著者
天田 顕徳
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、日本におけるロッククライミングの「アクセス問題」に注目する。アクセス問題とは、岩場へのアクセスの権利を巡る岩の管理者や地権者とクライマーの摩擦・対立を指す言葉で、しばしばクライマーが信仰対象や天然記念物の岩を「登攀の対象」と見做すことで問題が起こっている。本研究では特に信仰が関わって起こるアクセス問題を取り上げ、関係者の主張を整理するとともに、信仰の現場でゲレンデ開発が行われた国内外の事例を精査し、両者の交渉と意見の調整過程を明らかにする。本作業を通じて宗教文化・伝統文化の保護と、持続可能なゲレンデ整備や観光開発を両立するための基礎資料を提示することが本研究の目的である。
著者
平岡 久忠 滝川 一晴 筋野 隆 星 和人 松平 浩 中村 耕三 岡崎 裕司 平岡 久忠 滝川 一晴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究においてわれわれは先天性下腿偽関節症の偽関節部では、介在する線維性軟骨により骨の連続性が絶たれていること、骨・軟骨は多数のTRAP陽性、vitronectin receptor陽性の多核巨細胞、破骨細胞により浸食されていること、骨形態計測の手法を用いた結果、偽関節部では破骨細胞数および破骨細胞表面が成人の外傷性偽関節組織にくらべて約4倍に亢進していることを明らかにした。またさらに症例を重ねて、昨年来行っている偽関節組織に対する生化学的検討を続行しその再現性を確認した。手術時に切除した偽関節組織からmRNAを調整し、破骨細胞形成のマスター分子であるランクリガンドの発現をRT-PCR法を用いて調べた。その結果、先天性脛骨偽関節症では外傷性偽関節にくらべてランクリガンドの発現が亢進していることがわかった。同様の知見は抗ランクリガンド抗体を用いた免疫組織化学によっても確認した。以上の検討より先天性下腿偽関節症ではその偽関節部において破骨細胞形成のマスター分子であるランクリガンドの発現が亢進し、その結果破骨細胞形成が促進されていることが明らかとなった。これらの破骨細胞は骨・軟骨組織を浸食し正常な骨癒合を妨げていることが推測された。
著者
横田 篤 石塚 敏
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

大腸癌のリスク因子として大腸内に生成される発がん性二次胆汁酸が知られている.本研究では,腸内細菌による胆汁酸の還元的代謝により生成される発がん性二次胆汁酸を低減させる新しい手法として,腸内細菌の嫌気呼吸を促進させ,胆汁酸の酸化的代謝を活性化させることを試みた.そこでラットにフマル酸を添加した飼料を摂取させ,盲腸内の嫌気呼吸の誘導を試みたところ,代表的な発がん性二次胆汁酸であるデオキシコール酸の低減可能性は示された.しかし,5~10%と高濃度のフマル酸添加必要であり,この濃度ではラットが下痢を起こすことから、実用的な抑制にはフマル酸のカプセル化等,添加方法の検討が必要である.
著者
川合 伸幸 香田 啓貴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

他人の行動をまねることは、新たな行動や技能を獲得するうえで重要であるが、ヒト以外の霊長類では、模倣は非常に稀である。ただし「あくびの伝染」はさまざまな霊長類で観察されている。他人の行動をコピーすることの進化的、神経的基盤を調べるために、サルでの行動伝染と、ヒトでのあくびの伝染に関する脳活動(脳波)などを調べた。視覚手がかりに対して発声する訓練を受けたサルは、音声刺激に対しても高頻度で発声したが、提示されたものと同じ音声を発声することは無かった。ヒトのあくびの伝染には、認知的な模倣と情動的な模倣が脳の異なる領域で、かつ異なる時間順序で処理していることがあきらかになった。
著者
福本 泰之
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

亜硝酸蓄積に起因する亜酸化窒素(N_2O)発生を抑制する亜硝酸酸化促進法の適応可能範囲を決定するため、ウシ、豚、鶏糞の堆肥化処理における窒素遷移と硝化細菌の動態を調査した。豚糞堆肥化では亜硝酸蓄積が生じ、亜硝酸酸化促進法によって効果的にN_2O発生量を削減できた。一方、牛糞では堆肥化の過程で完全な硝化が速やかに回復し、また、鶏糞では硝化作用自体が起こらず、そのため亜硝酸酸化促進法を適応してもこれらの家畜糞堆肥化ではN_2O抑制効果は小さいと考えられた。
著者
小原 啓義 森崎 正人 片岡 朋子 片岡 裕
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は第1に、ネットワーク・ワイドなMulti-Window Systemsに対応し、それらを国際化する機能モジュール群、すなわち、全文字コードの混在入出力、文字コード非依存の全文字コード混在テキスト処理、ISO 2022/6429を越える通信、Outline Fonts処理、実用に耐える速度と処理能力を持った実用システムとして開発すること目的とする。第2に、これらのモジュール群にMulti-Window SystemsやOSに依存しない高い移植性を持たせ、各種window Systemsに移植し、リアルタイム機能に対応する本格的な国際化マルチ・メディアの基礎ツールとしての実証と、実用システムとしての検証を目的とした。実際の研究としては、まず、全世界の文字の構造と情報交換用文字コードの調査と分類を行った。その結果、文字コードから、処理対象としての文字、文字から表示の二段階の変換を行うことによって、文字コードポイント数、文字、図形数が一致しない、現実の文字列の処理が可能となった。これをもとに、全世界の文字の混在が可能な、入力、出力、基本文書編集(挿入、削除、検索等)及び通信の各モジュール並びにOSへの移植用ライブラリーを作成することを目標として研究と開発を進めた。その結果、POSIXオペレーティング・システムとX Window Systemのスーパーセットとして動作するモジュール群を開発した。既開発の要素技術を基に、既に作成したフォントを用いての、国際化X Window System・ライブラリを開発した。文字コードの規格が存在しない歴史的文字を含む文字対応への検証のため、蒙古系文字群のコード化とフォントの作成を行なった。さらに、結合音節文字の一文字決定のルールを明確にした。その結果、高速な動作が実証され、地域化・国際化・多言語化の明確な定義とその統一モデルが得られた。さらに、蒙古系文字群への対応によって、歴史的文字を含め、適応範囲の広さと実用性を実証した。
著者
原田 一敏 松原 茂 神庭 信幸 澤田 むつ代 沖松 健次郎 和田 浩 小山 弓弦葉 行徳 真一郎 三浦 定俊 早川 康弘 若杉 準治 谷口 耕生 村重 寧 田沢 裕賀 小林 達朗 原田 一敏
出版者
独立行政法人国立博物館東京国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

国宝・法隆寺献納宝物聖徳太子絵伝、全10面について場面内容の同定と描写内容の精査、当初の地である綾地の精査を行った。また高精細デジタル写真の撮影、1面ごとの合成を行い、あわせてX線フィルムをデジタル化し、同様に合成することにより、両者を対照可能なデータとする基本資料の作成を行った。
著者
栗原 新 小柳 喬 芦田 久 松本 光晴
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「もう一つの臓器」と呼ばれる腸内常在菌叢を適切に制御し「病気の発信源」である大腸内の環境を最適化することは、健康寿命の延伸に大きく貢献する。本研究課題では腸内常在菌叢の主要な代謝産物であり、健康寿命の延伸に著効を示すことが近年明らかとなったポリアミンに注目し、ヒト腸内に優勢に存在する腸内細菌(ヒト腸内常在菌叢最優勢種)および伝統的発酵食品に由来する乳酸菌のポリアミン合成・輸送機構を遺伝子・タンパクレベルで解明する。次に同定した遺伝子の発現誘導によりポリアミンを高生産する技術を開発し、個別培養・混合培養・マウスモデルを用いて検証するとともに、宿主の健康増進効果を解析する。
著者
鈴木 正敏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

トリチウム影響の総合的理解やリスク評価に資する基礎的検討を行なうために、トリチウム水と比べて生物学的半減期が長く、トリチウム内部被ばくの長期化に関与する有機結合型トリチウム(OBT)の持続処理による細胞影響を検討する。核酸以外にもアミノ酸、脂質、糖に由来するOBTを幅広く解析に利用することでトリチウム影響に関連する知見を包括的に収集し、トリチウム水処理による細胞影響との比較によってOBTが及ぼす細胞影響への寄与についても検討する。
著者
小松 健
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

世界的な貿易自由化に伴い、未知の植物ウイルスが農作物に遭遇・感染しこれらにホストジャンプし、パンデミックを引き起こす可能性が高まっている。本研究では、多年生野草が遺伝的に多様なウイルス株を生み出す「ゆりかご」として、農作物へのホストジャンプを準備している可能性を、鑑賞ユリに壊そ症状を引き起こし世界的に問題となっているオオバコモザイクウイルス(PlAMV)を用いて検証する。具体的には、(1)多年生野草に感染し続けることでウイルスの遺伝的多様性が高まるかを調査し、(2)PlAMVの野草分離株と鑑賞ユリの壊そ系統との集団遺伝学的な全ゲノム比較、および逆遺伝学的解析によりホストジャンプを実証する。
著者
太田 尚子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、乳タンパク質のβ-カゼインとβ-ラクトグロブリンの脂肪酸塩存在下及び非存在下における相互作用について、超音波分光分析並びに動的粘弾性測定により調べた。β-カゼイン単独またはβ-カゼインとβ-ラクトグロブリン混合系は脂肪酸塩非存在下では一過的な超音波減衰の増加が観察されたものの、動的弾性率の増加は認められず、三次元的ネットワークの構築は起こっていないことが判った。一方、この混合タンパク質系に脂肪酸塩の一種であるカプリン酸ナトリウムを添加した際には、β-ラクトグロブリン単独タンパク質に比べ超音波減衰の増加や弾性率の増加は少ないもののゲル化現象が認められた。この事からβ-カゼインが脂肪酸塩存在下でテクスチャーモディファイヤーとして役立つことを示唆した。
著者
大知 徳子 本多 博之 秋山 伸隆
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、宮島に伝来する文書のうち、「野坂文書」「大願寺文書」等の近世文書を整理し、未整理の文書の編年目録を作成・分析し、主要な文書を活字化することにより、近世における厳島神社及び大願寺の継承と変質を明らかにしようとするものである。
著者
竹田 章作 斎藤 進也
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

昭和の映画全盛時代に映画フィルムと観衆を繋げ映画文化の一端を担ってきた映画館の独自の文化について「関連資料とオーラルヒストリーのデジタル保存」、「アーカイブ管理システムの開発・運用」、「人的ネットワークの構築」という3つの方法を用いた“映画館文化”を保存するための実践的研究を展開していく。そして、この目的にアプローチするプロセスを通じ、「映画館文化研究」を既存の映画研究の体系へと接続するとともに、デジタル・ヒューマニティーズの観点から非フィルム資料の保存と継承に関する方法論的知見の導出を目指す。
著者
太田 嗣人
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、異所性脂肪蓄積から生じるインスリン抵抗性や慢性炎症を病態基盤とし、肝硬変・肝がんへと進行する。本研究では、身近な食品素材で強い抗酸化作用を持つカロテノイドのβ-クリプトキサンチンとアスタキサンチンに着目し、NASHへの有効性と安全性を検証した。独自に開発したモデル動物に対し、β-クリプトキサンチンは、肝臓のクッパー細胞やT細胞の浸潤抑制という炎症への作用を主として、アスタキサンチンは肝臓の脂質過酸化の抑制を主たる作用として、NASHを抑制した。カロテノイドは治療法の確立されていないNASHを予防・抑制する新たなNutraceuticalとして期待される。
著者
前田 清司 樽味 孝 田中 喜代次 山縣 邦弘 小崎 恵生
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

継続的な高強度の持久性運動トレーニングは、身体(臓器)に様々な構造的・機能的な適応を引き起こす(スポーツ心臓など)。しかし、日頃から高強度の持久性運動トレーニングを実施している持久性アスリートの腎臓について詳しく調べた研究はこれまでに存在せず、高強度持久性運動トレーニングが腎臓にとって“善”か“悪”かは不明である。そこで本研究では、高強度持久性運動トレーニングに伴う腎臓の生理的適応を核磁気共鳴画像法(MRI: magnetic resonance imaging)を用いて探索することを目的とし、「スポーツ腎臓」という新しい概念を提唱することを目指す。
著者
朝倉 宏 中村 寛海
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,食品媒介性感染症として世界中で多発するカンピロバクターがヒト生体内での感染過程で顕す遺伝子発現及び腸内細菌叢の動態を発症患者由来検体を研究対象にプロファイル化し,疫学情報及び原因菌株のゲノム特性と融合を通じ,本菌感染に伴う病態発現の分子基盤に係る基礎知見の集積を図ることを目的としている。ヒト腸管環境において本菌が顕す病態形成機構は依然として不明な点が多く、主たる病原因子の同定並びに微生物間クロストークに関する分子解明,ひいては予防治療に資する標的分子の特定や腸管環境下の細菌叢調節を通じた感染制御策の構築等へと波及することが期待される。
著者
安田 喜徳 中川 毅 高橋 学 佐藤 洋一郎 北川 浩之 福澤 仁之 外山 秀一 徐 朝龍
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
COE形成基礎研究費
巻号頁・発行日
1997

平成13年度はプロジェクトの最終年度にあたり、主として研究成果のとりまとめと、補足調査ならびに研究成果の発表を実施した。平成13年度「長江文明の探求」の成果として特筆すべきことがらは、1)世界最古の焼成レンガの発見、2)中国最古の祭政殿の発見、3)中国最古の王宮の発見、4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見、5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、6)城頭山遺跡の住人が苗族であった可能性が高いこと、7)長江文明と日本文明の関係の解明、8)国際シンポジウムの実施し、9)研究成果報告書の刊行、10)記者発表による研究成果の公開などである。1)世界最古の焼成レンガの発見湖南省城頭山遺跡から出土した紅焼土とこれまでよばれてきたものの焼成過程を詳細に分析した結果、それが火事などで偶然できたものではなく、焼成レンガであることが判明した。焼成温度は摂氏600度以上の高温で、均質に焼かれており、かつそれらを大量に生産するシステムが存在したことが判明した。14C年代測定の結果その焼成レンガはすでに6400年前に作られていたことがあきらかとなり、世界最古の焼成レンガであることが判明した。2)中国最古の祭政殿の発見大渓文化の土廣墓の上にこの焼成レンガを敷き詰め、その上に屈家嶺文化早期の正殿・前殿・脇殿の構造をもった建築物が発見された。これは中国最古の祭政殿とみなされる。3)中国最古の王宮の発見祭政殿の西側に焼成レンガの上にさらに40cmほど版築をした上に、列柱回廊を持つ大型の建物が発見されんた。内部には御簾を支えたとみなされる列柱も発見され、これが王宮であった可能性がきわめて高いことが判明した。4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見東門の背後から直径1m以上の木柱をもつ大型の建物跡が発見され、その周辺から大量のイネの籾殻のプラントオパールが集中して発見された。このことから、この大型の木造家屋はイネ籾の貯蔵庫であった可能性が指摘できる。5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、城頭山遺跡の修景保存のための発掘調査の結果、城頭山遺跡の城壁は3回にわたって築造が内側から外側へと城壁が拡大築造されていることが判明した。6)城頭山遺跡の住人が苗族であった城頭山遺跡から出土した木材片の分析の結果、大半がフウの木であることが判明し、城頭山遺跡の住人はフウの木を愛用し崇拝していた可能性が高いことが判明した。現在フウの木を崇拝し愛用しているのは少数民族の苗族であり、城頭山遺跡の住人が苗族である可能性が高いことが指摘された。7)長江文明と日本文明の関係の解明城頭山遺跡周辺では水陸未分化の稲が栽培され、畑作雑穀も栽培されていた城頭山遺跡から出土した大型種子の分析の結果、水田雑草の種子とともに大量の畑作雑草の種子が検出され、遺跡周辺での稲作は水陸未分化の稲であったことが指摘できる。これは縄文時代晩期の唐津市菜畑遺跡の分析結果とよく似ており、稲作の日本への伝播経路が長江下流域から直接東シナ海を渡って日本に伝播した可能性が高いことが明らかとなった。8)国際シンポジウムの開催平成13年11月に長江文明の興亡と環境変動についてて世界の古代文明の研究者を招聘して、国際シンポジウムを実施した。その結果4200年前の気候悪化が長江文明の崩壊に決定的な意味を持ったことが明らかとなった。9)研究成果の報告書の刊行英文1冊、中文2冊の研究成果の報告書を刊行した。英文の報告書は「Origins of Pottery and Agriculture」(Lusre Press Roli Book)384pp.中文の報告書は「神話・祭祀和長江文明」文物出版社200頁と「長江流域乃青銅器」科学出版社200頁である。さらに現在中文の報告書「城頭山遺跡」を編集中であり、平成14年12月までには刊行できる見通しである、予定頁数は1000頁を越える膨大な報告書が出る予定である。10)記者発表平成13年11月2日に記者発表を行い、研究成果の公開を行った。
著者
網谷 龍介 戸澤 英典 大内 勇也 作内 由子 中田 瑞穂 八十田 博人 板橋 拓己 上原 良子
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2022年度は、研究取りまとめのための準備を行い、成果公表のための作業を着実に進めることができた。2021年度に実施することができなかった資料収集については、分担者の職務上の都合などにより代替的な手法を検討し、おおむね論文の執筆に問題のないような方法を案出し、材料の収集を行うことができた。これらを踏まえて、日本国内の政治学系の三つの学会において、計7本のペイパーを通じて中間的な成果を報告した.オランダにおける経済専門家と政治過程の関係についての分析においては、政党間の競争が専門性に基づいたプログラムの鑑定を導く過程が分析された。ドイツの保守主義に関する事例においては、1970~80年代のドイツにおける保守運動の再編が検討された。さらに、ヨーロッパ規模比較研究における1970年代の把握についてのペイパーにおいては、同時代の分析が現在の回顧的な視点よりも多様な視角がみられることが検討された。フランスにおける地域主義運動の分析では,バスクを事例としてとりあげ、フランス国内の力学とスペインとの外交の絡み合いが明らかにされた。ヨーロッパ共同体における「人権」争点に関する分析では、人権がヨーロッパの共有する規範となるタイミングとその背景が検討された。さらに、イタリアの事例の分析では、フェミニズムが既存の政治勢力との関係の中で浮上する過程が、ヨーロッパ共同体とドイツにおける男女平等政策についての事例では、平等をめぐる異なった理解の相互作用が検討された。これらの報告には、関連する研究を国内で実施している研究者に討論者として参加していただくことができ、有益な助言を得た。これにより草稿と改訂の方向性が確定したため、2023年度中に本科研の成果を探鉱所として出版するめどが立っている。また、そのための準備会合を期間内にさらに一回設け、具体的な準備作業や手順を確認した。
著者
辻野 智二 島 章
出版者
熊本大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

血管内に気泡が形成し、血管内腔が閉塞されるガス塞栓は、開心術、血管造影時等における合併症として発症するほか、潜水病等の成因ともなる。また、体外衝撃波結石破砕術時における副作用の要因として、衝撃波による血液中のキャビテーション発生が指摘されている。さらに、職業病の一つである振動性疾患(白ろう病等)についても、その発症機序には加振される血液中の生成気泡が関与する説が有力視されるなど、血液中における気泡形成の問題は、医工学上極めて重要な研究課題となっている。本研究では、液中における微細気泡の発生条件を検討するため、円板回転・減圧型気泡発生装置を試作し、気泡発生に及ぼす円板回転速度および減圧度の影響について実験を行った。また、キャビテイの様相の観察、気液二相流計測システムを用いたボイド率の計測を行い、次の結果を得た。1.高回転速度では、低減圧域で気泡が発生する。減圧度の増加と共に、低速度で気泡が生成しうる。例えば、減圧度を50mmHgとした場合、気泡発生時の速度は2.8m/sとなる。2.減圧度が大きくなるに従ってボイド率が増加する。山羊新鮮血(ヘマトクリット25%)中のボイド率は、減圧度80mmHg、速度1m/sで約1%である。3.低減圧度では、発生する気泡サイズは小さく、その成長も緩慢である。しかし、減圧度が300〜500mmHgでは直径1〜2.5mm程度の気泡が形成され、気泡間の合体も促進される。気泡力学に基づく血液中の気泡挙動に関する理論的研究を行うことにより、次の結果を得た。気泡の振動は、衝撃的な圧力の発生を伴い、その圧力の大きさは生体損傷の要因となり得る。また、発生圧力は、ヘマトクリットが大きいほど低下する。
著者
後藤 匡敬
出版者
熊本大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究は、知的障害教育と日本語教育における言語能力育成を志向したデジタル教材開発とWeb公開を通じ、知的障害教育と日本語教育の教材の共通項を明らかにすることを目的としている。まずは、知的障害教育向け及び日本語教育向けに開発された、言語能力育成を志向した既存教材を調査し、その共通項を探る。並行して、既に「Teach U~特別支援教育のためのプレゼン教材サイト~」(以下、Teach U)で開発・公開中の教材について、知的障害教育と日本語教育の指導者にアンケート調査を実施し、双方の専門分野の教材が自らの専門分野において活用できるか、実現可能性を探究し、得られた知見を基に開発した教材をWeb公開する。