著者
坂野 昇平 平島 崇男 鳥海 光弘 鈴木 尭士 大貫 仁 原 郁夫
出版者
京都大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

昭和61年度は, 各自の野外調査と討論会を開いた. 討論会は11月22・23の両日, 京都府立セミナーハウスにて開催した. 参加者は総研メンバー・院生併せて38名に及び, 三波川帯に関する巾広い分野からの話題提供が行われた. 名発表に対して活発な議論が展開され, 大変レベルの高い討論会であった. 原岩年代論・変成相系列・変成年代については大方の意見の一致を見たが, 構造論と熱構造については意見の一致が得られなかった. 特に注目を集めた報告は, 板谷によるK-Ar年代測定であった. 彼は四国中央部汗見川で約70個の年代測定を行ない, 変成度や熱構造との関連を報告した. この研究により, 三波川帯は変成年代測定でも世界的レベルに達した. これ以外では, 横山による, 四国の第三条久万属群からの, 現在露出している三波川変成岩と同じか, それよりも高変成度の岩石由来の礫岩の発見, 高須・上阪による, 四国中央部五良津角内岩体からの異なる熱史を持ったエクロジャイトの発見も注目された. 討論会の発表内容は総研ニュースレターとして印刷し関係者に配布した.昭和62年度は討論会を開くにはやや予算が不足していたので, メンバー各自が野外調査を行うとともに, 自費研修として, 京都・舞鶴・徳島で開かれるオフィオライト野外討論会(昭和63年3月6-15日)に参加することとした. 総研報告書は, 昨年度の討論会の内容をもとに編集中である. また, 三波川変成帯の岩石学を中心とし, 世界各地の高圧変成帯の解説を加えた特集『高圧変成帯の岩石学』を月刊『地球』で発刊することにし, 現在原稿の編集中である. さらに, 三波川帯の原岩論・熱構造・時代論をJournal Metamorphic Geologyの特集号として出版する計画をたて, 編集部の内諾を得ている.
著者
金光 桂二 中島 敏夫 肘井 直樹
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、養菌性キクイムシとその共生菌、および穿入樹木の3者間の相互関係の解析を通じて、昆虫と菌との共生の機構を解明することを主たる目的として行われたものである。同一地域(愛知県北東部)に生息する2属4種の養菌性キクイムシ(ミカドキクイムシ(Scolytoplatupus mikado)、サクキクイムシ(Xylosandrus crasーsiusculus)、クスノオオキクイムシ(X.mutilatus)、ハネミジカキクイムシ(X.brevis)の生態を調査し、さらに坑道内および虫体上の胞子貯蔵器官(mycangia)内の菌相を分離試験により明らかにした。また、キクイムシの生育に伴う菌相の変遷とそれらの形態上の変化を明らかにするため、走査型電子顕微鏡(SEM)による直接観察も併せて行なった。本研究で新たに得られたおもな知見は、以上の通りである。1.養菌性キクイムシの材内生存率、穿入材サイズと坑道内産卵数との間にはそれぞれ正の相関関係が成立し、繁殖に好適な衰弱木や枯死木が量的に増加することによって、個体数を急激に上昇させる可能性を持つ。2.養菌性キクイムシの主要栄養源となる共生菌(PAF)は、種特異的なAmbrosiella属の菌であり、穿入樹種ごとに異なった酵母類は、副次的共生菌(AAF)と考えられた。3.養菌性キクイムシがmycangiaに共生菌を取り込む時期は、羽化直後の未成熟成虫期と考えられる。4.本結果で明らかにされた潜在的な繁殖力の大きさと、木質そのものに依存しない生存様式から判断して、4種の養菌性キクイムシとアンブロシア菌との間にみられた繁殖サイクルは、キクイムシ側にとってのより栄養価の高い食物資源の安定的供給と、菌側にとっての選択的な胞子の保護、確実な分散による生息域の拡大という相利共的関係を裏付けるものである。
著者
鈴木 政弘
出版者
新潟大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は,昨年度に引き続いた経年的な研究であるので,調査対象は昨年度と同じ対象で本学歯学部2年生40名とした。アンケートの結果では,19名(約48%)が関節雑音を自覚していた.聴診による客観的診査でも19名で一致していた.保有者の数は昨年と同じであったが,新たに保有者となったものが1名,消失した者が1名いた.関節雑音の性状については,昨年は分類できなかった微妙な性質の雑音に関してもドップラー聴診装置により記録することが可能となった。結果は,reciprocal clickが2名,eminence clickが12名,crepitusが2名,single clickが3名であった.昨年からの変化は,eminence clickからreciprocal clickに変化した者が1名,single clickが新たに発生した者,消失した者がそれぞれ1名ずついた.single clickは,reciprocal clickに移行することも消失することもあることがわかり,初期症状として重要であると考えられた.顎関節部の疼痛に関しては,single clickからreciprocal clickに変化した者1名に認めた.開口障害については,crepitusの2名に認めた.ただし,顕著な開口障害ではなかった.非接触型下顎任意点運動測定装置による下顎運動測定の結果は,臨床症状の変化のある者で下顎運動の変化が大きく,症状の変化のない者は下顎運動の変化も少なかった.single clickの顆頭運動はクリックに対応して小さい軌跡の変化が認められた.single clickからreciprocal clickに変化した者と消失した者との昨年の顆頭運動の違いは,閉口末期の顆頭の回転と移動との関係が前者でやや移動優位の程度が大きかった.single clickが消失した者の今年の顆頭運動は閉口末期の顆頭の移動が正常者の平均と比較してやや大きかった.eminence clickの顆頭運動は左右の協調性の悪いことが特徴であったが1年間の変化は小さかった.crepitusの顆頭運動も1年間の変化は小さかった.来年も経年的変化を分析し,特にsingle clickに着目して検討を行なう予定である.
著者
野村 亨 WOLLNIK H. MEUSER S. ALLARDYCE B. SUNDEL S. 稲村 卓 RAVN H. 中原 弘道 松木 征史 HANSEN G. D'AURIA J.M. 永井 泰樹 篠塚 勉 藤岡 学 和田 道治 池田 伸夫 久保野 茂 川上 宏金 福田 共和 柴田 徳思 片山 一郎 NITSCHKE J.M BARNES C.A. KLUGE W.K. BUCHMANN L. BARMES C.A. MEUSEV S. D´AURIA J.M. SUNDELL C.
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

本研究の目的は,原子核反応で生成するさまざまな短寿命の不安定核種を,その場で分離・選別し,さらに加速して二次ビ-ムとして実験に供する技術の開発とそれによる先駆的研究の実施であった。上記の実験技術は,現在世界的に注目されている先端的技術で,原子核物理学と関連基礎科学分野に全く新しい研究手法を導入するものと期待されている。本研究では,以下の研究課題を設定し,東大核研を軸にして,欧米の主な関係大学・研究所と共同開発・研究を実施した。その成果は,国際会議等に発表するとともに,論文として雑誌に報告されている。A.大効率・高分解能オンライン同位体分離器(ISOL)の開発・・・不安定核のその場分離・選別(ア)大効率ISOLイオン源の開発CERN(スイス)とTRIUMF(カナダ)等と共同開発を実施。表面電離型,FEBIAD型,ECR型イオン源を試作し,さまざまな不安定核原子のイオン化効率を測定。その結果を踏まえてイオン源の改良を行った。アルカリ金属元素については40%以上の大効率イオン化に成功した。また,ビ-ムバンチングについても成功した。(イ)超高質量分解能ISOLの光学計算M/ΔM【greater than or similar】20,000のISOLイオン光学系の設計を,東大核研・東北大・ギ-セン大学(独)の共同研究として実施。機械精度や放射線ハンドリングの観点から,そのフィ-ジビリティを検討。その成果は,東大核研の不安定核ビ-ムファシB.不安定核ビ-ムの加速技術の開発(ア)世界の現状の調査・検討不安定核ビ-ムの加速は,唯一例としてベルギ-の新ル-バン大学でサイクロトロンによって試験的に実施されている。そこでの現状を調査の上,CERN(スイス),GANIL(仏),TRIUMF(カナダ)等の加速計画を吟味し,種々の加速器の長所・短所を明らかにした。この結果は次の(イ)に反映されている。(イ)分割同軸型RFQリニアックの開発電荷質量比の極めて小さい,入射エネルギ-の非常に低い重イオンリニアックの設計・開発を東大核研で行った。そのさい,GSI(独)とTRIUMF(カナダ)の研究者に詳細な検討・批判をあおいだ。試作した分割同軸型RFQリニアックは順調に稼動し,世界的な注目を集めている。C.不安定核ビ-ムによる核物理・天体核物理学の研究(ア)レ-ザ-による不安定核の精密核分光GaAs,AlGaInPなどの固体結晶中に, ^<75>Br, ^<114m>In等の不安定核を打ちこみ,レ-ザ-による光ポンピングにより,娘核( ^<75>Seや ^<114>In)のスピン偏極を実現した。固体中の不安定核のスピン偏極は世界的に稀な成功例である。さらに,RADOP法により,娘核の核磁気能率を精密に測定した。これは,CERN(スイス)との共同研究である。(イ)不安定核の天体核反応率の測定東大核研・理研・GANIL(仏)との共同研究として宇宙における重元素合成機構において,不安定核の天体熱核反応に役割の研究を実施。 ^<13>Nの熱核反応率の測定に成功した。上述の研究成果の多くは,平成3年度に開催された国際会議(原子核・原子核衝突に関する第4回会議,於金沢;第2回放射性核ビ-ム国際会議,於新ル-バン大学[ベルギ-];第12回EMIS会議,於仙台等)の招待講演として発表されている。また,国際誌等に論文として報告した。本研究成果は国際的な反響をよび,東大核研の研究プロジェクトにその結果が活用されたばかりでなく,CERN(スイス),TRIUMF(カナダ),LANL(米)等の研究所から共同研究が期待されている。
著者
長田 敏行 渡辺 昭 岡田 吉美 中村 研三 三上 哲夫 内宮 博文 岩淵 雅樹
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

体勢上レンガ積み構造に例えられる植物体に発達された内・外的刺激に独特の応答反応を示す現象の分子機構の解明を目的として立案された本研究組織において、研究期間終了にあたって次のような成果が得られた。まず、植物ホルモンのうち作用が最も広範かつ劇的ゆえ重要とされるオーキシンについて発現制御をする遺伝子を探索して得られた遺伝子は、グルタチオンS-トランスフェラーゼをその翻訳産物と同定したが、これはオーキシン制御の遺伝子で機能の同定された最初であった。また、やはりオーキシン制御の遺伝子で細胞増殖に関っていると推定されるGタンパク質のβ-サブユニット様の遺伝子も同定したが、これは植物で初めてのGタンパク質関連遺伝子であり、タンパク質Cキナーゼを介する新しい信号伝達経路の展開を予測させたが、同様な展開は蔗糖により誘導されるβ-アミラーゼでも、Ca依存タンパク質キナーゼの介在を予測させ、斯界に本邦発の情報として貢献できたといえる。また、植物ホルモンが形態形成に果たす役割についても遺伝子の同定がなされた。一方、植物への病原菌の感染に伴う応答機構については、エリシターに対応する受容体の同定、中間で作用するホスホイノチド代謝経路の推定もなされ、病原菌抵抗性植物の再生も試みられた。さらに、植物ウイルスであるタバコモザイクウイルスの感染に関しては、ウイルスの複製酵素領域が抵抗性を支配していること、またウイルスの細胞間移行に関する30kDaタンパク質のリン酸化が抵抗性に関与していることも示された。なお、本研究グループで広く用いられたタバコ培養細胞株BY-2は、高度な同調化が可能ということで世界18ヶ国で使われるにようなったが、その流布にあたっていは本研究グループが大いに貢献してた。
著者
百瀬 今朝雄 高島 正人 小山田 和夫 北村 行遠 坂詰 秀一 中尾 尭
出版者
立正大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1990

本年度は、研究成果の総まとめを目標に、実地調査を主体とする活動を展開した。その作業は次のとおりである。1)妙顕寺古文書の分類・整理についての基礎方針を確立すべく、京都周辺諸寺の宝物帳を検討することにより、これを定立した。2)上の基本方針に基いて、妙顕寺文書の分類・整理する作業を入念に行い、「妙顕寺文書」の体系化を仕上げた。3)文化庁の助力を得て、「妙顕寺文書」の全体を再確認するとともに、目録を作成して、国指定文化財の審議資料に提出した。4)妙顕寺文書の保存方針を立て、和紙製の封筒や包紙を用いて、これを厳重に包装することにより、古文書の保存テストを行い、好成果を得た。5)金石文の調査と研究を、本圀寺・妙顕寺・妙覚寺・頂妙寺等の墓地を対象として行い、中世の墓塔・碑などを数多く発見し、形態分類・銘文の分類・時代の変遷等の基本資料を得た。6)京都諸寺院の動向について、公家の日記等の記録における記事を集成し、これを古文書と対照しながら、京都の社会情況の中で再評価を試みた。7)典籍については、法華経典籍について検討を加え、『法華経験記』を中心として、その体系化に努め、また11世紀から13世紀における比叡山延暦寺においての僧伝編纂についても考察を加えた。以上のような作業を通して、京都におけるおおよその法華系文書・典籍等についての見通しをつけた。
著者
中西 恒夫
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

外部ソフトウェア部品は,より多くのアプリケーションに適用できるように再利用性を追求しており,その代償として個別のアプリケーションでは不要なパラメータ検査等の計算時間やコード量における余剰のオーバーヘッドを孕んでいる.本研究では,外部ソフトウェア部品の汎用性ゆえのオーバーヘッドを削減し,対象環境にあわせてアプリケーションと外部ソフトウェア部品を一体的に適応化/最適化する研究を行った.平成17年度は,ITRON, Linux等の特定のオペレーティングシステムを対象に,オペレーティングシステムとアプリケーションの一体的特化を検討する予定であったが,ITRON等のオペレーティングシステムのコンポーネント化が進められていることを鑑み,組込み向けコンポーネントを対象としたアプリケーション特化を検討することとした.Philips社で開発された組込み向けコンポーネントであるKoalaは,そのコンパイラにおいて積極的に静的評価を行い,ある程度のプログラム特化をすでに実現している.そこで,本研究ではKoalaを補強・拡張するとともに,さらに前年度に使用したC言語用プログラム特化器C-Mix/IIを,Koalaコンパイラの出力するC言語コードに適用することで,組込み機器向けソフトウェアの特化を図るアプローチをとることとした.Koalaでは,例外処理機構が整備されていないため,本研究ではKoalaの拡張として例外処理モデルを定め,当該モデルに即した例外処理コードの生成法の考案と性能評価を今年度行った.当該例外処理コード生成を対象としたプログラム特化については,今年度中に成果を出すことはできなかった.
著者
小松 理佐子
出版者
中部学院大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本年度は、岐阜県内において介護保険事業者として介護保険サービスを提供している農業協同組合(以下、農協とする)を対象として、介護保険事業開始1年半を経過した時点での事業の実態に関するヒアリングを実施した。さらに、農協のヘルパー研修の修了者と現在農協に雇用されているヘルパーに対する意識調査を行った。それを通して明らかになったのは以下の点である。(1)介護保険事業の運営の実態…介護保険事業に参入した農協のなかでも、当初の見込み通りに事業が展開されているところと、見込みどおりではないところとがみられた。両者を比較してみると、事業が順調に展開されているところでは、住民の二ーズを把握するためのアンケート調査を実施するなど、地域のニーズをもとにして事業の内容を検討し運営がなされていた。介護保険事業を展開する際に、行政による需要見込みによってサービスを決定するのではなく、住民のニーズから出発するという運営が鍵であるといえる。(2)マンパワーの育成と確保…農協はこれまで農協の事業を担うマンパワーの養成を目的として、ヘルパーの養成研修を実施してきた。それによって多くの3級又は2級のヘルパー資格を所持している会員が存在している。それにもかかわらず、介護保険事業を担うヘルパーが不足したりみつけるのが困難であったりしている。資格を取得した人びとの多くは、会員となっている農協の事業だからとか、介護の知識や技術を家族のために活用したいという動機が多く、仕事としてヘルパーを考えている人が少ないのが実態である。(3)生活の総合的支援…介護保険の給付対象となるサービス以外のサービス(例えば、大掃除、倉庫の整理など)に対して、農協で組織している助け合いの会が対応し、ヘルパーと助け合いの会が連携を取ることによって、総合的な支援を展開しようと取り組まれている。これによって今後総合的な年活支援が可能になると考えられる。
著者
青山 幹雄 西岡 健自 岸 知二 上原 三八 松岡 聡 中所 武司 深澤 良彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.84, pp.89-96, 1995-09-08

1995年6月1日(木)?2日(金)に情報処理学会ソフトウェア工学研究会の主催で,慶応義塾大学三田校舎新館でオブジェクト指向'95シンポジウム(O'9)が開催され,326名の参加者があった.「オブジェクト指向によるシステム開発の理論実践」をテーマに,基調講演,チュートリアル,一般講演,パネル討論と内容の充実したシンポジウムであった.本稿では,同シンポジウムのもようを,初日の事例セション、2日目のパネル討論を中心に報告する.なお,本シンポジウムは来年も同時期に開催の予定である.The Object-Oriented '95 Symposium was held on June 1 - 2, 1995 at Mita Campus of Keio University in Tokyo. Under the theme of "Theory and Practice of Object-Oriented Systems Development", opening speeches, tutorials, general sessions and panel session have covered a wide spectrum of development technologies based on object-orientation. This report highlightens the major topics of the symposium as well as two special sessions; one session presented the experience of object-oriented systems development and another was a panel on the theory and practice of object-oriented development technology.
著者
池田 友美
出版者
兵庫大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

在宅で生活する重症心身障害児(者)の睡眠の問題とその介護者の介護負担感を明らかにした。障害児の睡眠の問題は高率に認め、特に入眠の問題、睡眠の維持の問題、睡眠に関連する運動の問題が多いことがわかった。また、睡眠の問題をもつ児の介護者の介護負担度が高く、睡眠の質が悪いことから、重症心身障害児(者)の睡眠の問題を改善することが課題であることが明らかになった。
著者
遠藤 公嗣
出版者
明治大学経営学研究所
雑誌
経営論集 (ISSN:0387298X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.97-109, 2009-03
著者
西中川 駿 松元 光春 上村 俊雄
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

わが国の牛、馬の起源、系統や渡来の時期などを明らかにする目的で全国の遺跡から出土する牛、馬に関する遺物を調査し、さらに出土骨を同定する基礎資料を得るために、在来種や現代種の骨を形態計測学的に検索し、出土骨との比較を行い、以下の結果を得た。1.牛、馬の骨や歯の出土した遺跡は、全国で牛177、馬379、合計556カ所あり、時期的には古墳から中世が多く、また、地域別では、東京、神奈川、福岡、大阪、および千葉などに多かった。2.在来牛である見島牛(雄2、雌2)、口之島牛(雄3、雌5)および現代和牛の黒毛和種(雄10、雌20)の頭蓋、四肢骨をノギスや画像解析装置を用いて計測した。実測値、主成分分析から在来牛は黒毛和種から区分された。3.在来馬であるトカラ馬(雄7、雌8)、御崎馬(雄9、雌13)、木曽馬(雄1、雌10)および現代馬のサラブレッド(雄5、雌5)の頭蓋、四肢骨を計測し、実測値、主成分分析からトカラ馬が最も小型であることがわかった。なお、牛、馬共に骨の幅、径から骨長を、骨長から体高の推定式を作成した。4.藤原京、平安京、カキワラ貝塚など24カ所の出土骨を調査したが、牛の骨は、在来牛とほぼ同じ大きさであり、また、馬の骨は、小型から中型馬の大きさで、特に御崎馬と同じ中型馬のものが多かった。5.古墳時代中期になると、わが国でも馬具が出土しはじめ、また、杏葉や馬鐸飾った馬の埴輪もみられ、埴輪馬は関東に多く、西日本では少なかった。祭祀に用いたと考えられる土馬は、奈良、平安時代に最も多く、ほぼ全国に分布しているが、特に平城京、平安京など古都に多くみられた。6.以上の調査結果から、わが国の牛、馬の渡来時期は、弥生から古墳時代と考えられるが、今後さらに全国各地の出土遺物を詳細に調査し、牛、馬のわが国へのルートを明らかにしたい。
著者
加茂 具樹
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、中華人民共和国の「議会」に相当する人民代表大会と、その構成員である人民代表大会代表の政治的機能を明らかにした。これまでの現代中国政治研究は、人民代表大会の活動、とくに人民代表大会代表の活動について、ほとんど関心を払ってこなかった。本研究は、そうした学問的な空白を埋めることができた。また、地方の人民代表大会代表に対する調査をつうじて、これまで政治的機能の実態が明らかではなかった人民代表大会代表が、選出された選挙区への利益誘導を目的として活動する実態を描き出すことに成功した。本研究をつうじて現代中国政治研究は、「議会」政治研究という新しい研究分野を見出すことに成功したかもしれない。
著者
Chukova Stefanka 早川 有
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.390-396, 2007-07-01

本稿では,統計的推測におけるベイズ的方法と頻度論的方法について比較する.両方法の背景となる根本的原理の相違についてまとめ,それがどのように点推定,区間推定,仮説検定に反映されているかについて述べる.信頼性の観点から,両方法の差異がもたらす統計的推測の結果に焦点をあてる.最後に,ベイズ的アプローチと頻度論的アプローチの相違点をどう克服するかについての可能性についてコメントをする.
著者
佐藤 夏雄
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.424-458, 1999-11

第34次南極地域観測隊越冬隊は, 越冬隊長佐藤夏雄以下40名で構成され, 1993年2月1日から1994年1月31日までのあいだ, 昭和基地の運営・維持管理を行うとともに, 計画に基づき昭和基地, 沿岸, 内陸で観測および設営活動を行った。越冬期間の主な研究観測計画は, 2年越しの超伝導重力計の設置観測, ドームF(現在ドームふじ観測拠点)までの内陸旅行等であった。超伝導重力計に関しては, 3月に装置が立ち上がり連続長期観測データが得られた。内陸旅行も, 冬開けには中継拠点までの旅行と夏のドームFまでの本旅行も予定どおりに実施できた。その他の宙空系, 地学系, 気水圏系, 生物系の観測も順調に実施できた。定常観測も順調に経過し, 気象部門の観測では, オゾンホールの発達を今回も捕らえる事ができた。設営関係も順調に経過し, 基地の維持・運営及び観測関係のサポートに大きく貢献した。生活面では, 管理棟内の食堂, バーや医務室などの内部設備が完成し, 使用を開始したため, この棟が生活の中心の場となった。なお, 年間の気候は気温が低く, かつブリザードに度々襲来され, かなり厳しい気象条件下での越冬であった。