著者
福水 道郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.170-175, 2022 (Released:2022-06-28)
参考文献数
20

注意欠如・多動症(ADHD)は側坐核,線条体,前頭葉などにおけるカテコラミンのみならずGABA,グルタミン酸神経系などの機能不全が病態の背景にあると言われ,様々な睡眠の問題を抱えている可能性がある.最近注目されている日中の過剰な眠気については,睡眠不足,起床困難といった睡眠習慣の問題や,不眠症,睡眠の質の異常,睡眠時随伴症,睡眠覚醒リズム障害,中枢性過眠症や睡眠関連呼吸障害などの睡眠-覚醒障害との関連にも注意する必要があるが,神経発達症に伴う独特な病態メカニズムによるものである可能性も高い.ADHDの病態に関連する睡眠–覚醒障害や睡眠習慣の問題と合併症とを各々鑑別し,それぞれに有効な対策をたてていく必要がある.
著者
三宅 大二郎 平森 大規
出版者
国際基督教大学ジェンダー研究センター
雑誌
Gender and Sexuality (ISSN:18804764)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-26, 2023-03-31

In recent years, the aromantic/asexual spectrum has become more visible in Japan, and research on sexual orientation among the aromantic/asexual spectrum remains limited but is increasing. However, there is extremely little research that focuses on romantic orientation. Studies on romantic orientation in Western countries tend to discuss aromanticism as one of the romantic orientations that asexual people possess. In Japan, on the other hand, the framing of romantic orientation in the aromantic/asexual spectrum community differs from that in Western countries, as the terminology in Japan occasionally labels someone “asexual” only if they are neither romantically nor sexually attracted to other people. Furthermore, extant quantitative research tends to be limited to discussions that rely on the dichotomy of aromantic or not, despite findings from community-based surveys that suggest romantic orientation is multifaceted, making it necessary to discuss various dimensions of romantic orientation. This study used the “Aromantic/Asexual Spectrum Survey 2020,” a web survey conducted by the Aro/Ace Survey Executive Committee, to examine the multidimensionality of romantic orientation by describing romantic identity, romantic attraction, and romantic desire. Findings indicated that the distributions of romantic attraction before and after self identification as aro-ace differed by aromantic spectrum identity, such as alloromantic, aromantic, gray(a)romantic, demiromantic, lithromantic, and questioning. Differences by aromantic spectrum identity were also observed in the distributions of deep interest in a particular person, romantic excitement, and the desire to date. Items related to desires that involve actions with others, such as the desire to date, tended to have a lower percentage of positive responses than items related to desires that do not necessarily involve actions with others, such as deep interest in a particular person and romantic excitement.
著者
久光 正
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-6, 2008-02-10 (Released:2010-11-25)
被引用文献数
2
著者
山口 迪夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.606-609, 1989-12-20 (Released:2017-07-13)

従来, 食品学や栄養学の領域でいう「食べ物の酸性・アルカリ性」は, 食品自体が酸性であるか, アルカリ性であるかというより, 食べ物が体内で代謝された後, 生体に対して酸性に働くか, アルカリ性に働くかを意味する場合が多かった。これがいわゆる「酸性食品・アルカリ性食品」の理論といわれてきたものである。この理論に従えば, 食品自体が酸性であってもアルカリ性食品になる場合がある。そして, 酸性食品かアルカリ性食品かを決めるのは, その食品のミネラル組成, すなわち陽性元素と陰性元素の各合計量(当量)でどちらが多いかである。しかし, 近年になりその理論の栄養学あるいは生理学的意義は次第に科学的根拠を失い, 現在の教科書や専門書からは「酸性食品・アルカリ性食品」の言葉が完全に消え去ろうとしている。
著者
片桐 恭弘 石崎 雅人 伝 康晴 高梨 克也 榎本 美香 岡田 将吾
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.97-109, 2015-03-01 (Released:2015-09-15)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Conversational interactions contribute not only to the sharing of information and establishment of consensus but also to the construction and sustenance of mutual trustamong conversational participants in our daily lives. The interrelationship betweentrust and conversational interactions has not been studied extensively in cognitive sci-ence. One reason for this lack of research is the fact that a study of social emotions suchas trust requires real fields, since social emotions in their natural, non-artificial formsare not readily observable in laboratory settings. We introduce a notion of concernalignment to describe the surface conversational processes toward mutual trust forma-tion. Focusing on medical communications as our research field, we collected healthguidance conversations between nurses and patients who were diagnosed as havingmetabolic syndrome, and we provide a qualitative analysis of the structure of conver-sations in terms of a set of dialogue acts we propose for the description of concernalignment processes. We demonstrate that the idea of concern alignment enables us tocapture and elucidate both the local and the global structures of mutual trust formationin conversational consensus-building processes. We also discuss underlying mechanismsconnecting concern alignment and mutual trust.
著者
高橋 敏
出版者
スポーツ史学会
雑誌
スポーツ史研究 (ISSN:09151273)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.41-51, 2017 (Released:2018-06-20)

群馬県下には、今日なお上州(上野国)といわれた江戸時代の在村剣術から二五代にわたって受け継が れてきた古武道が確固として命脈を保っている。高崎市吉井町に現存する樋口家と馬庭念流である。兵農 分離の刀狩りで剣術はおろか武器を根こそぎ取り上げられた筈の多胡郡馬庭村に、百姓身分でありながら 道場を構えて根を下ろし、周辺農村から上州一円、北関東、江戸にまで門人を獲得し、最盛期には門人が 数千と豪語された一大流派を築いた。更に明治維新以降の近代化のなかで前代の剣術諸流派が剣道に収 斂・統一される趨勢のなか、脈々と今日まで継承されてきた。そこには江戸時代の上州という風土と社会 が深くかかわっているように思われる。本講は、北関東上州の一農村の田舎剣法から門人数千の一大剣術 流派に発展した馬庭念流を手がかりに二世紀半にも及ぶ未曾有の平和な江戸時代に、身分制度の厚い壁を 破って展開していった武芸について考えてみたい。 上州、関東においては、兵農分離は身分制度として断行されたが、刀狩りは実施されず、武器の所持、 剣術の継承は禁止されることはなく許容された。樋口家は中世以来の在地土豪の権益を失い、公的には百 姓身分になったが、私的な領域においては姓を名乗り、帯刀し、念流を伝授することは黙認された。要は 在地土豪の念流を継承する郷士と馬庭村百姓の二つの顔を持つことになった。 馬庭念流は、江戸時代初頭から四代に長命にして剣技・指導力に優れた当主に恵まれ、北関東を中心に 多くの門弟を集め、江戸にまで進出して道場を経営し、一大流派の結社に発展する。門人は百姓町人のみ ならず、高家新田岩松氏、七日市藩前田氏、小幡藩織田氏、支配領主旗本長崎氏の主従にまで門下の列に 加えている。 なかでも流派念流の結社としての勢力を誇示したのが有名神社の社前において秘剣を披露し、師匠以下 門人名を列記した大額を奉納する儀礼であった。上野四社から江戸神田明神・浅草寺、鎌倉八幡、伊勢外 宮・内宮、遠く讃岐金刀比羅宮にまで足を運び、大枚を投じ奉額している。 このような現象は念流だけではなかった。千葉・斎藤・桃井の江戸三大道場と謳われた民間剣術流派の 盛業に顕著のように、幕藩領主に囲い込まれ、正統とされた剣術が衰退し、民間の剣術がこれに代わって 勃興していったことと軌を一にしたものであった。いわば幕藩秩序そのままの武士が独占する伝統守旧の 剣術から民間の活性化された在村剣術が掘り起こされて、身分制度の枠を打破して、武芸として百姓町人 までが入門、習練する時代が到来したのである。まさに戦国乱世の殺人剣から幕藩領主の子飼いの指南の 剣術を経て、新たに自衛のため、修行のための武芸に生まれ変わろうとしていた。もちろん武芸の大流行 は、念流が江戸から勢力拡大を図る北辰一刀流千葉周作と伊香保神社掲額をめぐって一髪触発のところま でいったように、諸流派の競合・対立を引き起こすことも多々あった。しかし、大勢は総じて流派間の共 存と連携を深めていったことの方が事実である。幕府法令からは民間の帯刀、剣術は厳禁されているが、 時代の武芸熱は冷めるどころか高揚し、諸流派を渡り歩く武者修行の旅が一般化していく。これを可能に したのが諸流派間を結び、連携する一種のネットワークの形成であったように思う。そこには支配秩序に 直結する武士のみならず姓名、諱まで名乗る武士風体の百姓・町人が多く含まれ、身分制度の壁を越えた 一大武芸の文化ネットワークが広がっていた。 剣術、武芸の歴史といえば、権力争奪に絡む殺伐とした合戦、暗殺、仇討ち、テロといった殺人剣を類 推する向きが多いが、平和の時代を背景に自己鍛錬の武芸として定着していったことを見落としてはなら ない。近代剣道に転換する素地はつくられていたのである。
著者
大崎 園生 林 吉夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.60-69, 2019 (Released:2019-01-01)
参考文献数
10

児童期に虐待を受けた成人患者は心的外傷後症状に加え対人不信や関係の打ち切り, 他者への攻撃的感情などの人間関係上の問題を抱える. これらは外傷的人間関係の再演となり, さらなる心的外傷後症状を発生させるため, 外傷的人間関係を変化させ肯定的な対人関係を形成・維持するための介入が重要である. 本研究では虐待既往のある成人患者の臨床心理面接症例を検討した. 再体験や解離エピソードおよび希死念慮などの心的外傷後症状が認められ, あわせて外傷的人間関係の再演および自他についての否定的信念が顕著であった. ソクラテス式質問法による内省の促進および患者の外傷的人間関係のケースフォーミュレーションの共有によって, 肯定的な対人関係の形成・維持が可能になり, 心的外傷後症状も緩和されるとともに自他についての否定的信念も変化した. 虐待既往のある成人患者の心理面接において現在の生活における人間関係を扱う意義が示された.
著者
川端 悠士 小川 浩司
出版者
一般社団法人 山口県理学療法士会
雑誌
理学療法やまぐち (ISSN:27583945)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.4-10, 2023-02-28 (Released:2023-03-06)
参考文献数
33

【目的】大腿骨転子部骨折例における歩行能力に影響を与える要因は,骨折型によって異なるのか否かを明らかにすることとする。【方法】対象は大腿骨転子部骨折例95例とし,骨折型によって安定型47例,不安定型48例に分類した。調査項目は年齢,性別,受傷前の自立度,認知症高齢者の自立度,骨折型,術式とした。また術後4週における疼痛,脚長差,関節可動域,筋力,杖歩行の可否を調査した。骨折型別に,従属変数を杖歩行の可否,その他調査項目を独立変数として二項ロジスティック回帰分析を実施した。【結果】ロジスティック回帰分析の結果,杖歩行の可否に影響を与える要因として,安定型骨折では受傷前の自立度と術側膝伸展筋力が,不安定型骨折では術側股外転筋力が抽出された。【結論】骨折型によって杖歩行の可否に影響を与える要因は異なり,安定型では術側膝伸展筋力の向上を,不安定型では術側股外転筋力の向上を図ることが重要と考えられる。
著者
大野 勘太 井上 由貴 友利 幸之介
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.581-594, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
47

スコーピングレビューの手法に則って整形外科領域のリハビリテーションにおける目標設定に関連する文献を探索し,リサーチギャップの分析を行った.PubMed,Web of Science,Scopus,ProQuest,CINAHLを用いて検索を実行し,最終的に17編を適格論文として精読した.対象疾患は脊髄損傷が10編と最多であり,多様な整形外科疾患を網羅していなかった.介入研究においては,意思決定支援ツールが未使用の研究や,目標設定やその後の介入において合意形成のプロセスが不十分な研究も散見され,整形外科領域のリハビリテーションにおける目標設定に関するさらなる検証の必要性が示唆された.
著者
佐藤 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-25, 2011 (Released:2011-02-17)
参考文献数
23
被引用文献数
2

「運動連鎖」と訳される2つの言葉,“kinetic chain”と“kinematic chain”のそれぞれを取り上げて,その概観を眺めた。“kinetic chain”に関しては,Open Kinetic Chain(OKC)とClosed Kinetic Chain(CKC)の2つのタイプに関する定義の歴史的流れを追いつつ,CKCの有利性についての文献的なレビューをした。“kinematic chain”に関しては,経験的に使われていたこの意味での「運動連鎖」に関する数本の論文を紹介しつつ,一概には経験と実験結果では一致していないことを説明した。
著者
中村 浩志
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.93-114, 2007-11-01 (Released:2007-11-17)
参考文献数
62
被引用文献数
8 22

このモノグラフは,日本に生息するライチョウLagopus mutus japonicusに関するこれまでの研究からわかっていることを整理し,今後の課題について検討を加えることを目的としたものである.日本に生息するライチョウの数は,20年以上前に実施された調査から3,000羽ほどであることを示し,分布の中心から外れた孤立山塊から絶滅が起きていることを示唆した.日本の高山帯には,ハイマツが広く存在するのが特徴であり,ライチョウの生息に重要であることを示唆した.ライチョウの食性に関する知見を整理し,今後は各山岳による餌内容の違い,また食性の量的な把握が必要たされることを指摘した.高山における年間を通しての生活の実態について,これまでの知見を整理し,まためた.春先の4月から秋の終わりの11月にかけてのライチョウの体重変化を示し,ライチョウの高山での生活との関連について論じた.ミトコンドリアDNAを用いた多型解析から,近隣の亜種との関係および大陸から日本に移り棲んで以降の日本における山岳による集団の隔離と分化に関する知見をまとめた.ライチョウを取り巻くさまざまな問題点について,最近の個体数の減少,ニホンジカ,ニホンザルといった低山の野生動物の高山帯への侵入と植生の破壊,オコジョや大形猛禽類といった古くからの捕食者の他に,最近では低山から高山に侵入したキツネ,テン,カラス類,チョウゲンボウといった捕食者の増加がライチョウを脅かしている可能性,地球温暖化問題等があることを指摘した.20年以上前のライチョウのなわばりの垂直分布から,温暖化の影響を検討し,年平均気温が3°C上昇した場合には,日本のライチョウが絶滅する可能性が高いことを指摘した.これまでの低地飼育の試みを評価し,野生個体群がまだある程度存在する今の段階から,人工飼育による増殖技術を確立し,増えた個体を山に放鳥する技術を確立しておくことの必要性を指摘した.
著者
米田 英嗣 間野 陽子 板倉 昭二
出版者
JAPANESE PSYCHOLOGICAL REVIEW
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.39-50, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
85
被引用文献数
1

This paper reviews the role of empathy in autism spectrum disorders and psychopathy. Empathy can be subdivided into two categories: cognitive empathy (i.e., the ability to identify the emotions of others) and affective empathy (i.e., the ability to share or match the emotions of the self with those of others). Individuals with autism spectrum disorders lack cognitive empathy, whereas individuals with psychopathy lack emotional empathy. The similarity hypothesis states that people empathize with other people who are similar to themselves in personality and in conditions such as developmental disorders or typical development. The similarity hypothesis predicts that individuals with autism spectrum disorders would emotionally empathize with other people with autism spectrum disorders, and individuals with psychopathy would cognitively empathize with other people with psychopathy. Finally, we attempted to interpret autism spectrum disorders and psychopathy as resulting from the neurodiversity of empathy.
著者
山岸 哲
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.54-59, 1962-04-01 (Released:2017-04-08)
被引用文献数
2

YAMAGISHI, Satoshi (Tenryu Low. Sec. School, Nagano Pref.) Roosting behaviour in crows. 1. Autumnal and wintry roosting behaviour in Nagano Prefecture. Jap. J. Ecol. 12,54〜59 (1962) The roosting behaviour of crows was observed in Nagano Prefecture, and the results are as follows : (1) In the daytime in autumn crows form small flocks in their habitat and feed there. Before sunset they gather at their regular assembling places, and then move to roost in groups. The group at the farthest assembling place from the roost move first, joining the nearest group, one by one, and at last all of the crows reach the roost. (Fig. 1) (2) There are three roosts in autumn in Upper Ina-gun and Lower Ina-gun ; in winter one of these three is used as their wintry roost, and the other two are canelled, being used only as their assembling places. Crows' number in each of these three autumnal roosts is about 900,and the number in one wintry roost is about 3,000. (Fig. 2) (3) The numbers of the above-mentioned wintry roosts are seven in Nagano Prefecture ; crows' number in each of them is 1,000〜3,000. Only ever-green woods are used as the wintry roosts, the main tree species of which is Japanese red-pine. (Fig. 3,Table 1) (4) In the future I intend to investigate on crows' roost in their breeding season and the actual organization of their society.
著者
竹内 謙彰
出版者
心理科学研究会
雑誌
心理科学 (ISSN:03883299)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.61-75, 1994-12-26 (Released:2017-09-10)

Maccoby and Jacklin (1974) suggested that males generally perform better than females in spatial problem solving. The major aim of this article is to demonstrate that such a difference in spatial ability acccording to sex is not determined innately by examining both biological and psycho-social factors. While there has been no decisive evidence that biological factors, such as genes and/or maturity speed except hormonal-level in a fetus stage, affect individual differences of spatial ability, there are some psycho-social factors which siginificantly correlate spatial problem solving performance. The possibility that the psycho-social factors, such as sex-typed personality traits, affect the process of learning and solving spatial tasks is discussed.
著者
吐合 大祐
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1_293-1_315, 2018 (Released:2021-07-16)
参考文献数
63

選挙制度は政治家の再選戦略に影響を与えるのか。多くの先行研究が, 選挙区定数が議員の再選戦略の一環である選挙区活動や議会内行動に対し影響を与えると指摘してきたが, 実証的証拠は不十分である。本稿は, 「選挙区定数が大きくなるにつれ, 当選に必要な得票率が低下するため, 政治家はより特定の有権者から支持を得るために分配政策を志向すること」 を主張する。本稿は日本の都道府県議会を対象とし, 議員の関心分野を委員会所属から把握する。分析結果より, 選挙区定数の大きい選挙区から選ばれた議員ほど, 建設や公営企業などの分配政策を管轄する委員会へ, 定数の小さい選挙区から選ばれた議員ほど, 総務や財政などの一般政策を管轄する委員会へ所属する傾向にあることが示された。