著者
Jeremy Duncan Shakevia Johnson Xiao-Ming Ou
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
Drug Discoveries & Therapeutics (ISSN:18817831)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.112-122, 2012-06-30 (Released:2014-06-13)
参考文献数
82
被引用文献数
2 12

Monoamine oxidases play an integral role in brain function. Both monoamine oxidase A (MAO-A) and monoamine oxidase B (MAO-B) regulate neurochemistry by degrading monoamine neurotransmitters (serotonin, dopamine, and norepinephrine). Any alteration in MAO levels can have devastating effects on the brain and behavior by lowering or raising neurotransmitter levels and producing toxic reactive oxygen species. In this review article, MAO is examined in terms of function and genetic organization, with special focus on recent discoveries related to the transcriptional regulation of MAO. In recent studies, transcriptional regulation involves a repressor protein, R1, for MAO-A and an activator protein, KLF11 (a Krüppel-like factor; also referred to as transforming growth factor-beta early inducible gene 2, TIEG2), for both MAO-A and MAO-B, by binding to Sp/KLF sites in the core promoters of MAO and regulating MAO gene expression. Furthermore, KLF11 may influence MAO-B expression and augment glyceraldehyde-3 phosphate dehydrogenase (GAPDH) to upregulate MAO-B transcription upon exposure to ethanol. Finally, we review recent progress in MAO research and highlight the roles that MAOs play in several psychiatric conditions, including chronic stress, major depressive disorder and alcohol dependence. Further research in this area is needed to better understand MAOs, their transcription factors and signaling pathways in psychiatric illnesses in order to develop new strategies for pharmacological advancement.
著者
TAKASHI YAMASAKI KEICHI OZEKI NORIYUKI FUJII MARI TAKEHARA MASASHI YOKOGAWA SHINGO KANEKO YUJI ISAGI
出版者
The Japanese Society for Plant Systematics
雑誌
Acta Phytotaxonomica et Geobotanica (ISSN:13467565)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.107-120, 2013-04-05 (Released:2017-03-21)
参考文献数
73

Silene kiusiana (Caryophyllaceae) is an endangered perennial herb of semi-natural grasslands in Japan and Korea. To elucidate the genetic status of S. kiusiana in the Aso region, Kyushu, Japan, in which relatively large populations still remain, we analyzed the genetics of seven populations of S. kiusiana using five novel microsatellite markers. Each population of S, kiusiana has maintained relatively high genetic diversity (mean H_E = 0.791 and mean N_A =12.0). In addition, the values of pairwise F_<ST> indicating the degree of genetic differentiation among populations were significantly larger than zero between all pairs of populations, although the degrees of difference were small. The semi-natural grasslands in the Aso region have decreased in size over the past several decades, and thus habitat fragmentation may have caused genetic differentiation among populations of S. kiusiana. Although the populations of S. kiusiana have maintained relatively high genetic diversity, the genetic dynamics of S. kiusiana populations should be continuously monitored.
著者
梅沢 純夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.8, no.7, pp.471-484, 1959-07-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
37

有機化合物の構造決定の古典的例を思いだしてみると,インジゴ(染料)の構造を決定したA. v. Baeyer (1883年)の輝かしい業績には約18年の歳月がついやされている.しかもなお,Baeyerの提出したシス-型の構造式は,X線分析による結果から訂正されてトランス-型の式におきかえられ(1928年),さらにR. Kuhn (1932年)1)は四極イオン式を提出し,これが一般に承認されることになった.この式が近時の電子説,共鳴の概念にもとづいて考究されたものであることはもちろんである.
著者
SHINGO KANEKO NOBUKAZU NAKAGOSHI YUJI ISAGI
出版者
The Japanese Society for Plant Systematics
雑誌
Acta Phytotaxonomica et Geobotanica (ISSN:13467565)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.165-174, 2008-07-30 (Released:2017-03-21)
参考文献数
53

Polyploidization is an important evolutionary force in plant speciation, and elucidating the origin and evolutionary history of a particular polyploid is important for understanding the evolution and distribution of plants. We investigated the origin of the endangered tetraploid Adonis ramosa Franch., which is endemic to Japan. To clarify the origin and phylogenetic relationships among A. ramosa and diploid species, we conducted a phylogenetic analysis of the species of Adonis in Japan and Korea using chloroplast trnL-trnF spacer and nuclear ribosomal internal transcribed spacer (ITS) sequences. The sequences of the ITS region of showed that the sequences of A. ramosa were completely consistent with or quite similar to those of A. amurensis Regel & Radde of Hokkaido, Japan, and clearly differed from those of A. amurensis in Korea and three diploid species from Japan and Korea. The results suggest the possibility that A. ramosa is an autotetraploid, and the diploid progenitor is A. amurensis from Hokkaido. The distribution pattern of the ITS haplotype of A. ramosa also indicates range expansion of A. ramosa from northern to southern Japan Ecological divergence and adaptation to new habitats after polyploidization are likely to increase the survival of A. ramosa and enable it to widely colonize in new environments in Japan.
著者
森田 敦郎 木村 周平 中川 理 大村 敬一 松村 圭一郎 石井 美保
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本プロジェクトは、地球環境の持続的な管理に向けての試みに焦点を当てて、インフラストラクチャーと自然環境の複雑な関係を解き明かすことを目的としている。本研究が取り上げる事例は、インド、カンボジア、日本(東北地方)などの多様な地域におよぶ。これらの事例を通して、本プロジェクトは、物理的なインフラストラクチャー(堤防、コンビナートなど)と情報インフラストラクチャー(データベース、シミュレーションモデルなど)が、いかに現地の自然環境および社会関係と相互作用するのかを明らかにした。その成果は英文論文集、国際ジャーナルの3つの特集号およびおよび多数の個別論文、学会発表として発表された。
著者
川口 豊 Yutaka KAWAGUCHI
出版者
東海女子大学
雑誌
東海女子大学紀要 (ISSN:02870525)
巻号頁・発行日
no.20, pp.159-166, 2000
巻号頁・発行日
vol.[23], 1000
著者
菊嶌 孝太郎
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、ケイ素化合物および触媒量のフッ化物塩を組み合わせることにより、ポリフルオロ化合物の脱フッ素水素化反応および脱フッ素置換反応が進行することを明らかにしてきた。触媒量のフッ化物塩およびヒドロシランを用いたポリフルオロアレーンの脱フッ素水素化反応について反応機構に関する検討を行った。金属カリウムとジヒドロジフェニルシランおよびクラウンエーテルとの反応を行い、脱フッ素水素化反応の鍵中間体であると考えられるジヒドロシリケートを合成した。オクタフルオロトルエンとの量論反応を行ったところ、脱フッ素水素化反応が速やかに進行した。この結果は、脱フッ素水素化反応がヒドロシリケートを経由して進行していることを示すものであると考えている。また計算化学を駆使し、本反応がジヒドロシリケートまたはヒドロフルオロシリケートのいずれのシリケートも反応に関与しうることを明らかにした。さらに、典型的な芳香族求核置換反応にみられる二段階の反応(SNAr)ではなく、求核置換反応が協奏的に進行する協奏的芳香族求核置換反応(Concerted SNAr)を経て進行することが分かった。酸フルオリドに対し、触媒量のTBAT存在下、エチニルシランやチエニルシラン誘導体を作用させたところ、フッ素が脱離してエチニル基またはチエニル基が導入されたケトンが得られることが分かった。これらの反応では、フッ化物イオンがシリル基に攻撃することで5配位シリケートとなり、エチニル基やチエニル基から酸フルオリドへの求核攻撃と続くフッ素原子の脱離によって生成物を与えていると考えられる。以上にように、ポリフルオロアレーンの脱フッ素水素化反応における反応機構の解明と、酸フルオリドを出発物質に用いた炭素―炭素結合形成反応の開発を行った。
著者
山本 紀夫
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.578-581, 2018 (Released:2018-10-18)
参考文献数
11
著者
岩佐 真宏 クリュコフ アレクセイ 柿澤 亮三 鈴木 仁
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.66-72, 2002-10-25 (Released:2008-11-10)
参考文献数
20
被引用文献数
6 6

アジア(ロシア•日本•ラオス)産ハシブトガラスの種内変異(地域変異)について,ミトコンドリア遺伝子チトクロームb(336塩基対)を用いて調査した。塩基配列を基に作成した近隣結合系統樹では,主に4つの地域変異グループ,1)ロシア極東地域-沿海州およびサハリン北部,2)サハリン南部および九州までの日本列島,3)奄美大島,4)ラオス,が得られた。この4つの遺伝子型によるグループは,既報の形態変異によるグループ(亜種分類)とほぼ一致していた。ハシブトガラスにおいては,海峡などによる地理的隔離•島嶼形成が遺伝子流入の妨げにはなっておらず,特に陸続きであるはずのサハリン北部•南部間で明瞭な異なる遺伝子型グループが観察されたことは,両者の個体群形成の歴史が,同じ島でありながら異なることを示唆するものであった。
著者
菅原 幸哉
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.25-30, 2011-01-31 (Released:2011-02-01)
参考文献数
16
被引用文献数
3

近年,植物中に共生する微生物「エンドファイト」として,各種の植物から様々な微生物が報告されており,共生の効果による植物の耐虫性の向上や生育促進などが注目されている.中でもイネ科植物に共生するNeotyphodium属の糸状菌(Epichloë属菌の無性世代:エピクロエ・エンドファイト) は,種子伝染で世代を超えて植物中に維持され,宿主植物の耐虫性や耐乾性などを向上させることから,農業への利用が進められている.家畜毒性を持つ菌株も多いことから利用は当初,芝草などの緑化植物に限られていたが,近年,家畜毒性のない菌株を選抜しての牧草での利用が成功し,利用範囲が大きく拡大した.食用作物への利用も視野に入りつつあり,今後の関連研究が注目される.
著者
坂本 孝
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.311, pp.28-30, 2010-08

「人はどこまで信用できるのか」。退任後、悩む日々を送りました。「社員に裏切られた」とも正直、思った。性善説と性悪説がぐるぐると自分の中で揺れ動いた3年間でした。 迷いを抱えながら、月に1度、京セラの稲盛和夫名誉会長の話を聞く。そんな生活を過ごしました。私は、稲盛さんが主宰する経営勉強会「盛和塾」に長年通っていますので。
著者
川崎 寛也 赤木 陽子 笠松 千夏 青木 義満
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1029, 2009

<BR>【目的】中華炒め調理は、鉄製の中華鍋を用いた高温短時間加熱にあおり操作が加わり、一般人には制御が難しい技術である。我々は、中華炒め調理中の鍋温度、具温度の経時変化を赤外線サーモ動画像により取得するシステムを構築した。本研究では、中華炒め調理中の温度変化に及ぼすあおり、攪拌操作の影響を知るために、熱画像と可視画像から得られた特徴量の有効性を検討した。<BR>【方法】調理専門者(中国四川料理店料理長)に回鍋肉(豚肉200g、キャベツ300g、ピーマン40g、長ネギ30g、市販合わせ調味料)を調理してもらい、赤外線サーモグラフィ(TVS-500、Avio社製)により熱動画像と可視動画像を撮影した。画像の炒め領域から以下3通りの解析を行った。(1)鍋底領域と縁領域を指定して温度変化を取得し、(2)鍋、お玉の動き、具の重心の動きをグラフ化、(3)鍋に占める具面積の時間的推移を求めた。さらにあおりのみでお玉を使用しないモデル調理を行い、温度変化を比較した。<BR>【結果】(1) あおり前後では鍋底、縁、具すべて温度変化が大きく、領域別温度変化のタイミングは鍋縁領域、具、底領域の順に高温となった。(2)鍋とお玉の動きは交互に現れた。具はあおり時に大きく移動し、続くお玉による攪拌により、常に動いている状態であった。(3)鍋における具の占有率は、あおりにより下がり、お玉による炒めで上昇した。あおりのみでお玉を使用しない調理では、調理途中の具温度のばらつきが大きく、仕上がり温度も低かった。中華炒め調理におけるあおり操作は高温の鍋縁に具を移動させ、焦げる前に反転させる役割、お玉はあおりによりかたまった具を広げ、高温の鍋底に接触させて温度を上昇させる役割であることが本システムを活用することで明らかになった。
著者
若林 芳樹 久木元 美琴 由井 義通
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2018年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.000165, 2018 (Released:2018-06-27)

2012年8月に成立した子ども・子育て関連3法に基づいて,子ども・子育て支援新制度(以下,「新制度」と略す)が2015年4月から本格施行された.これにより,市区町村が保育サービスを利用者へ現物給付するという従来の枠組みから,介護保険をモデルにした利用者と事業者の直接契約を基本とし,市区町村は保育の必要度に基づいて保育所利用の認定や保護者向けの給付金を支払う仕組みへと転換した.また,待機児童の受け皿を増やすために,保育所と幼稚園の機能を兼ねた認定こども園の増加や,小規模保育所や事業所内保育所などの「地域型保育」への公的助成の拡大が促進され,保育サービスのメニューも広がった(前田, 2017).しかしながら,こうした制度変更の影響について地理学的に検討を加えた例はまだみられない.そこで本研究は,新制度導入から3年目を迎えた現時点での保育サービス供給の変化と影響について,若林ほか(2012)がとりあげた沖縄県那覇市を中心に検討した. 新制度では,認可保育所などの大規模施設で実施される「施設型保育」に加えて,より小規模な「地域型保育」も公的補助の対象になった.このうち「施設型保育」については,認可保育所以外に認定こども園の拡充が図られている.2006年から幼児教育と保育を一体的に提供する施設として制度化された認定こども園は,制度や開設手続きの複雑さなどが原因となって普及があまり進んでいなかったが,新制度では幼保連携型認定こども園への移行を進める制度改正が行われた.その結果,2019年4月における保育の受け入れ枠の14%を認定こども園が占めるようになった. 一方,「地域型保育」には,小規模保育(定員6~19人)・家庭的保育(定員5人以下)・事業所内保育・居宅訪問型保育があり,主に0~2歳の低年齢児を対象としている.これらは,住宅やビルの一部を使って実施されるため,従来の認可保育所に比べて設備投資が小さくて済み,小規模でも公的補助が受けられる.そのため,用地の確保が困難なため認可保育所で低年齢児の定員枠の拡充が難しい大都市では,待機児童の受け皿となることが期待されている.この他にも保育士の配置などで認可基準が緩和され,公的補助のハードルが全体的に低くなっている.その中でも小規模保育は,新制度への移行後の保育枠の増加に大きく寄与している. 新制度に対応した那覇市の事業計画では,需要予測に基づいて2017年度末までに約2500人の保育枠を増やすことになっている.そのために,認可外保育所に施設整備や運営費を支援して認可保育所に移行させ,認定こども園や小規模保育施設を新設するとともに,並行して公立保育所の民営化を進めることになっている.工事の遅れや保育士不足などによって,必ずしも計画通りには進んでいないものの,地方都市では例外的に多かった同市の待機児童数は,2018年4月から1年間の減少幅では全国の自治体で最も大きかった.これは,保育所定員を2443人増やした効果とみられるが,依然として200人(2017年4月)の待機児童を抱えている. 新制度実施前の那覇市では,認可外保育所が待機児童の大きな受け皿となっていた(若林ほか, 2012).保育の受け入れ枠を拡大するには,それらの施設の活用が考えられるため,認可外保育所の代表者6名にグループインタビューを行ったところ,認可外保育所の対応は3つに分かれることがわかった.比較的大きな施設は,施設を拡充したり保育士を増やすなどして認可保育所への移行を図っているが,規模拡大が困難な施設は小規模保育として認可を受けるところもある.しかし,認可施設に移行すると既存の利用者の多様なニーズに柔軟に応えられなくなる恐れがあり,保育士の増員も困難なため,認可外にとどまる施設も少なくない. また,事業所内保育施設については,市が施設整備費補助制度を設けていることもあって増えている.そこで新規に認可を受けた事業所内保育所2施設に対して聞き取りを行った.A保育所は,都心からやや離れた場所にある地元資本のスーパー内の倉庫を改装して使用し,運営は県外の民間業者に委託している.利用者は事業所従業員と一般利用が半数ずつを占める.B保育所は,風営法により認可保育所が立地できない場所にある都心部のオフィスビルに1フロアを改装して新設されている.定員のうち従業者の利用は少なく,大部分は地域枠として募集しているが,入所待ちの児童もあるという.これらの小規模保育施設に共通することとして,2歳児までしか受け入れ枠がないため,3歳児から移行できる連携施設を近隣に確保するのが課題となっている.