著者
宗原 弘幸 古屋 康則 早川 洋一 後藤 晃 後藤 晃
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

交尾は、肺呼吸、四足歩行と並んで、ヒトを含む脊椎動物が陸圏に進出する際の前適応である。交尾の進化過程を再現するため、近縁種に交尾種と非交尾種を含んだカジカ上科魚類をモデルとして、雄間の競争、特に精子競争の影響に焦点を当てて、実験的に調査した。行動形質の評価指標として繁殖成功度に注目した。その結果、射出精子量、交尾の順番が、繁殖成功度に影響し、先にたくさんの精子を雌に渡すという行為が交尾の進化動因であることが示唆された
著者
住野 公昭 江原 一雅 山下 長司郎 石井 昇 正井 栄一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

通信設備など災害時に使用する設備は、災害直後に素早く稼動するものほど価値が高い。被災者は災害直後から2〜3日の間が一番困難な状況にある。阪神淡路大震災被災直後に医療機関は様々な情報を必要とした。他の医療機関/個人/災害対策本部/などに連絡をし、それらから情報を得、あるいは情報を提供したりするには、電話連絡よりも、メールやInternetのホームページのような形式の通信システムが優れている。その理由は、通信時間が短くて済む事、相手がいなくても情報を得る事が可能であるからである。そのような用途に使え、さらに、1)被災後すぐに使用でき、2)個人でも所有できる程度に安価で、3)電池で稼動し、4)可搬性が優れていて、5)画像も含めたメールが扱え、6)携帯電話/衛星電話/でも使用できるシステムを作成した。Internetと比較すると以下の点で、本システムの方が優れている。1)メール送受のリアルタイム性、2)メール受け取り確認の必要性、3)災害時のネットワーク資源の効率的利用、4)セキュリティが高い。例えば、Internet mailでは、メールがメールサーバに受信された時刻とメールが実腺に読まれる時刻の間には時間的ずれが生ずる。本システム(kU-Net)ではメールは直接相手のコンピュータに届くので、受信者はメールが届いたことを即座に知ることが可能であり、メール受信時刻とメールが読まれる時刻との間に遅れが生じにくい。セキュリティに関して、本システムでは、ネットワーク媒体に電話回線だけを使用するので、運ばれるデータがInternetのように多くのコンピュータを経由することがないので、覗き見される危険が少ない。ユーザーが勝手に電話番号の変更をできないので、送信者の確認がとりやすい。などの利点があり、災害時の通信システムとして適している。
著者
南條 博 小林実 貴夫 高橋 正人 増田 弘毅 川村 公一 高橋 正人
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

骨髄より動員された内皮幹細胞と樹状突起細胞が、全身諸臓器の血管の活性化に直接関与することを成体で明らかにする目的で、本研究を遂行した。骨髄キメラマウス4ヶ月のトレッドミル負荷1週-4週後の全身諸臓器を詳細に観察した。得られた主な知見は以下の通りである。1)骨髄由来樹状突起細胞が多く出現している部位とまったく見られない部位に分かれているのが特徴で、一様の分布ではない。2)骨髄由来樹状細胞は肋間動脈開口部で多く見られる。3)骨髄由来樹状細胞の出現頻度はトレーニングマウスとトレーニングしないマウスで有意な差はみられない。4)骨髄由来樹状細胞の出現頻度はトレーニング1~4週で差はみられない。5)骨髄由来内皮細胞は上行大動脈起始部にみられる。6)心臓毛細血管では多数の骨髄由来内皮細胞がみられる。7)全身諸臓器の動脈、静脈、リンパ管に骨髄由来内皮細胞がみられる。さらに、週齢による骨髄由来内皮幹細胞と樹状突起細胞の動態を検討し、以下のことが判明した。8)骨髄由来樹状細胞は週齢とともに増加し、大動脈弓から下行胸部大動脈、72週では腹部大動脈に至る大動脈ほぼ全体に分布する。最終的に動脈硬化のない老齢マウスにおいて、骨髄由来樹状細胞が大動脈内膜全体に分布するという世界で初の知見を病理形態学的に証明した。
著者
尾崎 幸仁
出版者
大阪府立園芸高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

○研究目的 ミツバチの利用する植物を、巣に持ち帰る花粉荷より同定し、周囲の利用植物の分布を調査する。この結果をGISを使用して地図化し、ミツバチ利用植物マップを作成して、生き物(ミツバチ)の生育し易い環境(緑環境)かどうか、またミツバチの行動特性を調べる事を目的とした。○研究方法 池田市において2箇所の地点で養蜂を行いながら、ミツバチ利用植物を調べた。方法として、ミツバチが持ち帰る花粉荷を定期的に採取して、花粉を色・形状(粉質・粘質)で分類して、顕微鏡写真を撮影(電子顕微鏡を使用)し記録した。また同時期に開花しており、ミツバチが訪花している植物の花粉を採集し顕微鏡で写真をとり記録した。この写真をベースにしてミツバチ荷の植物(利用植物)名を同定して、GISを使用したミツバチ利用植物の分布地図の作成を行う。今回の研究では、調査範囲を巣の置いてある本校を中心にして、研究場所から半径1kmの範囲の利用植物を調べた。○研究成果 5月~6月にかけてミツバチの持ち帰る植物花粉荷は多種類になり、利用植物を同定する事が難しかった。特に予想した植物をあまり利用しておらず、GISを使用して、ミツバチ利用植物マップを作成出来なかった。今回の研究で解ってきたこととして、(1)ミツバチは巣の周りの植物を、流蜜量が少なくても利用する傾向がある。(2)5月半から7月上旬まで優先種として長期間にわたり持ち帰る、こげ茶色の花粉荷はクローバーである事が判明した。クローバーの花粉は、花にあるときは透明に近い色であるが、巣に持ち帰る時はこげ茶色になる事が解った。植物の分布について本校より南に1kmのところにある大阪国際空港の可能を推察しているが、調査許可が下りず調べる事は出来なかった。(3)9月中旬より半月程,黄色でウリ科の植物の花粉荷が見つかり、本校より西に1kmのところを流れる猪名川河川敷に生育しているアレチウリの可能性が推察された。アレチウリは特定外来生物に指定された植物であるが、この河川敷にはニセアカシア・トウネズミモチの生育も確認なされており、河川の環境を知るための手法として今後も研究を継続する必要性を強く感じた。
著者
藤本 克已 梁瀬 健 片岡 充子
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.376-377, 1962-12-15
著者
関根 和生
出版者
国立情報研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は,身振りは幼児期から発話生成に影響を及ぼしているのか,また,身振りの使用が言語発達と共にどのように変化するのか,ということを実証的に検討することである。この目的を遂行するため,最終年度では,以下の4点の研究活動を行った1.平成21年度に行った研究1「談話構築における身振りの使用とその変化」と平成22年度に行った研究2「児童期における空間利用の変化」の結果から,児童期における身振りと空間利用の発達段階を提案した。また,自然状況下での談話場面のデータを収集・分析した。その結果,実験的場面から得られたデータを支持するものとなった。2.本研究の理論的貢献となる"身振りと発話の変化に関する説明理論"と,"発達段階ごとの身振りの産出モデル"を構築した。3教育心理学会や,データ収集を行った小学校で研究成果を報告し,現場の教師からフォードベックをいただいた。それをもとに,実践的貢献となる研究結果の教育場面への応用を提案した。身振りの空間利用の仕方が談話発達の予測することから,身振りが指標となるという提案である。4.最後に,本研究の問題点や限界点を総括し,今後の課題や研究の方向性を検討した。以上の研究活動から,児童期後半から,談話知識とともに人物参照のための身振りが出現することが明らかになった。この現象は,教室場面や自然会話場面など,幅広い文脈でみられるものであった。これらの知見は,談話構築がマルチモーダルに達成されていることを明らかにするデータであり,これまで言語を中心に分析してきた談話研究に対して,新たな理論的・実践的観点を提供するものである。
著者
小池 敏夫 石橋 毅
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.96, pp.433-"436-1", 1974-12-20

沖繩島の今帰仁層上部から, 多くのアンモナイトとともにコノドントが採集された。本層のアンモナイトについては, すでに石橋(1970)によって記載されており, コノドントを産する層準はJuvavites cf. kellyi帯に含められた。この化石帯は北米のカーニアン上部Tropites welleri帯に対比された。今回得られたコノドントはEpigondolella nodosa (HAYASHI)のほか3種である。Epigondolella nodosaの産出から, 本層準は北米のカーニアン最上部Klamathites macrolobatus帯;ハルスタツト石灰岩のAnatropites帯に対比される。以上のように, コノドントとアンモナイトによる本層準の時代決定はほぼ同じであるが, 現在の知識では, コノドントによるほうが, 若干新しい時代を示す。
著者
池野 英利
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究ではマルチモーダルな刺激に対するミツバチの飛行行動について実験を進め、その行動の機序となる脳・神経機構の数理モデル構築を目指した。まず、聴覚、視覚、嗅覚刺激を対象に、風洞内での自由飛行、微小トルク計に固定したフライトシミュレータという異なる飛行状態での行動を観測する新たな実験プロトコルを開発した。フライトシミュレータを用いた飛行実験においては、前方に提示した図形の形状と色では刺激提示の位置普遍性に違いがあることを示した。また、前方からの聴覚刺激に対しては、音の強度、周波数だけでなく、リズムに対して趣向性を持つことを示した。嗅覚刺激に対する反応はフライトシミュレータにおいては明確には観測されなかったが、風洞を用いた自由飛行においては匂い刺激の存在する領域とない領域の境界付近において、飛行方向を急激に変える行動が見られた。この行動変容は、学習した場所付近を探索する飛行行動と記憶した刺激に定位する行動の切り替えが、このタイミングで生じている可能性を示唆するものであった。飛行軌跡を詳細に解析した結果、この急激な方向変化は脳における行動のスイッチングを反映しており、飛行行動を制御する2つのプロセスの存在が示唆された。この2つのプロセスの切換えタイミングによる個体行動のバラエティは、環境変化への適用性を高める役割を果たしている可能性を示唆するものである。
著者
山田 卓生
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.303-308, 2006-05-15
被引用文献数
5 2

宗教上の理由で輸血を拒否する患者に対し, いかに対処するべきかは, この30年の間医療関係者を悩ませてきた. とりわけ外科手術における輸血の必要性は言うまでもないが, 他方でインフォームドコンセントの考え方によれば, 明白な意思に反する輸血をするわけにはいかない. 当初は輸血拒否に当惑したが, 徐々に患者の意思を尊重するようになってきた. 意思を無視して輸血をすれば, たとえ快方に向かっても損害賠償の義務があるとする最高裁判決も出た. 子供についてどうするか, とくに, 親が自己の信仰に基づき子供への輸血を拒否することを認めるべきかが争われている.
著者
岡 久雄 岡本 基 北脇 知己 岡本 基 北脇 知己
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, スポーツや臨床医学で広く用いられている筋電図に代わり, 筋自身の収縮特性を反映する変位筋音図(MMG)を測定するために, 身体の不随意な動きに影響されない光反射型(フォトリフレクタ)変位MMGセンサを開発した。さらに, 運動中でも測定できるよう, 電気刺激を加えて単収縮変位MMGを計測するシステムについて検討した。さらに等尺性収縮時の筋疲労実験から, 運動単位の寄与について変位MMGを用いて考察した。
著者
鈴木 健司
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.198-134, 2008-09-29

本稿は「宮沢賢治文学における地学的想像力」というテーマの下に企図された、連作論文の一つである。これまで、(一)「基礎編・珪化木(I)及び瑪瑙」(「文学部紀要」文教大学文学部第21-2号)、(二)「基礎編・珪化木(II)」(「言語と文化」第20号、文教大学言語文化研究所)、(三)「基礎編・<まごい淵>と<豊沢川の石>」(「注文の多い土佐料理店」第12号、高知大学宮沢賢治研究会)を発表している。本稿では、前半の四-一で、「地学的想像力」を、国内産蛋白石(オパール)との関連において追及する。特に童話「楢ノ木大学士の野宿」の成立に関し、明治末から大正初めにかけ「東京宝石株式会社」として良質のオパールを産出していたオパール鉱山(福島県宝坂)の存在に注目し、作品生成の契機となった可能性の立証を試みる。後半の四-二では、「地学的想像力」を外国産蛋白石(オパール)との関連において追究する。童話「貝の火」における<貝の火>とは何か。さらには、童話「銀河鉄道の夜」における<鳥捕り>と「貝の火」の主人公ホモイとの連関性を、ジャータカとの視点から分析し、賢治文学において、地学的想像力と仏教思想とが深く関わりあっている事実を立証する。
著者
三浦 康弘 池上 敬一
出版者
桐蔭横浜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

水面上の単分子層を一層一層固体基板上に積み重ねて作製するラングミュア・ブロジェット(LB)膜に圧力を印加し、分子超薄膜内に圧力に誘起される超伝導相を見出す目的で研究を行った。圧力の印加に伴い、膜の電気抵抗(室温)が上昇することが明らかとなった。また、膜の支持基板の硬さによって圧力効果も異なることも明らかとなった。圧力に誘起された超伝導相は見出されなかったが、圧力印加が分子超薄膜系の研究にも有効な手段であることが強く示唆された。
著者
岩本 裕次
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.2, pp.161-170, 1992-05

静岡県では、東海地震を想定した総合防災訓練を54年度から実施し、依頼様々な地震防災訓練へ展開し、実施してきている。当県の地震防災訓練の概要をお知らせするとともに、今回この中に分類される津波訓練について紹介する。平成3年度の津波避難訓練が、当県の観光地である"伊豆"-南伊豆町弓ヶ浜海岸で実施された。「8月2日(金)午後2時遠州灘沖を震源とする地震が発生し、気象庁は『津波警報』を発表した。」という想定のもと訓練は開始され、当海水場を訪れた海浜利用者約10,000人の参加のもと津波警報伝達訓練、津波監視、警戒・避難誘導等が行われた。訓練後のアンケート調査結果によれば、京浜地区方面から海水浴に来た十代から二十代の女性が回答者の多くであり、若い女性の世代に伊豆の人気が高いことが窺える。これらの人々は津波避難の指示に従い、訓練に参加してよかったと回答している。しかし、一方では、そのまま砂浜にいて様子を見る等津波の恐ろしさを知らない人がまだまだいることから、啓発活動・津波訓練の必要性を痛感した。
著者
HN子
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒教育
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.396-398, 1919-10