著者
小林 拓也
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.154-167, 2007

Si l'importance du lien entre Rousseau et la botanique a souvent ete relevee, les recherches dans ce domaine restent encore embryonnaires. En effet, plus de la moitie de ses ecrits consacres a ce sujet attendent d'etre publies et les etudes effectuees jusqu'a ce jour, tant scientifiques que litteraires, sont loin d'etre completes. Les annotations autographes realisees dans les marges de La Botanique mise a la portee de tout le monde de Regnault, longtemps laissees dans l'ombre, nous offrent une image totalement nouvelle de Rousseau botaniste. Elles nous eclairent en fait sur les traites scientifiques auxquels it se referait, et nous font connaitre son jugement sur des specialistes de la discipline tels que Tournefort et Linne. Elles nous rappellent de plus l'excellence de son don d'observation. A la lumiere de ces elements, it apparait que l'interet du philosophe pour les planter reflete avant tout sa passion pour la recherche et la decouverte. C'est la tout le contraire d'une tentative de fuir la realite. Sur le plan technique, it s'avere que 56 rubriques de son Dictionnaire de botanique ont ete directement tirees du lexique contenu dans le livre de Regnault. Comme le montrent les corrections qu'il a apportees a bon nombre de phrases de La Botanique, ainsi que les quelques 1200 symboles qu'il a mis au point, Rousseau porte, meme dans ses activites scientifiques, une attention particuliere a la langue. Il est par consequent necessaire d'analyser les rapports multiples et complexes qu'entretiennent ecriture et botanique chez le Genevois. Ces observations peuvent amener a envisager une nouvelle synthese de la pensee rousseauiste. Les textes monographiques encore inedits, qui font apparaitre des perspectives nouvelles et fecondes, semblent pouvoir etre la cle de voute de cette refonte.
著者
杉山 淳司
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.P_183-P_187, 2006 (Released:2006-08-20)
被引用文献数
2 2
著者
山崎 秀夫 吉川 周作 南 武志 長岡 信治 國分 陽子 井上 淳 藤木 利之 辻本 彰 村上 晶子
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

研究成果の概要:明治維新以降のわが国の産業近代化と環境汚染の歴史的変遷を,古くから造船業などの重工業が盛んで,原爆にも被災した長崎市をフィールドにして検討した.人為的に環境に排出された汚染物質は海洋や湖沼などの底質に蓄積されるので,本研究では水圏底質コアに記録された汚染の歴史トレンドを時系列解析した.わが国の代表的な工業地域である京阪神や首都圏と長崎市の環境汚染の歴史トレンドは大きく異なり,また長崎市では原爆による汚染物質の飛散の影響も残存していることが明らかになった.
著者
吉村 浩太郎 岡崎 睦 長瀬 敬 吉村 浩太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

ヒト頭皮から採取した毛乳頭細胞の遺伝子発現解析を、マイクロアレイおよびRT-PCRにより行った。マイクロアレイにより繊維芽細胞と比較したところ、ケモカインリガンドやインターロイキン、細胞周期関連遺伝子、プロテオグリンカンに有意な発現増強が認められた。またRT-PCRでは既知の毛乳頭細胞マーカー14種の遺伝子発現を検討したところ、繊維芽細胞と比較して2種の遺伝子で有意な発現増強、1種の遺伝子で有意な発現低下を認めた。これらの遺伝子群の発現パターンにより、毛乳頭細胞と繊維芽細胞を識別することが可能になった。毛乳頭細胞に対して21種のリコンビナント蛋白および化合物を与えて培養したところ、このうち数種の物質には増殖促進作用があることが判明した。またこのうち2種の成長促進因子は特に増殖促進作用が強く、毛乳頭細胞増殖培地用添加物質として使用できる可能性が示唆された。FACSを用いてヒト毛包の上皮系細胞の表面抗原解析を行った。表皮角化細胞と毛包内角化細胞を比較したところ、後者のみにCD200陽性細胞とCD34陰性または弱陽性細胞が10%以上含まれており、毛包組織切片に対する免疫染色における染色パターンを鑑みて、この細胞集団に毛幹細胞が多く含まれることがわかった。また、この細胞集団におけるケラチンの発現を見たところ、バルジマーカーとされているケラチン15の陽性率は60%程度であった前年度までにラット足裏皮膚に毛乳頭細胞を移植する方法(サンドイッチ法)を検討し、毛包誘導能を検定するモデルとして有用であることがわかった。毛乳頭細胞の移植法の検討を行った。サンドイッチ法の他、チャンバーを用いた移植法、注射による移植法、皮膚切開に埋入する移植法などを比較検討した。サンドイッチ法は、表皮・毛乳頭間の相互作用が良好に担保され、毛包誘導には優れた方法であることがわかったが、臨床応用は困難であり、その他の移植法を開発していく必要があることがわかった。
著者
毛受 矩子 林田 嘉朗 前川 厚子 佐藤 拓代 中嶋 有加里 小松 洋子
出版者
四天王寺大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

女子大生の健康支援を目的に睡眠障害と自律神経動態の調査を行った。女子大生 471 名についての質問紙調査結果から、起立性調節障害といわれる不定愁訴有は 34.8%で、睡眠障害、精 神衛生について不定愁訴有無群で有意差が有った。一方、女子大生 30 名の臥床から起立時の 血圧等の計測から血圧、血圧調整能力において不定愁訴の有無で有意差は見られなかったが睡 眠障害の有無では有意差があった。以上から睡眠障害に注目した健康支援が求められる事が示 唆された。
著者
玉井 昌宏 竹見 哲也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、近年の都市温暖化と降雨形態の変化傾向の相関の実態を地上気象観測のデータから把握し、実際に降雨形態がどのように変遷してきたかを解明した。その中でいくつかの典型的な事例を抽出し、気象モデルによる数値シミュレーションを実施し、異なった気候状態から計算を開始することで都市域での降雨形態がどのように変化するかの将来予測を行った。調査対象は大阪都市圏とした。本研究は大きく分けて次の3段階に分けて実施した。1)地上気象観測データによる近年の都市温暖化傾向と降雨形態の実態の把握2)高解像度雲モデルを用いた現象,特に過去に甚大な洪水被害をもたらした降雨現象の再現実験3)都市気候変化の降雨現象に及ぼす影響予測のための数値シミュレーション約30年間の地上気象データにより大阪都市圏における夏季の降雨形態の変遷過程の実態を都市温暖化との関連に注目して解析し、その結果に基づき、気象予報モデルにより大阪都市圏における夏季の局地循環の再現数値シミュレーションを行った。都市気候変化の降雨現象に及ぼす影響を検討するため、地上気象データの解析から明らかになったこれまでの気温上昇傾向を加味するとともに、現時点での降水時の特徴的な条件を付加することで仮想的な将来の都市大気環境を作成した。現在状態と将来状態との数値シミュレーションを行い、その差異から都市化が降雨に及ぼす影響を評価した。想定される都市化の度合いの様々なシナリオに基づき感度実験を行った。
著者
郭 桂芬 張 会均 新家 憲 賈 会彬 近江谷 和彦 松田 従三
出版者
専修大学北海道短期大学
雑誌
地域総合科学研究センター報告 (ISSN:18815677)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.63-72, 2007

夏にある程度の雨が降る地帯のアルカリ土壌の新しい改良方法として、心土を焼結することによって土壌を粗粒化して、地下水の毛管上昇を遮断することを考えた。これにより地下水に溶けている塩類が毛管現象によって地表への上昇することが押さえられるし、地表からの水の蒸発を防ぐことができると考えられる。かつ、表土にすでに蓄積されている塩類は、夏の降雨によって下層へ洗い流されると考えられる(leaching)。本報では、土壌焼結の基礎データを得るために、焼結するときの温度である約900℃のアルカリ土壌の熱物性値の1つである比熱を測定した。今後、この値を基にして、実際に土壌を焼結する装置の設計、製作を行う。主な結果として、50〜1300℃の範囲において、温度が増加すると、すべての土壌の比熱は減少するという傾向を示した。50〜400℃の範囲では、すべての土壌の比熱は0.8〜1.1 kJkg^<-1>K^<-1>で一定となり、土壌による差は見られなかった。温度が600℃以上になると、日本の擬似グライ土の比熱は0.5 kJkg^<-1>K^<-1>に一定となった。中国のソロンチャク土壌では表土であるAp層の比熱は少し大きく0.6 kJkg^<-1>K^<-1>に一定となった。心土のBcaおよびC層の比熱はさらに少し大きく0.65〜0.7 kJkg^<-1>K^<-1>に一定となった。中国のソロネッツ土壌はどの層の比熱も0.6〜0.7 kJkg^<-1>K^<-1>に一定となった。ソロンチャク土壌のように土層による明らかな差は無かった。
著者
谷田貝 亜紀代
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

乾燥地域の水資源への温暖化の影響を評価することは、重要な課題となっている。乾燥地域の水資源は近接する(流域の)山岳地域への降水が重要な役割を占める。そのため、対象地域には物理モデルによるダウンスケーリングだけでなく、山岳地域への降水を適切に評価した上で、統計的なダウンスケーリング手法を適用することが、期待される。そこで本研究は、山岳降水を衛星データを利用して評価し、統計的な手法により温暖化影響のダウンスケーリングを行うことを目的としている。対象地域は中国北部とトルコの乾燥地域である。平成17年度は、平成16年度に作成した、山岳の効果(山の上の方で雨が多く降るなど)を考慮した日降水グリッドデータを用いて、ダウンスケーリング手法を開発した。衛星データについては、熱帯降雨観測衛星(TRMM)と、NOAA/CPCで作成されたCMORPHという、マイクロ波による推定降水量と静止気象衛星による雲風ベクトルを組み合わせて算出される降水量データセットを利用した。TRMM/PRデータは雨量計データから作成されたデータセットに対し、強い雨に対して系統的な誤差がみられることがわかった。また、GPCP1DDなど他のいくつかの衛星による降水プロダクトと比較してCMORPHの降水量や、TRMM3B42プロダクト(マイクロ波TMIとSSMIによる)は量的にも経年変動の点でもよい見積もりを示していることがわかった。これらのことから、ECMWFによる1.125度解像度の客観解析データと、TRMM/PRおよびCMORPH降水量により、対象地域についての、水蒸気輸送場・大気循環場と降水分布について比較研究を行った。また気象庁気象研究所の温暖化実験結果と本研究により作成されたデータセットやこれら衛星データを比較することにより、ダウンスケーリング手法を開発した。
著者
羽賀 敏雄 佐渡 君江 中岡 泰子 有内 則子 知野 光伸
出版者
四国大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

大学教育において,伝統技術と関わった体験的な科学教育を行い,地域リーダーを育成する方途を検討した。その具体的な方法として、北方寒冷地の津軽の伝統技術である「こぎん」と南国阿波の伝統技術である藍染や「しじら織」のそれぞれの物性を対比しながら科学的・基礎的に解明し、その結果を踏まえて教材化して大学教育に実践し、知識・理解、及び問題発見・解決能力を高める学習効果を挙げることができた。実践は「染色化学」をはじめとする4つのアパレルに関する授業を統合的に組織することによって行った。藍草の特徴、徳島県における「すくも」生産の盛衰、藍染に関わる徳島県と他地域との現時点での交流等を概観した。また伝統技術と関わった地域リーダーの一般的資質要件を事例から抽出した。失意からの回帰力、共感力、利他性、先見性、創造性、コミュニケーション力、意思決定力、現状認識の正確さ等である。四国大学生活科学部の学生は、適切性や同調、快適を重視した落ち着いた被服行動をとり、天然藍で藍染することにより、現実の生活に向き合い、かつ活発になる傾向がある。広く伝統的工芸品の近代化とイノベーションの具体例を述べた。伝統技術の後継者育成の現状についても言及した。伝統技術を題材とする科学教育を大学で実践することによって、地域リーダーとしての資質要件の主要部分が育成できることを述べた。
著者
鈴木 正人
出版者
岐阜工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16年度には,手法の提案と試算を,平成17年度にはその手法の適用を行なった.時間的集中度については,都市化の進んでいる都市と進んでいない都市との比較という観点から県庁所在地の人口密度の上位10都市(東京特別区および大阪,横浜,など)と下位10都市(佐賀,長野,静岡など)の計20都市を対象とし,各都市における地上気象観測所の1976〜2003年の8月の時間降水量を抽出した.一雨(降水量が観測されてから降水量が0mmになるまで)を全て抜き出し,一雨総雨量,一雨中の時間最大降水量,降雨の継続時間,時間的集中度,のそれぞれについて,経年変化を線形と仮定し,得られた線形トレンドの有意性検定により,経年変化の有無とその程度を調べた.その結果,経年変化が5%または1%有意と検定されたのは,時間最大降水量の増加傾向として東京,横浜,さいたま,千葉,鳥取の5地点,継続時間の増加傾向として大阪,総雨量の増加傾向として福岡,であった.すなわち,人口密度の上位10都市のうち4都市で時間降水量が年々大きくなっていることが示された.しかし,本研究の主眼である雨の降り方を表す時間的集中度については,有意な経年変化は認められなかった.また,空間分布ついては東京および岐阜のアメダス観測点の8月の時間降水量を用いて,降雨が空間的にばらついている程度の経年変化を求めたが,経年変化は減少傾向(空間的に集中傾向)ではあったものの有意とはならなかった.なお,降雨の時空間分布を検証するのに従来より用いられているDAD解析におけるDA関係と,レーダーアメダスを用いた本研究で提案した手法を比較したところ,両者は同様の傾向を示すことが分かった.
著者
中川 鮮 島 通保
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, 1982-09-15

徳島県上嵯峨地すべり地の地下帯水域に形成する地下水塊の挙動について, 1977年に発表した前報に引き続き, 1977年から1978年にかけての新しい資料を加えて検討した。地下水塊の増大現象には本地すべり地の地形的集水域に降る雨の約3分の1の量にあたる分が関与していることが分かった。地表排水の対策により浸透量を減らし, 帯水域への涵養を緩和することが効果的な手法であると考えられた。地下水塊の体積増加を予測する方法として, 地すべり地の観測孔(ボーリング孔)の水位変動の記録を使用した。前報と同じく7日間雨量による水位上昇値を用いている。地すべり防止対策で実施している地下水排水孔の観測結果より, 排水量が20/min以上の時の減水半減期は約2週間である。半減期が2週間位の挙動の激しい地下水を対象として防止対策を立案することが必要であると考えられた。
著者
宮崎 林太郎 塚原 裕常 西村 純 前田 直人 森 辰則 小林 寛之 石川 雄介 田中 裕也 翁 松齢
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.376-386, 2011 (Released:2011-02-08)
参考文献数
8

In order to achieve faceted search in net auction system, several researchers have dealt with the automated extraction of attributes and their values from descriptions of exhibits. In this paper, we propose a two-staged method to improve the performance of the extraction. The proposed method is based on the following two assumptions. 1) Identifying whether or not each sentence includes the target information is easier than extracting the target information from raw plain text. 2) Extracting the target information from the sentences selected in the first stage is easier than extracting the target information from the entire raw plain text. In the first stage, the method selects each sentence in a description that is judged to have attributes and/or values. In this stage, each sentence is represented a bag-of-words-styled feature vector, and is labeled as selected or not by a classifier derived by SVM. In the second stage, the extraction of attributes and values are performed on the cleaned text that does not contain parts of description irrelevant to exhibits, like descriptions for the postage, other exhibits, and so on. In the second stage, we adopt a sequential labeling method similar to named entity recognizers. The experimental result shows that the proposed method improves both the precision and the recall in the attribute-value extraction than only using second-stage extraction method. This fact supports our assumptions.
著者
梅田 享英 萩原 茂 水落 憲和 磯谷 順一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.653-666, 2008 (Released:2008-12-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1 1

インターネットの世界だけでなく,科学技術の世界でも情報量(学術論文)の急激な増加が問題となっている。そのような論文大量生産時代には,大量の論文の中から特定の論文をピンポイントで抽出したり,検索したりする技術が重要になってくる。本稿では,ソーシャルブックマーク技術を応用して,物理学・工学領域の中の「半導体の結晶欠陥」に関する重要な学術論文をピンポイントで検索するデータベースシステムDefect dat@baseについて紹介する。また,このデータベースに該当する重要な論文を専門家と同じ精度で学術雑誌から自動的に抽出するために,人間(専門家)とコンピュータの抽出アルゴリズムとの間で,約16,000件の学術論文に対する大規模かつ詳細な抽出比較実験を行い,さらに一般文書との違いについても比較検討した。その研究結果について詳しく述べる。