- 著者
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高山 百合子
国分 秀樹
上野 成三
- 出版者
- 公益社団法人 土木学会
- 雑誌
- 土木学会論文集B (ISSN:18806031)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.3, pp.139-150, 2008 (Released:2008-07-22)
- 参考文献数
- 38
- 被引用文献数
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三重県英虞湾において,浚渫ヘドロを用いた干潟実験区を5つ造成し,3年にわたり底質,底生生物の追跡モニタリングを実施した.その結果,砂質土干潟より浚渫ヘドロを混合した干潟の方が底生生物の種類数,個体数がともに増大することが分かり,浚渫ヘドロは干潟材料として有用であることが確かめられた.また,底生生物が増大する底質の最適条件はIL4∼6%,COD3∼8mg/g,泥分20∼30%となった.適度な有機物を含む底質で底生生物が増大するこの特性は,他海域の調査結果とも同様であったことから全国の海域で共通することが確認された.以上より,底生生物の増大を目的とした干潟設計条件として浚渫ヘドロの混合割合の設定が可能となり,浚渫ヘドロを処分するのではなく干潟表面の造成材料に有効利用する新しい資源循環型の干潟造成方法が確立された.