著者
加納 正 丹羽 靱負 山口 希
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1353-1360, 1975
被引用文献数
1 1

IgA単独欠損症は健康人にみられることがあるが,多くの場合各種の疾患に随伴する.しかし,それらの疾患との関係は不明であり,今日広く採用されているWHO分類でもIgA単独欠損症は原発性免疫不全症の一病型として取扱われている.今回著者らの示した3症例,すなわち(1) 1947年生女性, SLE慢性甲状腺炎, (2) 1913年生男性,結節性動脈周囲炎(疑), (3) 1952年生男性,髄膜腫による症候性癲癇・Recklinghausen病などでは,いずれもIgA単独欠損症が経過中に発現したことを確認し得たものである.現在までに,同様の症例は2例知られているが,単なる事実の確認に終り,免疫学的検索がなされていないし,その成因についても考察されていない.著者らの3症例はIgA単独欠損症の獲得型が明らかに存在することを示す貴重な症例である.また少なくとも症例3ではIgA欠損が可逆的であることも示された. IgA単独欠損症のすべてが原発性もしくは先天性であるとする見解は否定された.獲得型の成因にかんしては, (1)抗IgA抗体による自己免疫機序(続発性獲得性), (2)薬剤(この場合抗癲癇剤)の直接関与もしくは自己免疫機序を介しての関与(続発性獲得性), (3)原因不明(原発性獲得性)などが考えられた.
著者
田中 美月 伊藤 拓 葛西 真記子 Mizuki TANAKA Taku ITO Makiko KASAI
出版者
鳴門教育大学地域連携センター
雑誌
鳴門教育大学学校教育研究紀要 = Bulletin of Center for Collaboration in Community Naruto University of Education (ISSN:18806864)
巻号頁・発行日
no.33, pp.121-129, 2019-02

同性愛者であるレズビアン・ゲイ(以下LGとする)に対する理解は深まっているが,差別・偏見等否定的態度は未だ存在している。LGへの否定的態度は当事者の心理的健康を低減させうるといわれており,偏見を強める要因を検討する必要があると考える。中学生頃に見られるチャムグループという関係性では,同質性を重視して維持され,自分と異質な存在を拒否する心性が生じる。本研究では,異質性拒否の心性である被異質視不安及び異質拒否傾向と,LGに対する態度の関連を検討することと、特に異質であるものに否定的な中学生の方が大学生より否定的であるかどうかを検討することを目的とした。その結果,被異質視不安・異質拒否傾向が高い場合,LGへの態度は否定的であった。異質拒否傾向がネガティブイメージに影響したことは,同性愛に対する知識の無さが外集団に対する偏見を増したためと考えられる。
著者
古賀 郁乃 渡 裕一 中園 聡子 野添 清香 井黒 誠子 松下 兼一
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.172, 2005

【はじめに】回復期リハ病棟では、ADLの改善を目指し様々な取り組みを行っているが、歯磨きは片手動作ということもあり「出来るだろう」と思われがちで、他のADLに隠れ後回しになっている。介助に関してもさほど手間もかからないためか、過介助になっている。しかし、歯磨きは移動、姿勢保持、巧緻動作を含み、専門的知識による訓練、介入が必要だと言える。高齢者の生命・健康、QOLの維持・回復における口腔ケアの重要性が見直されてきた今、当院での歯磨きについても考える必要があるのではないか。そこで、患者の歯磨きの現状を把握し、アプローチを行うため「歯磨きチェック」を行ったところ、いくつかの問題点が抽出されたため、検討を行った。<BR>【対象】回復期リハ病棟の脳血管障害患者から無作為に抽出した男性10名、女性10名。平均年齢75.1±11.2歳。<BR>【方法】1.移動2.姿勢3.棚への出し入れ4.歯磨き粉をつける5.歯を磨く6.うがいをする7.口をふく8.道具を洗うの8項目についてそれぞれ4つの基準を設け、セラピストが実際の動作場面を観察し、いずれに該当するかチェックする。チェックは3週間ごとに3回実施。その他のADL、高次脳機能障害などの調査も行う。チェックの結果をもとに、アプローチ方法を検討し、カードへ記入。それを車椅子にかけ、歯磨きを行う際の参考とした。必要に応じて、アプローチの更新を行った。<BR>【結果】「歯を磨く」「口を拭く」「うがいをする」に比べ、「歯磨き粉をつける」「道具を洗う」は動作が複雑になるため介助量が増えている。業務円滑化のための介助量増加がみられる。環境設定と患者の主体的・自主的行動の優先化により、特に「歯を磨く」項目は他項目より改善が見られた。セラピストによる歯ブラシ操作に対するアプローチが的確に行えなかった。カードの活用が少なく、統一見解が不十分ではあったが、患者の現状の能力を把握することは可能であった。<BR>【考察・まとめ】病棟ADL訓練として歯磨きに直接的にアプローチしていることが少ないという現状から、今回のチェックを行った。セラピスト、病棟スタッフともに歯磨きに対する意識の低さ、知識の無さが浮き彫りになった。その理由として、動作労力としての歯磨きと医学、社会的側面から考えた歯磨きとのギャップが存在することが挙げられる。<BR>今後引き続き調査し、セラピストの視点での正確な動作分析・高次脳機能障害の分析、それらに対する介入方法の指標を示す必要があると考える。また業務整理を行い、リンクさせた形で効率的に関わっていくために、アプローチすべき患者の抽出方法の導入や外部委託の歯科医・歯科衛生士とも協力し知識の向上を図る必要がある。そして何より、ADLの定義を明確にし患者を生活者と捉え、QOL拡大を視野に入れ関わりをもつことの大切さを全スタッフ共通認識として捉えていかなければならない。
著者
Masana TAKAHASHI Toshikatsu SADA Yoshihiro TANEICHI Fujiko OKABE Yoshio ITO Akira MORISHIMA
出版者
International Heart Journal Association
雑誌
Japanese Heart Journal (ISSN:00214868)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.623-629, 1979 (Released:2008-12-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

Serum concentrations of digitoxin and digoxin were measured in 145 cases with various heart diseases receiving maintenance doses of digitalis.Digitalis toxicity was seen in only 2 cases (1.4%)Day-to-day variation of serum concentration while taking the same daily dose was small in digitoxin therapy (13.8%), but a considerable variation was seen in digoxin therapy (24.4%)Serum concentrations of both digitoxin and digoxin were measured in the patients receiving digitoxin, and there was a positive correlation between the two (r=0.66, p<0.001). This fact suggested that the effect of digitoxin was the sum of the effects of digitoxin and its metabolite, digoxin. In the patients taking digoxin, digitoxin was not detected in the serumSerum digitoxin level had a significantly positive correlation to serum albumin level, presumably because digitoxin was retained in serum in the bound form to albumin. Minimal effective level, 10ng/ml, was however obtained with higher daily dose of digitoxin in patients with lower serum albumin
著者
森 裕生 網岡 敬之 江木 啓訓 尾澤 重知
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.13-24, 2017-12-01

学期を通した学習内容の振り返りを促進するために、学生が「自己評価基準」「自己評価点」「自己評価基準の説明及び自己評価点の根拠」を検討する課題を取り入れた大学授業を2年間にわたり研究対象とした。1年目は最終回の授業で授業前と授業後の学生自身の「成長」に関するワークを、2年目は1年目の実績に基づいて授業デザインを変更し演習課題を通して身についた「能力・スキル」に関するワークを導入した。学生の提出した自己評価課題を質的に分析した結果、1年目は自己評価基準の51%にグループワークや演習課題の取り組み等の「授業形式」に関する自己評価基準が取り上げられた。授業デザインの変更を行った2年目は「授業形式」に関する自己評価基準は13%に減少した。また2年目は1年目と比較して(1)授業外で授業内容の応用に関する自己評価や自身の演習課題の回答などの学習プロセスに着目した自己評価が行われたこと、(2)自己評価基準の説明と根拠として、学生自身の学習プロセスと授業外での知識の応用に関する活動を融合させながら自己評価が行われたことなどが明らかになった。
著者
甘佐 京子 長江 美代子 土田 幸子 山下 真裕子
出版者
滋賀県立大学人間看護学部
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
no.9, pp.99-105, 2011-03

背景 精神疾患,なかでも統合失調症については,精神病未治療期間(以後DUP : duration of untreatedpsychosis)が長いほど回復までに時間を要し,再発率も高いといわれている。そこで, DUPを少しでも短縮し,早期に医療に繋げていくこと(早期介入)が重要である。統合失調症の前駆症状(暴力・攻撃性・強迫症状・抑うつ等)は,好発年齢とされる10代後半から20代前半より,さらに2~4年前に出現すると言われており,日本では中学生の時期にあたる。中学校おいて,こうした前駆症状はしばしば問題行動ととらえられるが,早期の医療的介入が必要である。 目的 精神疾患が疑われる生徒に対し,学校現場ではどのような対応がなされているのか。その現状と,早期介入に向けての課題について検討する。 方法 1)研究参加者 : A県内において中学校養護教諭の経験のある女性4名。 2) 方法 : 面接は半構成面接とし「生徒に見られる問題行動」,「問題行動を呈する生徒に対する対応」,「養護教諭の役割」および,「対応する上で障害となるもの」などについてインタビューを実施。 3 )分析方法 : 質的記述的分析。 結果 養護教諭の語りから抽出された問題行動には,統合失調症の前駆症状と共通する,「攻撃的な態度・暴言」「過度の自己アピール」「集中力の無さ」「落ち着きの無さ」や,より病的な「強迫的行動」や「目つきの変化」「不可解な行動」が見られた。養護教諭は,それが病的なものか,発達上の問題なのか,正常な域での反抗なのかの判断に迷っていた。また,独自で対応する場合と,担任をはじめとする学校内で組織的に対応・判断する場合があった。対応する上で問題になることとしては「保護者との関係」があり,「保護者の思い・考え」を優先しなければならなかった。また,家族以外の要因としては,教員間の連携,中でも「担任教員との関係」「教員の理解(知識)の無さ」や,組織内で「養護教諭に対する理解の不足」があった。 結論 学校現場において問題行動は増加しており,その対応には養護教諭のみならず全教員が苦慮していることが伺える。精神疾患に対する偏見は根深いものがあり,保護者・教員ともに正しい知識を持つことが必要である。早期介入を行うためには,養護教諭を中心として,問題行動を呈する生徒に対応するシステムを構築する必要がある。

1 0 0 0 OA 世界の統計

著者
総務省統計研修所
出版者
総務省統計局
巻号頁・発行日
vol.2004,
著者
岡田 知雄
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.11, no.10, pp.365-371, 2011

ヒト胎児・新生児に関する総合的な脂質栄養の成長発達の役割やそのメカニズムについて考察された論文は, わが国では極めて少ない。これには, 1) 母体側因子, 2) 胎盤脂質転送機i構, 3) 胎児側因子, 4) 出生後哺乳内容についてそれぞれ考察しなければならない。近年, 未熟児医療が著しく向上したにもかかわらず, 超低出生体重児の脂質栄養に関する知識の無さには驚かされる。脂質に関するDOHaDの知見をまじえて解説した。
著者
富田 裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1016, pp.97-99, 2014-01-25

第(12)回安全上必要な情報を伝えなかった設計者に禁錮3年─。2007年に発生した東京都渋谷区の温泉施設爆発事故で、東京地裁は設備設計者に有罪判決を下した。専門知識を有する設計者の責任を重くみた。
著者
坂下 恵美子
出版者
宮崎大学医学部看護学科
雑誌
南九州看護研究誌 = The South Kyusyu journal of nursing (ISSN:13481894)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.31-38, 2017

本研究の目的は,終末期がん患者の看取りにかかわる若手看護師が直面する困難を明確にすることである。研究対象者は一般病棟に勤務する臨床経験2年以上,5年未満の若手看護師16名。看取りにかかわる若手看護師が直面する困難は,(未熟なケアを提供する中の困難)と(患者の心や家族の動揺を感じる困難)に集約された。(未熟なケアを提供する中の困難)では,≪業務に追われて余裕がない辛さ≫【苦しむ状況に感じる重圧】【踏み込むことへの尻込み】【技術や知識の無さを痛感する】【何もできない無力感】≪心身の疲労≫があり,(患者の心や家族の動揺を感じる困難)では,【終末期にある命への憂い】【終末期に起きている状況への困惑】があった。###困難を抱える若手看護師支援は,若手看護師の抱えた悩みや不安を表出できるよう支援することや,若手看護師が,看取りの経験をしっかりと振り返り,患者や家族の思いを考え,死にゆく人の理解を深めていくことが必要であると示唆された。
著者
David J. Cornell Stacy L. Gnacinski Miranda H. Langford Jason Mims Kyle T. Ebersole
出版者
Active Aging Research Center
雑誌
Journal of Trainology (ISSN:21865264)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.11-14, 2015-03-02 (Released:2015-05-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

Objectives: To examine the relationships between performance during a backward overhead medicine ball (BOMB) throw and measures of countermovement jump (CMJ) performance among firefighter candidates. Design: Cross-sectional study. Methods: Forty-three firefighter candidates volunteered to participate in this study (age = 28.1 ± 7.1 yrs; height = 180.6 ± 6.0 cm; weight = 88.6 ± 12.3 kg). Bivariate Pearson correlations were used to examine the relationship between BOMB throw performance (m/kg) and measures of CMJ performance, including: peak CMJ height (cm/kg), peak CMJ force output (N/kg), peak CMJ velocity (cm/sec/kg), and peak CMJ power output (W/kg). Results: Statistically significant (p < 0.05) correlations were identified between: BOMB throw and peak CMJ height (r = 0.693, p < 0.001), peak CMJ force output (r = 0.349, p = 0.022), and peak CMJ velocity (r = 0.477, p < 0.001). Although significant relationships were identified between BOMB throw performance and several of CMJ performance measures, BOMB throw performance accounted for little of the total variance between these measures (R2 = 7–48%). Furthermore, the relationship between BOMB throw and peak CMJ power output was not statistically significant (r = 0.292, p = 0.057). Conclusions: These results imply that the BOMB throw lacks criterion-reference validity to other standard field-based measures of power output. Thus, practitioners should exhibit caution when utilizing the BOMB throw to assess power out put among firefighter candidates. In addition, future research should examine the criterion-reference validity of other field-expedient assessments among firefighter candidates and active-duty firefighters.
著者
松本 祐子
雑誌
聖学院大学論叢 = The Journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第32巻, no.第2号, pp.33-46, 2020-03-15

絵本作家・島田ゆかの「バムとケロ」シリーズには,一つの家に暮らす白犬バムとかえるのケロのほのぼのとした日常が描かれている。バムとケロには性別や年齢が付与されていないが,いたずらっ子のケロの世話を焼く有能なホームメイカー・バムの姿は子育てに従事する母親に似ている。母親的役割を担っていても母親ではないバムとケロの関係は実に曖昧で,時によって,友達にもきょうだいにも親子にも見える。家族のごっこ遊びをしているふたりの子どもと捉えることもできる。このシリーズは,絵本ならではの特性を生かし,家庭生活を描きながら,親子関係を描かないという特異な設定を成立させた。時に息苦しさを生み出す要因にもなる義務や責任とは無縁ののどかな家庭生活の風景は,読者にある種の解放感と安らぎを与える。大人でもあり子どもでもあり,男でも女でもあるバムは,読み手に応じた顔を見せ,遊び心に満ちたこの鮮やかな魔法空間に読み手たちを招くのである。
著者
阿部 岳
雑誌
ミツバチ科学 (ISSN:03882217)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-8, 1995-01-10
著者
三浦 保範
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.138, 2004

1. はじめに:中間型斜長石は離溶ラメラ組織と光の干渉色を示す (Miura et al., 1975)。その斜長石ラメラ組織の形成は、高温マグマからの均一溶液からの固体状態の離溶反応(スピノーダル分解)で理解されている。今回は、衝突ガラスからの形成を解明するのが目的である。2. 形成の問題点:下記の問題点がある。a)地球での高温マグマに関係して形成された古期岩石でラメラ組織を示す斜長石鉱物の産出が限られる、b)マグマからの直接固体晶出であるが不均質な組織を保持する、c)鉄の鉱物が広く組織内に分布する、d)月は高温マグマが形成初期に関与したが衝突で形成された古い月の試料にはラブラドライト斜長石が形成されない、e)火星起源の隕石からは衝突ガラス(マスケリナイト)が発見される。これらの問題点を、統一的に解明してみる。3. 地球上の試料の産出場所の特徴:地球上でイリデッセンスを示すラブラドライト斜長石は、一定の古期岩石の分布する地域(カナダ、マダガスカル、フィンランド、米国、ロシアなど)に限られて産出し、20億から30億年前の古い岩石から産出しているのが特徴である。4.月・火星試料の特徴:アポロ月面・月隕石試料は中間型斜長石組成の鉱物が形成されていない。火星には、火星起源隕石中にマスケリナイト(中間型斜長石鉱物)という衝突で不均質にガラス化している斜長石があるが、ラメラ構造は火星の隕石からは発見されていない。5.衝突後高温化形成の解釈:これら問題点を全て説明する考えとして、ラメラ組織を持つラブラドライト斜長石が、衝突ガラス形成の後、地下での高温マグマ加熱結晶化から形成したと考える。その証拠として、中間型斜長石に不均質な組織が残り、鉄などの鉱物が再結晶して多く含まれており、また、古期の大陸の分裂割れ目に相当する場所ラメラ組織を持つラブラドライト斜長石が多く産出していることなどが挙げられる。6.まとめ:次のようにまとめられる。地球惑星が形成された後、十数億年から二十数億年の間に中間型斜長石組成の衝突破砕ガラス形成記録がマグマ加熱で消失して固体晶出後ラメラ組織が形成されたと考えられる。ただし、火星などに、破砕斜長石が高温状態での持続できる場所周辺があれば、中間型斜長石鉱物ラメラ組織が形成されている可能性がある。Keywords: Intermediate plagioclases, Iridescence, Lamellar texture, Impact glass, Martian plagioclases.Corresponding author: Yasunori Miura (Inst. Earth Sci., Fac. Sci., Yamaguchi Univ.; E-mail:yasmiura@yamaguchi-u.ac.jp)
著者
清水 弘 秋田谷 英次 中川 正之 岡部 俊夫
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-8, 1973-03-31 (Released:2009-07-23)
参考文献数
5

A preliminary observation on the avalanche of the Shiai-dani valley, Kurobe Canyon, North Japan Alps, Honshu (Figs. 1 and 2), was carried out during the winter of 1971-1972.The principal subject of the preliminary observation was to figure out the magnitude of the avalanche of the Shiai-dani valley. Ten sets of penetrometer (Figs. 4 and 5) were installed around the observation site (Fig. 7) : 6 sets on the concrete wall and 4 sets on two frameworks of iron beams with an H shape in the cross section (Fig. 6).(1) From the monthly routine observations of snow accumulation, it was presumed that the amount of snow accumulation through the winter of 1971-1972 in the Kurobe Canyon was less than a half of the average.(2) During the period from February 20 to March 15, 1972, an avalanche assaulted the observation site of the Shiai-dani valley. As the result, upper beams of the iron frameworks were bent to the downhill side of the valley (Figs. 8, 9 and 13) : the directions of the bend of the both beams were almost parallel and coincided with that of the avalanche of 1938 which killed 82 workmen : the airection of the avalanche was given by arrow marks in Figs. 7 and 10.(3) The intensity of the avalanche loading in t/m2 calculated simply from the record of the penetrometers as the static loading is given in Table 1, without particular calibration.i) Fig. 7 gives the distribution of the intensity of the avalanche loading in t/m2 around the observation site. The values in the right half area of the site appeared larger than those in the left half area by twice or more. It could be presumed that the main body of the avalanche ran through the right half of the site or a little more toward the valley side of it. The largest value of the intensity of the avalanche loading (66.9 t/m2) was recorded at the point Q-S, while the smallest value (0.7 t/m2) at the point B which was at a distance of only several meters from the point Q-S, laterally to the avalanche. Moreover, the distribution of the intensity of the avalanche loading over the observation site showed some complicated features, which might have been resulted from the strong effect of the minute surface topography of this area.ii) The intensity of the avalanche loading at point S appeared larger than that at point R, of both P and Q. A supporting effect of the supporting legs of the framework could be reflected on this result; if so, the value at the point S would be closer to the real value than that at the point R.(4) The Shiai-dani valley is a very steep and deep valley with the mean inclination of 30°; it has a total length of 2 km, and a depth of about 40 m in the vicinity of the observation site even in the snow season. At a point about 100 m upstream from the observation site, the valley curves sharply to the right making an angle of about 70°. According to such topographic conditions, it was presumed that the avalanche falling down along the Shiai-dani valley collided against the steep face of the right bank side of the valley at the curve (X mark in Fig. 10), then directly assaulted the observation site without running in the valley.