著者
岩口 尭史 久保 尋之 川崎 洋
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2022-CVIM-229, no.19, pp.1-4, 2022-03-03

本発表ではすりガラスなどの拡散体の背後にある鏡面反射物体形状の再構成に取り組む.拡散体背後の物体は環境光の下ではボケて観測されるため形状の復元は困難だが,拡散体上の微小領域に光源を照射すると,拡散板の表面には反射による集光模様であるコースティックスが現れる.本論文では,光学現象を考慮した微分可能レンダリングによりコースティクスを解析し拡散板の背後にある物体の表面法線を復元する方法を提案する.提案するレンダリング手法はメッシュ表現を利用するため,レンダリング画像だけでなく,幾何学的なパラメータを対象に最適化を行うことができる.実験では,反射光分布から形状を復元し,反射光の位置から幾何学的パラメータを最適化することが可能であることを示す.さらに,正確なコースティクスの再現が要求される Goal-based caustics へ応用しレンダリング能力を示す.
著者
石川 英洋 新堂 晃大 冨本 秀和
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.346-349, 2022 (Released:2022-11-22)
参考文献数
14

Kelch–like protein 11 (KLHL11)–associated paraneoplastic syndrome (PNS) has been newly categorized as PNS. The corresponding syndromes are cerebellar and/or brainstem involvement, and in the fewer cases, limbic encephalitis. Hearing loss or tinnitus often precedes other symptoms. Findings of cerebrospinal fluid show inflammatory (protein 50mg/dL or greater and leukocyte counts exceeding 5 cells/µL) with oligoclonal bands in over 80% cases. The most common associated tumor is testicular germ cell tumor, especially seminoma. The primary testicular tumor is often spontaneously regressed with or without metastasis in lymph nodes, called a burned–out testicular tumor. Ultrasonography of testis is useful for such cases because it can detect the suggestive findings of burned–out tumors such as fibrosis and microlithiasis as hypoechoic area. The principles for management are treatment of underlying cancer and immunotherapy. KLHL11–PNS may have a more refractory course than PNS associated with antibodies against neural cell surface antigens since KLHL11 antibodies are targeting intracellular autoantigens and cause cytotoxic T–cell–mediated pathogenesis. A recent paper published by Autoimmune Encephalitis Alliance Clinicians Network recommends that tumor treatment and intravenous methylprednisolone followed by short oral taper should be performed as first–line therapy. If there is no improvement cyclophosphamide can be the next option. Then experimental therapy like IL–6 inhibitor or bortezomib can be considered in non–responded cases.
著者
松浦 將行 高久 節夫 斉藤 正幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
トンネル工学研究発表会論文・報告集 (ISSN:18849091)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.507-512, 2002-11-18 (Released:2011-06-27)
参考文献数
4

Bureau of Sewerage, Tokyo metropolitan goverment has a plan to increase the efficiency of constructing sanitary or combined sewer tunnels to reduce the cost of shield tunneling for sewerage systems. Specifically, segments in sanitary or combined sewer tunnels are shop-applied with secondary linings to eliminate secondary lining work at the site. This paper describes the results of a study to standardize the method of designing segments shop-applied with secondary linings, which are referred to as “secondary-lining-applied segments”.
著者
東寺 祐亮
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.176, pp.79-94, 2020-08-25 (Released:2022-08-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

「LTD話し合い学習法 (Learning Through Discussion)」は読解の予習と小グループでのミーティングで構成された学習法である。これまで,日本語母語話者を中心に実施されているが,日本語学習者を対象にした場合の影響は明らかでない。そこで,本研究は,日本語学習者を対象にLTDを実施した場合,ディスカッション・スキルや協同作業認識にどのような影響を与えるかを調査した。その結果,ディスカッション・スキルについては,「場の進行と対処」,「積極的関与と自己主張」,「雰囲気作り」に肯定的な影響を与えることが明らかになった。また,協同作業認識については,「個人志向」,「互恵懸念」に肯定的な影響を与えることが明らかになった。一方,本実践では,日本語学習者を対象にLTDを実施する際の課題も見られた。本実践で生じた課題をもとに,LTDの手順,ディスカッションの使用言語,課題文選定に分けて整理する。
著者
服部 泰宏 矢寺 顕行 新井 康平
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1-2, pp.1-19, 2022 (Released:2023-04-15)
参考文献数
45

Organizations must make decisions about which resources to prioritize and to whom to allocate them. In order to do so, evaluation practices are used to clarify the quality of employees. The purpose of this study is to examine the relationship between performance appraisal and personal reputation, which are two types of personnel appraisal practices used in organizations. Using questionnaire data and HR data analysis from a Japanese manufacturing company, we empirically took on this problem. The results of questionnaire data and HR data analysis from a Japanese manufacturing company showed that the capital that affects the two evaluation scores was found to be different from each other. In addition, psychological capital was found to be an antecedent of both.
著者
今井 登
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.281-291, 2010 (Released:2010-12-24)
参考文献数
21
被引用文献数
4 3

日本全土における海と陸の元素分布を調査し、日本の地球化学図を初めて作成した。これにより日本列島の海と陸のバックグラウンド値が明らかになり、陸から海への元素の連続的な流れを知ることができるようになった。地球化学図作成に用いた試料は、陸では河川堆積物3,024個、海では海底堆積物4,905個で、分析した元素はヒ素、水銀、カドミウムなどの有害元素を含む53元素である。この研究では、特定の地域で確立した方法を適用し、現実的な実施可能性を考慮した発想の転換により一挙に全国カバーへの展開を実現し、陸域から海域、さらに土壌へと対象を拡大している。地球化学図は、人間・産業活動による土壌や海底堆積物の汚染の評価にも使用される。また、結果は出版やweb公開により、社会的なインパクトを与えている。本稿では、日本の地球化学図を作成するために採った研究シナリオを述べ、次に試料採取から試料処理、化学分析・元素濃度測定、地図作成、データ公開に至る一連の研究プロセスを述べる。
著者
夏目 葉子
出版者
日本薬史学会
雑誌
薬史学雑誌 (ISSN:02852314)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.136-151, 2020 (Released:2021-01-28)

目的:アムリタとは,サンスクリット語で「不死」を意味する語であるとともに,不特定のものに適用される形容辞でもあった.しかし,『インドアーユル・ヴェーダ薬局方』(以下略号 API)では,それを特定の複数の薬用植物の同義語として記載している.本論では,インド医学文献におけるアムリタの用例を分析し,アムリタが特定の薬用植物の同義語として規定されるに至った根拠を考察する. 方法:まず,API でアムリタという同義語をもつ薬用植物の薬効を,薬理学の視点から論じる.次に,古代インド三大医学書,それらから処方を引用している『バウアー写本』,および API の典拠のひとつとされる『バーヴァプラカーシャ』におけるアムリタの記述を原文解読することで,その意味を文献学的に分析する. 結果:古代インド三大医学書と『バウアー写本』におけるアムリタは,グドゥーチー,ハリータキー,アーマラカの別称として用いられていた.なかでも,『バーヴァプラカーシャ』の語彙集に記されたグドゥーチーの薬用植物としての起源は,『ラーマーヤナ』に説かれていた「猿たちの復活」と同様に「生命を取り戻す」ことを意味し,「不死」と関連付けた捉え方をしていた. 結論・考察:API におけるアムリタの記述には,古来のインド神話伝説の系譜が関連している.そのことが,API がアムリタを特定の薬用植物の同義語として規定されるに至った根拠のひとつであると考察した.
著者
山本 剛優 伊藤 政喜 奈良 一寛
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.26, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】不溶性食物繊維を多く含む全粒穀物の摂取が、冠状動脈疾患のリスク低減に有効であることが報告されている。スナック菓子の原材料としても多く利用されているトウモロコシも食物繊維の豊富な全粒穀物の一つであることから、その利用が期待される。一方でトウモロコシでは、多糖類にフェルラ酸がエステル結合して存在することが明らとなっているが、穀粒の形や性質による差異については十分に明らかではない。そこで本研究では、トウモロコシ多糖類の微細構造の差異について明らかにするため、トウモロコシの種類さらにはそれらの加工品におけるフェルラ酸量の差異について調査した。【方法】トウモロコシ(ポップ種、デント種、ワキシー種)およびトウモロコシ加工品(ポップコーン、コーングリッツ、フライ製品)を材料とした。粉砕した試料を一定量はかりとり、1M水酸化ナトリウムを加えアルカリ処理することでフェルラ酸を遊離させ、遊離したフェルラ酸をHPLCにて測定した。【結果・考察】デント種とワキシー種においては差が認められなかったが、ポップ種においては顕著に多かった。ポップ種はバタフライ型とマッシュルーム型に分類されるが、バタフライ型において、よりフェルラ酸が多いことが明らかとなった。コーングリッツおよびコーングリッツを使用したフライ製品では原料に比べ顕著に減少していた。一方で、ポップコーンは加工後も原料と同程度のフェルラ酸が残存していることが明らかとなった。 以上のことから、トウモロコシ及びその加工品では、種類や加工法によってフェルラ酸に差異が見られることが明らかとなった。中でもポップコーンは、フェルラ酸が多いことから、その摂取源としては有用な素材であることが示唆された。
著者
SHUICHI NAGATA
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological Science (ISSN:09187960)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1, pp.45-57, 2006 (Released:2006-04-18)
参考文献数
64
被引用文献数
3 5

After a long interruption due to the Pacific War and Malayan Emergency, anthropological research on the foraging populations of southern Thailand and northern Malaysia was resumed with renewed vigor by Thai, Malaysian, and international scholars. However, the link between recent findings and those reported by earlier workers in the region is often not made explicit. One difficulty in constructing a clear linkage is the lack of unambiguous identities or ‘names’ of the foraging groups under investigation. The present paper addresses this problem, examining the ‘names’ of the Sakai and Semang subgroups reported in the literature, evaluating the status of their referents, and discussing the reasons why subgroup names have been obscure.
著者
有村 達之 岡 孝和 松下 智子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.745-754, 2012-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
6

目的:失体感症を評価する質問紙である失体感症尺度を開発し,信頼性と妥当性の検討を行った.方法:415名の大学生を対象にして,失体感症尺度予備尺度およびToronto Alexithymia Scale-20(TAS-20)への記入を依頼した.結果:項目分析により「体感同定困難」「過剰適応」「体感に基づく健康管理の欠如」の3つの下位尺度,合計23項目からなる失体感尺度が開発された.失体感症尺度は,総得点および下位尺度のいずれにおいても,内的整合性が高く(α=0.70〜0.84),再検査信頼性も十分であった(r=0.71〜0.81).失体感症尺度の総得点と下位尺度は,そのほとんどがTAS-20と有意に相関していた.結論:失体感症尺度は失体感症を評価するためにはじめて標準化された質問紙である.大学生における信頼性は高く,ある程度の妥当性も示唆され,失体感症の研究や臨床応用に有望な心理テストであると考えられる.
著者
大津 尚志 Takashi OTSU
出版者
武庫川女子大学学校教育センター
雑誌
学校教育センター紀要 = Bulletin of School Education Center (ISSN:24353396)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.29-42, 2023-02-28

大阪府内では2017 年に「黒染を強要された」ことを理由に生徒が校則をめぐって訴訟を提起するということがあった。提訴の後,大阪府教育委員会は高校の校則の点検や公開を指示するようになった。それでは,大阪府内の市立(区立)中学校について校則についていかなる実態があるのか。それは,30 年前の中学校の校則や現在の高校の校則と比するとどのような特徴があるのか。現在の高校の校則とはどう違うのか。「細かすぎる校則」や「理由の説明が難しい校則」がやはり存在するのではないか。校則が生徒の権利を意味なく侵害するものになっていないのか。本稿ではそういった観点から校則を分析することを試みる。そして,現在改訂が予定されている『生徒指導提要』の「改訂案」をもとに,現状の問題点を指摘することを考える。
著者
末廣 忠延 石田 弘 小原 謙一 藤田 大介 大坂 裕 渡邉 進
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.29-33, 2018-04-30 (Released:2018-08-12)
参考文献数
19

【目的】目的は健常者と慢性腰痛者における腹臥位での股関節伸展運動時の筋活動量を比較することである。【対象】対象は健常成人20名と慢性腰痛者20名とした。【方法】筋活動の測定は表面筋電計を使用し,被験筋は対側の広背筋,両側の脊柱起立筋,多裂筋,同側の大殿筋,ハムストリングスとした。被験者は腹臥位となり膝を伸展位で股関節を伸展10°に保持した際の筋活動量を測定した。群間の筋活動量の比較にはMann-Whitney のU 検定を使用した。【結果】大殿筋の活動は,健常者に比較して慢性腰痛者で有意に高値を示した。他の筋については有意差を認めなかった。【考察】慢性腰痛者は股関節伸展時に健常者よりも高い大殿筋の活動を示すことが明らかとなった。この原因としては,大殿筋の筋力低下や股関節伸展側の骨盤の水平面上での腹側への回旋が生じた状態で股関節を伸展したことが要因として考えられた。
著者
小谷 俊博 米村 恵一 大枝 真一
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:21889201)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-11, 2019 (Released:2019-04-10)
参考文献数
14

Artificial Intelligence (AI) has been developing rapidly last few years. This development influences the way to work in engineering deeply. However, the technologies of AI also have lots of ethical problems. In this paper, we argue that engineering ethics should deal with the ethical problems with AI. We focus on the following AI ethical problems. First, AI leads to a significant change in the way of our lives. Secondly, AI has the problems of product liability seriously. Thirdly, AI technology arises copyright problem or concern derived from the concept “strong AI”.