著者
鈴木 明子 一色 玲子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

生活実践への自己効力感の下位項目「数的処理」「分析的思考」等 と家庭科布ものづくり学習への好意度との間に小中学生で相関がみられ,小学生では一般性自己 効力感の因子項目と同好意度との間にも相関がみられたことから,布ものづくり学習への好意度 が増せば,生活実践への自己効力感や一般性自己効力感の向上につながることが示唆された。ま た中学校の二つの授業を分析することによって,製作過程で思考を深める場面を設定することが,「技能への自信」等の生徒の自己評価を高め,製作活動への好意的意識をもたせることに効果的 であることが明らかになった。
著者
栗本 桂二 磯島 修 直良 有香 穴田 高 小林 芳友 小林 充治 新井 英雄 高柴 正悟 難波 秀樹 横山 雅之 光田 由可 水島 ゆみ 野村 慶雄 村山 洋二 上田 雅俊 寺西 義浩 藤原 一幸 橋爪 彰子 釜谷 晋平 細山 陽子 上羽 建二 大西 和久 白井 健雄 大橋 哲 東 浩介 木岡 慶文 南林 繁良 田中 真弓 北村 卓也 牧草 一人 山岡 昭 浦口 良治 萩原 さつき 福田 光男 小田 茂 林 成忠 竹蓋 弥 米良 豊常 峯岸 大造 梅田 誠 中元 弘 稲富 洋文 ナロンサック ラーシイシン 野口 俊英 石川 烈
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.191-205, 1988-03-28
被引用文献数
5 2

塩酸ミノサイクリン(MINO,日本レダリー,東京)を用いて歯周炎の局所治療法を確立するための研究を行なってきた。本研究は,MINOを2% (力価)に含有する軟膏製剤(LS-007)を臨床的に用い,その有効性,安全性ならびに有用性をもとに用法を検討したものである。4mm以上のポケットを有する辺縁性歯周炎患者45名の119歯を被験歯とし,LS-007とそのプラセボ,および市販のミノマイシン錠(日本レダリー)を用い,微生物学的および臨床的に用法を検討した。その結果,LS-007の局所投与は歯周病治療において,臨床的有効性,安全性および有用性があると結論した。
著者
田中 真介
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、幼児群4〜6歳児計43名、及び障害者群として授産・更正施設で共同生活する成人期の28名を対象として、幼児期の自己認識の深化が中間概念の形成とどのように関連しあって発達するかを調べた。その際、(1)中間概念の形成水準を1)系列円描画課題と2)七つのマル・テストで推定した。(1)系列円の描画:「小さいマルからだんだん大きいマル」を、たくさん及び7つ描かせたあと、最小と最大のマル、次いで「真ん中」はどれか、そして中央の判断理由を問うた。(2)自己認識の水準を自己全身像描画課題(三方向描画)と「真ん中」の判断理由から推定した。三方向描画では「自分の顔と体を、前、後ろ、横から見たところ」を描くよう指示した。また(3)新版K式検査で発達年齢(DA)を推定した。3歳から6歳に、中間項の認識のしかたと自画像の描き方から5つの発達過程が区分できた。横顔描画が確定する発達過程4に到るのは幼児群ではDA5歳後半であったのに対し、障害者群ではDA7歳半ばだった。自己概念の形成不全が個別諸機能の発達を制約していることを示す重要な結果である。両群間で「真ん中」の判断理由が顕著に異なっていた。幼児群は、(1)「真ん中と思ったから」「わかったから」など、自分自身の思考の働きを意識した答え方、及び(2)「真ん中みたいだから」「中ぐらいだから」「ちょっと〜だから」など自らのイメージや見立ての上に対象を重ねた判断の仕方を示し、間を刻む精細な対象把握ができていた。幼児群では5歳後半以後の20名中12名(60%)が上記のいずれかの答えだったのに対し障害者群では14名中3名(21%)のみがこのような答えだった。自分自身の思考活動を対象化することによってそれが学童期以後にどのようにして自己を客観的に見る力につながり、自他そして集団や社会に共通する普遍的な価値を見い出すに到るのか。その解明が今後の課題である。
著者
石田 博幸
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,日・タイの小・中学校の生徒の環境意識調査に続き,環境意識と向社会的行動との関連性へと進んできた。結果は,環境行動と向社会性行動には,弱い正の相関があることが証明された。ただ,環境教育の成果が出ている反面,教育で受けた知識と実際の行動の間に相違が出てきており,知識が行動に直結するようになるには少し時間が要るように思われる。3年間を通して何度かタイ教育省関係者およびタイ人共同研究者を招聘し,環境教育関連討論会を開き討論した。2年目の5月には日本環境教育学会で,7月には,WCCI国際学会で日・タイの児童の向社会性意識と環境意識の関係について発表した。また,メコン川環境破壊状況を調査し,共同研究者と討論し指導した。11月に愛知教育大学で開催された地域教育シンポジウムへタイの環境教育学者を招聘し講演してもらった。同じく11月にラチャパット大学(複数)を訪問し,研究交流について討論した。12月には,チェンライラチャパット大学の大学設立記念式典で招待され記念講演を行った。12月末におきたスマトラ沖地震はタイの児童の環境意識に大きな影響を与えたと推測される。その調査の準備のため3月に訪タイした。最終年度は,当県で開催された愛・地球博が,環境問題解決には重要であると考え,タイ人共同研究者を招聘し,研究してもらった。その成果は,彼らを通じてタイの環境教育に大きく寄与をする。さらに,スマトラ沖の地震・津波の児童・生徒の環境意識への影響の調査をした。結果は,タイの児童・生徒は,その甚大な被害にもかかわらず,宗教と科学に対する信頼を維持していることがわかった。世界中からの救援や科学鑑定が科学への信頼を増したと思われる。宗教心が薄く,なおかつ,科学への信頼が薄れてきている日本の子どもたちと比較し,注目すべき結果であり,今後,学界や社会へ発表して行く予定である。
著者
渡辺 恒夫 小久保 秀之 高澤 健司 河野 貴美子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.106-111, 2008-03-01

自然の修復的効果を、皮膚伝導水準(SCL)と心拍(HR)という心理生理学的指標を用いて評価することを試みた。12名の大学生が2つの実験条件の双方に、心理生理学的計測の被験者として参加した。自然条件では被験者は10分間のストレス課題の後、自然環境AVをパソコン画面上で8分間視聴し、都市条件では同じ手続きで都市環境AVを視聴した。ストレス課題は70-80dBの騒音中でクレペリン検査を受けることであり、自然環境AVは無人の海岸風景の映写、都市環境AVは幹線道路の交通混雑の映写だった。両条件ともAV視聴中にSCLは低下を続け、条件の間に有意差は見られなかった。一方HRは都市環境AVで上昇し、自然環境AVでは低下し、両条件間で有意な差が認められた。SD法によるこれら環境刺激への心理的評価等に基づいて、自然環境刺激はリラックスを、都市環境刺激は退屈をもたらしたと解釈された.
著者
鈴木 孝明
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、MEMS製造システム技術のフレキシブル化・ハイスループット化を目的として、駆動機構を有する複数の機能を集積化したマイクロシステムを単一マスクパターンからアセンブリフリーで作製する方法を開発した。本技術の特徴は、複雑に流路が入り組んだマイクロ流体システムの作製と、さらにその内部に磁気駆動素子を組み込むことをアセンブリフリーでできる点にある。作製方法として、独自の加工技術である単一マスク回転傾斜リソグラフィにより、(1)フォトレジストを塗布して流路構造を作製し、(2)さらに(1)とは逆型のフォトレジストに磁気微粒子を懸濁し、流路内に導入して同じマスクを用いて露光することによって、磁気駆動素子をマイクロ流路内に作製・同時設置する方法を提案した。
著者
川崎 聡大 福島 邦博
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.29-34, 2009

The aim of this study is to reveal how a set of training in Japanese syntax can affect on communication ability of a case of PDD. An eight-year old girl (Second grade year in Japanese School), who was diagnosed to have autism and mild mental retardation, was involved in this study. Baseline developmental status was FIQ63 (VIQ75, PIQ57) with WISC-III and receptive vocabulary was equivalent to 6 years and 1 month old with PVT.Receptive and productive syntax ability was equivalent to first half of 3 years old children (Stage 4-2 by S-S language developmental tests) and dissociation between syntax ability and other aspects of language development was observed. A training program was planned to make her use Japanese syntactic particles (Stage 5-2 by S-S) during Aug. 2006 to Nov 2006. T-QAR was evaluated before and after training to evaluate her communication ability. Three months after the commencement of this training program, she could pass Stage 5-2 and total score of T-QAR improved from 177 (Before training: equivalent to 4 year-old score)to 220 (Aftert raining: equivalent to 5 year-old score). Selected approach in limited language domains may be able to improve the child's total communication ability.今回,軽度知的発達遅滞を伴う自閉性障害児一例に対して3ヶ月間集中的に統語面に特化(可逆事態文の表出)した言語指導を実施した。その結果,可逆事態文の表出だけでなく理解も可能となり,さらに日常生活場面でのコミュニケーション能力の指標である質問―応答関係検査結果も伸びを認めた。
著者
加藤 ゆき恵 高橋 英樹
出版者
北海道大学総合博物館
巻号頁・発行日
2009-03-31

(The Hokkaido University Museum, Material Report ; No.6)
著者
神沼 克伊
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.155-162, 1987-07

日本の1986-1987年の国際共同観測は「マクマードサウンド地域の地球科学的研究」を継続した。神沼克伊(国立極地研究所), 三浦哲(東北大学理学部), 和田秀樹(静岡大学理学部)の3名が1986年11月中旬から1987年1月中旬まで, ニュージーランドのスコット基地に滞在し, 共同観測を実施した。主なテーマは1) CIROS (Cenozoic Investigation in the Western Ross Sea) 2) IMEEMS (International Mount Erebus Eruption Mechanism Study)の二つである。CIROSはロス海氷上での掘削プロジェクトで702mの掘削に成功し, 日本の分担したガス分析を和田が実施した。IMEEMSはエレバス山の噴火機構の研究で, 神沼と三浦が日本の分担課題を実施した。
著者
米沢 健
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.58-69, 1978-01-30

胸骨前食道形成胃管吻合術における縫合不全防止策を見いだすことを目的とし臨床的検討を行った. まず縫合不全防止の面から術前栄養状態の改善および十分な呼吸管理が望まれる. 縫合不全は, 進行癌症例に多く, これらに対して手術侵襲が過大とならぬよう注意が必要である. 形成胃管においては, 長い胃管かならずしも有利とはいい難く, 胃は最小限に利用すべきである. 山岸式胃管では比較的縫合不全は少なく, 場合によっは連続性胃管を山岸式胃管にきり変える配慮が必要である. 吻合法や縫合法によっても発生頻度に多少の差があり, これらに対する配慮も必要である. 術後管理により縫合不全は防止しうる面もあり, 術後管理の重要性が痛感させられた.
著者
佐々木 美貴
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.16, no.16, pp.94-97, 2011-03-30

篠崎ビオトープは東京都江戸川区の江戸川の河川敷にあります。ここは、地域のボランティアグループの活動が元になり計画されました。著者は、環境デザイナー、市民としての8年間、このビオトープの計画に関わってきました。ビオトープ完成までの経緯。また、工事終了後に「絶滅危惧種の植物」が確認されたことも、合わせて報告します。
著者
長戸路 雄厚
出版者
敬愛大学・千葉敬愛短期大学
雑誌
千葉敬愛短期大学紀要 (ISSN:03894584)
巻号頁・発行日
no.28, pp.1-10, 2006-03

地球温暖化に起因する地球環境破壊は、現代社会の懸案である。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の専門家は、このまま温暖化が続くと、21世紀末までに地球環境は大きく損なわれるであろうと警告している。生産部門や民生部門で大量に排出される二酸化炭素は、地球温暖化の最大要因である。本論文では、二酸化炭素排出ゼロの太陽光発電エネルギーを民生部門、特に一般家庭で活用することの重要性と最適性を主張する。
著者
長谷川 誠紀 田中 文啓 岡田 守人 中野 孝司
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.93-96, 2008-04-20
被引用文献数
5 4

背景.平成18年度文部科学省科学技術振興調整費「アスベスト関連疾患への総括的取り組み」の一環として,我が国における悪性胸膜中皮腫に対する集学的治療の現状を調査した.対象と方法.2002年1月〜2006年12月の5年間に悪性胸膜中皮腫に対して胸膜肺全摘術(EPP)を完遂した症例のみを対象とした.アンケートは本プロトコールへの参加表明施設とJCOG参加施設の計69施設に送付し,うち61施設から返答を得た.結果.対象5年間にEPPを完遂した症例は計171例,男性/女性154例/17例,右/左91例/80例,年齢14〜78歳,平均59歳.手術後30日以内の死亡は1例(間質性肺炎),在院死は6例(腫瘍再発4例.MRSA膿胸1例,肺梗塞1例).シスプラチンを含む術前化学療法を行った症例は38例,うち12例ではシスプラチンを含む術前化学療法と術後片側全胸郭照射を完遂した.術後生存期間の中央値は23ヶ月であった.結論.我が国の悪性胸腹中皮腫に対するEPPは症例数の増加と安全性の改善が確認された.しかし,集学的治療のfeasibilityに関しては現時点でなお十分なデータが存在しない.
著者
中尾 武雄
出版者
同志社大学
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.469-496, 2007-03

本稿では、日本企業268社のデータを用いてストックオプションの効果を分析した。被説明変数は企業価値の変化率と企業価値変化をボラティリティに企業価値を乗じたもので割った値である。主要な説明変数はストックオプション規模、ボラティリティ、企業規模である。回帰分析によって推定した結果、ストックオプションを始めて導入した企業では、ストックオプションは企業価値を高める効果を持つことが明らかになった。