著者
新開 省二 藤田 幸司 藤原 佳典 熊谷 修 天野 秀紀 吉田 裕人 竇 貴旺
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.874-885, 2005

<b>目的</b>&emsp;地域高齢者における閉じこもり発生の予測因子をタイプ別に明らかにする。<br/><b>方法</b>&emsp;新潟県与板町の65歳以上の全住民1,673人を対象として 2 年間の前向き疫学研究を行った。ふだんの外出頻度が「週 1 回程度以下」にあるものを閉じこもりと定義し,そのうち総合的移動能力尺度でレベル 1(独力で遠出可能)あるいは 2(独力で近隣外出可能)にあるものをタイプ 2,同レベル 3 以下(独力では近隣外出不可能)にあるものをタイプ 1 と二つに分類した。初回調査時にレベル 1, 2 かつ非閉じこもりにあった1,322人(応答者1,544人の85.6%)について 2 年後の状況を調べ,レベル 1,2 非閉じこもりを維持,タイプ 1 に移行,タイプ 2 に移行,レベル 3 以下非閉じこもりに移行の 4 群に分類した。分析においては,まず,追跡調査時もレベル 1, 2 非閉じこもりを維持していた群を基準として,タイプ 1 あるいはタイプ 2 に移行した群との間で,初回調査時の身体,心理,社会的特性の分布を比較した。次に,多重ロジスティックモデル(ステップワイズ法)を用いて,性,年齢を調整しても有意な関連性を示した変数全てをモデルに投入し,レベル 1, 2 非閉じこもりからタイプ 1 あるいはタイプ 2 に移行することの予測因子を抽出した。<br/><b>成績</b>&emsp;初回調査時にレベル 1, 2 非閉じこもりであったものの 2 年後の状況は,レベル 1, 2 非閉じこもりが1,026人(77.6%),タイプ 1 が22人(1.7%),タイプ 2 が63人(4.8%),レベル 3 以下非閉じこもりが29人(2.2%)であった[追跡不可(死亡等含む)は182人(13.8%)]。タイプ 1 への移行を予測するモデルに採択された変数(予測因子)は,年齢(高い,5 歳上がるごとのオッズ比[95%信頼区間]は2.10[1.36-3.24]),就労状況(なし,4.42[1.21-16.2]),歩行障害(あり,4.24[1.37-13.1]),認知機能(低い,5.22[1.98-13.8])であり,タイプ 2 のそれは,年齢(高い,5 歳上がるごと1.65[1.32-2.06]),抑うつ傾向(あり,2.18[1.23-3.88]),認知機能(低い,2.72[1.47-5.05]),親しい友人(なし,2.30[1.08-4.87]),散歩・体操の習慣(なし,2.21[1.26-3.86])であった。<br/><b>結論</b>&emsp;地域高齢者におけるタイプ 1 閉じこもりの発生には身体・心理的要因が,タイプ 2 閉じこもりのそれには心理・社会的要因が,それぞれ主に関与していることが示唆された。閉じこもりの一次予防に向けた戦略はタイプ別に組み立てる必要がある。
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.66-71, 2010-03

洋菓子「白い恋人」の人気で好業績を続けてきた石屋製菓(札幌市)は2007年8月、大きな危機に陥った。白い恋人の賞味期限改ざんや、品質に問題があった商品を自主回収する際に必要な保健所への報告を怠っていたことが発覚。当時の代表取締役社長である石水勲が辞任し、本社工場は操業停止に追い込まれた。
著者
林 邦忠 小田原 清史 笹崎 晋史 山本 義雄 並河 鷹夫 田中 和明 DORJI Tashi TSHERING Gyen 向井 文雄 万年 英之
出版者
日本動物遺伝育種学会
雑誌
動物遺伝育種研究 = The journal of animal genetics (ISSN:13449265)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.5-10, 2007-06-01
参考文献数
21
被引用文献数
3

In order to investigate the genetic diversity of the Bhutanese cattle, complete mitochondrial DNA displacement loop sequences from 30 Bhutanese cattle were determined and analyzed these in conjunction with previously published sequences. Sequence comparisons and phylogenetic analyses revealed the presence of <I>B.taurus</I> mitochondrial DNA haplotypes (13.3%), suggesting the genetic introgression of <I>B.taurus</I> genetic materials into Bhutanese population. The remaining <I>B.indicus</I> haplotypes indicated two clades of mitochondrial haplogroups, I1 and I2. The high frequency of I2 haplotype (46.2 %) was observed in Bhutanese cattle. Mean nucleotide divergence values were calculated within populations and Bhutanese population revealed higher value (0.75 %) than those of India (0.41 %) and China (0.19 %) . The results suggested the high genetic variability in Bhutanese cattle consisting of several haplogroups of mitochondrial DNA.
著者
伊原弘著
出版者
原書房
巻号頁・発行日
1993
著者
田中 芳幸 外川 あゆみ 津田 彰 Yoshiyuki Tanaka
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.128-149, 2011-03-31

本論文では,主観的ウェルビーイングによる健康や長寿への影響性に関する欧米での研究成果を概観し,ポジティブ健康心理学の研究にとっての今後の課題について論考した。各研究の方法論や対象に基づき,(1)長期にわたる縦断的研究,(2)主観的ウェルビーイングと生理指標との日常での関連性についての研究,(3)実験的な感情操作に伴う生理指標の研究,(4)動物を対象とした研究,(5)自然発生的な出来事と健康関連要因に関する実験的-フィールド研究,(6)主観的ウェルビーイングの変化を健康関連要因によって評価した介入研究,(7)患者の痛みやQOL と主観的ウェルビーイングとの関連性の研究の7 種類の研究に分類して整理した。その結果,様々な種類の研究成果より,主観的ウェルビーイングやそれを構成するポジティブ感情などが,健康や長寿にとって有益であることや,免疫系や心臓血管系の機能と関連することは明らかであった。ただし,もともと健康であった人々においてこの関連性は明確であるが,ガンなどの疾患を有する人々を対象とした場合には様々に錯綜した報告があり関連が明確であるとは言い難い。また,過度に活性化したポジティブ感情や躁的なポジティブ感情は健康にとって有害であることを示唆した研究も存在した。効果量や効果の変動性,統計的な調整に基づく妥当性などの問題が考えられた。以上の欧米研究のレビューを踏まえて,本邦の心理学研究,特にポジティブ健康心理学研究の今後の展開にあたって,主観的ウェルビーイングの(1)定義の再考と(2)測定尺度の検討,および,(3)主観的ウェルビーイングと健康や長寿との因果関係の方向性の検討を行うことの必要性を考察した。
著者
佐々木 朝子
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

旧制下での林学に関する高等教育は、農学部を設置する帝国大学及び高等農林学校が担っており、これらの高等教育機関では学生・生徒の実習を目的として演習林を設置していた。そして、卒業生の多くは、専門知識を活かして森林行政や林産業に従事した。本研究では、1880~1940年代における林学に関する高等教育の実態を明らかにするため、各高等教育機関のカリキュラムや演習林を利用した実習の内容に関する調査を行う。また、在学中の教育が卒業後の職業生活にどのような影響を与えたのか明らかにするため、学生・生徒が卒業後に従事した職務等を調査する。以上の調査に基づき、林業における教育と産業の連関を考察する。
著者
内田 麻理香
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、申請者が所属している東京大学・科学技術インタープリター養成部門において、1.アクティブ・ラーニング型の科学随筆ライティングの授業と、2.様々な研究分野の科学者による対談イベントの両方を実施することにより、グループ討論を通じた科学随筆ライティング教育プログラムを開発する。さらに、他の授業担当者もそれを実施可能にするために、その授業方法を取りまとめて公開することを目的とする。授業とイベントの企画を設計する際に、1950年代から科学随筆を継続的に発表し、日常生活の中で出会う科学の面白さを広く読者に伝えた物理学者の同人会、ロゲルギストの活動を調べ、その活動方法を参考にする。
著者
山本 逸郎 古川 由美子 野土谷 桃子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.94, pp.19-28, 2005-10-07

中学校理科第1分野「エネルギー」の単元では.高い位置にある物体がもつエネルギーを調べる実験として,斜面を転がる球を木片に衝突させる実験が教科書に記載されている。教科書では.球のもつ位置エネルギーが木片を押す仕事に使われると解釈し,木片の移動距離が球の質量に対して比例するグラフを掲載しているが,実際に実験してみると比例しないことがわかる。本研究では,得られた実験結果を解析し,球と木片の運動を詳しく考察する。

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著者
大谷武一 著
出版者
目黒書店
巻号頁・発行日
1941
著者
小木曽 洋一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.350-355, 2015 (Released:2020-02-19)
参考文献数
2

福島第一原発の事故以降,全国の原発は全て停止し,再稼働に向けた動きも始まっているが,容易ではない状況にある。また,我が国の原子エネルギー政策の基幹である核燃料サイクルは稼働できない状態が長きにわたって続いている。原子力産業が右肩上がりであった1980年代から90年代にかけて,核燃料サイクルの中心に位置づけられるプルトニウムの生物影響リスクを評価するために,我が国で初めての動物実験施設「内部被ばく実験棟」が放射線医学総合研究所に建設され,実験研究が行われた時期があった。その一翼を担った研究者の立場から,実験棟の設計,建設,運用に携わった経緯を織り交ぜながら,プルトニウムを実験動物に吸入曝露あるいは注射投与して発がんのリスクを評価する研究を進めていった体験を概説する。
著者
橋本 美保
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.309-321, 2009-09-30 (Released:2017-11-28)

明石女子師範学校附属小学校の主事及川平治の生活単元論は、主として米国の経験単元の原型ともいえる「作業単元」と、欧州の発生心理学者が提唱した「興味の中心」理論の影響を受けて形成された。特に子どもの成長を発生学的に捉えるフェリエールやドクロリーの生活教育論は、及川の「生活」概念に変化をもたらした。及川は1934年頃までに、スコープとシークエンスを設定する単元の構成原理や、プロジェクト・メソッドによる単元の展開方法を構想しており、そこには彼自身の単元論の形成と戦後の生活単元学習の萌芽が認められる。
著者
アグレバンテ ジヨセフイン 松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.441-444, 1991
被引用文献数
7

60%エタノール(10ml/12果実)処理でバナナの追熟が2~3日促進された.しかしながら,1000ppmエチレンでは,もっと急速な果皮の色調,糖,有機酸の変化をもたらした.HPLCでショ糖,グルコース,フラクトースを同定した.追熟でこの三つの糖すべてが増大し,ショ糖は追熟の全段階で一番含量が高かった.ショ糖の増大は,グルコース,フラクトースよりも先行し,グルコースーフラクトースの割合は,追熟期間中すなわち初期(緑色)から貯蔵の9日目又は14日目まで,ほぼ一定であった.リンゴ酸とクエン酸は緑熟果(カラーインデックス1)で同じ含量であったが,リンゴ酸は追熟果で初期段階の2~3.6倍に増大し,含量の多い有機酸となった.<BR>クエン酸は過熟果や老化果でだけ増大した.