、スクランブル交差点の特徴である斜め横断率が比較交差点では30%台であるのに対して、当該交差点ではわずか数%にすぎず、スクランブル本来の機能を果たしていないこことが明らかになった。この結果に基づき栃木県警では当交差点を一般交差点に改めた。その結果自転車・歩行者の安全な横断が確保され、また自転車に対する青信号時間が増加して交通容量も増大した。本研究では開発された手法は、以上述べたように一応初期の目的を達成したが、ビデオ画像の対象物をディジタイザ-を用いて座標変換する際に判読者の負担が大きく、自転車や歩行者など大量の点を時系列で追跡していくのはかなりの困難さを伴うことが判明した。今後は画像処理技術を用いるなど効率的なデ-タ入力の自動化を図る方法の開発に向けてさらに研究を進めていく必要があろう。
著者
岩崎 洋一郎
出版者
九州東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

交差点付近のビル屋上に設置したビデオカメラにて歩行者交通流を撮像し、その映像から画像処理によってある瞬間の横断歩道上に散開した歩行者の空間的な分布を得る。次に、その1コマの分布パターンをエントロピーによって定量化し、歩行者交通需要をマクロに推定する手法をこれまでに提案した。本研究では、そのエントロピーの変動に感応して歩行者青信号時間を調整する新たな歩行者交通信号制御方式を提案した。これは、エントロピーの値によって歩行者交通需要を推定し、毎サイクルその値に応じて歩行者青時間を最適に調整する制御方式である。本方式を適用することによって、不要な歩行者青時間を排除でき、特にスクランブル交差点ではそこを起点として延伸する自動車交通渋滞の緩和が期待できる。なお、歩行者交通需要が減少し青信号から青点滅信号へ切り替える際のエントロピー閾値について実画像処理結果およびシミュレーション実験結果を基に検討した。その結果、通常の横断歩道では2.5bits、スクランブル交差点では3.0bitsが最適なエントロピーの閾値であることが判明した。次に、交通信号制御の最小周期は1秒であることから、より処理時間の掛からない簡易な画像処理・エントロピー計測手法を提案した。その結果、PentiumIII600MHz程度のCPUを搭載したパーソナルコンピュータと画像処理ボードにて、画像処理およびエントロピー算出を1秒以内で完了できることが示された。さらに、画像処理によって歩行速度の極端に遅い歩行者(交通弱者)を検出し、歩行者交通需要が途絶え、エントロピーが減少した後も、その歩行者が安全に横断できるだけの時間を青点滅信号の延長によって確保する機能を付加した歩行者交通信号制御方式も提案した。