著者
西嶋 剣一 大倉 一枝
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

血管新生因子PD-ECGFは、正常組織に比べ様々な固形腫瘍において高レベルで発現していることが知られている。本研究では、PD-ECGFの発現、すなわち血管新生をイメージングできるF-18標識放射性薬剤の開発を目的とした。PD-ECGFに親和性をもつF-18標識の合成検討において、新規TP阻害化合物を得ることに成功した。引き続き合成検討を重ねたが目的とする、標識前駆体およびF-18標識体を得ることはできなかった。しかしながら多くの合成実施例からF-18標識化合物を創製する上で、ウラシル誘導体の反応性に関する重要な知見を与えた。
著者
江沢 洋
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.467-471, 1994-06-05

468ページの写真は,小谷先生の若き日のノートの第2〜3ページである.表紙には量子力学論文輪講原稿第二集と筆で几帳面な楷書で書かれている.高校時代から親友だった犬井鉄郎が「かわいい,小学生が使うようなノート,表紙に赤い屋根がついた…」と語ったのは第一集のことか?この第二集には「赤い屋根」でなく「赤い花」がついている.横14.3cm,縦19.4cmの94ページ.罫線はない.小谷は,勝木のインタヴュー(1977年6月15日)において「大学の2年のころに,かなり量子力学の論文,といってもそう論文があるわけでもないけれど,何か学生の仲間で,論文を読んだりしていた」と言い,同席した犬井は「小谷さんはSchrodingerをやった」と応じて「とにかく,やたらに,めちゃめちゃに読んだ」と言っている.小谷ノートは,そのとき作られたのである.「原稿」とあるから,輪講の準備ということだろう.
著者
吉田 聡 菅原 勝寿
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.94-97, 2005-04

昨日売れた商品が、明日も売れるとは限らない。とはいえ、多くの小売店はよく売れたものをたくさん仕入れ、売れなかったものは改廃の対象にしているのが現状だろう。その結果、売れ残りが増えたり客離れを引き起こしたりしてはいないだろうか。
著者
野田 潤
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.48-59, 2008
被引用文献数
3

近年,個人の選択性の増大や家族の拘束性の減少を意味する「家族の個人化」の進行が指摘され,増加する離婚率はその証左と見なされてきた。しかし子どもの存在を分析枠組に入れて新聞の離婚相談欄を研究した本稿からは,異なる知見が導かれた。まず,離婚したいという夫や妻個人の希望の正当性を,子どもという夫婦以外の第三者の都合から審査する傾向は,相談者の間では1930年代以降,2000年代の現在においても全く減少していない。次に,「あなたのための離婚」と述べて個人の選択権の増大を強調する1980年代以降に特徴的な回答者の言説は,実は「あなたのため」が「子のため」を阻害しないという前提のもとでしか語られていない。つまり夫婦の離婚は子どもという拘束からは自由になったとは言い切れないのである。このように本稿は子どもを分析枠組に入れることで,個人化とは矛盾する現代家族の一側面を明らかにした。
著者
細谷 律子
出版者
日本森田療法学会
雑誌
日本森田療法学会雑誌 = Japanese journal of Morita therapy (ISSN:09177485)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.27-32, 2004-04-20
被引用文献数
2
著者
杉内 博幸 松嶋 和美 安楽 健作 安東 由喜雄
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害剤は、アポリポ蛋白(アポ) Eを多く含み粒子サイズの大きいアポE-rich HDLを上昇させることが知られているが、本HDLの測定法やコレステロール引き抜き能などの抗動脈硬化能については報告されていない。本研究で、我々は、CETP阻害剤と同様にアポE-rich HDLが上昇するCETP欠損や胆汁うっ滞患者血清を用いて、本HDLの抗動脈硬化能を明らかにし、さらに、アポE-rich HDLに反応特異性の高いポリアルキレングリコール誘導体の界面活性剤を用いて、アポE-rich HDLを含む総HDLのコレステロール測定法を開発した。
著者
田辺 和裄 平井 誠 本間 一 堀井 俊宏 美田 敏宏 中村 昇太
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、DNAポリメラーゼδの校正機能を欠損させることによって高頻度に突然変異を発生するネズミマラリア原虫Plasmodiumberghei(ミューテーター原虫)を用い、原虫の進化を予測する進化モデル実験系の構築を目指した。ミューテーター原虫に生じた変異をゲノムワイドに解析した結果、変異率は対照原虫よりも75-100倍上昇していた。また、サルファ剤耐性試験の結果から、ミューテーター原虫は薬剤耐性の予測を可能にする新たな研究手法となり得ることが明らかになった。
著者
河野 哲也
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.1-20, 1998-12

1. 「感覚質」という残された問題2. 因果説の検討3. バシュラールの現象工学4. 感覚質と身体の現象工学5. 結果と考察"Qualia" provides one of the most difficult questions for the philosophy of mind, since it seems impossible to explain how a phenomenal-sensible quality like color is produced from colorless electronic-chemical processes in a brain. The purpose of this paper is to propose a causal theory of qualia affirming that a qualia is causally produced by some brain state, and thereby "naturalize" qualia in a certain sense. In order to do that, we must, on one hand, eliminate any anthropomorphic implication from the concept of causality, and, on the other hand, abandon the classical concept of matter and substance to fill the conceptual gap between the mental and the physical. We first examine the concept of causality. We distinguish the ordinary concept of causality (1) and the logical concept of causality expressed by counter-factual conditional (2). We use the concept of causality only in a meaning (2), when we explain the relation between brain and qualia causally. We next interpret the philosophy of science of Gaston Bachelard in order to adopt his theory to the problem of qualia. He criticized the classical concept of matter or substance, and affirmed that far from being reducible to a single level, reality involves a hierarchy where lower level structures produce a quality in a higher level. We show that the same can be said about the relation between brain and qualia. Finally, we conclude that we can maintain a causal theory only if we use the logical concept of causality and reject the classical presupposition of substance.
著者
小武内 清貴
出版者
岡山県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題では,平織炭素繊維とPA6シートからなる炭素繊維強化熱可塑複合材料(CFRTP)に対し,超音波加振したニードルを面外方向に繰り返し刺突する超音波加振ニードルパンチ処理を提案した.超音波加振ニードルパンチ処理を施したCFRTPの曲げ特性およびModeI層間破壊じん性を調査した結果,超音波加振ニードルパンチ処理によってCFRTPの面外方向に杭状の樹脂流れが誘起されることが分かった.この杭状の樹脂流れによって,超音波加振ニードルパンチ処理はCFRTPの曲げ特性を損なうことなく,ModeI層間破壊じん性を向上可能であるとの知見を得た.
著者
伊藤 智広 伊藤 裕子 水谷 峰雄 藤城 克久 古市 幸生 小宮 孝志 樋廻 博重
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.339-344, 2002-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
24
被引用文献数
3 15

アズキ熱水抽出物(アズキ煮汁)の抗腫瘍活性及びその作用機構の一つであるアポトーシス誘導について検討を行った.アズキ熱水抽出物をDIAION HP-20で処理した後,蒸留水,40%エタノール,60%エタノール,80%エタノールと順に溶出溶媒を切り換え,各溶出画分を得た.これらの溶出画分を用いてヒト胃癌細胞(KATO III cells)の形態学的変化,増殖抑制作用及びアポトーシス誘導により生じるDNAフラグメントの検出を行った.その結果,40%エタノール溶出画分に小球状のアポトーシス小体が観察され,さらにアポトーシス誘導により生じるDNAの断片化を示した.また,40%エタノール溶出画分によるアポトーシス誘導についてDNA断片化の濃度及び培養時間依存性に関して検討した.その結果,アポトーシス誘導は濃度及び培養時間依存的であることが判明した.また,40%エタノール溶出画分によるヒト正常細胞に対する影響は観察されなかった.以上より,40%エタノール溶出物による抗腫瘍活性機構にはアポトーシス誘導が関与していることが示唆された.
著者
松田 陽子 野津 隆志 久保田 真弓 乾 美紀 落合 知子 杉野 竜美 北山 夏季
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

外国人児童の母語教育の現場での課題を、教師の考えや教育実践、家庭の両親の意識などを中心に調査し、日本・オーストラリア・カナダ・タイでの取り組みの調査結果をもとに、 「言語資源」の認知、学校と家庭の連携、自尊意識を高める方策の重要性を考察した。母語・バイリンガル教育についての知見や教授法のアイデアの紹介も含め、母語学習支援のための情報ネットワーク形成のプラットフォームとなる国内初の実践的な母語学習支援専門のウェブサイトを立ち上げた。
著者
かめい たかし
出版者
一橋大学語学研究室
雑誌
言語文化 (ISSN:04352947)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.61-89, 1967-11-03

論文タイプ||論説
著者
中澤 章 久永 竜一 吉村 浩一
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

正確なシェ-ドマッチングを行い,それを適切に歯科技工士に伝達することは,審美的な歯冠補綴を行うために,極めて重要である。これまでシェ-ドマッチングは歯科医師の主観に頼るところが大きく,客観性に乏しかった。現時点ではシェ-ドガイドを写し込んだスライドを利用するのが臨床的には最も良い方法とされている。しかし現像にかかわる時間的コスト,経済的コストの問題などを考慮すると,さらに検討の余地も残している。マッチングの適否については何の情報も提供していない。そこでデジタルスチルカメラを用いたコンピュータイメージングシステムを開発し、歯科におけるカラーマッチングとカラーコミュニケーションへの活用を検討したところ、以下の結論を得た。1.画像を合成し補綴前後の色と形態をシミュレーションをしたところ、画質、スピード共に優れ、患者、歯科医師、歯科技工士相互のコミュニケーションに有用なことがわかった。2.コンピュータで画像を合成してカラーマッチングしたところ、正答率は85%となり、従来の視感によるカラーマッチングの正答率71%に比べ、有意に有効だった(P<.05)。3.コンピュータ支援の計算によるカラーマッチングの正答率は94%であり、従来の視感によるカラーマッチングに比べ、有意に有効だった(P<.01)。4.デジタルカメラを仮想の色彩計とみなし、選択部分のL^*a^*b^*を算出することにより各シェ-ドとの位置関係が容易に把握でき、補綴物製作時はもとより、製作後の再評価の指針となり得ることがわかった。