著者
高野 成子 端 利志明
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.255-263, 1986-10-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
6

Cardiovascular responses to weight-lifting exercise were studied on eight experienced weight lifters, with an aim at examining the difference in the responses between two weight-lifting forms of “Snatch”and“Jerk”and that between the subjects. The exercise was performed successively at five exercise intensities interposing 3.5-min rest in sitting position : 10 repetitive lifts for 30 sec with 20, 40 and 60% of the maximum single lift, 3 repetitive lifts within 25 sec with 80% and finally the maximum single lift (100%·1 RM) . Each of“Snatch”and“Jerk”experiments was done on separate days. Blood pressures (BP) in sitting position were measured in sphygmomanometry at rest and 30 sec before and 12 sec after exercise. Heart rate (HR) was measured in a 30 sec pooling method throughout the experimental period. The following results and suggestions were obtained.(1) Resting HR and BP that were measured before the exercise were not different between“Snatch”and“Jerk” experiments.(2) At each exercise intensity, HR during exercise (exercise HR) was slightly greater in“Snatch”than in “Jerk”, the difference being not significant. Exercise HR at 100%·1 RM was 114±9 (SD) beats/min in “Snatch”and 111±7 beats/min in“Jerk”.(3) Anticipative tachypnea occurring prior to exercise became stronger as the weight to be lifted became heavier.(4) At each exercise intensity, the inter-subject difference in exercise HR was due to the difference in the absolute weight lifted for subjects weighing lighter, and for those weighing heavier it was due to the differences in the resting HR as well as in the absolute weight lifted.(5) Thus, exercise HR in weight lifting that requires nearly maximal dynamic contraction for 10-30 sec seems to be determined not only by the exercise intensity but also by resting HR, anticipative tachypnea and experience.(6) At lower exercise intensities, post-exercise BP was significantly higher in“Snatch”than in“Jerk”, while the difference between the two weight-lifting forms disappeared at higher intensities. At 100%·1 RM, post-exercise BP was around 145 mmHg for the systolic pressure and 77 mmHg for the diastolic pressure in both lift forms.(7) At each exercise intensity, the inter-subject difference in post-exercise BP was accounted for by that in the resting BP but not in the absolute weight lifted. Accordingly, the rise in BP with exercise, calculated as post-exercise BP minus resting BP, was invariable with the subjects. At 100%·1 RM, the rise in BP was 25 mmHg for the systolic pressure and 10 mmHg for the diastolic pressure.(8) Difference in cardiovascular responses between the two weight-lifting forms and interpretation of post-exercise values of BP and HR are discussed.
著者
西根 勤 大杉 義彰
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.761-765, 2005-06-10 (Released:2019-09-27)
参考文献数
4

ポストゲノムの時流の中で,より生命の本質にせまるべくプロテオームと総括される網羅的たんぱく質解析が,方法論の検討段階から結実期を迎えつつある.RNA発現プロファイルとたんぱく質発現プロファイルの相関が低いといわれているように,遺伝情報のみから生命の実体であるたんぱく質の構造と機能を解明することは難しい.また,たんぱく質を調べることは,新規診断や創薬につながる可能性を秘めており,プロテオームはゲノム同様に大いに期待されている.プロテオミクスの進展には,いくつかのブレークスルーが必要であったが,その一つが質量分析技術の発達である.
著者
畠山 典子 原田 静香 中山 久子 櫻井 しのぶ
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.13-25, 2019 (Released:2020-04-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

目的:自治体における産後ケア事業を利用する母親はどのような気持ちにおかれているのか,産後ケア利用後にどのような気持ちの変化をもたらしたのかを明らかにすることで効果的な産後ケア事業の展開方法への示唆を得ることを目的とした.方法:産後ケア事業を利用した母親については利用前・利用後の気持ちの変化について,直接的ケアを提供する助産師については,ケアのなかでとらえた母親の気持ちについてインタビューを行い,グラウンデッド・セオリー・アプローチに準じて質的帰納的に分析した.結果:産後ケア事業を利用した母親の利用前の気持ちについて,【漠然とした不安感を軽減したい】【自分自身を振り返るための気持ちのゆとりと空間がほしい】【初めてのことに直面する機会が多く,否定的な感情をもちやすい】【どんな自分でもまずは受け止めてほしい】【他の母親や理想の母親像と現実を比較してしまう】【早いうちから信頼して相談できる人やサービスについて知っておきたい】の6つのカテゴリーを抽出した.利用後は,【母親自身が大切にされた経験となる】【気持ちにゆとりが生まれ思考が前向きに転換する】【交流のきっかけとなる】【漠然としていた不安の内容が見えてくる】の4つのカテゴリーが抽出され,母親の気持ちのポジティブな変化がみられた.結論:産後,母親としての新しい役割を担う時期には自信の低下や葛藤が起きやすい.その時期に,自分を受け止めてくれるという安心感や,専門職からのサポート,安全な環境のなかで自らを振り返り,大切にされた経験は,自分自身や児,家族,社会に対して前向きな気持ちの変化をもたらした.よって産後ケア事業のなかにおける個別性あるエモーショナルサポートを基盤としたケアの重要性が示唆された.
著者
葉養 正明
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.73-77, 2019-12-20

本稿は,東北地方沿岸部の少子化・人口減の中長期的なトレンドのもとで発生した東日本大震災後の,①小中学校の再建再編の進行,子どもの教育圏に生じた変化の記述を進めるとともに,②「学校統廃合の社会的費用1)」に関連する先行研究2)や学校統廃合の財政効果に関するいくつかの自治体3)の試算などのレビューを進め,②「学校統廃合の社会的費用」に迫る枠組みについて検討を進めようとする研究に向けた序論である.本稿が対象にする東日本沿岸部の場合,中長期的に少子化・人口減が進行すると同時に被災からの教育復興という二重苦に直面している.そこで,本稿は,「学校統廃合の社会的費用」という切り口を設定し,就学人口の中長期的縮小と被災に伴う就学人口の変動,教育復旧・復興の必要性という諸要因の絡んだ学校規模や配置のあり方問題の検討を進めることにする.
著者
日本舶用機関学会軸系研究委員会
出版者
公益社団法人 日本マリンエンジニアリング学会
雑誌
日本舶用機関学会誌 (ISSN:03883051)
巻号頁・発行日
vol.23, no.8, pp.500-507, 1988-08-01 (Released:2010-05-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Allowable minimum revolution of shafting relating to oil film generation on stern tube bearing is described in this paper.
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.67-69, 2017-02-01 (Released:2017-04-05)
著者
小林 尚 佐藤 孝史 菊川 浩史 小林 政人 金子 聡
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.139-146, 2021 (Released:2022-01-14)
被引用文献数
1

ヒスタミンは、主に赤身魚において、不適切な管理が行われた結果、ヒスタミン生成菌が生成するヒスチジン脱炭酸酵素により、遊離ヒスチジンから生成される食中毒の原因物質である。本研究では、市販の魚介類について、魚介類中のヒスタミンおよび遊離ヒスチジン含量を調べるためのモデル試料を調製し、それぞれ5 ℃、10 ℃または25 ℃の温度で、1日、2日、4日または7日間保存する保存試験を行った後、各モデル試料中のヒスタミン含量と遊離ヒスチジン含量を分析した。その結果から、生成したヒスタミン量と遊離ヒスチジン量の変化について研究を行った。保存試験の結果、赤身魚の他、白身魚やその他魚介類において、ヒスタミンの生成と遊離ヒスチジン量の減少が確認された。また保存後に生成されたヒスタミン量は、遊離ヒスチジン量に近い量であることが確認され、保存試験におけるヒスタミン量と遊離ヒスチジン量の変化に相関性が確認された。このことから、魚介類の遊離ヒスチジン量を調べることで、その魚介類を保存した時に生成されるヒスタミンの最大量を予測することができると考えられた。
著者
津野香奈美著
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
2023
著者
菊本 統 下野 勘智 伊藤 和也 大里 重人 稲垣 秀輝 日下部 治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.43-57, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
53
被引用文献数
1 2

自然事象の頻度や程度を表す危険源,自然災害にさらされる人口割合を表す曝露,自然災害に対する社会や経済の脆さを表す脆弱性を定義し,規準化した過去の災害記録や統計データの重み付け線形和により計算し,それらの掛け合わせとして自然災害に対するリスクを評価する統合的指標を提案した.そして47都道府県を対象としてリスク指標を算出し,各都道府県が内包するリスクの特徴を考察するとともに,指標の意義を説明した.最後に,指標を用いたリスクの分析と管理の方法について議論した.
著者
植野 真臣
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.e1-e6, 2023-04-15

CBT(Computer Based Testing)は,従来の日本型テストとはまったく異なる考え方に基づいたテスト技術で,単にペーパーテストをコンピュータ上に置き換えたものではない.本稿では,CBTの考え方,最先端技術と問題,について解説する.具体的には,1.CBTの世界標準,2.テストの測定誤差と等質性,3. CBTでしか実現できない能力測定,4. CBTを用いた大学入学者選抜,について述べる.
著者
露口 利夫
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.143-152, 2022 (Released:2022-02-21)
参考文献数
40

急性胆管炎,胆石性膵炎,急性胆囊炎など胆膵疾患は緊急内視鏡を必要とすることがある.緊急ERCPの適応には中等症以上の急性胆管炎,胆管炎を伴う胆石性膵炎,手術や経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage,PTGBD)の適応のない急性胆囊炎などがある.急性胆管炎に対する内視鏡的ドレナージは中等症では早期,重症では直ちに行うべきである.胆管炎を伴わない胆石性膵炎に対するERCPのタイミングは緊急ではなく早期(待機的)とすべきである.ドレナージ方法の選択と施行するタイミングはガイドラインに従うだけでなく各施設において得意とする方法を選択すべきである.新たな手技としてバルーン内視鏡下ERCP,超音波内視鏡下胆道ドレナージなどがあげられるが,これらの緊急内視鏡は基幹病院において経験豊富な胆膵内視鏡医により施行されるべきである.
著者
高岡 詠子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.239-243, 2023-04-15

本会では8年間にわたり,教員免許状更新講習を開設してきた.その経験を活かし,2022年7月〜8月に4日間のオンライン研修(一部対面を含む)を行い,その内容を収録・編集しコンテンツ化を行った(コンテンツ化は文部科学省教員講習開設事業費等補助金事業).10月中旬から2023年1月まで,コンテンツ化した映像をオンデマンド配信した(研修からオンデマンド配信まで文部科学省の後援をいただいた).研修内容としては,学習指導要領に沿った内容とすることに加え,特に補助金事業タイトルにある「教員免許状を保有するものの教職には就いていない者または外部人材が教職に入職する際に活用できる」ことを重視した.夏のオンライン申込者が524名,オンデマンドのみの申込者数は119名,デジタルバッジ申請者は延べ6,612名であった.
著者
山本 智支 乾 和郎 片野 義明 三好 広尚 小林 隆 松浦 弘尚
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.147-155, 2019-03-25 (Released:2019-04-08)
参考文献数
32

急性胆嚢炎は胆嚢に生じた急性の炎症性疾患と定義され,原因の85~95%は胆嚢結石である.リンパ管のうっ滞・拡張を認める浮腫性胆嚢炎,壊死出血を認める壊疽性胆嚢炎,膿瘍化してきた化膿性胆嚢炎に分けられる.診断は,臨床兆候(Murphy's signと右上腹部の腫瘤触知・自発痛・圧痛),血液検査,画像所見により行う.白血球異常,CRPの上昇などを認め,ビリルビン,肝・胆道系酵素の上昇は軽度見られることが多い.腹部USでは,胆嚢腫大,壁肥厚,結石嵌頓,デブリ,sonographic Murphy's signのほか,胆嚢周囲浸出液貯留,胆嚢壁hypoechoic layer,不整な多層構造を呈する低エコー帯,ドプラシグナルが診断に有効である.急性胆嚢炎の診断が困難な場合や胆嚢穿孔,胆嚢周囲膿瘍などの合併症が疑われた際には,ダイナミックCTが有用である.
著者
寺本 喜好 臼井 永男
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.207-214, 1995-11-20 (Released:2007-03-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1

疾患を持った被検者を対象に,重心位置を計測し,さらに重心計のステージ上で,頭部を固定して骨盤を水平方向にローテーションさせ,その軌跡を測定して健常者と比較した。その結果,足底面内には症状,年齢,性別,習熟度によって様々な円(楕円)軌道が描かれ,健常者とは形態,大きさ,円滑さにおいて差が見られた。この軌跡の運動解析をすることによって,骨盤と腰部および下肢の身体状況を知る手掛かりとなり,身体の柔軟性と重心の安定性および運動能力を,定量的に評価できる可能性が考えられた。そしてこの重心ローテ―ション(CGR)を習熟することによって,骨盤をより正常な形態に補正し,脊柱や下肢の関節および筋の柔軟性と,平衡感覚の向上に役立つことが示唆されたので報告する。
著者
伊野 連 Ren INO
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.15-28, 2020-12-01

ハイゼンベルクは、弟子フォン・ヴァイツゼッカーらと、様々な哲学的議論をおこなっている。晩年の対話篇的著書『部分と全体』(1969)から、プラトンおよびカントについての興味深い討論を検証してみる。
著者
福家 真也 渡辺 勝子 酒井 久視 鴻巣 章二
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.67-70, 1989-01-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
28
被引用文献数
21 20

かつお節のもつ特有の味の構成成分を解明する目的で,まずエキス成分の詳細な分析を行い,次の結果を得た. (1) 遊離アミノ酸としては,ヒスチジン(かつお節100g中1992mg,以下同様)が多量検出されたが,他のアミノ酸はいずれも50mg以下であった.イミダゾールジペプチドのアンセリン(1250mg)が著量含まれ,カルノシン(107mg)も比較的多量検出された.(ヒスチジンとアンセリンはそれぞれエキス窒素の26%および14%を占めていた.)加水分解により,ほとんどすべてのアミノ酸が著しく増加し,結合アミノ酸の合計量は2657mgに達した.核酸関連物質ではIMP (474mg)およびイノシン(186mg)が主要な成分であった.その他の窒素化合物としてはクレアチニン(1150mg)およびクレアチン(540mg)が著量存在したが,クレアチニンはかつお節製造中にクレアチンから生成したものと推定された.測定された窒素成分の窒素量(2140mg)のエキス窒素(2177mg)に対する回収率は98.3%に達し,エキス中の主要窒素成分の分布はほぼ完全に解明できたものと考えられる. (2) 無窒素成分のうち有機酸としては,多量の乳酸(3415mg)が検出され,その他にコハク酸(96mg),酢酸(52mg)など4種類が認められた.糖としては6成分が検出されたが,いずれも少量であった.無機イオンでは, Cl- (1600mg), K+ (688mg), PO4 3- (545mg)およびNa+ (434mg)が主な成分であった.