著者
太田 一昭
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.213-224, 1989-06-01

新歴史主義批評の基本的な前提と視点についてまとめてみた. 新歴史主義は, 文化あるいはテクストの統一を否定する. 新歴史主義は文学と歴史の二項対立的区分を拒否し, 歴史を, 安定した背景として文学テクストと対置しない. 文学も歴史の一部を構成し, 非文学テクストあるいは他の文化的実践と相互に浸透し, それらのコンテクストになりうると考える. 新歴史主義批評は, テクストを権力関係との係わりという点から分析することに深い関心をもつ. 文学研究の新しい歴史化とは, 新しい政治批評であるとも言える. この批評の政治性は, 特にイギリスのマルクス主義的唯物論派の人々に顕著である, アメリカの新歴史主義者は, 自己の批評活動の政治性を抑圧する傾向がある. 新歴史主義の批評方法にはさまざまの困難や問題点が見出されるけれども, それが最も刺激的で大きな可能性をもった現代の批評方法の一つであることは確かである.(1989年2月14日 受付,1989年3月8日 受理)
著者
杉山 和也
出版者
説話文学会
雑誌
説話文学研究 (ISSN:02886707)
巻号頁・発行日
no.46, pp.162-171, 2011-07
著者
三上 毅 杉野 寿哉 菅野 彩 宝金 清博 三國 信啓
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.82-88, 2012 (Released:2012-03-24)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

甲状腺機能亢進症に併発した類もやもや病4症例を経験したので,文献的考察を加えてその病態や治療指針に関して検討した.2007年1月から2010年12月までに当科で血行再建術を行った,甲状腺機能亢進症に併発した類もやもや病4症例を後ろ向きに検討した.男性2例,女性2例で,平均年齢は27.5歳(14-43歳)であった.全例直接血行再建術と間接血行再建術を行った.神経学的な予後は良好であったが,1例で甲状腺機能の悪化が認められた.周術期の甲状腺機能コントロールは,虚血性合併症を避けるうえでも非常に重要であるが,甲状腺機能亢進症の活動性を評価するのは非常に困難であり,治療指針の検討には内分泌科との連携が重要であると考えられた.
著者
森田 茂樹 富永 隆治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

成犬を用いた脳死状態誘導により、1.脳死誘導後に見られる血行動態の変化と左心機能障害の程度。2.脳死誘導後における心筋酸素消費量と冠動脈血流量の変化。3.in vivoにおける冠動脈内皮機能障害の有無。4.in vitroにおける冠動脈の内皮障害の有無。以上4点について検討した。1.に関して、脳死誘導直後に血行動態の急激な亢進および緩徐な低下が認められた。それに伴い左室機能は、脳死誘導60分後に有意な低下を認めた。また、カテコラミンが脳死誘導後に一過性に増加しており血行動態および心機能の変化にカテコラミンが大きく関与していると考えられた。2.に関して、心筋酸素消費量および冠血流量は、脳死直後に急激な増加を認め、その後緩徐に低下した。脳死誘導前と比較して、心筋酸素消費量の有意な低下は認めなかった。3.に関して、内皮依存性血管拡張薬であるアセチルコリンと非依存性のニトロプルシッドを冠動脈に直接投与する事によって、冠血流量の反応を検討した。脳死誘導後には、両薬剤に対する冠動脈の反応性の有意な低下を認めた。冠動脈予備能の低下が示唆された。4.に関して、内皮付き中膜条片を作成し、張力実験を行った。脳死誘導により、高カリウム脱分極と、トロンボキサンA2アナログによる収縮刺激にたいする反応の低下が認められた。ブラジキニンによる内皮依存性の弛緩反応は障害されなかった。以上の結果から、脳死誘導により心機能の低下が認められるが、その原因として冠動脈予備能の低下が考えられた。冠動脈予備能の低下をきたす因子として、脳死誘導によるカテコラミンの一過性放出などによる冠動脈、とくに平滑筋機能の障害が考えられた。
著者
片岡 淳 松永 三郎 河合 誠之 河合 誠之
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

小型衛星を用いた突発天体からのX線・ガンマ線偏光観測に向け、東工大で開発する50kg級小型衛星「つばめ」に搭載する観測装置(硬X線偏光検出器、バースト位置検出器)および高速姿勢制御装置の試作開発を行った。詳細なシミュレーションと実機(エンジニアリングモデル)による評価・試験から、目的とした観測性能をすべて達成できることを示した。大型衛星では困難な「小回りの良さ」と「最先端の観測機器」を駆使した小型衛星の新しいアプローチ、また小型衛星を用いた新しいサイエンスの方向性を示すことができた。
著者
山下 俊一 高村 昇 難波 裕幸 伊東 正博
出版者
長崎大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

チェルノブイリ事故後に急増した小児甲状腺がんの放射線障害の起因性を明らかにするために、チェルノブイリ周辺地域(ベラルーシ、ウクライナ、ロシア)における分子疫学調査を行った。特に、分子疫学を行うためにの基礎として甲状腺および末梢血液より核酸(DNAおよびRNA)抽出法について検討した。1)ベラルーシのミンスク医科大学と長崎大学は姉妹校を結び小児甲状腺がんの診断技術の研修を行っている。ベラルーシのゴメリを中心として、小児甲状腺がん患者についてのCase-Control Studyを行い、甲状腺がん症例220例、Control(年齢、性別)をあわせたもの1320例を抽出して現在調査を行っている。2)患者の核酸を永久保存するための基礎検討として、ベラルーシから持ちかえった抹消血液からのDNA抽出検討を行った。その結果、血清を除き生理食塩に血球を希釈して持ちかえることで、4℃の場合と室温保存と差がなく3週間後でも高品質のゲノムDNAを抽出することが可能であった。さらにDNA資料の半永久保存のための試みとしてLone-Linker PCR法について検討している。3)甲状腺腫瘍組織からRT-PCR法によりcDNAを増幅して、放射線により誘導される遺伝子異常の一つと推測されているRet/PTC遺伝子の解析を行った。旧ソ連邦の核実験場であったセミパラチンスクで発症し手術を受けた甲状腺組織を用い、RNAを抽出しRet/PTC1,2,3の異常が認められるかどうかについて解析した。その結果、Ret/PTC3の異常が高頻度で見られ、被爆とこの遺伝子異常の関連性が示唆された。この結果はLancettに掲載された。
著者
守屋 明 仁木 恒夫 草地 未紀 一藁 幸
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

高齢消費者を取り巻く生活環境は益々悪化しており、消費生活センターも、なりすまし詐欺などの悪質事業者について、高齢者に向けて自衛のための方策を広報することしかできない状況にある。しかし他方で、地域的な高齢者支援の仕組みも整えられつつあり、各自治体も、地域包括支援センターを中心とする高齢者支援体制を整備してきた。また弁護士や司法書士などの法律専門職も、高齢者への支援体制を整えてきている。本研究では、そのような高齢者支援をめぐる多様な試みを総合的に調査・分析・評価し、今後の高齢者の権利擁護のための仕組みを検討した。
著者
清水 邦夫 柏木 宣久 栗原 考次 西井 龍映 福地 一 金藤 浩司 大西 俊郎 甫喜本 司 甫喜本 司
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

大気中の窒素酸化物や水中の酸素等の時間的・空間的濃度分布を知ることは環境を理解する上で重要と考えられます。また、鳥の飛翔行動や森林の更新の理解は生態系を把握する上で大切です。本課題では、データに基づいて環境・生態を理解するにはどのように数理的モデルを構成すればよいのかについて研究を行い、環境・生態に関係する実データの統計的解析も合わせて行いました。
出版者
月刊園芸療法
巻号頁・発行日
2001
著者
Pournelle Jerry
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイト (ISSN:02896508)
巻号頁・発行日
no.248, pp.128-135, 2004-01

今月の記事は,新しいMacを買ったという報告から始めたいと思っていた。仲間や同業者たちから,新しい15インチのPowerBookは絶対気に入るからと説得されたのだ。長年Microsoftなしの生活を誇りにしているロランド・ドビンスは,Microsoft Office X for the Macに熱を上げている。一方,混沌の館の仕事仲間ダン・スピサックは,新しい15インチのPowerBookに夢中だ。
著者
藤田 隆史 井上 昭彦 服部 忍 柴田 碧
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.50, no.456, pp.1327-1338, 1984-08-25

誘導円板形継電器は送配電系統や発電機などの保護継電器として広範囲に使用されているが、過去の地震での誤動作も報告されており、その誤動作が従来から問題とされていた。本研究では、水平二次元加振により円板の中心軸下端のピボットが下部軸受内をふれまわる際の摩擦が原因となって円板が回転し、誤動作を起こすことを加振実験と理論解析により解明し、このタイプの継電器の振動試験は水平二次元加振によるべきことを明らかにした。
著者
秋田 学
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

前年度の冬季雷観測において広帯域ディジタル干渉計で雲内雷放電進展路を可視化することにより、電荷構造の観点から冬季雷特有の放電現象発生要因は夏季にはあまり見られない高度数百メートル程度の低高度の電荷領域の存在であることが明らかとなった。このような雷放電進展様相を決定付ける電荷位置の測定はこれまでゾンデに搭載された電界測定装置によって行われてきたが、測定可能範囲は狭く、これに代わる電荷分布測定技術が求められている。米国ニューメキシコ鉱工科大学のグループが開発するLMA(Lightning Mapping Array)は到達時間差法を用いて雷放電路を可視化する装置である。同グループはこれまでにこれを用いて、リーダが負電荷領域と正電荷領域を通過する際の放射パルスの頻度の違いから、雲内の負電荷領域と正電荷領域の推定を行っている。筆者は米国ニューメキシコ州にて広帯域ディジタル干渉計とLMAを用いて雷放電観測を実施した。その結果、放電諸過程のうち、比較的進展速度の遅い過程(10^5m/sオーダ)は、ほぼ同じ放電進展様相を可視化でき、高速で進展する放電現象(10^6m/s-10^7m/sオーダ)については広帯域ディジタル干渉計でのみ可視化することができた。LMAを用いて求めたリーダ極性(電荷領域の極性)と広帯域ディジタル干渉計で受信した電磁波パルスの周波数スペクトルの平均値を比較すると、負リーダ(正電荷領域)からは高周波数、正リーダ(負電荷領域)からは低周波数成分を多く含む電磁波をそれぞれ受信しており、放電諸過程において放射される電磁波の周波数スペクトルに違いが見られた。この受信電磁波の違いを雷雲内電荷分布のリモートセンシングに応用し、ゾンデによって行われてきた電荷分布測定よりも広範かつリアルタイムで電荷分布の情報が得られることが期待され、将来の落雷対策における重要な知見となりうる。
著者
原田 敬一
出版者
佛教大学文学部
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
no.91, pp.31-51, 2007-03

戦没者追悼のあり方を考える上で、戦没者の埋葬がどのように行われているのか、は日本ではあまり問題にしないが、欧米では大問題である。大問題となったのは、UKのプーア戦争、独・仏の普仏戦争あたりからだから、ヨーロツパでは100年以上の歴史がある。それは「戦争文化」とも言える。フランクフルト条約で、相互に戦争墓地を尊敬し、維持することを取り決め、以後その形式は継承されている。戦没者追悼戦争墓地戦争文化ドイツ戦争墓地維持国民同盟
著者
星 正治 遠藤 暁 川野 徳幸 山本 政儀 片山 博昭 大瀧 慈
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

平成15-16年度の成果の内、特筆されることは、平成16年3月9-11日の3日間広島大学にて国際ワークショップを開催したことである(学振の国際研究集会経費の支援による)。これは平成14年9月にセミパラチンスクで放射線量評価の国際会議を受けて広島で開催した。63演題が発表され、このうち26演題が外国人による発表であった。主題は被曝の大きかったドロン村である。2年間の研究の積み重ねの結果が発表された。その主な分野は、1.煉瓦のTLDによる国際相互比較を中心とした測定、2.歯のESR法を中心とした測定、3.放射能の雲の計算による方法、4.土壌汚染の測定とそれに基づく評価、5.染色体異常などの結果であった。結論として、煉瓦が、空中線量で0.5グレイくらい(国際相互比較で本研究グループからは茨城県立医療大学の佐藤が参加)、歯が0.1から0.5グレイ(本研究グループによる)、土壌汚染からの計算が0.5グレイくらい(金沢大との共同研究)、計算は被曝を引き起こした雲の通過した経路が、中心から外れている事を加味し0.5グレイ位とされ矛盾はない、本研究グループなどによる染色体異常の研究では明確ではなかったが、0.3グレイ位の評価もあり矛盾はない。以上の結論が出て、今まで0から2グレイまで評価法によって異なっていたことが、空中線量で0.5グレイと収束することができた。これが最も大きい結論である。これで方法論は確立したので、村ごとの個人被曝線量評価を行うことが次の課題である。現地調査は、金沢大学の山本らのグループとの土壌などのサンプリングを共同で行ったこと、武市医師のグループにより、サルジャル、カラウル、コクペクティなどの村で検診を行った。さらに血液の染色体異常、小核試験なども行った。放影研の片山らはコンピュータによるデータベースの構築を進めた。
著者
水波 誠
出版者
北海道大学
雑誌
電子科学研究 (ISSN:13402455)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.94-95, 1993

研究(電子科学研究所第1回研究発表会要旨 平成5年10月21-22日)