著者
美馬 のゆり 木村 健一 渡辺 政隆 木村 政司
出版者
公立はこだて未来大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

公衆の科学技術意識の向上のために有効な公空間における対話的科学コミュニケーション手法について、デジタル技術を応用したシステムを構築し、参加者の科学技術リテラシーの向上を図るための実証的研究を行なった。科学館のない地方都市において、地域が有する資源を有効活用した地域活動を組織化し、公空間を積極的に利用することで、参加者の科学技術リテラシーの向上を図れることが明らかになった。
著者
吉田 文和 寺西 俊一 山下 英俊 外川 健一 寺西 俊一 山下 英俊 外川 健一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ITと環境問題を3の側面から検討した。第1は.IT製品・IT部品の生産による環境影響である。いわゆるハイテク汚染問題そして半導体生産に必要な原料やエネルギー需要の問題である。第2は, IT製品の消費によるエネルギー需要である。とくにサーバによる電力需要が増加傾向にある。第3は, IT製品のリサイクルと廃棄による環境問題である。日本と世界の家電リサイクル制度について比較検討を行った。
著者
矢内 桂三
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

平成6年(1994)を予備調査とし,平成14年(2002)〜平成17年(2005)に4回の本格的な隕石探査をモンゴル国南部のゴビ砂漠一帯で実施した.砂漠での探査を中心に,都市部の博物館,地方の資料館及び各学校の岩石標本もくまなく調査した.更に原住民からも隕石の情報を入手し,探査に活用した.本研究までに知られていたモンゴル産隕石は次の5個である.Adzhi-Bogdo II(隕鉄,582kg),同I(コンドライト,910g).Manlai(隕鉄,166.8kg),Sarigiin Gabi(隕鉄,17.5kg)及びTugalin-Bulen(コンドライト,〜10kg)である,今回の探査で確認した隕石は,モンゴル唯一のエコンドライトJalanash(ユレーライト,〜700g)とNartiin had(コンドライト,1,946g)の2個である.原住民が隕鉄として所有していたOliziitを現地では隕鉄と判断したが,帰国後詳しい分析の結果"人工鉄"と判明した.現地の博物館等で隕石として展示してあるものや"隕石"と称されている資料を全部チェックしたが,隕石でなく,多くは人工鉄(銑鉄など)や地球の玄武岩-ハンレイ岩であった.ゴビ砂漠の広範囲を調査した結果,ゴビ砂漠では数10年〜数100年間隔で,大雨-洪水が起こっている可能性が高く,この洪水により地表面が更新され隕石の集積(蓄積)には適していないと判断される.数万年〜数10万年あるいはそれより長い期間地表面の変動がない場所こそ隕石は集積するとものと考えられる.
著者
中島 千恵 坂本 裕子 浅野 美登里 落合 利佳 鳥丸 佐知子
出版者
京都文教短期大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1.2年間の取り組みを通した学生の食意識改善度、連携力向上の分析:入学後の知識の獲得が意識改善に影響をもたらし、意思決定に関わる価値の内面化、一情報獲得への姿勢にも一定の効果があった。しかし、著しい行動変容をもたらすには至らなかった。とりわけ、女子学生のやせ願望は改善しなかった。学生対象のアンケートは自己認識を高め、問題意識、改善意識を高める手段として効果があを目指した大学祭での食育実践では、約60%が他専攻の学生と一緒に活動できたことを評価しておりった。また、家庭におけお「お手伝い」の無と改善度との相関関係が伺われた。連携力を培うこと、企画検討のプロセスが相互の専門性に関心を持ち、連携する上での困難や問題点に気づかせる機会となった。2.卒業生対象の追跡調査の実施と分析:食育基本法制定以前の学生(平成15年度入学)291名と本研究を通して様々な経験をした平成19年度入学生377名を対象にアンケートを実施し、大学教育の効果を探った(回収率約30%)。大学で学んだ知識や技術の有用感は、平成19年度入学生の方が約30%多かった。しかし、食育基本法が制定され既に3年を経過しているにも関わらず、保育士、栄養士ともに「活用の機会が無い」と感じていた。3.保育園での食育実践:学生の連携力を高める更なる取り組み:合同の講演会に加え、中島、坂本、浅野が担当するゼミで合同授業や合同保育園見学を行い、近隣の保育園2箇所で学生主体の食育実践を行った。4.京都府下の保育園アンケートの分析とフィードバック:平成20年度に実施したアンケート結果から、保育園では栄養士より保育士が食育の企画や実施に取り組んでいるケースが多いことがわかった。栄養士の保育所への配置も含め、今後、養成校のみだけでなく、政策的にも栄養士の保育園や学校での食育実践力に力が注がれる必要があると考える。
著者
松香 敏彦
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではカテゴリー学習において、学習者の個人の目的が獲得される概念・知識に影響を与えること、また、ある概念は単一に表象されているのではなく、複数の表象をもちうるということが、行動実験によって明らかにした。これらの状況に応じた知識を獲得する能力、複数の表象を持つ認知メカニズムが、人間の適応性を要素であることを計算機シミュレーションによって示した。
著者
石丸 知之 植村 俊亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.349-357, 1995-03-25
被引用文献数
9

本論文では,オブジェクト指向データモデルを拡張した「多態オブジェクト」データモデルを提案する.多態オブジェクトモデルの目的は,マルチメディアデータを自然にデータベース内に表現することである.マルチメディアデータの一つの特徴は,実世界の実体の多用な表現である.多態オブジェクトモデルでは,実体をオブジェクトとして理解し,そのオブジェクトに複数の完結した表現を与えることのできるモデルを提案する.このようなオブジェクトを多態オブジェクトと呼ぶ.多態オブジェクトモデルでは,一つのオブジェクトが複数のインスタンスを表現としてもち得る.クラスはインスタンスの形式を定義する.同じオブジェクトの複数のインスタンスはクラス名で識別する.複数のインスタンスの属性が同一のスーパクラスで定義されているときには,その属性は同一の意味をもつとみなし,インスタンスの間で値を共有し一貫性を達成する.多態オブジェクトの実現例として,現在試作中のデータベース管理システム「沙羅」のアーキテクチャについて述べる.
著者
蓮井 秀昭
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.p75-82, 1977-06
被引用文献数
2

Larval and egg populations of P.rapae crucivora were affected by mechanical detachment of eggs from host plant leaves, drowning of larvae by rainfall and by such natural enemies as spiders, Polistis wasps, Hyla arborea japonica, Apanteles glomeratus and Pteromalus puparum. In April, a remarkable reduction in the numbers of eggs and 1st instar larvae was mainly induced by abiotic factors while that of 5th instar larvae was mainly caused by biotic factores. In June and July, a remarkable reduction in the numbers of eggs, 1st and 2nd instar larvae was observed mainly due to the predation of micryphantids. Then, the suriving mature larvae were preyed on mainly by Polistis wasps. Therefore the surviorship curves were concave in June and July. In October, only eggs and 1st instar larvae were affected by abiotic factors before the survivorship curve levelled off.
著者
宍戸 宏造 鳥澤 保廣 久山 哲廣 新藤 充
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

2年間にわたり、細胞接着分子誘導阻害活性を持つ2種の海洋産天然物、ハリクロリンおよびラソノリドAの合成研究ならびにハリクロリン合成中間体の生物活性評価を行い以下1-3の成果を得た。1、ハリクロリンの合成研究:前年度に確立した三環性コア部分の合成法を基盤に、全合成に向けて研究を展開した。その結果、全合成には至らなかったものの、重要鍵中間体までの大量合成ルートを確立することができ、数種の化合物を3で述べる生物活性試験に供することができた。また、光学活性体の合成をめざして検討を行い、鍵となるアザスピロ環部のエナンチオ選択的合成を達成した。この方法も短工程で収率も高く効率的なものである。今後、光学活性体としての全合成に大きく寄与できる結果である。2、ラソノリドAの合成研究:全合成において鍵となる2種のヒドロピラン環部のうち、C1-C16セグメントの高立体選択的合成法を確立することができた。また、C18-C25セグメントの合成も行ったが、予期に反し、C21位でのエピ化が起こり、目的物のジアステレオマーが得られた。今後、この点の解決と全合成の完結に向けて検討を加えたい。3、ハリクロリン合成中間体の細胞接着・浸潤を制御する新規医薬品リード化合物の探索:ハリクロリンを範とし、動脈硬化や難治性炎症疾患治療に有効な薬物の開発につながるリード化合物の創製を目的に、今回合成した中間体を用いて、その生物活性評価を行った。正常およびガン由来細胞株を用いてスクリーニングを行った結果、一つの化合物にアポトーシス様の現象が観測された。このものは、最もハリクロリンに類似した骨格構造と官能基を有しており、天然物そのものもアポトーシスを誘導する可能性が期待され、全合成の意義がますます大きくなった。今後、本来のVCAM-1誘導阻害活性のみならず、アポトーシスの誘導に関する生物活性についても詳細な検討を加え、分子機構の解明と新規リード化合物の創製をめざしたい。
著者
川村 武 菅原 宣義 柏 達也 田口 健治
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

暴風雪悪視界下の車両のナビゲーションシステムをUHF帯RF-IDシステムを用いて構築することが本研究の目的であった。まずRF-IDタグをアスファルト道路中に埋めるための埋設方法を検討し,実用に供するに足る埋設方法を開発した。またUHF帯RF-IDタグの埋設間隔などのシステムの構築方法を屋外の計測実験より導き,実験道路にRF-IDタグを埋設し,実験を行った。誘導用のGraphical User Interface(GUI)をWindows Xp上に作成し,誘導実験を行った。またシステムに用いるアンテナの数を1個から2個に増やし,これに対応するGUIも作成した。屋外実験において,視界の良い天候でも,暴風雪悪視界の状況を再現するために実験車両の運転席前面のウィンドウにビニール製発泡梱包材をはり,前方が見にくい条件下で走行実験を行った。その結果,発泡梱包材をはった悪視界下でも車両を良好に誘導できた。700MHz帯でのRF-IDシステムの対応に備えて,同周波数の交差点等での電波伝搬に関するシミュレーション実験を行い同周波数帯の交信に関する知見を得た。
著者
北岡 良雄 石田 憲二
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

2本鎖梯子型量子スピン系のSrCu_2O_3について非磁性不純物(La-4%,5%,Zn-1%,3%)、磁性不純物(Ni,l%,2%,3%)を添加した系、ホールがドープされたSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41-y>系についてのCu-NQR、NMR測定を行い、梯子格子系の量子コヒーレンスの効果によって特異な磁気秩序が発現することを明らかにした。平成9年度の成果1. SrCu_2O_3にZnおよびNiを添加した系では、共通に反強磁性磁気秩序が起こることを示し、磁気モーメントの大きさは不純物近傍で空間的な分布をもつが、丁度不純物間の中間領域では0.041μB程度の比較的に均一な反強磁性自発分極をもつことを明らかにした。2. Zn添加系で反強磁性磁気秩序が起こる臨界濃度は0.5%付近であることを緩和時間の測定から明らかにした。3. L.aを添加した系(電子ドープ系)では、磁場による反強磁性分極が誘起されるが最大5%まで磁気秩序は起こらないことが明らにした。これはLaがSr位直に置換され、ラダー面のCu位置に均一に電子がドープされることに起因していることを示唆した。4. ホールがドープされたSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>系では、すでに存在するホール濃度が少ない試料では空間的に均一な反強磁性分極が磁場によって誘起されることを見出した。平成10年度の成果1. 不純物(Zn,Ni,La,)によって誘起された異常磁性不純物によって誘起される交番磁化分極の相関長ξ_Sが不純物の種類に依らず、不純間距離とともに増大することを示した。また不純物を添加しない系のスピン一重項液体状態の相関長より極めて長いことが明かとなった。2. ホールドープ系スピンラダーの常圧での磁気秩序の同定加圧によって超伝導が発現するSr_<2.5>Ca_<11.5>Cu^<24>O_<41>は常圧下でT_N=2.2Kで磁気秩序を示すが、NMR/NQRの研究からラダー面上で0.02μ_Bの比較的に一様な大きさの自発磁気モーメントを持ち、鎖面上で最大0.5μ_Bの分布した磁気モーメントをもつ磁気秩序状態にあることを示した。梯子スピン系に不純物が添加されると低エネルギー励起(スピノン)が誘起され、その励起を媒介にして磁気秩序が発生する。一方、ホールをドープした系では多様な電子相が現れる。遍歴する場合は、超伝導が出現し、局在する場合は電荷密度状態と磁気秩序が共存する。電荷およびスピン自由度の局在と遍歴に起因して多彩な電子相があらわれることが本研究によってか明らかとなり、低次元量子スピン系の新しい研究分野の方向を切り開くことができた。
著者
勝地 弘 山田 均 宮田 利雄 斎藤 智久
出版者
Japan Association for Wind Engineering
雑誌
日本風工学会論文集 (ISSN:13493507)
巻号頁・発行日
no.100, pp.1-17, 2004-07-31
被引用文献数
2 3

Large-scale and/or long-span structures, which must be sustained for long service life, are susceptible to strong winds. Their design wind speeds are mostly decided by typhoons in Japan. Global warming typically causing the increase of the sea-surface temperature would affect, probably intensify typhoons approaching Japan. In order to investigate the effects of the increase of the sea-surface temperature on typhoon frequency and intensity, a new typhoon simulation technique was developed incorporating the sea-surface temperature. The new simulation technique predicted future trends due to the increase of the sea-surface temperature that the number of typhoon approaching Japan increased and depression of the central pressure increased. It was also shown that 100-year recurrence wind speeds in 24 regions in Japan increased by 10 - 15% on the average due to future increase of the sea-surface temperature.
著者
鳥丸 猛
出版者
弘前大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

近年顕著に認められる急激な気候変動によって樹木個体群の死亡と加入パターンの間の不均衡(すなわち、非平衡状態)の程度は増大している。この現象により、これまで集団遺伝学が仮定してきた動的平衡にある個体群動態に基づく理論モデルでは樹木集団内の遺伝子動態を十分に予測できない可能性が考えられる。したがって、今後も急激な気候変動に曝されることが予想される森林群集の遺伝資源の保全のためには、自然現象の変動性を組み込んだより現実的な集団遺伝学モデルに基づく遺伝子動態の予測(すなわち、判断基準の提供)が課題となっている。本研究では、台風による撹乱を受けてきた鳥取県大山ブナ老齢林の森林群集を対象に個体群統計学的調査と遺伝分析から収集されるデータおよび気象データを用いて、非平衡状態にある個体群動態を基礎にした樹木集団の遺伝的構造の形成過程(遺伝子動態)を記述する集団遺伝学モデルを開発し、台風撹乱体制が森林群集の遺伝的多様性に及ぼす影響を予測する。本年度は、既設の固定調査区(面積4ha)内で0.5haサブプロットを設定し、ブナ林の主要構成樹種であるコミネカエデ、ハウチワカエデ、ブナの稚樹(樹高30cm以上、胸高直径5cm未満の幹)の毎木調査を行った。その結果、サブプロット内には、コミネカエデ、ハウチワカエデ、ブナの稚樹の幹密度(haあたり)は、それぞれ648本、1548本、3420本であった。また、マイクロサテライト遺伝マーカーによって遺伝子型を決定するために、毎木された稚樹から葉を採取した。以上のように、本年度は、個体群統計学と遺伝分析を実施するための研究基盤を確立した。
著者
新野 宏
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.933-936, 2007-11-30
被引用文献数
2
著者
諫本 信義 高宮 立身
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.98-105, 1992-12-30
被引用文献数
4
著者
羅 京佳 佐々木 亘 佐々木 亘 羅 京佳
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

平成23年度は、高解像度大気海洋結合モデルの長期積分(25年)の結果の解析、および、ハインドキャスト実験による熱帯低気圧の予測可能性について検討を行った。まず、熱帯低気圧の発生に適した環境場が高解像度モデルで適切に再現されているかについて長期積分の結果と再解析データと比較を行った。その結果、海面水温、大気下層の相対渦度、大気の鉛直シア、大気中層の相対湿度は再解析データと同様の空間パターンを持つことが分かった。熱帯大西洋の海面水温の東西勾配のバイアスはやや改善されたが、大西洋東部の海面水温は依然高い。したがって、モデルの水平解像度を高くすることによって熱帯大西洋の海面水温バイアスはある程度解消されるが、さらに物理スキームの改善等の必要性が示唆された。次に高解像度結合モデルで発生した熱帯低気圧を抽出し、その発生頻度の時空間パターンと強度について観測値および低解像度結合モデルの結果と比較を行った。低解像度モデルは熱帯低気圧の発生頻度を特に北半球で過小評価する傾向が見られたが、高解像度モデルでは観測値に近い発生頻度が得られた。北インド洋ではモンスーン期の前後で熱帯低気圧が発生する傾向があるが、高解像度モデルはこの傾向を再現することができた。一方、西部北太平洋の熱帯低気圧発生頻度はピークシーズンでやや過小評価であった。次にハインドキャスト実験の結果を解析した。計算機資源の制約により、2004年の1年間についてモデルの海面水温を観測の海面水温に近づけながら積分を行った。2004年は西太平洋において32個の熱帯低気圧が発生したが、ハインドキャスト実験では29個の熱帯低気圧が発生した。モデルは観測に比較してやや過小評価の傾向があることを考慮するとモデルはよく再現していると言える。この結果は熱帯低気圧の季節予測に関して、発生頻度の予測が期待できることを示唆している。しかしながら、モデル熱帯低気圧発生位置は観測よりも北でずれる傾向が見られた。
著者
安田 孝志
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.12-19, 1989-05-31
被引用文献数
1

To explore a change of typhoon disasters in the area around Ise Bay and its feature, some investigations are made on the relation between the destructive power of 130-typhoons which attacked the area for seventy five years from 1912 to 1986 and the damages caused by the typhoons in both prefectures of Aichi and Mie. It is revealed that although the typhoons accompanying storm surge are very dangerous for both the prefectures, countermeasures for typhoon disaster prevention which have been provided since 1960 are fairly effective against the attack of such the typhoons and succeed in decreasing the damages. While, it is pointed out that the rate of the damages to the power of the typhoons which attacked both the prefectures after 1960 rather exceeds that before 1959 and typhoon disasters are changing in quality since 1960.
著者
久保田 康裕 辻 瑞樹 唐沢 重考 榎木 勉 島谷 健一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

地球温暖化に伴う生態系の応答を評価することは、地球環境科学の大きな研究テーマである。私達の研究グループは、過去10年間にわたる島嶼生態系の維持機構に関する基礎研究を行う過程で、生態系が最近の大型台風で壊滅的に撹乱され、そのインパクトが島嶼生態系の自律的な修復能力を凌駕している可能性を認識するようになった。本研究は、台風撹乱が島嶼亜熱帯林の生物多様性と機能に及ぼす影響を定量化することを目的とし、温暖化に伴う台風の巨大化や頻度変化によって島嶼生態系が転移するリスク及びそのシナリオを予測した。具体的な研究成果は以下の通り:1)台風攪乱の強度や頻度の変化は亜熱帯林の優占種の交代を促して群集の機能的構造を改変し、生産量・物質循環過程のような生態系機能に影響を及ぼす可能性がある;2)台風攪乱による森林構造の改変は、森林性の野生生物(大径木に依存した希少な着生植物やマングース等の外来種)の分布に影響を及ぼす可能性がある;3)亜熱帯林の適応的な森林管理(持続的な木材生産と生物多様性の保全)を考える場合、攪乱体制の変化は重要な要素になる。