著者
上田 渉 大川 清孝 宮野 正人 藤井 英樹 大庭 宏子 山口 誓子 青木 哲哉 倉井 修 小野寺 正征
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.2161-2168, 2016

<p>潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)患者に合併するサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染症の大部分は,ステロイドや免疫抑制薬の治療歴がある.今回ステロイド投与歴がないにも関わらずCMV再活性化を生じ,治療経過でCMV感染症を発症したため抗ウイルス治療を要したUC患者2例を経験した.1例目は66歳で,再燃時大腸内視鏡検査では発赤,浮腫,びらんのみだが,既にCMVの再活性化を呈していた.ステロイド治療で一旦軽快したが,その後CMV感染症を合併し抗ウイルス治療を要した.2例目は75歳で,再燃時大腸内視鏡検査で浮腫,びらん,小潰瘍のみであったが既にCMV再活性化を生じていた.ステロイドとタクロリムスで一旦軽快したが,CMV感染症を合併し抗ウイルス療法を要した.ステロイド投与歴にとらわれず,高齢者UC患者の再燃時には典型的な内視鏡画像を欠いてもCMVの再活性化を疑いステロイド以外の治療を考慮すべきである.</p>
著者
加茂 泰広 田島 和昌 小田 英俊 木下 昇 富永 雅也 山本 美保子 米満 伸久 竹島 史直 中尾 一彦
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.1219-1224, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
17

症例は79歳女性.食欲不振から全身状態悪化し当院救急搬送.精査の結果糖尿病性ケトアシドーシスの診断となり当院入院となった.治療経過中に腹部膨満感出現,腹部CTにて結腸の拡張を認め下部消化管内視鏡検査にて結腸全体の多彩な潰瘍性病変を認め,腸管サイトメガロウイルス(CMV)感染症の診断となり,ガンシクロビルによる加療を開始した.その後症状は速やかに改善,治癒となったがその後便秘症状が出現し,下部消化管内視鏡検査にてS状結腸にスコープ通過不能な狭窄を認めた.腸管CMV感染症治癒後瘢痕による消化管狭窄と診断,狭窄解除目的に内視鏡的バルーン拡張術(EBD)を施行,術後経過良好で現在再発なく経過している.
著者
佐藤 隆良
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1024, pp.15-17, 2014-05-25

とはいえ、今回の消費増税の影響は、前回の1997年と比べ、小幅にとどまるだろう〔図2〕。国交省の住宅着工統計によると、97年の住宅着工戸数は138万7014戸。前年の15.6%減で、約26万戸減った。

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著者
出版社編輯部 編
出版者
出版社
巻号頁・発行日
1908
著者
長谷部 育恵 楠見 孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42034, (Released:2018-10-04)
参考文献数
10

本研究では,学習者が学習教材を選択する際に,動機づけの高低によって,どのような特性をもつ教材を求めるのかを検討した.大学生と社会人400名が回答を行い,動機づけが低く動機づけ調整が必要な場面と動機づけが高く動機づけ調整が不要な場面のそれぞれについて,学習教材を構成する各要素をどの程度欲しいかを評定した.その結果,第一に,学習教材選択時の動機づけ調整の特徴とは,内容特性の低い学習教材を選択することであると示された.とりわけ,発展的な内容に対するニーズが低下していた.第二に,ニーズには個人差があり,動機づけの高いときには,動機づけにおける自律性が高い人ほど内容特性の豊かさを求めていることが示された.
著者
阿部 真由美 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42011, (Released:2018-09-28)
参考文献数
12

本研究では,英語を自主的に学ぶ学習者が自ら学習リソースを選択する際の根拠を明らかにし,支援方法を検討することを目的として,日本人の成人英語学習者を対象にウェブ調査を行った.英語学習リソース選択根拠尺度を作成し,因子分析を行った結果,「自己ニーズ」と「外的影響」の2因子が抽出された.さらに,学習者の特性による違いを比較するために,英語の熟達度3群,学習継続期間3群,学習目的4群で分析したところ,継続期間および目的で違いが見られた.これらの結果から,学習者のリソース選択は「自己ニーズ」と「外的影響」の2つの根拠に基づくことが分かった.また,学習者の特性によって支援方法を変える必要性が示唆された.
著者
山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.189-197, 2018-01-31 (Released:2018-02-05)
参考文献数
33

近年の情報通信技術の発展により,教育の場面でも情報通信技術が使われるようになった.情報通信技術を教育や学習の場面で利用するメリットは学習に関係するログが残ることである.このログも含めて,多角的に教育・学習に関する分析を行い,教育や学習環境の改善に寄与することをラーニング・アナリティクスと言い,その研究が世界的に広がりを見せている.本稿では,ラーニング・アナリティクス研究に関する国内外,特にラーニング・アナリティクス研究の専門誌であるJournal of Learning Analytics の掲載論文の傾向を中心の紹介をし,ラーニング・アナリティクス研究の現状と今後の方向性について述べる.
著者
Satou Chiemi Goto Hirofumi Yamazaki Yuya Saitou Katsuyoshi Matsumoto Shoji Takahashi Ou Miyazaki Yosuke Ikuta Keiichi Yajima Yosuke
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13458957)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.601-606, 2017
被引用文献数
4

<p>Monoacylglycerol (MAG) and diacylglycerol (DAG) are minor components of edible fats and oils, and they relate to the quality of these foods. The AOCS official method Cd 11b-91 has been used to determine MAG and DAG contents in fats and oils. There are, however, difficulties in the determination of MAG and DAG using this analytical procedure. Therefore, we improved this method by modifying the trimethylsilyl derivatization procedure and replacing the internal standard (IS) material. In our modified method, TMS-HT (mixture of hexamethyldisilazane and trimethylchlorosilane) was used for derivatization of MAG and DAG, which was followed by liquid-liquid extraction with water and <i>n</i>-hexane solution containing the IS, tricaprin. Using the modified method, we demonstrated superior repeatability in comparison with that of the AOCS method by reducing procedural difficulties. The relative standard deviation of distearin peak areas was 1.8% or 2.9% in the modified method, while it was 5.6% in the AOCS method. In addition, capillary columns, such as DB-1ht and DB-5ht could be used in this method.</p>
著者
波田野 節子
出版者
朝鮮学会
雑誌
朝鮮学報 (ISSN:05779766)
巻号頁・発行日
vol.199, pp.191-230, 2006-07

洪命憙の歴史小説『林巨正』は一九二八年から一九四〇年まで中断を繰り返しながら新聞と雑誌に連載された。筆者はその連載期間をつぎの三期に分けた。一九二八年から翌年の逮捕収監までの第一期、一九三二年の連載再開から三年後の病気による中断までの第二期、そして一九三七年の再開から一九四〇年後の完全中断までの第三期である。洪命憙は第二期の『義兄弟編』を執筆している途中、その当時復刻された朝鮮の正史『朝鮮王朝実録』と出会ったが、とりあえずそのまま書き続けて『火賊編』以降でこの正史を小説の材源として取り入れ、連載が完全に終わって『林巨正』を単行本にするときに、前に書いた『義兄弟編』を後で書いた『火賊編』の内容に合わせて修正したと推測される。筆者は第二期の記述に見られる時間の食い違いに疑問をいだき、原因を突きとめるためにこの時期の新聞連載と単行本のテキス卜を対校した。残念ながら原因を解明することはできなかったが、代わりに、単行本では消されて連載本テキストにだけ残された、作家の試行錯誤や推敲の跡を見出すことができた。本稿ではまた、『火賊編』冒頭の歴史的記述が、単行本にするさいに挿入されたものであることも明らかにした。この挿入は第三期における作家の創作姿勢を示唆するように思われる。
著者
遠藤 秀紀 小原 巌 吉田 智洋 九郎丸 正道 林 良博 鈴木 直樹
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.531-538, 1997-07-25
被引用文献数
8 17

国立科学博物館に収蔵されているニホンオオカミ (Canis hodophilax TEMMINCK 1839)の頭骨3例を用いて骨計測学的検討を行い, 秋田犬との比較を試みた. また, CTスキャンを用いてニホンオオカミの頭蓋骨, 特に前頭骨領域の内部形態を非破壊的に観察したので報告する. 骨計測の結果, ニホンオオカミと秋田犬では最大頭蓋長に有意差はなく, 同サイズの集団間比較を行っていることが確認された. 一方, 最小前頭幅と両眼窩間最小距離の最大頭蓋長に対する割合は, ニホンオオカミで有意に小さく, 同種の前頭骨の発達が悪いことが示唆され, 前頭骨の平面観と側面観からも同様の結果が得られた. しかし, ニホンオオカミにおいてこれまで注目されてきた下顎第一後臼歯長の最大頭蓋長に対する比率には, 二者間で有意差は見られなかった. CTスキャンによる傍正中断像では, ニホンオオカミの前頭洞は, 発達の悪い前頭骨に応じて狭く, 特に背腹方向ヘ圧縮されていることが明らかになった. また, 三次元腹構の結果, 複雑な櫛板の構造が確認された. ニホンオオカミは, 1905年以来捕獲例のない絶滅種である. 今後, 残された標本をCT観察し, 同種の呼吸および嗅覚機能に関する検討を進めることが期待される.
著者
小野崎 隆 山口 隆 姫野 正己 池田 広
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.974-978, 1999-09-15
被引用文献数
5 17

Pseudomonas caryophylliにより発生するカーネーション萎ちょう細菌病は, 日本でのカーネーション栽培上最も重要で問題となっている病害であり, ほとんどの栽培品種は本病害に対しり病性であることが知られている.本報では, 野菜茶試で維持保管しているダイアンサス属野生種の萎ちょう細菌病に対する抵抗性を, 浸根接種法による検定により評価した.接種から91日後の発病率によって, 抵抗性を極強(発病率 : 0%), 強(発病率 : 0<&acd;≦20%), 中(発病率 : 20<&acd;≦40%), 弱(発病率 : 40<&acd;≦70%), 極弱(発病率 : 70<&acd;≦100%)の5つに分類した.検定試験の結果, 本病害に対する抵抗性が極強(発病率 : 0%)の野生種2種, D. capitatus ssp. andrzejowskianusとD. henteriを見いだした.これらの2種は, 実験期間を通じて全く病徴を示さなかった.さらに, 抵抗性が強(発病率 : 0<&acd;≦20%)の野生種7種類を見いだした.4菌株を用いた再試験の結果, D. capitatus ssp. andrzejowskianusが最も強い抵抗性を示す野生種であることが明らかになった.
著者
梶谷 亮輔 前村 公彦 山元 康平 関 慶太郎 尾縣 貢 木越 清信
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.139-149, 2018-06-10 (Released:2018-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

The aim of this study was to examine the validity, reliability, and utility of a method for evaluating the characteristics of the counter movement jump. Fifty-two male track and field athletes (sprinters or decathletes) jumped from a 30-cm platform and consciously changed their counter movement times. This study determined the counter movement time required to achieve the highest jump. The results are summarized as follows: 1. The waveform between the counter movement time and jumping height was an inverted U-shape. 2. It is normally accepted that the optimum counter movement time is determined via the jump test. 3. There was a significant correlation between the first test and the re-test in terms of the counter movement time. 4. Participants were classified into 5 groups based on their optimum counter movement times and highest jumping heights. These results suggest that the newly developed jumping test discussed in this study is a valid method for evaluating the characteristics of counter movement.