著者
谷岡 健吉 山崎 順一 設楽 圭一 竹歳 和久 河村 達郎 平井 忠明 高崎 幸男 雲内 高明
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.1074-1083, 1990-08-20
被引用文献数
51 1

アモルファスSe(a-Se)を主成分とする光導電ターゲットを強い電界で動作させると, アバランシェ(なだれ)増倍作用により, 極めて高い感度が得られることを見出した.a-Seターゲットに240Vの電圧を印加した場合, 青色光(B光)に対する量子効率(単位入射光子数当たりの出力電子数, 以下η)が10となり, 従来の阻止型ターゲットを用いた光導電型撮像管の感度の理論限界(η=1)をはるかに上回る高い感度が得られた.このときの暗電流は0.2nAと小さかった.また, アバランシェ増倍に伴う残像, 解像度等の特性劣化は認められなかった.試作管を実装したカラーカメラでは, 被写体照度180lx, レンズ絞りF4の条件で, 従来のスタジオカメラの標準撮像時(2000lx, F4)とほぼ同等の良好な画像が得られた.
著者
長尾 智晴 安居院 猛 長橋 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.557-565, 1993-03-25
被引用文献数
60

本論文では,任意の点列としてあらかじめ与えられたモデル図形に相似な図形を,ノイズを多く含む2値画像から抽出する手法について述べている.原画像中の相似図形の位置,拡大倍率,回転角度はすべて未知とする.この抽出処理は,モデル図形を原画像中の図形に重ねたときに,最もよく重なるときのモデル図形の重心のx,y座標,拡大倍率,回転角度を求める処理であり,これら四つのパラメータによる空間において,図形の重なりを評価値にしたときの最大値探索問題とみなすことができる.そこで本論文では,最適値探索手法として知られている遺伝的アルゴリズムの考え方を用いた遺伝的手法を提案している.本手法では,特に,探索空間に対する前処理,および親の個体の適応度に応じた遺伝規則の調整を考慮したアルゴリズムを提案している.そして,本手法がこのようなパターンマッチングの問題に有効に適用できることを,実験結果を用いて示している.
著者
伊藤 和幸 数藤 康雄 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.495-503, 2000-05-25
被引用文献数
75

重度肢体不自由者のQOL(生活の質)向上を目指し, 眼球運動を利用した視線入力によるコミュにケーション装置の開発を試みた.筋ジストロフィー患者や筋萎縮性側索硬化症患者のような障害者では, 病状の進行に伴い四肢が動かなくなり, 走査選択式装置へのスイッチ操作に眼球の動きを利用せざるを得ないといったケースが出てくる.従来このような障害者は, 上下左右への眼球の動きや目の開閉をスイッチ入力のオンオフに利用していたが, 障害者が見つめた対象をそのまま選ぶことのできる視線入力が実現できるなら, 操作はわかりやすく, 入力効率も上がることになる.本論文では直接選択式による視線入力装置の開発内容とその臨床評価結果について報告する.眼球の運動を随意に制御できる障害者であれば, 視線入力方式だけで手軽に文章作成が可能であることがわかった.
著者
松尾 慎 菊池 哲佳 モリス J.F 松崎 丈 打浪(古賀) 文子 あべ やすし 岩田 一成 布尾 勝一郎 高嶋 由布子 岡 典栄 手島 利恵 森本 郁代
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.22-38, 2013-09-30

本論文は,外国人,ろう者・難聴者,知的障害者など,誰もが社会参加ができるために必要不可欠な条件である「情報保障」の考え方を紹介します.また,今後情報保障を進めていくための課題や枠組みを提示します.本論文では,情報保障の範囲を「震災」などの非常時だけに特化せず,平時における対応も含めます.情報保障の基本は,「情報のかたちを人にあわせる」「格差/差別をなくす」ことと,「情報の発信を保障する3ことです.本論文では,まずこうした基本的な観点を紹介します.特に,情報の格差/差別をなくすという課題にはどのようなものがあり,それを解決するためには,どのような手段があるのかについて述べます.さらに,情報保障が,情報へのアクセスだけでなく,情報発信の保障をも含む考え方であることを指摘します.その上で,これまで個別に扱われてきた外国人,ろう者・難聴者,知的障害者の情報保障の問題について,個別の課題とともに,共通性としての「情報のユニバーサルデザイン化」の必要性を指摘します.そして,その一つの方法として「わかりやすい日本語」の例を挙げ,今後の情報保障のあり方について議論します.
著者
小泉 仰 佐野 勝男 萩原 滋 大久保 正健
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
組織行動研究
巻号頁・発行日
no.5, pp.3-66, 1979-03

慶應義塾大学産業研究所社会心理学研究班モノグラフ ; No. 11Iはじめに- 多様化する価値観にせまる-現代の日本人は価値観の多様化と混乱現象のうちに陥っていると言われて,すでに久しいことである。こうした価値観の多様化現象は, 今日成人だけではなく, 幼児・小学校児童・中学校生徒をも捲き込んだ極めて広範酬の現象のように思われる。こうした価値観の多様化と混乱は,社会にとって良い方向に向う現象とも悪い方向に向う現象とも一概に言い切れないものを持っている。たとえば, ある一つの社会が仮りに等質的で一様な価値観のみを持っていると仮定してみよう。一体そうした社会は, その社会にとって良い状態なのであろうか。恐らくそうした社会は, 発展と飛躍を遂げるヴァイタリティを欠く社会である可能性が大いにある。またそうした等質的で一様な価値観を社会構成員に強制している極めて強大な権力機構さえ, 予想させる現象ではないだろうか。むしろ通常の現代社会は, 価値観の多様化を必然的に含んだダイナミヅクな社会であり, そうした価値観の多様化のゆえにダイナミックな発展と変質を予想できるものと言えよう。しかし他面において,価値観の多様化と混乱は, 社会構成員同志のコミュニケーションを極度に阻害したり, あるいはまた, いわゆる一種のアノミーの現象を社会構成員の間に引き起こして, 多くの社会問題の解決を一層困難ならしめる原動力にもなりかねないのである。
著者
山野 愛子ジェーン 青木 和子 渡辺 聰子 中根 正子 山下 牧子
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.23-32, 2004-03-31

現在まで、車椅子利用者(チェア・ウォーカー)に向けてキモノが簡単に着られるようにと研究開発し、その成果は美容福祉学会や講演などをとおし障害者をモデルに多くの方々に紹介して来た。「美容福祉」における新たなひとつの手段として、その効果は大変大きかったはずである。しかし、その内容はまだ一部のキモノ(浴衣、振袖、留袖など)に限定されていて、全てに適応できる状態にはなっていない。そこで今回は、可能な範囲を広めるべく「車椅子利用者のための和装婚礼衣装」を考案した。実践可能と判断し、ここで一例を紹介したい。
著者
藤田 和夫
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.18, pp.129-153, 1980-03-30
被引用文献数
14

1)第四紀,とくに更新世中期以降に,中央構造線に沿って,右横ずれ断層運動が認められるが,それは紀伊半島中部以西に限られている(Fig.2)。2)活断層・活褶曲系から推定される第四紀応力場をFig.4に示す。九州を除き本州・四国は,第四紀を通じて水平圧縮の場におかれてきたとみられるが,これは60年間の一等三角点の再測量結果に基づく変位状態(Fig.9)や発震機構の研究からも支持される。3)上記造構応力場で形成された構造帯をFigs.4・8に示す。これらは,日本海溝に平行な東北日本の構造帯(Tpa系)と,南海トラフに平行な西南日本の構造帯(Tph系)に大別できるが,伊豆半島周辺と中部・近畿地方内帯と九州中部に特異性が認められる。Tpa・Tph系ともに日本海側に褶曲帯にもち,造構応力の集中を示し,かつ,太平洋・四国海盆との間に撓曲性の基盤褶曲(基盤波状変形)がみられるにもかかわらず,日本海盆の安定性の著しいことは,第四紀テクトニクスを考える限りにおいては,日本海側の海盆を固定し,太平洋プレートとフィリピン海プレートとの間における圧縮のテクトニクスとして,日本列島を考察することが許される(Fig.7)。4)太平洋プレートのサブダクションによって, 東北日本の地殻に発生した造構圧縮応力は,秋田-新潟油田褶曲帯に集中してきたとみられるが,東北日本と西南日本の基盤岩が最も近接する北部フォッサ・マグナの部分では中部地方に伝達される。この部分は中部傾動地塊と称されるようにゆるやかな波状変形を伴う(Fig.3)大傾動運動と,Tpa7. 8の共役横ずれ断層運動によって,側方短縮を行っているが,それだけでは十分ではなく,西側の近畿三角地域に,造構応力を伝達して,比良山地・近江盆地の間に著しい歪み帯をつくった(Tpa X)。そしてさらにその余力は丹波帯に及び, 山崎断層を含むTPh11帯をつくり, ほぼ減衰しているとみられる。5)このようなTpa帯の消滅に代って,それ以西では,四国・中国にかけて, フィリピン海プレートの影響とみられるTph帯が顕著になる。その主圧縮応力線はMTLに対して,やや西にふれているので,この古傷に沿って,外帯を西へドライブすることを可能にする。これに対して内帯の西進運動は,近畿三角地域の西側で減衰してしまうために,中央構造線に沿って,相対的に右横ずれ運動が発生することになった(Fig.10)。6)南部フォッサ・マグナを通じての圧縮応力は,中央構造線を越えて,赤石・伊那山地を一つの地境として西に傾動させながら,木曽山地と伊那盆地との間にTry Iを発生させた。この帯の延長は,北側の美濃・丹波の中・古生層帯からくるTpa帯と交差構造をつくりながら猿投帯(Try 2),伊賀・上野帯(Try 3)をへて大阪盆地南部に達する。そしてこれらと京都盆地から奈良をへて南下するTry IV帯とが中央構造線と合するあたりから西へ横ずれが始まることは,それ以東では中央構造線よりも,これら領家帯中の構造帯に歪みが集中してきたことを物語っている(Fig.8)。7)花崗岩質の領家帯は,南北両側の古期岩体にはさまれて,それらの異なる運動を調節するシアー帯の役割りを果している。北側の有馬-高槻構造線に沿っても右ずれ運動がみられ,それと南側のMTLとの間にはさまれている大阪盆地の形状は,その変形機構を表現しているといえる。
著者
梁 根榮 赤瀬 達三 桐谷 佳惠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.21-30, 2010-07-31
参考文献数
13

日本は世界で有名数の地震多発地帯にある.2005年1月1日を起点として,今後30年以内に震度6弱もしくは震度5弱以上の揺れに見舞われる確率も高い.そこで,本研究は日本に住んでいる外国人の災害に関する情報の伝達状況などを把握し,実際にどのような支援が必要かを知ることにより,災害時に必要な情報と問題点を調査した.その結果,在住外国人は災害について,具体的な災害の知識はもっているが実際の対策はあまり行っていないことが明らかになった.災害が発生した場合や発生の恐れがある場合,正確な情報を得ることが防災や減災を図るために非常に重要である.しかし,在住外国人は日本語によるコミュニケーションが十分にできないことが多いため,情報提供に関し、外国人への災害防災教育等の様々な提案が必要であることが示唆された.
著者
金山 淳一 北條 孝 田村 直良
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.104, pp.1-6, 2002-11-12
参考文献数
7
被引用文献数
1

本論文では、一連の出来事において関連する人間の相互関係として意味構造を定義し、特に新聞の事件記事から意味構造(犯罪スキーマ)を抽出する手法を述べる。事件スキーマの要素は、関連人物の容疑者、被害者、警察としての同定、それぞれのプロフィール、犯罪の動機、事件の進行などからなり、新聞記事から抽出される。解析、抽出処理は、スキーマの要素に応じて、パターンマッチング的な手法、構文解析、格フレーム抽出に基づく手法、主題の構造解析に基づく手法、時間セグメント分割に基づく手法などにより、犯罪スキーマとして再構成する。In this paper, we define a semantic structure as mutual relations among persons who relate a crime and we present a method to extract the semantic structure, especially from crime articles of newspaper.We call hte structure as crime scheme The scheme consists of descriptions of persons who relate the crime, identi?cation of the persons with one of suspect, victim or police, the motivation of the suspect of the crime and theevent sequences occurred in the crime. The analysis and the extraction are based on the pattern matching, syntax analysis, case frame extraction, thematic structure extraction and so on, and are reconstructed as a scheme, according to the element of the scheme.
著者
團 康晃
出版者
SHAKAIGAKU KENKYUKAI
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.3-19,142, 2013

In the classroom, although students often laugh with friends, teachers cansometimes censure them for certain activities where laughter is unacceptablebehavior. This paper describes the structure of this type of hilarity, consideringinstances where teachers can disapprove, according to ethnomethodology andconversation analysis By analyzing two types of interaction, the author attempts to shed light onthe following main points. First, in terms of laughter produced during a groupinterview, two types of laughter exist. On the one hand, some jokes elicit laughterfrom every participant. On the other hand, some jokes are not funny for allparticipants. Some activities considered to be joking produce the latter kind oflaughter, and can be penalized by the teacher. This form of mockery differs incertain aspects from that examined in a preceding study by Drew. Second, ittends to be produced in a particular sequence organization. Three steps have beenobserved in such a sequence. First, a preceding actor acts in a certain manner so asto poke fun at a subsequent actor. Some actions tend to be utterances organized asfirst-pair part with some amusing components, or to be utterances with humorouscomponents dependent on a preceding utterance. Second, when the subsequentactor responds to the preceding action, the embedded comical component isimputed to him. Third, participants can laugh at the subsequent actor because ofthis imputation. In addition, if the subsequent actor does not respond to the preceding action,the preceding actor could repeat this action, that is, to tease, to laugh at him, or toimpose sanctions against the rejection of the preceding action. As a consequence of these structures, the subsequent actor is given a paradoxicalidentity different from those sharing co-membership.