著者
宮崎 英昭 和田 節子 一本 潔
出版者
国立天文台
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

太陽内部の三次元構造とダイナミクスを探るために、太陽表面に見られる大規模な振動、速度場、磁場等を高い精度で測定し、太陽内部構造を研究しようとする目的で、我々は、新しい光学フィルター(磁気光学フィルター・MOF・Magneto Optical Filter)の開発を1986年に着手した。磁気光学フィルターは、極めて狭い透過巾、大きな透過率、波長の絶対精度が保障されているという、天体の速度場、磁場測定用として極めて優れた性能を持つフィルターであるが、その構造からくる不安定さのため、他国の研究開発に於ても、未だ完全なものは作られていなかった。このフィルターは、強い磁場中に化学的活性度の高い高温のナトリウム蒸気を長時間安定に保持し、磁気光学効果(逆ゼーマン効果とファラデー効果)を利用して、極めて狭帯域の透過帯を実現するもので、その製作は困難なものであった。MOFは、イタリアのCaccianiによって試作されたコールドセル型が存在するが、この方式は、フィルターセルの入出射窓の温度が、ほぼ室温に冷えているため、ナトリウム溜めを加熱して発生したナトリウム蒸気の一部が、露点現象でセルの内面に付着、反応して入出射窓が曇ってしまうため、長時間の使用に耐えない。我々は、半恒久的に使用できる高温ガス還流型のフィルターの開発を数年に亘り手懸けてきたが開発課程で見出だされた問題点を一つ一つ解決した結果、観測に応用できる安定なフィルターの製作に成功した。我々の開発したフィルターは、セル全体を一定の高温(200℃前後)に温度制御したホットセル型で、内面が曇ること無く、また、ナトリウムとの反応性の低い材料の開発等により、長時間に亙り使用可能なフィルターを実現した。ここに、その開発過程および成果について報告する。太陽表面の速度場データの取得が始まったばかりなので、データ解析の結果に関しては、今後、別の形で報告する事とする。
著者
岡本 健
巻号頁・発行日
2010-12-03

石島会. 2010年12月3日. 法政大学
著者
若松 昭子
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.325-338, 2006-03-27

One of the influences of printing, invented in the middle of the 15th century, is the modernization of the book. In the history of printing, the most significant change was the appearance of the title-page which made clear who was responsible for writing the book and brought about the right of authorship. The appearance of the title-page and its process development in the latter half of the 15th century are studied through examination of the incunabula of the Newberry Library.
著者
Akihiro Yamaguchi Takaaki Seo Keisuke Yoshikawa
出版者
The Japan Society for Industrial and Applied Mathematics
雑誌
JSIAM Letters (ISSN:18830609)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.123-126, 2010 (Released:2010-12-10)
参考文献数
6
被引用文献数
5 10

In this paper, the pass rate of the NIST SP800-22 statistical test suite for the ideally true random sequences is analyzed by the simulation of statistical tests, and derived by the theoretical analysis under the assumption that there are no correlation among tests. As examples of chaos based system, Vector Stream Cipher (VSC128S) and the encryption system using Arnold's cat map are tested. The test results are compared with the theoretical one for the true random sequences and validity of presented analysis is discussed.
著者
阿部 豊 阿部 彩子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1.南北一次元エネルギーバランスモデル(EBM)を用いた検討:拡散近似の南北一次元エネルギーバランスモデルを構築し、離心率と自転軸傾斜の影響を吟味した(1)気候レジームは年平均日射、最大日射、最小日射に複雑に依存まる。(2)離心率の増大で年平均日射が大きくなるため概して温暖化する。(3)一般に離心率の増大によって気候の多重状態は解消する。(4)近日点での一時的な暴走状態の発生が、平均的な気候状態や生物生存可能性に大きな影響を与える。(5)自転軸傾斜角、離心率、軌道長半径は一定のままでも、歳差運動(春分点と近日点の位置関係の変化)によって気候モードが変化する惑星が存在する。(6)年間の温度変化幅は傾斜角の大小と歳差運動によって大きく変わる2.大気大循環モデル(GCM)を用いた検討:地球大気用に気候システム研究センターと国立環境科学研究所で共同開発してきたCCSR/NIES AGCM 5.4gを使用して、理想的な惑星(現在の地球大気、地球サイズ)のモデルを作り、離心率を変化させる実験をすすめた。(1)定性的にはEBMを用いた結果と一致するが、やや寒冷化する傾向がある。(2)地面状態の違いによって、離心率が増大したときに暖かくなる場合と寒くなる場合がある。(3)降水分布の年変化は自転軸傾斜による直立・傾斜レジームと離心率による溜め込み・放出サイクルの合成されたものとして理解できる。3.生存可能性について:(1)熱容量が大きい場合、年平均日射が最も重要である。(2)歳差運動まで考慮すると、生存可能な緯度帯を持つ惑星の軌道は自転軸が少しでも傾くと離心率が小さい範囲に制限される
著者
松本 良 荻原 成騎 徳山 英一 芦 寿一郎 町山 栄章 沼波 秀樹 小池 義夫 大出 茂
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、海洋のガスハイドレートが地球環境へどのような影響を与えうるか、また現に与えつつあるかを、地質学、地球物理学、海洋生物学など異なるアプローチで総合的に解明することである。3年間の調査を通じて、以下を明らかにした。1. 日本海、直江津沖では「海鷹丸」による調査航海を3回、海洋機構の「なつしま」で2回、「かいよう」で1回の調査を行なった。2. 日本海の調査海域で強いメタンの湧出域を確認した。メタンはプルームとして海面近くまで立ち上がり、表層海水にメタンを供給していることが分かった。メタンプルームが立ち上がる日本海の底層水は温度が非常に低く、ガスハイドレートの安定領域に含まれる。従って、メタンバブルの表層にはガスハイドレートが形成されると予想され,この事が高さ600mものメタンプルームの発達要因である。3. 潜航艇による調査で、海底にガスハイドレートが露出していることを確認した。これは本邦周辺では始めての発見である。このことは、海底下からのメタンフラックスが高いことを示す。4. 水温が低いため海底の生物相は単純で、分布密度低は低いが、メタンプルーム付近ではバクテリアのコロニー、ハナシガイなどの化学合成生物、さらに食物連鎖の頂上にベニズワイガニが存在している。5.メタンプルームが発達する海脚上には直径約500mの凹地(ポックマーク)が発達する。当初、この凹地がメタン湧出源と予想したが、実際は、ポックマークは非活動的であり、堆積物で埋められている。この事は、過去に今よりも激しいメタン湧出があったことを示唆する。6. もう一つの調査海域、下北半島東方では、2年目に海洋機構の「淡青丸」による調査を行なった。ここでは、メタン湧出を確認することはできなかったが、海底下に強いBSR反射面が発達することが分かっており、ガスハイドレートが発達することは明らかである。
著者
赤尾 光昭 今中 常雄
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

申請者らは漢方方剤が経口服用されることに着目し、著明な配糖体成分の経口投与後のラット体内動態、薬効発現について検討を行ってきた。ポリフェノール配糖体であるバイカリンはユニークな動態を示し、特に腸管での代謝、排出がその動態に大きく関わっていた。現在、強力な抗酸化作用で注目されているポリフェノール類のバイオアベイラビリティーは極端に低く、in vivoでの効果には疑義がある。そこで、ポリフェノール類の動態に及ぼす消化管の寄与について検討することを目的としている。代表的ポリフェノールであるエピカテキン及びケルセチン、さらにlithospermate Bについて検討し、いずれも腸管から吸収されにくいことを明らかにした。特に、lithospermate Bはわずかに吸収されたものも速やかに肝臓でメチル化され胆汁中に排出されるため、血中にはほとんど検出されなかった。バイカリンのユニークな動態の腸管代謝として、配糖体であるバイカリンは腸管上皮細胞への取り込みも僅かであるが、アグリコンであるバイカレインは腸管上皮細胞には取り込まれる。しかし、取り込まれたバイカレインは速やかにバイカリンへと抱合され、血液側ではなく管空側へ排出されるため、やはり難吸収性であった。この腸管上皮細胞からのバイカリン排出は、自然発症MRP2欠損ラットEisai hyperbilirubinemic ratの空腸反転腸管において有意に低く、さらにバイカレイン経口投与後の本ラット血中バイカリンのAUC値が通常ラットより5倍高く、バイカリン排出にMRP2が関与することが示唆された。また、ヒト腸管薬物動態in vitroモデル系であるヒト結腸癌由来Caco-2細胞においても、バイカリンの取り込みはわずかであるが、バイカレインは速やかに取り込まれた。この際も、取り込まれたバイカレインは速やかにバイカリンへと抱合され、バイカリンは主に頂側膜側に排出された。その排出はMRP2選択的阻害剤で抑制され、Caco-2細胞においてもバイカリン排出にMRP2が関わっていることが明らかとなり、ヒト腸管においてもラット同様のユニークなバイカリン動態が推測された。ヒトにおいてもラット同様、ポリフェノール類の腸管における吸収、代謝、排出がバイオアベイラビリティーに大きく関わっていることが示唆された。
著者
仲地 博
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

全体像を示すものとして「沖縄自立構想の歴史的展開」を研究し、沖縄には自治の豊かな土壌があり、琉球王国、明治政府下の特別な扱い、米軍占領の歴史的背景の下で構想力豊かな自治自立の提言がなされてきたかを明らかにした。個別論点としては、「復帰」の意味を問うた「沖縄県の誕生」と故玉野井芳郎の提唱した「地域主義と沖縄自治憲章」について考察した。ヒヤリングは、島袋清徳(元伊江村長)、比嘉茂政(元琉球政府地方課係長、元恩納村長、元県副知事)、座喜味たけ好(元復帰準備委員会琉球政府代表補佐、元県副知事、元沖縄電力社長)に行った。

1 0 0 0 OA 家政学と行政

著者
尚 弘子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.243-245, 1992-03-15