著者
和田 年史 和田 恵次
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.15-19, 2015-08-01 (Released:2017-07-05)

Seventeen juvenile specimens of the tropical ghost crab Ocypode sinensis Dai, Song & Yang, 1985 (Ocypodidae) were found on three sandy beaches in Shinonsen-cho, Hyogo Prefecture, western Honshu, Japan. This represents the first record of the species from the coast of Sea of Japan. These juveniles of O. sinensis occurred around shorelines of the sandy beaches, together with juveniles of temperate O. stimpsoni. Their co-occurrences suggest that, at least the juveniles of tropical O. sinensis and native temperate O. stimpsoni may compete for the habitat. The range extension of the tropical O. sinensis, especially towards the north along the coast of the Sea of Japan, should be monitored in the context of possible competitions with native species.
著者
山中 卓 中川 秀敏 杉原 正顯
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.5-12, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
18

This article comprehensively reviews some applications of Hawkes process to credit risk modeling with “contagion effect”. Credit risk is the risk associated with financial losses caused by credit events such as debtorsʼ defaults or credit rating transitions. Financial institutions are required to assess more accurately total credit risk of their large credit portfolios for better risk managements. As such, credit risk quantification models are desired to capture the effect of credit risk contagions, which may cause extreme financial losses. Hawkes process is a nonnegative integer-valued stochastic process which has been often used as a basic model for counting contagious events such as infectious diseases in epidemiology and earthquake in seismology. Similarly, modeling with Hawkes process enables us to easily capture some features of contagious credit events and thus to improve the performance of assessing total credit risks. In addition, a multivariate Hawkes process has capability of estimating mutual contagion effects among different industrial sectors. In this article, as for credit risk modeling and analyses with Hawkes processes, not only an introductory theoretical review but some illustrative results from some recent works of the present authors of empirical analyses are presented.
著者
吉田 瞬 大竹 佳織 川邉 和宏 香川 美仁 磯野 宏秋 杉林 俊雄
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.187-191, 2011-05-30 (Released:2011-06-30)
参考文献数
27
被引用文献数
5 3

Color, texture and the tactile senses are recognized as the evaluation factors for a metal surface. In the present, though those factors are widely used as the popular comprehensive indexes to characterize a metal surface, evaluation of these factors are mainly referred to the terms of touch or visual look. From a customer point of view, particular factors to characterize a metal surface and its numerical expression may not only be helpful to judge its commercial value, but also to avoid unnecessary trouble on judging its appearance. Moreover, these quantitative evaluations are able to improve reproducible accuracy. This paper describes the quantitative evaluation method of a surface texture for metals. As the specimens, aluminum alloy that is one of the popular metals of the exterior material for industrial products are used. The surface textures have been measured by a non-contact 3D surface profiler and the results have been compared with nickel silver alloy and stainless steel. First, the surface textures are measured by stylus method and optical interferometer method to find the relationship between those two measurement methods. Then, as x surface property parameters to express transcriptive property of shot blasted, upper material ratio Sr1 and lower material ratio Sr2 were concluded to be effective.
著者
好田 由佳 矢澤 郁美 香山 喜彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.60, 2018

<b>目的</b><br> 実践的授業の一環として,ゲームプログラミングを取り入れたゲーム融合型のファッションショーを提案する.従来のファッションを「見(魅)せる」から,デジタルファッションを「楽しむ」コンセプトに拡張する.<br><b>方法</b><br> ハードウェアは,グラフィック機能を強化したWindows PCと,舞台の背景全体に高輝度で映写するために5000ルーメンの明るさを持つプロジェクターを利用した.最大の特徴であるゲームとファッションショーの融合にはマイクロソフトのKinect を用いた.<br><b>結果</b> <br> ゲームプログラミングを活用して自由な背景設定ができることにより,衣装や音楽だけでは表現できないゲーム感覚を味わう楽しさを付与することができ,背景スクリーンに拡大映写することで,客席からも衣装の詳細を確認できる.<br> 結果として,拡張現実によりモデルがスクリーン上で衣装替えをするというゲーム性を付与したことで演出効果を高め,新しい形態のファッションショーを提案することができた.また,kinectは,体感型ゲームに用いるゲームシステムとして開発されたが,人体のジェスチャーを認識する特性を応用して,服飾研究の分野に活用することの可能性を示唆できた.
著者
原田 敬一
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.15-29, 2004-03-01

第一次世界大戦で00万人以上の戦没者母出した英数仏三ケ国は戦後、戦場に大小の戦争慕地(軍用慕地〉を建設した。若物たちの大量死という現実は、相当な慰霊の施設を作ることを世論として国家に要求することになった。英仏の首都にある「無名戦の墓」が有名ではあるが、それは戦場に作られた基地のおり方を前提として存在する。逆ではない。こうたあり方の究明を通じて、国民国家の戦没者追悼の現代的あり方が考察されねばならはない。
著者
船越 公威 久保 真吾 南雲 聡 塩谷 克典 岡田 滋
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.156-162, 2007-11-30 (Released:2018-02-09)
参考文献数
16
被引用文献数
1

奄美大島では大規模なマングースの駆除事業が展開されているが、その駆除を効果的に実施する上でも、マングースの詳細な生息状況と分布を把握することが不可欠である。今回、トラッキングトンネルを利用したマングースの生息状況の把握を試み、その有効性を検討した。予備実験後に、本種の放逐地点から島を縦断する林道を含む計4つの道路沿いで、夏季と冬季の2回にトラッキングトンネルを累計各556、347基設置した結果、マングースの足跡の採取率は各季16.9%、22.5%であった。特に、放逐地点から奄美中央林道沿いの14km地点までの採取率は41.4%、戸口林道沿いでも34.6%の高い値を示し、徹底的な駆除が行われながらも高密度にマングースが生息していることが確認された。この背景には、捕獲ワナを警戒したトラップ・シャイの個体の存在も考えられる。また、放逐地点から30km以上離れた奄美中央林道沿いや奄美北部でも足跡が得られ、分布の拡大が認められた。加えて、マングース以外のノイヌやノネコの足跡が24ヶ所、ネズミ類などの足跡が300ヶ所で採取され、これらによる在来希少種への影響が懸念された。これまでのマングースの駆除事業では大幅なマングース個体数の減少に成功しているが、一方で少数個体によると思われる分布拡大がみられる。極低密度域などでトラッキングトンネルを活用し、マングースの生息有無が確認できれば、駆除事業がより効率的に展開できるものと期待される。
著者
加藤 逸郎 小野 公二 大前 政利 神田 哲聡 藤田 祐生 大林 茂樹 中澤 光博 丸橋 晃 今堀 良夫 切畑 光統 由良 義明
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.581-586, 2005
被引用文献数
3

ホウ素中性子捕捉療法(Boron neutron capture therapy: BNCT)は,<SUP>10</SUP>Bを予め腫瘍に集積させ,中性子線照射で発生する粒子線を利用して腫瘍選択的に破壊する治療法である。我々はこの治療法を再発頭頸部悪性腫瘍患者に対し,2001年より世界に先駆けて開始した。対象は扁平上皮癌6例,唾液腺癌3例,肉腫2例の計11例であった。その結果,腫瘍縮小率は,CR:2例,90%以上:5例,73%,54%,PD:1例,NE:1例で,奏功率82%。QOL改善は,潰瘍消失と皮膚再生,PSの改善による仕事復帰,疼痛・開口障害・呼吸苦の改善,生存期間延長などであった。11例中7例(4例:遠隔)に転移を認めた進展例だったが,治療後の生存期間は,1-38ヶ月で平均8.5ヶ月,生存率は36%(4例生存中)であった。副作用は,口内炎,全身倦怠感,脱毛などで軽度だった。進展再発頭頸部悪性腫瘍に対しBNCTを実施し,その有効性を確認した。
著者
嵩 大樹
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.59, 2013 (Released:2013-09-04)

今日の大都市圏における居住地移動は錯綜している。戦後からの東京大都市圏は、東京駅を中心とし、西部地域から時計回りに広がりを見せてきた。そして、バブル期には東京大都市圏は拡大し、千葉県の大都市圏外縁部までを飲み込んだ。しかし、バブル期が終わると、地価の下落に伴い、大都市圏内の住宅取得価格が大幅に下落した。加えて、マンションでの生活がこれまで以上に浸透し、都心部でのマンション開発が行われたことから、郊外住宅地の衰退が見られるようになった。特に、大都市圏外縁部では、郊外住宅地としての性格を弱めた。現在では、居住地移動は都心回帰および郊外住宅地の二分し、主に戸建住宅取得希望者には郊外住宅地への外向移動がはたらいているものの、それは限定的な地域であるとされる。人口減少時代を迎えた今日、郊外住宅地の研究としてはむしろ、衰退を懸念する研究が多い。東京大都市圏の郊外への需要においては、30㎞圏~40㎞圏が中心となると予測されている。 しかし、東京大都市圏周縁部である木更津市ではそのような居住地移動の中で、人口増加が起こっている。その動きは、これまで述べられてきた東京大都市圏の居住地移動の流れとは異なる。本稿は、その居住地移動を検討すべく、木更津市内の新興住宅地である請西南地区、ほたる野地区、羽鳥野地区の3地区を事例として取り上げ、居住者特性や通勤行動を通して人口増加が起こっている要因を明らかにしようとしたものである。本稿では研究対象地域を詳細に絞り、アンケート調査を用いることであえてミクロな研究として、統計上では知り得なかった細部にわたる居住者特性や通勤行動を知ることが可能となった。 木更津市はバブル期の終わりと土地神話の終焉から地価が暴落した。その影響で、現在では横浜市の約7分の1、東京都区部の約20分の1という地価となっているため、他の地域よりも広い戸建住宅が安価に取得できる。アンケート調査によれば、35歳~39歳で子どもが2人いる4人家族の核家族世帯が最も多かった。前住地は主に、木更津市内や隣接市など地域間移動が卓越していたが、対岸の東京都や神奈川県からの転入者や千葉市からの転入者も見られた。現住居居住理由は、「土地・住宅が安価」や「戸建住宅の希望」が2大要因であった。前住の住居が賃貸住宅の世帯が多かったことが要因であろう。3番目の理由として、木更津市内や隣接市の居住者は「生活環境の良さ」を選択したが、前住地が対岸地域の居住者は「通勤が便利」や「自然が多い」を選んでいた。また、この地域からは60歳以上の居住者が見られたことから、老後の最終ライフステージとして研究対象地域が選ばれている。通勤行動として、木更津市内や隣接市への通勤者が最も多かった。このことから、「郊外就業―郊外居住」の職住近接が中心であるといえる。このことから、これまで大都市圏郊外の衰退が地理学において多く議論されてきたが、それはあくまでも東京に通勤する人が多い郊外、即ちベットタウンにおける話であり、木更津市のような東京大都市圏周縁部では、その地域とは性格が異なり、元々郊外の就業を目的とした人が多いことから、一義的な郊外衰退の議論の中に位置づけることは難しいと考えられる。木更津市では職住近接が卓越していることから、大都市圏周縁部には雇用が多いことがわかり、その就業を目的とする居住者が多く存在している限り、大都市圏周縁部は郊外とは相対的な動きを見せると考えられる。他方で、東京都や神奈川県への通勤行動が全体の18.2%も見られた。それらの世帯は、通勤が便利という理由で木更津市へ転居した世帯が多く、アクアライン経由の高速バスを利用している。その高速バスや自動車において、1時間前後で東京都内や神奈川県内の通勤が可能なことで、アクアラインが公共交通として一般化されてきたといえるだろう。そのことが木更津市と東京都や神奈川県との近接性を高めたと考えられる。今や木更津市は千葉市、東京23区、川崎市、横浜市といった大都市圏中心市との近接性の高まりが見られ、そのことが人口増加につながった要因であるだろう。 近年、木更津市内における新たな区画整理と地価の減少に加え、アクアラインの社会実験や高速バスの増便が引き金となり、人口増加が見られるようになった。そして、その区画整理が行われた新興住宅地において、東京都や神奈川県への通勤者が増加している。従って木更津市は今や、東京のベットタウンとしての性格を持ち始めてきたといえる。言い換えれば、木更津市は東京大都市圏周縁部であったが、東京大都市圏内に含まれるようになったと考えられる。
著者
庄司 顕則 伊藤 彩乃 赤崎 洋哉 松前 満宏 山崎 旬 遊川 知久
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.343-346, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
7

キンランは里山に自生する絶滅危惧種である。今回,キンランが生育する埋立地において野外播種試験を行い, 2年間にわたって発芽と成長を観察した。その結果, 2年目により多くの発芽・成長個体が確認され,複数の根が伸長した個体もみられた。本種の生育地付近だけでなくブナ科が混生する周辺の植栽林で成長が確認されたことで,里山環境が失われつつある中,埋立地など都市部の植栽林が本種の保全に活用できる可能性が高まった。
著者
西村 一宣 栗山 陽子 行徳 五月 寺戸 沙織
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.281-286, 2018

<p>【目的】医療で一般に用いられる言葉,「年・月・週単位」と「季節や時期を示す言葉」について医療者と患者家族の認識を調査した.【方法】医療者と患者家族に対し質問紙調査を行った.【結果】年単位を5年以内とした医療者は100%,患者家族は67.1%だった.月単位を3〜6カ月とした医療者は39.3%,6カ月以内は100%,患者家族は3〜6カ月10.1%,6カ月以内は68.3%だった.週単位を4週以内とした医療者は89.3%,8週以内は100%,患者家族は69.6%と77.2%だった.年・月・週単位を「わからない」とした患者家族が約1/5いた.桜の頃を3月下旬〜4月上旬とした医療者は71.4%,患者家族は58.9%だった.紅葉の季節,暖かくなる頃,寒くなる頃はばらつきがあり,梅雨の時期は6月が多かった.【結論】一般的に使用される平素な言葉でも,医療者と患者やその家族で認識が異なる場合がある.</p>
著者
黒田 淳子 藤中 俊之 中村 元 西田 武生 梶川 隆一郎 芝野 克彦 吉峰 俊樹
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.106-111, 2011 (Released:2012-01-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1

【目的】bare platinum coilを用いた脳動脈瘤塞栓術(BC群)とbioacitive coilを用いた脳動脈瘤塞栓術(BAC群)の治療成績を比較し,bioactive coilの安全性および再開通予防効果について検討した.【方法】当院にて2007年1月~2009年12月までに動脈瘤瘤内塞栓術を行い,術後1年以内にfollow upの血管造影検査を行った破裂/未破裂脳動脈瘤を対象とし,治療直後およびfollow upでの塞栓状況,動脈瘤頚部での内皮新生を示唆するwhite collar signの有無,術後MRI DWIでの微小脳梗塞の有無について比較検討を行った.【結果】follow upの血管造影検査施行時に,治療直後と比べ塞栓状況が改善されたものはBC群で9.38%,BAC群で15.8%であり,有意差は認められないものの(p=0.58),BAC群で多い傾向にあった.また,動脈瘤ネック部分の内膜新生を示唆すると考えられているwhite collar signの有無に関しては,BC群の6.3%,BAC群の26.3%にみられ,有意差は認められないもののBAC群で多い傾向にあった(p=0.13).しかし,術後の微小梗塞はBA群よりも多い傾向にあり,血栓性合併症に対しては十分な注意が必要である.〈第26回日本脳神経血管内治療学会学術総会優秀演題推薦論文〉