著者
合原 織部
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第51回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.F05, 2017 (Released:2017-05-26)

本発表は、宮崎県椎葉村の猟師と猟犬の交渉を、日常の場である里の領域と、狩猟が実践される山の領域の異なる位相から考察することを通じて、人とイヌの交渉を一元的に捉えるハラウェイに新たな視座を加えることを目指す。里ではつながれているだけのイヌが、狩猟の際には猟師をリードする主体性を発揮し、猟中に命を落とした場合にのみ神格化されるなど、種横断的交渉が各位相において全く異なるさまを民族誌的に提示する
著者
片山 貴夫 境澤 知昭 斎藤 邦夫 石井 武司
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1089-1090, 2004

近年、泥水掘削溝壁は、その周辺地盤に対する影響の少なさや、騒音、振動の少なさから採用される事が多い。また、都市部では、既存の構造物に近接する場合が一般的であり、安全に施工する需要が高まっている。しかし、泥水掘削溝壁の安定性に関しては、技術者の経験則に依存している事が多い。そこで、近年の泥水掘削溝壁の傾向を探り、安全性を検討するために、実際に1980年から2000年にかけて施工された泥水掘削溝壁の事例を約150件収集した。そして、掘削長さや掘削深さの決定方法など、泥水掘削溝壁の形状を文献から探ることによって、泥水掘削溝壁の安定性に関する影響因子を検討することを試みた。
著者
小林 悦郎 植松 喜稔 須貝 稔 樋口 美起雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.8, pp.1319-1325, 1981-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6

酸化チタン(IV)-水和物(メタチタン酸)と活性炭から複合体を調製し,このもののリン酸イオン,メチレンブルー,ヨウ素,有機物質などの吸着特性を研究した。メタチタン酸の原料には酸化チタン(N)製造における中間体としてのTiOSO4の硫酸溶液(TiO2250g,H2SO41044g/l)を用いた。吸着剤としての複合体はつぎのようにして調製した。適量のTiOSO4の硫酸溶液と粒状活性炭とをまぜあわせ,混合物を180℃ に加熱して過剰の硫酸を除き,活性炭に添着した酸化硫酸チタン(IV)を水洗してメタチタン酸に加水分解したのち,生成物を乾燥した。適当な調製条件(5mlTiOSO,溶液/10g活性炭)で得た複合体は市販メタチタン酸と同程度のリン酸イオンを吸着(Freundlich式;q=kc1/nのk値は17~19mg-PO43-/g-吸着剤)し,複合体中に含まれたメタチタン酸の質量あたりに換算したリン酸イオンの吸着量は市販メタチタン酸のそれの約10倍の値を示した。複合体はまた縮合リン酸イオンを吸着した。吸着等温線の傾きFreundlich式の1/nは,オルトリン酸イオンではO.116,三リン酸イオンでは0.261であった。複合体は担体としての活性炭の特性を活かし,メチレンブルー,ヨウ素,有機物質(フェノール)などを吸着した。それらのものに対する吸着能は複合体の調製条件におけるTiOSO,溶液(ml)と活性炭(g)との比の増大によって減少した。カラム試験では複合体中に吸着されたリン酸イオンは,2N水酸化ナトリウム溶液と水で溶離され,のち吸着剤は酸で再生した。
著者
山下 久実 細井 匠 武田 秀和 牧野 英一郎 玉木 裕子 石山 大介
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.B0904-B0904, 2005

【目的】 わが国の精神科医療機関では,数ヵ月の入院を繰り返す短期入院者と,10年を超える長期入院者との二極化が進んでおり,高齢化に伴う様々な問題が指摘されている.現在,精神病院に勤める理学療法士(以下,PT)は,PT総数の0.5%以下と非常に少ない.そこで,わが国の精神科医療機関における運動プログラム(以下,運動)の実態把握を目的にアンケートを行った.この結果,他施設の詳細な内容を教えてほしいとの要望が多く寄せられ,再調査を行った.今回,再調査の結果と精神科における理学療法士介入について報告する.<BR>【方法】先行調査で回答のあった228施設の中から,30施設に再度依頼し,運動の詳細な実施状況(対象,プログラム内容,工夫点,問題点他)を回答していただいた.対象者は,A:高齢者グループ,B:活動レベルの異なるグループ,C:積極的に実施できるグループ,D:活動性や意欲の低下しているグループの4つに分けた. <BR>【結果及び考察】今回のアンケート回収率は56%であった.<BR>回答者はほぼ作業療法士(以下,OT)で,PT1施設,レク指導員1施設であった.運動の対象は,B:活動レベルの異なるグループが31%と最も多く,次いでC27%,A18%,D9%となっており時間や曜日を決めて実施している.運動頻度は週に1回が57%と最も多く,週3~5日の実施は18%と少ない.1グループの参加数は10~40名と多い.内容をグループ別に見ると,Aはレクリエーションや散歩,Bは勝負性と活動性兼ねた球技,Cはソフトボールやテニス等のより活動性の高い球技と,自転車エルゴメ-タやトレッドミル等を使用,Dは風船バレー,ストレッチ,リズム体操,自転車エルゴメータ等その場から動かずに出来る活動を中心に実施している.<BR>運動を実施するうえで,対象者の活動度や症状,年齢,性別を考慮してルールを変更するなど,個別性が重要視されてきている.半面,個別対応の難しさに対する回答も多く,高齢化に伴う安全性や内容(運動種目)の問題が指摘された.<BR>【PTの介入について】精神科OTの基準では,2時間25人以内をOTRと助手の2名で算定可能であることから,集団活動が中心に行われる.例えば,対人関係や社会性へのアプローチを考えると,個別対応し難いことが分かる.この点,理学療法は個別,集団とも短時間で算定できること,運動はPTの主たる療法でありプログラムや目標設定の選択に幅がある等の介入のし易さが挙げられる.また,精神面に触れずに身体面へのアプローチが可能であることや,閉鎖的な入院生活による廃用性症候群の予防にも効果があることが分かっている. PTが精神科に介入することは,精神症状や抗精神薬の作用副作用等について理解を深め,精神疾患患者の身体特性を明らかにし,精神科の運動プログラムを治療活動として,方法論や評価法を確立することにつながると考える.
著者
宇井 美樹 安田 英之 柴田 柾樹 丸山 孝 堀田 博 原 利男 安田 環
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.1098-1102, 1991
被引用文献数
17

緑茶より抽出精製したカテキン類の口臭抑制効果を判定するため,CH<SUB>3</SUB>SHに対する消臭力,及び唾液にカテキン類を添加し,L-Metと共にインキュベート後発生したCH<SUB>3</SUB>SHを定量し,そのCH<SUB>3</SUB>SH産生抑制効果を測定した.また,カテキン類を添加したチューインガムを試作し,そのCH<SUB>3</SUB>SH産生抑制効果を判定した結果,以下の結論を得た.<BR>(1) カテキン類は強いCH<SUB>3</SUB>SH消臭力を有し,この効果は,従来より口腔内消臭剤として汎用されているSCCの効果をかなり上回るものであった.<BR>(2) 緑茶に含まれる4種のカテキンについて消臭力の測定を行った結果,その効果は,EC<ECg<ECG<EGCgの順に優れており,構造と消臭効果との相関関係が示唆された.<BR>(3) 唾液にカテキン類を添加し,これを24時間インキュベートした結果,L-Metを基質としたCH<SUB>3</SUB>SHの発生はコントロールと比較して,著しく抑制された.また,この効果はSCCの効果よりも強かった.<BR>(4) カテキン類を添加したチューインガムを試作し,唾液のCH<SUB>3</SUB>SH発生量を指標として,その口臭抑制効果について評価を行った結果,カテキン0.01%添加ガム咀嚼後においても,CH<SUB>3</SUB>SH発生は顕著に抑制された.<BR>以上のことからカテキン類は,口臭原因物質として注目されているCH<SUB>3</SUB>SHに対し,優れた消臭作用とその産生を抑制する作用を持つものと推定された.また,カテキン類を添加したチューインガムは,口臭抑制の目的で効果的であると考えられた.
著者
森近 雅之 御村 光子 井上 光 並木 昭義
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.35-37, 2002-08-10 (Released:2010-06-08)
参考文献数
7

硫黄入浴剤服用による中毒症例を経験した。57歳女性。入浴剤六一〇パップを約200mL服用し, 約1時間後に救急搬送された。来院時, 意識レベルはJCS-II-30・せん妄状態で著明なチアノーゼ, 過換気と代謝性アシドーシスを認めた。胃洗浄施行後, 精神科病棟に入院させた。その後呼吸不全, ショックとなり, ICUに収容した。人工呼吸下に再度胃洗浄行い, 活性炭投与, 強制利尿等を施行した。硫化水素 (HS) 中毒に対する特異療法としてニトログリセン持続静脈内を投与開始したが, 来院17時間後に死亡した。六一〇ハップは広く市販されているが, 服用時の毒性については知られていない。今後市民への啓発等の対応を要すると考えられる。
著者
浦部 貴美子 灘本 知憲 古谷 雅代 田中 有花里 安本 教傳
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.23-27, 2003-02-10
被引用文献数
2

野草 (17科42種) を対象として, 悪臭指標物質の一つであるメタンチオール (CH<sub>3</sub>SH) に対する消臭力の有無を検索し, さらにその消臭力の比較検討を行った。野草から得られたメタノール抽出物5mgについて, ヘッドスペースガスクロマトグラフ法によりCH<sub>3</sub>SHに対する消臭率を求めた。その結果, 約1/3の14種の野草に, 銅クロロフィリンナトリウム (SCC) よりも高い消臭力が認められた。特に消臭率100%を示した野草は, オニアザミ, カワラヨモギ, タカサブロウ, ヒメジョン, カキドオシ, オオニシキソウ, キジムシロの7種類であった。これら7種の野草抽出物の中でも, タカサブロウはSCCの24倍, オニアザミ14倍, オオニシキソウ7倍, カワラヨモギが6倍となる高い消臭力であった。これらの野草が消臭性植物であるという報告はこれまでのところ見あたらない。したがって, これらの野草は新しく消臭効果の期待できる素材であることが示唆され, 今後その作用に寄与している成分の同定が必要と考えられる。
著者
赤松 明彦
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.1115-1121, 2017

<p>1965年春にパリのコレージュ・ド・フランスで行われたルートヴィヒ・アルスドルフの講義は,西欧のみならず日本のジャイナ教研究にとっても,転換点を画するものであった.それは,ジャイナ教研究を,仏教研究のための補助的学問の地位から,インド学において独自の広がりと価値をもった研究分野へと押し上げるものであった.この講義録は,「ジャイナ教研究――その現状と未来の課題」として直後に出版されたが,これに示唆を得てジャイナ教研究を進めることになった日本の研究者もいたのである.この講義録には,ジャイナ教研究に関わるおおよそ10項目の課題(主として,聖典類の文献学的研究,語義研究に関連する)が示されている.本稿では,ジャイナ教研究の分野で,1990年代以降に日本で公表された研究業績の中から,その10項目の課題のうちの6項目に対応するもので,特に日本語で書かれた優れた成果を紹介した.本稿が意図するところは,内容的には極めて価値のあるものでありながら,国際的に必ずしも十分には知られていない現代日本のジャイナ教研究の成果について,その一部にせよ広く世界の学界に知らせようとするものである.</p>
著者
立川 康人 宝 馨 田中 賢治 水主 崇之 市川 温 椎葉 充晴
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.139-151, 2002-03-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

筆者らがこれまでに開発してきたマクログリッド型流出モデルを淮河流域に適用し,GAME強化観測期間(1998年5月1日~8月31日)の流量シミュレーションを行った.モデルへの入力データには田中らによって作成された毎時5分グリッドの水文データセットを用いた.このデータセットは,1998年の強化観測期間に取得された気象・水文観測データと鉛直一次元の陸面過程モデルSiBUCとを用いて作成されたものである.実測流量と計算流量とを比較したところ,下流域ほど計算流量は観測流量よりも小さく算定されることがわかった.この原因として,用いたデータセットの蒸発散量が過大評価されていること,ダムなどによる人為的な流水制御をモデルで考慮していないことなどが考えられるが,今後の検討を要する.また,河川流量の再現シミュレーションの過程で,河道流追跡モデルが大河川流域の河川流量を予測する上で果たす効果を示した.
著者
村上 祐介
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.398-410, 2011-12-29 (Released:2018-12-26)
被引用文献数
1

少数または単一の事例を分析する定性的研究には、個性記述的・差異化志向と、法則定立的・一般化志向の2つのタイプがある。現在の教育学は理論化志向の弱さや、量的研究対質的研究の二分法的枠組みが強いため、一般化志向の事例研究が少ない。それゆえ、個別の事例研究が体系的な理論構築に結びついていない。本論では社会科学方法論の知見から、抽象(理論)と具体(経験)の循環という基本に立ち返った事例研究の方法論を提示する。
著者
本間 さと 中村 宏治 本間 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.118, pp.49-52, 1993
被引用文献数
1

体温は容易に家庭で計測できる生体情報であるが、発熱の有無以外の健康管理にほとんど利用されていない。体温は測定する部位で異なるだけでなく、時間的変動もあり、明瞭なサーカディアンリズムを示す。深部体温リズムは生物時計の指標となり、交替勤務後のリズム調節などの他に、季節性うつ病や睡眠相後退症候群などの睡眠障害の診断および治療効果判定に有用である。また、患部と健常部の深部体温の比較で末梢循環障害の診断、薬物治療の効果判定が容易になる。そこで、サーミスタにより直腸温と膀胱温を、深部体温計により前額温と足底温を、放射温度計により鼓膜温を連続測定し、生理的な体温の時間空間的な変動を調べ、体温の在宅計測による体内異常の発見や、健康の評価への応用を考えた。
著者
Taya-A.T著
出版者
女性モード社
巻号頁・発行日
1996