著者
伊藤 真 三宅 章吾 猪苗代 盛 黒岩 丈介 沢田 康次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.126, pp.25-32, 2000-06-15
被引用文献数
1

エピソード記憶は一時的に海馬に蓄えられ, その後、新皮質上に長期的に固定されると考えられている.エピソード記憶は脳内において時系列パターンとして表現されている可能性があるが, 時系列パターンとしてのエピソード記憶の長期記憶形成を説明するモデルは提案されていない.本稿において解剖学生理学的知見に基づいた, 海馬連合野モデルを提案する.本モデルの特徴は(i)連合野, 海馬CA3に時間遅れを考慮したHebb則を用いることにより, 時系列パターンの学習を可能にした点, (ii)歯状回に符号化, 海馬CA1に復合化の機能を持たせた点である.数値シミュレーションにより, 本モデルは時系列パターンの長期記憶形成が可能であることが示された.
著者
佐々木 正人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ある課題を行うときには、その目的の動作とともにそれを支える姿勢が制御されている。姿勢は課題によって調整されるものであり、課題の達成を促進するものであるということが明らかになっている。この身体の習慣の成立を二つの研究で検討した。第1の研究では、配置を変化させる行為の柔軟性のダイナミクスの問題をめぐって,画家の描画行為を検討対象とし,ビデオ観察では記述することが難しい身体運動の時間変化のパターンを3次元モーションキャプチャーシステムによって計測し,非線形時系列解析などの手法を用いた検討を行った.分析の結果,自然な状況でブロンズ像のデッサンを行う二人の画家において,左右に配置されたモチーフと画面の両方を見るという課題を解決する仕方が,画面の変化と描画の進行にともなってダイナミックに変化していることが示された.また,描画行為が埋め込まれた周囲と身体との関係に目を向けると,モチーフを固視する頻度や画家の身体運動は,行為が埋め込まれた周囲のモチーフや画面の配置および画面の変化と独立した要素ではなく,進行中の描画の状況と,環境のさまざまな制約との関係において共起する複数のプロセスのせめぎあいの結果として生じているものであることが示唆された.従来の描画行為の研究のように(e.g., Cohen, 2005),"モチーフを見る頻度"といった単一の変数を切り取ることからは見えない柔軟性の側面が,配置(持続するモチーフと画面の配置,および変化する画面上の線の配置)と行為の組織(見る行為と,鉛筆の動きを画面上に記録する行為)という全体の構造に注目することで浮かび上がってくることを実証的に示した.第2研究では、複雑な視覚-運動課題であると考えられるけん玉操作の事例をとりあげ、熟練者群と初心者群との姿勢の比較を通して、こつを必要とする技において姿勢がどのように制御されているのか、その特徴を明らかにすることを目的とした。研究ではけん玉の技の一つであるふりけんを運動課題として設定した。実験には、けん玉の初心者・熟練者各4名が参加した。初心者群は実験を行う前にふりけんを実行したことがなかった。熟練者群の参加者はみな、日本けん玉協会で実力が最高レベルに達していると認定されていた。実験参加者はふりけんを20回を1ブロックとして10ブロック、合計200回のふりけん試行を実行した。実験参加者のふりけん動作とけん玉の運動が3次元動作解析装置により記録された。分析によると、頭部・膝の運動ともに熟練者群のほうが初心者群よりも単位時間あたりの変化量が大きかった。頭部運動と膝の運動の速度ピークについても、基本的に熟練者群のほうが初心者群よりも大きかった。頭部の運動に関しては、特に垂直方向への運動の違いが両群で顕著であった。玉と頭部のカップリング、玉と膝のカップリングについては、両方とも熟練者群の方が初心者群よりも強かった。各ふりけん試行の最終時点における頭部と玉との距離・膝と玉との距離が試行間で一貫しているのかを調べたところ、頭部と玉との距離については、熟練者群のほうが初心者群よりも試行間でのばらつきが小さかったが、膝と玉との距離については、両群でそのばらつきは変わらなかった。以上の結果から、初心者群では運動する玉に対して身体の姿勢はスタティックなものであったのに対し、熟練者群では運動する玉に頭部・膝がダイナミックに協調するような姿勢を採用していたと言える。
著者
安西 二郎
出版者
判例タイムズ社
雑誌
判例タイムズ (ISSN:04385896)
巻号頁・発行日
vol.59, no.26, pp.45-64, 2008-11-15
著者
松川 昌洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.11, pp.17-24, 2005-01-28
被引用文献数
1

現在、携帯電話やPDA、電子書籍端末など、小型ディスプレイに文書コンテンツを表示して読む機会が増えてきた。しかし、小型ディスプレイ上での組版ルールが存在しないため、各文書コンテンツの表現に際しては、それぞれ独自仕様の組版が行われている。今回、紙への印刷に適用する組版エンジンを使用して組版した文字コンテンツを小型ディスプレイに表示させ、小型ディスプレイへの文字組版の有用性を検討する。Recently, the opportunity to display and read document contents on small displays, such as a cellular phone, PDA, and e-book reader, has increased. However, since the typesetting rule applicable to a small monitor does not exist, on the occasion of expression of each document contents, the typesetting of original specification is performed, respectively. This time, the character contents which carried out the typesetting using the typesetting engine applied to paper printing are displayed on a small monitor, and the usefulness of the character typesetting to a small monitor is examined.
著者
中西 正幸 三橋 健 松尾 恒一 加藤 有次 今江 広道 中西 正幸 倉林 正次
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

「神社祭礼絵巻」は、それが描かれた当時における全国各地の祭礼の姿を今日に残しており、その中には現在すでに失われてしまった祭礼行事も多数描かれているであろうことが予測され、それらの所在地や描かれた内容などについての悉皆調査を行なうことによって、当時の祭礼文化を読み解くことも可能となり、今日ではすでに失われてしまった祭礼行事の古姿を復元研究して、神社祭礼史また祭礼文化史の確立を目的として本研究を開始した。「神社祭礼絵巻」(絵図・絵馬・屏風などを含めて)類の所在について、それらを有すると思われる全国約3500の神社に対して、その有無の確認作業を実施し、さらに『国書総目録』をはじめ全国の主要図書館(主として都道府県立図書館)や、民間主要図書館の蔵書目録等により、該当する資料の所在確認作業を行った。本年度に至るまで引き続き関連資料の所在につき補充調査を行なうとともに、一部の資料については所蔵者のもとに出向き、実物の調査・写真撮影なども行ったが、平成9年12月末日現在で確認出来た資料数は次の通りである。絵巻 174点、絵図 165点、絵馬 15点、壁画 2点、屏風(衝立) 13点(合計369点)この種のデータは従来皆無であり、今回の調査研究によって「神社祭礼絵巻」類の所在データが一先ず集積出来たことは、本研究の大きな成果であると考えている。今後は、このデータを活用して当初の目的である神社祭礼史・祭礼文化史を確立するために、個別資料ごとの研究を行なうとともに、更なるデータの蓄積作業をも重ねて行きたい。
著者
瀬口 哲夫 福島 茂 高山 純一 宮崎 幸恵 宮崎 耕輔
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1999年以降に合併した、800km^2以上の行政面積を持つ市を研究の対象とした。これら、「合併巨大都市」は、行政規模が大きくなり、集約型の都市を志向する傾向がある。また、土地利用や都市計画、さらに、産業振興・地域活性化では、地域的差異を抱え込みながらも広域調整の点で成果が見られる。一方で、広大な過疎地や山間部を抱えていることから、「都市内分権」や住民自治の強化が求められており、地域自治に先駆的な試みが見られる。
著者
吉見 崇
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究は、中華民国国民政府(または中華民国政府)が統治した1928年から1949年、特に憲政の実施が具体的に議論された抗日戦争期から戦後にかけての同政府による「司法改革」の考察を通じて、当該時期の政治システムにおける「司法権」の位置づけ、さらには近現代中国における「司法権」のあり方を明らかにすることを目的として行った。近年の本研究と関連する先行研究を参照すると、憲政実施といういわゆる民主化実施の過程のなかで、「司法権」が違憲審査制といった制度によって、強大な行政権の暴走を抑止し、人々の自由を守ろうとしたという観点から、考察されている。むろんこのような側面は「司法権」の重要な一面であるが、「司法権」が政治システムのなかでどのような役割を果たしたのかを総合的に把握するには至っていない。すなわち、「司法権」は国家権力なのであり、それによった司法制度についても政治制度として政治史のなかで考察していく必要がある。本研究はこれまでの研究を経て、このような観点を強調するとともに、その結果として中華民国国民政府(または中華民国政府)の政治システムの捉え方を再考し、現在の中国や台湾における「司法権」のあり方を歴史的に考察することへとつなげることができるだろう。本研究が行った具体的な内容は、主に以下の通りである。・当該時期の司法行政について、政策決定過程の様子を明らかにするため、中国国民党、そして国防最高委員会、国民政府、行政院、司法行政部、立法院、国民参政会、司法院といった様々な政策参与機関による議論、提案などを考察した。・司法行政政策が決定、実施されていく政治的、外交的背景はどのようなものであったのかを明らかにするため、当該時期の憲政と政治腐敗の問題やアメリカ、イギリスとの不平等条約撤廃などについて考察した。上記のような本研究の観点による具体的内容の考察を、今後も継続していきたいと考えている。
著者
八田 武志 三輪 和久 川口 潤 筧 一彦 川上 綾子 栗本 英和
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

昨年度に続き本年度も今までに収集した漢字誤記のタイプ別分類(1)とその産出メカニズムの説明モデルの作成と、(2)さらなる自発書字における漢字誤記の収集を行った。さらに,(3)今までに収集した漢字誤記のデータベース作成と,(4)データベースの利用容易性の検討である。(1)については,音韻、形態、意味の3つの基本要素を中心にそれらの組み合わせから生じる音韻+形態、音韻+意味、形態+意味、音韻+形態+意味、語順、部品欠損、その他の合計10タイプに漢字誤記は分類できることが明らかとなった。このような誤記の産出は3基本要素の心内辞書での活性化によるとする認知モデルは,基本的に変更する必要を感じなかった。これは,10タイプの分類で不可能とするような新しいタイプの誤記は生じなかったためである。(2)について本年度行ったのは,(1)ベネッセ「赤ペン先生」に解答者が記載する赤ペン先生へのletterにおける誤記(この場合中学生が主な対象となる)。(2)大学生における約400名の自由記述タイプの試験答案における誤記(これは一人あたりおよそ2000文字以上の記述がある),(3)専門学校生におけるレポートおよび感想文における誤記を対象に収集した。(1)については,添削がネット上で行われる様態に変更されたために,途中で収集は断念せざるを得なかった。(3)および(4)に関しては,誤記を考慮した手書き入力デバイスへの支援ソフトに利便性の高い形式を模索中である。本研究に関連の深いものとして,書字において情動価をどの様に伝達するのかに関する実験研究を行い結果を発表した。その内容は,漢字,平かな,カタカナなど表記のタイプと活字体の種類を変数にしたもので音声言語でのプロソディに相当する機能を書字でも行っていることを立証するものであった。
著者
宮永 健史 石塚 亙 藤田 利光 中村 文子
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1、実験工作キャラバン隊ボランティア団体「実験工作キャラバン隊」を組織し、地域の小中学校、教育委員会、子ども会等の要請に応じて出かけていき、実験工作教室を開いた。平成17〜18年度中の開催回数は51回、参加学生は延べ352人、教職員は延べ87人で、参加した児童生徒は1849人であった。この児童生徒数には、科学まつりや大学祭等、大きな催しの中の1つの出し物として参加した場合に指導した児童生徒数を含めていないので、学生達が実際に指導した児童生徒数は更に2000人程度増加すると思われる。活動の様子はホームページに公開した。また、レーザープリンタを使って実験工作の説明資料を作り参加児童生徒に配布した。参加した児童生徒の95%が「大変おもしろかった」または「おもしろかった」と答えており、子ども達に科学に親しむ場を提供する上で大きな成果があった。参加学生達も自分たちの「子どもを指導する力」、「子ども達との接し方」が向上したと感じており、教員養成の面でも大きな成果があった。また、いくつかの実験テーマを選び、その学問的基礎、実験方法、実験装置の作成方法、授業展開例、等をまとめたパンフレットを作り学生教育の充実を図った。2、サイエンス・ものづくり指導実習実験工作キャラバン隊の活動を、正規の教員養成カリキュラムに取り入れるため、平成17年度から「教科または教職」科目の1つとして「サイエンス・ものづくり指導実習」(通年集中、2単位)を開設している。平成17、18年度に携わった教員9人、受講生は合計27人であった。学生達は4月から7月の問に「実験工作キャラバン隊」の出向に参加し、実験工作教室を体験した。そして、11月から12月の間に小学校、中学校に出かけていき、各人5時間以上の理科実験やものづくりに関する授業を行った。学生達は、授業する力、子ども達と接する力、実験ものづくりの授業を企画する力等が向上したと評価している。最後に協力校の教諭とのシンポジウムを開き、この授業が学生の実践的指導力を付ける上で大変有効であることが分かった。
著者
渡辺 儀輝
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.40-42, 2010

平成20年度,独立行政法人科学技術振興機構(JST)が公募した地域ネットワーク支援事業に函館市の提案が採択された。その内容は地域の独自性を活用した国際科学祭,科学網,科学寺子屋の3つのイベントの有機的・複合的なものであり,他に採択された各種大学の提案事項と一線を画している。ここでは,その中の「はこだて国際科学祭」を中心に取り上げ,従来から開催されていた青少年のための科学の祭典函館大会との関連と,今後の展望も紹介する。
著者
鷹野 和美 横山 孝子 古田 睦美 清水 貞夫 鷹野 和美
出版者
長野大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

異なる社会層からなる地域コミュニティの助け合いのしくみづくりにおける、地域通貨の果たす役割を実証的に研究した。具体的には学生および卒業生からなるNPO組織「学生地域暮らしづくり考房こみっと」の交流施設「縁舎」を拠点都市て、長野大学の学生という若い世代の新住民と、長野大学が位置する上田市下之郷地区において住民の主要な構成要素である65歳以上の老人の組織「双葉会」との交流活動が行われたが、そこにおいて、同NPO団体が発行する地域通貨「イクタル」の導入実験が行われた。1.高齢者、地域住民、学生に対するニーズ調査が行われ、その結果に基づいて交流活動および定期的な「御用聞き訪問」、夏野菜の提供による野菜市、脳いきいきテストなどが「イクタル」を媒介として行われた。2.3年間の実験を通して、地域通貨イクタルの周知度、地域通貨の流通量が増大し、これまで交流のなかった異世代間の交流が促進された。交流活動や脳いきいきテスト、かなひろいなどを通じて、高齢者の引き込むりを予防し、助け合いを行うしくみが模索された。3.3年間の実験を終えて、高齢者が、継続的に若い世代と関わる場合の地域通貨のあり方について、利用者調査から考察をいった。異なる社会層が助け合う地域コミニティの形成に、地域通貨の導入が好意的に受け入れられ、威力を発揮することが実証されるとともに、地域通貨システムの改善点や課題も抽出された。
著者
承 志
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

第一 清朝八旗戸口制度の成立八旗における戸口編審制度の成立について考察した。こうした戸口編審の成立については、八旗制度の成立と共に八旗戸口制度も同時に設立されたことを私なりの見解を示しておいた。そしてホン・タイジの天聡四年に戸口編審が法制化され、三年ごとにニル戸口の統計が行われたことを検討した。さらに、その実態についても具体的に追究した。そして、上で述べてきた戸口編審によって、作られた具体的な戸口冊について考察した。その結果、一ニルに所属された戸の数、総人口、そして家族構成を明らかにした。第二 旗人作品にみる旗人戦士の実態像まず、センシュが康煕二十一年に書いた『随軍紀行』を取り上げ、三藩の乱を平定しに行った旗人日記から、旗人の新年行事と家族への思いなどを分析して、人情に溢れた旗人像を提示した。つぎは、シベ駐防八旗のヘイェル・ヴェクジンが書いた『フイファン・カルンの手紙』を中心に、カルン換防兵が見えたカロンの状況、道中の風景、そしてフイファン・カルンの旗人生活などのことを詳しく解明した。最後に『ドンジナ見聞録』にみる旗人に関する記事を取り上げ、その実態を明らかにした。第三 黒龍江将軍衙門档案について-康煕二十三年から二十七年を中心に満洲語で書かれた黒龍江将軍衙門档案を、その概要から、文書の形式、内容の分析によって、文書行政のシステムを解明し、黒龍江地域社会の形成は駅伝・屯田地によって発展していくことを明らかにした。このほか『黒龍江将軍衙門档案』を中心にローマ字に転写して作業を進めてきたが、その日本語訳と索引を作成した。
著者
竹熊 尚夫
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、多民族社会における民族教育と多民族共生教育をそれぞれの国・地域と民族学校の事例を通して検討し、民族学校の役割、換言すれば多民族社会の中で持つ機能を明らかにするものである。調査研究を通して次のようなことが明らかとなった。1.民族教育システムがあるレベルまで完結しているマレーシアの中華系独立学校体系では、地域の他の民族系住民との相互関係や政府による教育・支援との補完関係はそれほど強いものではないが、中国語教育という言語教育において、初等段階ではマレーやインド系の生徒を既に受け入れ始め、中等段階では国際的ネットワークの中で華僑移民系の学生をリクルートしている。中華系の民族教育は政府のシラバスの枠中で実施されているが、付加的なアプローチであり、それほど大きなコンフリクトは生じていない。2.認可を受け政府補助も受けているフェイス・スクールの一つである、バーミンガムのムスリム初等・中等学校は、主として地域内の生徒を受け入れている。設置主体の母国との関わりを持ちながら、イスラムネットワークを基盤とした教科書導入が見られる。カリキュラムの中では付加的というより、併存もしくはイスラム的解釈への読替が見られた。3.土曜・日曜の補習校として長年維持されてきたロンドンの中華系補習校は、中華商会の建物の中で、郊外からの子どもを受け入れ、中国語の授業を中心に行っている。中華系コミュニティと地域行政との接点を構成し、公立校の中華系子弟に対する補完的な民族教育を実施している。4.公立学校の敷地を活用しているオーストラリアの中華系補習校は、民族学校として政府補助を受けている。中華系は分散居住であるが、地域の他の民族住民との関わりや中国の大学からの援助も受けている。様々な地域から移住してきた中華系としての集合的記憶の場であり、多民族社会の緩衝装置として機能する可能性が明らかとなった。
著者
竹田 真木生 五味 正志
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アメリカシロヒトリは戦後アメリカから侵入し、分布を広げており、侵入害虫の定着に伴う生活史の変化の研究のモデル生物である。生活史適応は、種の存在様式を決定する大事な形質で、この分化によって新しい種を生み出したと考えられる。このような適応の様式が地球温暖化の中でどのように動くかを、調査するのが本研究の目的である。アメリカに葉、日本に侵入したものとは異なる姉妹種がいて、本国では一部同所的な分布をする。また、競争種を欠く分布をするストックもある。本研究では全米から多数の個体群を採集し、その生活史形質と遺伝的分化、時間的な隔離機構の調査を行った。2種の生殖隔離には時間的な隔離が重要な役割を果たすことが明らかになった。また、北陸地方で温暖化に伴う、休眠の臨界日長の調査(すなわち3化型生活史の北上)をおこなった。二化と三化の境界は、現地の平均気温と明確な対応を見せることが分った。
著者
吉田 正
出版者
追手門学院大学
雑誌
追手門学院大学社会学部紀要 (ISSN:18813100)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.157-172, 2010

基礎身体技法 / 野口体操 / 心身統一合気道 / 守・破・離