著者
池田 真一 鈴木 智也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.477, pp.19-24, 2008-01-31
参考文献数
9

自然界の実システムは,一般に各要素がネットワークを構成しており,互いに相互作用して時間発展している.我々はその様子を時系列データとして人手し,システムの理解や将来変動の予測などに利用することができる.例えば経済システムにおいては,ネットワークの構成要素は各企業であり,企業間で相互作用することで,株価変動などの複雑な振る舞いを見せる.このような複雑な株価変動を予測する場合,大企業や中小企業といったノード毎で異なる特徴に応じて,予測難易度や最適な予測モデルが異なる可能性がある.そこで本研究では,実システムを模擬するために,数理モデルとしてスモールワールドネットワークを生成するWSモデルをベースにカオス結合系を構成し,各ノードが生成した時系列データに対して非線形予測を行った.さらに,次数中心性,媒介中心性,近接中心性といった各ノードの特徴と予測精度の関係を調べ,経済システムなどの複雑システムの予測可能性について議論した.
著者
坂井 昭宏
出版者
北海道大学
雑誌
哲学 (ISSN:02872560)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.右23-右32, 2006-07-18
著者
冨永 佐登美
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

原爆投下より65年、被爆体験者が高齢化し数を減らすなか、さまざまな形でその体験を次世代へ受け継こうという試みがさかんにおこなわれている。しかし、一方では「被爆体験の風化」という表現が、被爆地・長崎においても現実として認識されつつある。つまり、さまざまな試みにもかかわらず伝え/受け継ぎきれていないという実感が継承の現場に生じている。この試みと現実との差異にはどのような問題が内包されているのか、そしてそれを克服するための手がかりはどこにあるのかを、活動における〈語り〉の分析を通して考察することが本研究の目的である。平成22年度は、継承の試みをおこなっているグループへのインタビューを中心に研究を進めた。具体的には、長崎をはじめ、同じく20世紀の戦争の記憶の継承に取り組んでいる沖縄、東京、広島において「戦争の記憶を語る」非体験者の活動を見学し、インタビューをおこなった。長崎においては、しばしば代表的な継承活動として取り上げられる〈平和案内人〉と、〈平和案内人〉のなかから別の組織を立ち上げ、違う方法を模索している〈ピースバトンナガサキ〉の活動に継続的に同行し、活動における語りとインタビューの収集を続けている。結果、〈平和案内人〉が、被爆体験者の体験講話と比較しての「語りの不可能性」を常に意識していること、〈ピースバトンナガサキ〉は、不可能性の認識から出発しつつ、目的を「より伝わる平和案内人活動」に置いていることが明らかになった。一方で、ピースガイドとも呼ばれるように、〈平和案内人〉の活動は、観光産業からは安価で手軽なボランティアガイドとしての役割が期待されていることもわかってきた。この観光産業との親和性の高さは、沖縄や広島においても活動実践者から指摘されている。今後は、観光産業との親和性が「継承」者意識にいかなる影響を与えているかも考察していく予定である。
著者
熊谷 保宏
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.A73-A92, 2000-07-15

二つの記録演劇教育機関の評価?演劇についての高度な学びの諸相と大学アメリカと日本における大学への演劇定着演劇科の形成とその要困学びの現状と諸問題アポリアとしての入口/出口問題演劇学習者とは何者か「理論と実践」という足かせ実践の逆説演劇を教えるということ大学における位置性混雑した交差点脱中心化と再中心化演劇を学ぶということ
著者
神尾 真樹
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

子宮内膜症は生殖年齢の約10%に発生する原因不明の良性疾患である。本研究では、子宮内膜症におけるシグナル伝達(JAK-STAT系、RAS-MAP系)に関して検討した。子宮内膜症、コントロール群各々50例での検討を行った。15症例でJAK-STAT経路の活性化を認めたが、年齢、鎮痛剤の使用、罹患期間、について一定の傾向は見られなかった。術前のGn-RHa投与群において活性が低い傾向が認められた。RAS-MAP経路については明らかな傾向を認めなかった。
著者
BERDUO Francisco HAYATA Takashi KAWASHIMA Yoshiro
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1697-1701, 1990-12-01

日常臨床上, 子宮内膜症を有する不妊症患者に遭遇する機会は多い. われわれの既往妊娠・分娩歴からみた子宮内膜症統計によると, ことに外性子宮内膜症においてその妊孕性は低い(59%). そこで, 子宮内膜症の根絶が不妊婦人に福音をもたらすとの観点から, 子宮内膜症の発生病理の解明を図らんとした. 著者らは以前, 内性子宮内膜症を代表する子宮腺筋症に着目し, その異所性内膜腺管上皮の電顕像を得, 所見を正所性子宮内膜 (増殖期) および高分化型子宮内膜腺癌の電顕所見と比較検討した. その際, 子宮内膜症が類腫瘍性増殖の可能性を有していることが示された. 今回, 外性子宮内膜症の代表として, 不妊症と関連の深い卵巣チョコレート嚢胞内腔面を構成する上皮細胞を電顕的に検討した. その結果, 異所性子宮内膜を有する子宮腺筋症と, 卵巣チョコレート嚢胞の主役を成す腺管ないしは嚢胞内腔上皮は, 電顕的に異なることが示された. このことは, 子宮腺筋症における正所性子宮内膜基底層の連続進展説を併せ考えても, 卵巣チョコレート嚢胞の発生病理は, 子宮腺筋症のそれとは異なることが示された. また, 後者の低い妊孕率からも, 卵巣チョコレート嚢胞を代表とする外性子宮内膜症には, 不妊症臨床上, 格別の配慮が望まれる.
著者
白石 和行
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.95-127, 2007-03-28

第47次南極地域観測隊夏期行動の概要を報告する.第47次隊は総勢60名で構成され,このうち越冬隊は37名,夏隊は23名であった.越冬隊は1名が病気のために帰国し,越冬開始時には36名となった.他に,夏隊に同行者として6名が参加した.観測船しらせは2005年11月14日に晴海を出港し,また,観測隊本隊は11月28日に航空機で出発し,西オーストラリアのフリーマントルで観測船しらせに乗船した.しらせは12月3日に同地を出港し,海洋観測を実施しつつ12月15日に氷縁に到着した.12月17日に昭和基地第1便が飛び,2006年2月12日の最終便までの間に,第47次越冬隊成立に必要な物資約1000tの輸送と越冬隊員の交代を滞りなく完遂した.また,日独共同航空機観測は,飛行時間111.5時間で,昭和基地周辺のほぼ900×400kmの範囲の地磁気,重力,氷厚などの測量を実施でき,良好なデータを得た.沿岸露岩の湖沼域の生態学的調査,氷河地形調査,地震観測,氷・水・土壌・生物等の試料採集,内陸での気象,電波,GPS等の無人観測などの夏期観測調査はほぼ予定通り実施できた.設営系では,昭和基地夏作業として予定された基地建物・施設の新設や改修工事はすべて実施した.特に,昭和基地クリーンアップ4カ年計画の2年目として,主に第46次隊が用意した200tを上回る廃棄物を持ち帰り,また島内一斉清掃によって飛散していた廃棄物の回収に努めた.往復の航路上では,海洋観測を実施し,シドニーに3月21日に到着,観測隊は航空機で3月28日に帰国した.一方,ドームふじ基地支隊は10月30日に成田を出発し,ケープタウンからDROMLANチャーター機により,ノボラザレフスカヤを経由して11月3日に「ARP2」地点で第46次隊と合流した.その後,雪上車でドームふじ基地に11月17日に到着した.ここで,氷床深層掘削の最終年度として,第46次越冬隊と協力して,1月23日までに3028.52mの掘削に成功したのち,航空機により2月9日に帰国した.

1 0 0 0 OA 続膝栗毛

著者
十返舎一九 著
出版者
江島伊兵衛
巻号頁・発行日
vol.初編 金毘羅参詣膝栗毛 上, 1881
著者
力武 常次 Yukutake Takesi Yamazaki Yoshio Sawada Munehisa Sasai Yoichi Hagiwara Yukio Kawada Kaoru Yoshino Toshio Shimomura Takafumi
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.1335-1370, 1967-01

Geomagnetic observations have been continued over the Matsushiro area since the middle of October, 1965. The results of observations during the period from February to April are reported. Five-day means of the total intensity observed at the centre of the seismic area revealed small fluctuations amounting to approximately ±2γ. As a result of magnetic dip surveys repeated with an interval of two months, it has turned out that there are localities where magnetic inclination changed more than 1'. Magnetic dip surveys were extended over the Toyono-Nakano-Susaka area in association with an unusual upheaval of land observed. Changes of the same amount as those in the Matsushiro area are indicated there. No clear relation between the geomagnetic changes and the seismic activities has been obtained.松代における全磁力の測定はその後も続けられ, 2月9日以来B測点では午前1時より2分間隔で6回自動的に測定するような装置に切りかえた.これは夜間の測定が昼間の測定よりよいデータを供するからである.この測定値と鹿野山の同時刻の値との差の5日平均の変動は±2γ程度のものであるが,これと地震活動との直接的な関係は明らかでない.
著者
大島 久雄 勝山 貴之 古屋 靖二 中村 未樹 高森 暁子 道行 千枝
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

『テンペスト』受容におけるテキストと言説の関係性とその役割を受容事例分析により明らかにし、受容におけるインターテキスチュアリティの重要性を検討し、インターテキ・スチュアリティ受容批評理論の構築を目指した。特に植民地主義・労働、記憶・歴史、モンスター・異常出産、所有・支配、階級・衣服、メタシアター、王政復古期性・政治等の諸言説とのインターテキスチュアリティの受容に意味機能を具体的に検討し、原作上演当時から現代の翻案『プロスペロの本』や『蜷川テンペスト』に至るまでの個々の『テンペスト』受容について、その歴史性・地域性を重視した事例研究を行った。研究成果としては、The VIII World Shakespeare Congress(Brisbane,2006)において"The Discourse of Master-Servant Relationships in The Tempest"(大島)、第46回シェイクスピア学会(早稲田大学,2007)において「『テンペスト』における衣服」(高森)等、研究発表を行い、各分担研究は報告書兼論集『「テンペスト」受容研究:テキストと言説とインターテキスチュアリティ』(2008)に論文としてまとめ、国内外関連研究機関・研究者に配布した。各時代・地域でのテキストと言説が織り成す多様なインターテキスチュアリティの中、近年のシェイクスピア国際化の加速により、『テンペスト』は、多岐に分化するシェイクスピア受容の典型であり、受容研究におけるインターテキスチュアリティの重要性は益々高まっている。The 7th Triennial Shakespeare Congress(Rhodes University,2007)での"Location and Intertextuality in Ninagawa Tempest:Zeami/Prospero on a Sado Noh Stage"、シェイクスピア協会主催マクラスキー教授セミナー(同志社大学,2006)での"The Throne of Blood and Kurosawa's Intertextual and Crosscultural Transplantation of Macbeth"等のシェイクスピア受容事例研究を行い、受容研究へのインターテキスチュアリティ批評理論の有効性を検証した。
著者
蜷川 順子 並木 誠士 ノーマ レスピシオ
出版者
関西大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

フィリピン国セブ市にあるサント・ニーニョ像は、ヨーロッパ南北および洋の東西の文化交流の結節点に位置づけられる。本研究はその実体を解明し、キリスト教における聖母に伴われない単独幼児像登場の、近代における意味の探究を目的とした。西欧内の交流は宮廷間の強い結びつきを背景としていた。また、同彫像が改宗に際して果たした役割は、フィリピンを含むアジア全域に分布する神話世界と関係する可能性があることがわかった。
著者
新井 宏朋 中村 洋一 生地 新
出版者
山形大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

従来の成人病検診における眼底検査は働き盛りの脳卒中予知を主たる目的としていたが、高齢化社会においてはこれに加えて脳卒中による寝たきりや動脈硬化によるぼけ老人の予知が重要な課題となる。本研究では、まず最初に山形県F町における70〜75歳の在宅高齢者の眼底所見の有病率を検討した。Keith,Wagener分類O群は男39.3%、女39.8%、I群は男39.3%、女42.0%、IIa群は男18.9%、女12.7%、さらにK、WIIb群に相当する典型的な動脈硬化性網膜症が男2.5%、女5.5%に見られた。同時に実施したBenton視覚記銘検査との関連性を検討した結果、Keith,Wagener分類とBenton検査の正確数の間には統計的に有意の関連性は認められなかった。次に眼底所見を中心に血圧、心電図の循環器検査所見及びBenton検査の正確数、誤謬数等との関連について林の数量化III類を用いて検討した。第1軸は循環器所見の有無と解釈できたが、第2軸については解釈できなかった。また眼底所見はBenton検査の正確数、誤謬数と近接した関係は見られなかった。次いで、Y町で65〜74歳の在宅高齢者を対象に循環器検診5年後の日常生活動作、ぼけに関する症状等19項目の質問調査を実施した。Keith,Wagener分類と日常生活動作との関連では、全体的な傾向としてKeith、Wagener分類O,I群がIIa以上群に比較して良好な比率が高く複数の項目で有意差が認められた。ぼけに関する症状等については、各項目とも有意差は認められなかった。次に、この調査から精神科医のスクリーニングで痴呆の可能性が疑われた者(症例群と略)と対照群に柄沢式及び長谷川式簡易知能評価スケールを実施した。柄沢式では「ぼけあり)が症例群4.8%対照群0.01%であったが、長谷川式では症例群(平均26.3点、標準偏差6.4点)と対照群(28.0点、4.1点)に有意差は認めなかった。また両群の眼底K、WIIa以上出現率にも有意差を認めなかった。
著者
谷津 三雄 山口 秀紀 落合 俊輔 吉井 秀鑄 石橋 肇 渋谷 鉱 馬渡 亮司 坂本 嘉久 吉田 直人 吉村 宅弘 米長 悦也
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

「東西医学融合」の観点から歯、顎、口腔領域における東洋医学療法の基的的並びに臨床的研究を行うことを目的として本研究を企図し、次に述べる項目について検討を加えた。1.基礎的研究(1)脳波から見た鍼灸の効果・針刺激は大脳皮貭の広範囲な部位に作用しB波帯域の減衰と日波およびの波帯域が増大することから、針刺激は心身のリラックスと精神の集中効果が期待される。また、効果時間は比較的早く出現(10〜15分)することも確認できた。(2)針麻酔の効果判定に関する研究:パルス(低周波)通電器の最適刺激量,低周波通電時と笑気吸入鎮静法の鎮痛効果の比較,ソフトレ-ザ-の疼痛閾値へ及ぼす影響ならびにその効果についてサ-モグラフィを用いて観察した。その結果、パルス通電量には「通刺激」量のあること、通電針麻酔と10%笑気吸入との併用は20%笑気吸入鎮静法と同程度の鎮痛効果のあることがわかった。また、ソフトレ-ザ-の照射は断続照射よりも連続照射が効果があり、一側の合谷の照射は反対側の合谷の皮膚温をも上昇させ経絡現象の一端を思わせた。2.臨床的研究(1)咬合異常関連疾患への鍼灸療法の応用(2)全身麻酔後の咽喉頭障害への応用(3)歯科領域への鍼灸および漢方療法の応用について研究した。(1)については貭問紙法による「愁訴」の改善効果と顎関節痛と開口障害の改善が著明であった。(2)において「嗄声」への著効を示した。(3)の項目では、急性開口障帰,特発性三又神経痛、アフタ性口内炎に対する刺絡療法,葛根湯の効果,針麻酔による下顎骨骨折の治療,咽吐反射の抑制などに応用しその効果が確認された。
著者
七田 恵子 矢部 弘子 巻田 ふき
出版者
(財)東京都老人総合研究所
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

本研究の目的は、痴呆性老人のケアのための評価項目を探査することにある。看護婦は、痴呆性老人の身体的異常を早期に、的確に、察知し、対応しなければならないが、熟練した看護婦はあまり意識せずに適切に対処している。そこで、痴呆性老人の健康状態の変化を、看護婦がどのように察知し、どう判断するか、幾つかの方法により分析を試み、ケアにつながる評価項目を見出だそうとした。(1)老人専門病院の病歴から精神症状および身体症状が記載してあるものを探し、どう対処したか拾い出す、(2)臨床場面での看護婦の判断とその根拠について討議した、(3)老人専門病院の入院患者記録から入院時症状と確定診断名との関連を分析した。その結果、痴呆性老人の健康状態が悪い時は、表情、会話、意識状態、活動性、日常生活の変調といった全身状態として表現されることがわかった。ぼんやりしている、会話が少なくなった、日常生活での動きが悪くなったなど、身体症状というより、生活上に変調をきたす現れ方をした。痴呆群では、自覚的訴えができないためか、歩行困難、出血、発熱、喘鳴、黒色便、転倒、呼吸困難といった他覚症状で入院していた。家族は相当重い他覚症状が発現しないと受診しないようである。痴呆患者は、自覚症状の訴えが少なく、他覚症状、全身症状、生活上の変調に注意して観察し、評価しなければならないと結論された。
著者
近藤 ふさえ
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.91-101, 2006-12
被引用文献数
1

生活習慣病の中でも糖尿病患者は入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒などの睡眠障害をきたしやすい状態にあるといわれている。本研究は,糖尿病患者の睡眠状態の特徴を明らかにするために,2型糖尿病患者18名(男性11名,女性7名)で35歳から65歳,年齢50.2±10.2歳を対象に携帯型身体活動測定器(Actigraph)を用いて非活動朗(睡眠期)の行動量を分析した。また,行動量と主観的睡眠感の関連を明らかにするためにOSA睡眠調査票MA版を用いた。さらにHbA_<lc>との関連は,1ヶ月間の主観的睡眠感を反映するPittsburgh睡眠質問票(PSQI)を用いて調査し分析を行った。その結果,2型糖尿病患者と健康成人,介護福祉施設入所高齢者との非活動期(睡眠期)における活動量(mG=0)の比率の比較では,有意な差が認められた(ANOVA, p=0.017 df=25 F=4.912)。2型糖尿病患者の非活動期(睡眠期)の特徴を分類すると,i)睡眠覚醒良好群,ii)非活動期(睡眠期)に行動量多いが主観的睡眠感良好群,iii)非活動期(睡眠期)に活動量が多く主観的睡眠感不良群に分類できた。また,PSQI-Global scoreの得点が高くなるほどHbA_<lc>が高くなる傾向がみられた。2型糖尿病患者の主観的な良い睡眠を阻害する要因は,入眠時と中途における活動量の増加に伴う入眠困難と中途覚醒よる睡眠障害であった。2型糖尿病患者は「眠れない」と自覚する以前から睡眠障害が潜在している可能性が示唆された。
著者
斎藤 哲瑯 藤原 昌樹
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.153-176, 2003
被引用文献数
1

第15期中央教育審議会は, 「21世紀を展望したわが国の教育の在り方について」の答申の中で, 『今後における教育の在り方として, 「ゆとり」の中で子どもたちに生きる力を育んでいくことが基本である』と述べている。 今の子どもたちは, 「ゆとり」のない忙しい生活がストレスとなって, 「夜眠れない」「食欲がない」など身体的な症状を訴える者が増加してきている状況にある。そして, 人間関係の難しさなどもあって, 「いじめ」や「不登校」などの問題行動へとつながっているものと考えられる。 そこで本研究では, 今の子どもたちの生活の様子を探りながら, 「感動」や「感性」などについての調査研究を行い, 今後の子どもたちの健全育成に必要な資料を得ようと考えた。