著者
渡部 美穂
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンの制御機構におけるGABA興奮性入力の役割を明らかにするために、独自に作成したGnRHニューロンへのGABA作用を興奮性から抑制性に操作できる遺伝子改変マウスを用いて調べた。このマウスでは性周期が乱れ発情期が続き、妊娠が認められず、卵巣には多数の小さな卵胞がみられたことから、生殖機能にはGABA興奮性入力が重要な役割を持つことが明らかになった。
著者
小林 睦
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,豪雨時の土構造物の変形・崩壊挙動を調べるために,盛土斜面および多数アンカー式補強土壁を対象にした遠心力場散水シミュレーションを実施した.その結果,飽和領域が表層部から拡大していく盛土斜面では,土の内部摩擦角よりも法面勾配が大きい場合は,見掛けの粘着力が消失して不安定化して崩壊に至ることが分った.また,補強土構造物においては,適切に排水機能を維持することの重要性と,豪雨時の不安定化の進展の様子を捉えることができた.
著者
服部 美香 舟島 なをみ
出版者
日本看護教育学学会
雑誌
看護教育学研究
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.35-48, 2009

本研究の目的は、クライエントの問題を解決へ導いた看護師の行動を明らかにすることである。研究方法論には、看護概念創出法を適用し、選択的参加観察法(非参加型)を採用して、看護師が問題を予防・緩和・除去のいずれかに導いた現象をデータとして収集した。持続比較分析の結果は、クライエントの問題を解決へ導いた看護師行動が、9概念【情報収集と査定反復による問題解決過程の推進】【問題解決支援に向けたクライエントへの意向確認と協力要請】【問題の優先順位決定に基づくクライエント要請への即座対応と対応順延】【クライエント独力による問題解決に向けた助力と激励】【原則に則した手段による問題解決と個別状況に即した問題解決手段考案】【問題解決支援に伴う新たな問題発生予測と未然防止のための手段多用】【医療チームメンバー協議による問題解決支援への合意形成と共同】【クライエント拒絶手段受け入れへの説得と説得不可による手段強行】【効果判定による問題解決支援継続と中断】を用いて表せることを明らかにした。考察の結果は、クライエントの問題を解決へ導くために、看護師が問題解決過程を推進するとともに、その全過程を通して、緻密かつ高頻度に情報収集と査定を行っていることを示唆した。また、問題解決過程を推進するためには、さまざまな能力を習得する必要があることをも示唆した。
著者
中川 好正 橋爪 進 西田 朗 木村 博
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.507-512, 1996-06-17

普通、早強および低熱(高ビーライト系)の3種類のボルトランドセメントを使用したコンクリートについて、初期材齢での強度発現性状を把握する自的で、凝結時間と材齢48時閥までの圧縮強度を、10、20および30℃の各環境温度において時間単位で測定した。その結果、レセメントのクリンカ鉱物中のエーライト組成量と始発時間からの積算温度を考慮すれば、ボルトランドセメントの種類、環境温度および謙ンクリートの調合に関わらず、始発時間を測定することによって初期材齢での圧縮強度が予測できることを明らかにした。
著者
伊藤 和弘 島田 順一 加藤 大志朗 西村 元宏
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

一般に普及してきた高速ネットワーク回線を医療画像読影に応用した。デスクトップ画面共有技術としてvirtual network computingを使用して複数のコンピュータを接続した。接続したコンピュータの画面が同期されるため、遠隔地にいても同じ画面を見ることができる。静止画面だけにとどまらず、CT画像を自由にスクロールして望みの画像を出したり、数スライスの上下スクロールを繰り返して検討するなどの動きの早い画面でも応用できた。このシステムで、若手呼吸器外科医や医学部学生に対して、遠隔地から画像読影の指導を行った。移動や待ち時間を減らし、対面教育と同じ品質である点で有用であった。
著者
森 玲奈 北村 智
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.309-318, 2013

ワークショップは教育工学の研究対象として認識されてきた.しかしながら,教育工学研究としてのワークショップの評価について,十分な議論が行われていない.そこで本稿では,第一に,ワークショップの教育評価について,ワークショップと学習目標との関係に着眼し,検討を行なった.第二に,教育工学研究としてワークショップを評価する方法について,都市計画研究における方法と認知科学研究における方法を参照し,検討を行なった.検討の結果,第一に,ワークショップの教育評価では,我々は明示された学習目標と明示されていない学習目標を分ける考えを示した.加えて,「予期されなかった学習」の重要性を指摘した.第二に,都市計画研究における評価方法を検討した結果,研究の妥当性・有用性を考える上で,実践の置かれた文脈と同様に,実践に対する研究者の立場を詳述することが重要であることと,参加者・研究者のみならず,企画者・運営者を含めた多様な関わりを踏まえた多面的な分析に,有用な知見を見いだせる可能性があることを示した.第三に,認知科学研究における相互作用分析の研究を踏まえると,言語行動のみならず,非言語行動を含めたマルチモーダルな分析を行うことが有効ではないかと提案した.

1 0 0 0 安南記寫

著者
[松本陀堂編]
出版者
[角屋] 七郎次郎篤敬写
巻号頁・発行日
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著者
長野 克則 横山 真太郎 濱田 靖弘 絵内 正道 藤田 巧
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)調湿材料の選択とその吸放湿特性:種々の天然調湿材料を比較検討した結果、価格対調湿効果の点で、稚内層珪質頁岩が優れた特性を有することがわかり、この稚内層珪質頁岩を建材や塗料に混入させた場合の静的および動的特性について実験的に明らかにした。(2)調湿機能を有する内装材を設置した実証実験:床面積7.5m^2の部屋の内壁23.2m^2部分に、稚内層珪質頁岩を1.92kg/m^2含有する石膏ボードを設置した場合と、普通石膏ボード表面に稚内層珪質頁岩を0.68kg/m^2含有する人工漆喰を塗布した場合について、日単位で加湿、除湿を繰り返した時のパッシブ調湿作用について検討した結果、両条件とも普通石膏ボード仕上げの場合に比べて、顕著な調湿作用を示した。(3)室内調湿効果予測のためのシミュレーターの開発:室内仕上げ材に調湿機能を持つ建材を導入した時の室内湿度を予測するシミュレーターを開発した。調湿建材の使用により、たとえば東京では梅雨時期にかび発生の危険域と言われる相対湿度90%以上となる時間を10分の一以下に減少できることが示された。(4)各種ガス吸着、調湿作用がある物質のVOC吸着・脱着特性に関する実験的検討:容量20Lの密閉チャンバー内を一定温湿度に保ち、トルエン、アセトアルデヒド、標準VOC7成分のそれぞれに対して稚内層珪質頁岩の吸着量を測定した。いずれのガスに対しても、稚内層珪質頁岩は活性炭とほぼ同等の吸着性能を持つことがわかった。一方、高温・低湿度環境下において、一度吸着したガスの脱着について測定したところ、アセトアルデヒドに関しては明らかに脱着が確認されたものの、トルエン、VOC7成分に関しては活性炭と同様に脱着は見られなかった。さらに、悪臭成分のアンモニアに対する最大吸着量を調べた結果、高い吸湿性能を有する稚内層珪質頁岩は水溶性のアンモニアの吸着に優れており、最大吸着量は活性炭の30倍以上となることが明らかにされた。
著者
孫 雲龍
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013

本研究の目的はレーザー脱離・超音速ジェット法を用いて神経伝達物質とそのレセプターの分子認識機構を分子レベルで解明することである。本年度はアドレナリンの部分構造であるカテコールとレセプターの結合サイトであるSIVSF-NH2の錯合体をレーザー脱離・超音速ジェット法を用いて測定した。最初、それぞれの分子の粉末を混合し、これにレーザー脱離法を適用したが、錯合体は観測されなかった。そこで、それぞれの分子を水に溶かして混合した後、50℃で一昼夜乾燥して得た粉末に対してレーザー脱離法を適用したところ、錯合体の観測に成功した。これにより、錯合体の共鳴多光子イオン化(REMPI)スペクトルの測定に成功した。REMPIスペクトルには37590cm-1に強いシャープなバンドが観測され、錯合体はほぼ単一のコンフォメーションをとっていると考えられる。構造情報を得るためIRスペクトルを測定したところ、3509及び3442cm-1にシャープなバンドが、3300cm-1付近にブロードなバンドが観測された。カテコールの水素結合していないOH伸縮振動(3673cm-1)が観測されないことから、錯合体ではカテコールOH基が水素結合を形成していることが示唆される。さらに、SIVSF-NH2単体で観測されるSerのπ型水素結合したOH伸縮振動(3588cm-1)が観測されないことから、錯合体ではこのπ型水素結合が消滅し、新たにカテコールOH基と水素結合が形成されていることが分かった。

1 0 0 0 OA [金剛流謡本]

著者
金剛鈴之助, 金剛直喜 訂
出版者
桧常之助
巻号頁・発行日
vol.〔8〕 松山天狗, 1898
著者
千羽 晋示
出版者
国立科学博物館
雑誌
自然教育園報告 (ISSN:0385759X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.121-134, 1978-02

This report is the result obtained from a series of investigations on toads living in the National Park for Nature Study. I have not yet read the report by telemetry on investigations of moves by toads. Our efforts were undertaken by methods to confirm locations of toads. To pursue their moves, location telemetry was utilized. Our method was to place a transmitter on the back of toad, and we received by receiving apparatus (MM-BP type) produced by Meisei Electric firm. By this way, we confirmed locations, using flat board for survey. This method keeps high precision. As for the distance of 10 meters, maximum error might be I meter at most. Toads used had weight of 130 grams or more. Definitely they were adults. Transmitters had weight of 10-13 grams. Waves transmitted had 5 cycles. Investigation on five individuals at the same time was quite possible. However, in practice, interferences or jammings by hams, etc, were frequent. Consequently, investigation on two or three individuals was our inevitable limit. As for the entire result, examples of investigation are yet few. And definite figures are not yet gathered. However, roughly speaking, the following matters were clarified. As for toads, their particularly active zones of time are not yet ascertained. Comparatively speaking, encircling after sunset, midnight and before sunrise, their active time zones are likely to concentrate. The distance they move per day is fairly wide in individual difference, or by season, it seemed. But the maximum was 15-20 meters and the average was 15-20 meters. However, even the same toad differed in scope of move according to days. Or, sometimes similar tendency lasted. Interference by near-by toads has been considered nil. Anyhow, that point is not yet fully confirmed. Therefore, "home range" is regarded to exist. But it is difficult to form any positive assertion through the said recent investigation on the point.
著者
松本 多恵 高田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.27, pp.1-6, 2011-09-08

本稿では,e-口コミを用いた新たな学習支援手法を提案する.この手法の目的は,1)高いドロップアウト率,2)モチベーション維持の困難さ,3)少ないインタラクティブ性という 3 つの e-learning が抱える問題を解決することである.提案する学習支援手法は,従来の学習支援と大きく異なり,メンターなどの学習支援者を必要とせず,学習者自らが意欲的・主体的に学習をする仕掛けを与えるものである.我々は,この e-口コミを発生させるために,消費者購買行動モデルの 1 つである AISAS に着目する.このモデルを応用し,マンガ教材を利用した e-learning 学習教材の開発を行う.開発された教材が e-learning が抱える問題を解決する方法として有効であることをアンケートから示す.In this paper, we propose an e-learning support method using e-WOM (e-Word of Mouth) for three problems in e-learning: 1) learners drop out at high rate 2) it is difficult to maintain motivation 3) it has few interactive. The proposed method is a lot different from existing methods. The proposed method does not need support persons such like a mentor, and set up a case that learners work aspiringly and actively. To go on e-WOM, we adopt AISAS, which is a model for buying behavior. We put AISAS into the development of the e-learning support method using comic learning tools. To validate the method, we have questionnaires.
著者
勝 野吏子 鈴村 崇文 山田 一憲 中道 正之
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.163-172, 2014 (Released:2014-08-02)
参考文献数
21
被引用文献数
4

Here, we have reported two cases of diurnal stillbirths in free-ranging groups of Japanese macaques (Macaca fuscata), Arashiyama and Koshima groups. One infant was born prematurely and in breech position, while the other seemed to be a full-term infant born in front position. The two mothers had little interaction with other members of the group throughout parturition. The group members, except for juveniles, also showed little interest in the mothers. The mother of the infant born in the breech position licked the body of the infant, as in the case of live births. Moreover, both mothers carried the infants ventrally. However, the two mothers also showed behaviors that were different from those usually observed after a live birth. The mother of the infant born in breech position tore parts of the infant's skin and ate them. The other mother dragged the infant by grabbing the umbilical cord. Previous studies have reported that mothers carry infants that died after birth, but it was unclear whether interactions with live infants were required for such maternal behavior. Our observations suggest that some maternal behaviors can be observed even when the infants die before parturition. At the same time, the cases reported by us show the possibility that infants born dead may influence the expression of certain unusual behaviors.
著者
梶原 和美 緒方 祐子 中村 典史
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,口唇口蓋裂(Cleft Lip and/or Palate: CLP)の子どもとその家族に対する有効な心理的援助を実現するための方法論を提示することである。そのため(1)CLP児の母子関係に潜在する心理的問題,(2)CLPによる障碍が子どもの対他者関係,特に家族に及ぼす影響,(3)成人CLP者の回想における母子関係の変容過程を検討した。結果は,(1) 関係性構築の阻害要因と促進要因,(2) 構音障害への対処の重要性,(3) CLP者の人生岐路におけるレジリエンス(回復力)という観点から考察された。
著者
小林 哲生 笈田 武範 伊藤 陽介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

本研究では,神経・精神疾患などの診断支援や治療効果を定量的に評価できる新規医用イメージングシステムの開発を目的として,超高感度な光ポンピング原子磁気センサ(OPAM)の深化とモジュール化,ならびにこのセンサによるMRI撮像を超低磁場で実現し他の様々な計測手法とのマルチモダリティ計測を可能とするシステムに関する研究を行った. OPAMについてはK原子とRb原子のハイブリッド型により高い空間的均一性を実現できることを示し,さらに新たな多点同時計測法を開発した.また,モジュール型OPAMによるMR信号の直接計測手法の提案を行い数値実験によりその妥当性を示すなど多くの成果を挙げる事ができた
著者
神崎 初美 片山 貴文 芦田 信之 周藤 俊治 牧本 清子 東 ますみ
出版者
兵庫県立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

Web上で療養記録が実施できる症状管理サイトを作成し、RA患者の記述した内容を分析することで病気や症状がコーピングに与える影響を明らかにするため調査している。現在、まだ調査は継続中であるが途中の経過を報告する。PCや携帯の画面で使用できるよう作成した。「今日の体調」をクリックすると日々の症状(痛み・痛む関節の場所・数・その他記述データ)と天候・気分・活動度を毎日入力できる。入力した数値データはパソコン上で月間グラフとして、また記述データはテキスト内容を見ることができ、A4サイズ1枚にプリントアウトもできる。このため療養記録として診察に持参することもできる。研究対象者:Web上に自発的に登録する者と入院RA患者のうちWeb上の症状管理サイトへの記述を説明し承諾した者としている。以下(1)〜(6)の内容について現在、データを収集中である。(1)Webサイトへの使用頻度の集計(2)記述文字数(3)記述内容のカテゴリー分け(4)天候や痛みと症状との相関(5)診療内容や療養生活と症状との関連(6)Webサイト改良のため生活上の利点欠点、診療場面利用への有効性など研究協力者の感想を聴くリウマチ患者にとっても自身でも把握が困難だったRA患者の病状変化をセルフモニタリングにより自身で分析でき、病を悪化させている要因を客観的に分析することができる。また、それを診療場面に活かすこともできる。例えば天候・痛み・薬物療法と症状との関連など系統的な把握が可能になる。個別対応型であり、より深く正確な情報がプライバシーを保持しながら得る事が出来ると考える。
著者
海尻 賢二
出版者
社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.376-382, 1981-07-15

本論文では構文マクロを利用した2パスのプリプロセッサ生成機システムについて述べる.構文マクロの利用においては構文を利用するが 入力のすべての構文を解析するのは無駄であるので 変換の必要のない構文を構成する記号列を1つのトークンとみなし otherトークンと呼ぶ.鱈いレベルで.therトークンかマクロ記号かを決定し 以降の解析を行う.すなわち変換の必要のない記号列は.otherと呼ばれる1つのトークンとみなす。この方法によりマクロの定義は容易になりまた作成されるプリプロセッサの速度も向上する.マクロの定義はマクロ記号と特別のotherトークンを定義する語い定義 構文およびそれに対応する解析木を定義する構文定義 その解析木に対してマクロ本体を定義する意味定義の3つより成るシステムは各定義を処理してマクロ定義表を作成するプリプロセッサ生成機と その表によって駆動される核プリプロセッサより成る.プリプロセッサは2パスであり 弱順位文法に基づくパーザと ユーザの定義した形式の解析木を出力プログラムヘ変換するトランスフォーマの2つより成る.システムはすべて構造化Fortran RATFOR-Rで記述されている.