著者
大山 敬三 時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.544-553, 2011 (Released:2011-01-01)
参考文献数
18

科学技術情報流通技術基準(SIST)のうち1985年に制定された「SIST 07:学術雑誌の構成とその要素」および1986年に制定された「SIST 08:学術論文の構成とその要素」の改訂を行った。改訂の動機となった電子ジャーナルの普及や国際的基準の整備などの背景と,改訂の主要な内容について解説した。
著者
中島 誠
出版者
佛教大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

平成元年度、幼稚園の3歳児数名を選び、8ミリビデオを用いて、自由遊びの場面や先生とのやりとりの場面などを録画・録音。3歳児は、家庭生活を離れて、始めて集団生活を始めるときである。担任は、ひとりひとりの子どもと、1人対1人の場をつくり、子どもの好きな遊びをいっしょにしてあげることが大切である。子どもは先生と仲よしになると、遊びの中で先生とのことばのやりとりを発展させる。先生と自分に対する情動的認知の発達が言語発達の基盤となる。平成2年度、前年度につつぎ、同じ子ども(4歳児)について、8ミリビデオで記録。1学期には、同じ団地からの子どものリ-ダ-格となって元気に遊んでいた子どもが、2期期中ごろから、ひとりしょんぼりしていることが多くなった。これは、それまで親や家族とのかかわりで作ってきた小さい自分の世界を、友だちとのかかわりをきっかけに、多くの友だちとのかかわりを可能にするように、大きい自分の世界へと作り変える時であり、この時に生じる一種の退行現象と考えられる。担任には、1日に1回、その子どもと1人対1人の場をつくり、子どもの気持をよく関してと、家庭では母親が1日に1回その子どものお相手をすること、をお願いした。父親も協力的で、正月休にかるた取りなどをして、家族全員で楽しく遊んでくれた。親、先生、友だち、自分に対する情動的認知の発達が言語発達の基盤になる。平成3年度、ひきつづき、同じ子ども(5歳児)について、8ミリビデオで記録。4歳児のときには、どの子どもも、何らかの退行現象をおこしていたが、また、仲よしの友だちとつきあうこともみられ始めていた。5歳児になると、サッカ-の時には誰と、ブロック遊びのときには誰となど、遊びの種類によって友だちを選んでグル-プを作り、ことばのやりとりで遊びを展開した。友だち、自分への認知が言語の基礎。
著者
田丸 徳善 石井 研士 後藤 光一郎 孝本 貢 井上 順孝 柳川 啓一 島薗 進 浜田 哲也 金井 新二 ヤン スインゲドー 西山 茂 藤井 健志 林 淳
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

昭和61年度と昭和62年度の二年間にわたり, 現代日本における教団の総合調査を行った. 対象教団は, 神社神道, 仏教教団(浄土真宗本願寺派, 日蓮宗, 臨済宗妙心寺派, 曹洞宗, 真言宗智山派), キリスト教(日本キリスト教団, カトリック)および新宗教教団(金光教, 天理教等)である. これらに関してはできる限り統計処理の可能な資料を収拾し統計分析を行った. これに関しては報告書に掲載されている. また, 地域における教団組織と教勢を把握するために, 銀座と大阪梅田を選び, 都市化の問題をも含めた総合調査を行った. 神社神道は, 既成教団として, 変動がないように考えられてきたが, 内容は大きく変化しているように思われる. とくに都市化が神社神道に及ぼした影響はとくに顕著である. 仏教教団に関しても, 都市と農村の寺院の格差は著しく, 根底から寺院の質を変えようとしている. 都市化が都市と農村の寺院の経済的基盤に変化を与えており, そのことが寺院の世襲化を生む土壌となっている. キリスト教団は, これらに対して比較的変動のない歴史を送っている. そのことは同時に大規模な発展のなかったことをも意味している. 新宗教教団は, 通常の認識では最も変化の激しく, 現代社会に適応した形態をとっていると考えられるが, 実質的にはかなりの程度既成化が進み, 社会的認識との間にはずれがある. この点に関しては, 新宗教教団の詳細な歴史年表を作成することによって, 新宗教教団の歴史的経緯も考察した. 地域研究では, 都市化の顕著な銀座と大阪梅田の比較調査を行うことによって, 各宗教教団の組織的問題を考察した. また, 各教団の製作しているビデオテープを収拾し, 映像に関する考察をも取り入れた.
著者
永田 えり子
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.45-59, 1992

正義とは等しい者を等しく扱うことだといわれる。ならば何が正義であるかは、誰と誰が等しいかを判断する類別の原理に応じて決まるはずである。人々がそれぞれ異なる類別の原理をもつとき、正義はどのように決まっているのか。そしてなぜ、どんなときにわれわれは個人間の異なった取り扱いを差別と感じるのだろうか。この考察を通じて、正義が差別を内包することを示す。
著者
大塚 洋子
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

福島県の過疎地金山町を調査地域として選定し、高齢者の生活自立を支援する子世代である30歳代から50歳代の住民に対し、健康づくりや今後の生き方に関するアンケート調査を実施した。その結果は以下のようであった。1.健康づくりのために定期的な健診受診、十分な睡眠休養、気分転換の心がけについては実行率が高いものの、定期的な運動は低かった。2.健康づくりの施策として、運動環境の整備や精神保健事業の充実が高く望まれていた。3.自分の老後について考えている者は、半数以上であり、好きなことを優先する、のんびり気ままに過ごす、近所づきあいを大切にする生き方は高く望まれていた。4.ボランティア活動には6割以上に参加の意思をもっており、興味のある活動内容は、地域活動、環境活動やスポーツレクリエーション活動であり、国際交流活動や児童や障害者を対象とする活動は低調であった。5.世代間交流が重要であると捉えられており、世代間交流を進めるにあたっては餅つきや祭りなどの伝統行事、共同農作業、伝統芸能やむかし遊びなどの企画に高い関心がみられた。生活の質の向上においては、生活の安心と安定、生活の自立が重要であり、とりわけ生活支援は、支援する側と支援される側双方の健康資源が重要となること、また、生活の拠点である地域に根ざした、相互の助け合い支援としてのネットワークを活用しての健康資源の向上への期待は大きく、地域特性を配慮したきめ細やかな施策の取り組みが個人の主体的な取り組みとともに、地域社会の健康実現に肝要といえることを明らかにした。
著者
齊藤 千恵
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)国文学研究資料館、大東急記念文庫、都立中央図書館加賀文庫、香川大学神原文庫などの公私の図書館の所蔵資料閲覧を行い、書誌ならびに内容に関する調査を行った。許可を得られるものについては複写物を作成した。(2)書誌・内容調査は調査カードに記録をとり、調査カードを基に、順次各作品の書誌・内容データ入力を進めた。並行して作成し得た複写物からも内容の分析を進めている。前年度撮影を行った都立中央図書館所蔵品については、画像及び書誌・内容に関するデータの整理を進めた。(3)実践女子大学で行われた絵本ワークショップに参会し、関連情報・関連資料を入手し、意見交換を行った。歌舞伎上演に深く関わる新出草双紙作品についての認識を深めることができ、草双紙中の芸能表現の重要性を確認する上で有意義であった。(4)黄表紙中の芸能表現については、書誌・内容に関する分析を基に、周辺の上演資料類・役者評判記・役者絵などと作中の芸能関係表現との比較検討を進めた。この成果の一部について、平成18年度芸能史研究会大会「芸能と絵画資料」シンポジウムにて口頭発表を行い、「芸能史研究」176号に論文を発表した。当該論文は「仮名手本忠臣蔵」七段目に関する実践的研究であり、「忠臣蔵」七段目の歌舞伎演出について、その実態及び特徴を明らかにするとともに、黄表紙における芸能表現が歌舞伎演出を明らかにする上で有効に活用できることを実証し、黄表紙上に残された芸能表現の資料価値及びその活用法を示すことができた。
著者
野上 元
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、現代日本における「戦争の記憶」の継承と断絶を課題とする調査研究であり、特に二つの柱を持っている。一つは、長野県下水内郡栄村における戦争体験の(継続)調査である。体験者の高齢化もあり、すでに聞き取りは困難だが、むしろその困難なプロセス自体が今しかできない本研究の意義となる。もう一つは、歴史博物館や平和記念館などによって展示・保存される「戦争の記憶」についての調査研究である。本研究における特徴を述べるとすれば、それを特に「地域」という枠組みにおいて考察する点にある。
著者
鹿内 信善
出版者
北海道教育大学
雑誌
年報いわみざわ : 初等教育・教師教育研究 (ISSN:02859300)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.73-88, 1991-03-25

アイヌ文学は、すべて口承文学であり、物語の展開がわかりやすいものが多い。それを教材とした場合,よほど意外性のある方向づけをしない限り、面白い授業になりにくい。そこで、本研究では、アイヌ文学を教材としながらも、トナカイから始まりサンタクロースで終わる授業を行ってみた。その授業記録を参照しながら、アイヌ文学の教材化可能性について検討する。今回は、アイヌ文学が備えている環境教育教材としての側面をとくに強調してみた。
著者
黒瀧 悠太 椎塚 久雄
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
no.109, pp.143-146, 2010-10-30

This paper discusses our listening evaluations of the affective values of different percussive rhythms consisted bytwo kinds of MIDI timbre. Two-way analysis of variance (ANOVA) (pattern×BPM) were used to analyze. The resultsconfirmed that affective values changed with changes in rhythms. The applicability of this study to music therapy isalso examined.
著者
佐々木 司 赤堀 正成
出版者
(財)労働科学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本研究は,昨今のVDT機器の小型化,軽量化,記憶蓉量の増大,高速ネットワーク化などによって、ここ5年間で増大した在宅IT労働の労働実態とそれが労働者の疲労に及ぼす影響を明らかにする目的とした。調査対象者は、2名の子どもを持つ核家族の主婦で、長子の年齢の上限が8歳であることなどの条件でスクリーニングをした15名の在宅IT労働者(平均年齢±標準偏差;34.6±3.9歳)であった。調査は、30日間にわたる生活時間調査,疲労感調査および身体活動量の測定から構成された。生活時間調査票は,労働者がIT機器に精通していることを鑑みて,表計算ソフトを用いて電子ファイル形式で作成された.具体的な調査項目は,睡眠,食事・飲酒,移動,IT労働,IT機器を用いない労働,家事,育児,入浴など全13項目であった。調査対象者には,30日間,これらの項目の有無を1マス15分の精度で,できるだけ項目の行為を行った時刻にチェックすること,もしそれができない場合は1日3度にわけて行うことを説明した.加えて起床時の疲労感および就寝時の疲労感を日本産業衛生学会産業疲労研究会撰の「自覚症しらべ」を用いて調べた.30日間の調査期間から平日延べ300日,休日(土日,祝日の意)延べ150日のデータを分析した.結果は、労働時間と疲労感の関係では、1日の労働時間が0.4時、6.8時間において疲労度の増加が示された。しかし8時間以上の労働時間は,労働時間0時間の疲労度と似ていた.そこで労働時刻分布を求めた結果、平日も休日も労働時間分布が似ており,両日とも最も労働を行っていた時刻が21時.23時,また平日では午前から夕方にかけて,休日で午後から夕方,そして深夜においても労働の挿入が示されていることが明らかになった。さらに労働の終了時刻が深夜になるにつれ、疲労感が増大することが明らかになった。
著者
岡本 健
巻号頁・発行日
2009-11-21

情報文化学会第17回全国大会. 平成21年11月21日. 東京都.
著者
田中 秀穂 青野 友親
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.255-266, 2009-02-23
被引用文献数
1

近年,大学の特許出願が増加しその管理費用が増加する一方,実施許諾収入の伸びは緩やかで両者はバランスしていない。大学の研究成果の活用促進には,特許の権利範囲を広く確保し企業が実施許諾を受けるのに十分な排他性を持たせることが必須であるが,大学が出願した特許の排他性を定量的に検討した報告例はない。本研究では,国立大学法人と医薬品企業から出願された医薬関連特許の排他性を出願のタイプ別,および明細書の記載事項の観点から分析し,両者に差があるかを検証した。その結果,大学から出願された特許は排他性の強い物質特許の比率が企業に比べて低いこと,各出願の明細書に記載された実施例においても,大学からの出願では権利範囲を確保するための記載が企業の出願に比べて十分ではないこと等が示され,企業が実施許諾を受けるだけの価値を見出しにくいことが示唆された。大学は発明者,知的財産担当者の協力のもとに,特許出願において排他性を強める努力を行う必要がある。
著者
吉江 路子 繁桝 算男
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.335-346, 2007-03-31
被引用文献数
5

本研究は,ピアノサークルに所属する大学生,大学院生77名を対象に,対人不安傾向と完全主義認知が演奏状態不安に与える影響を検討した。演奏状態不安の指標としてState-Trait Anxiety Inventory (Spielberger, Gorsuch, & Lushene, 1970)を用い,本番の演奏前後の状態不安を測定した。さらに,演奏状態不安の要因の指標として,演奏前に完全主義認知,演奏後に聴衆不安と相互作用不安,自己志向的完全主義を測定した。その結果,対人不安傾向のうち"聴衆不安",完全主義認知のうち"ミスへのとらわれ"のみが演奏前状態不安と正の相関をもった。また,これら2変数には交互作用が見られ,"ミスへのとらわれ"高群においてのみ,聴衆不安傾向が演奏前状態不安を有意に予測していた。これらの結果より,演奏者のパフォーマンスを高めるための実践的示唆が得られた。
著者
長澤 槙子 渡辺 知恵美 伊藤 貴之 増永良文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.69-76, 2007-05-11

近年MP3プレーヤの流行により,多くの人がたくさんの楽曲を聞く機会が増えてきている.楽曲には様々な音楽的特徴があり,楽器の種類,ハーモニーの変化,コード進行,リズムパターン,モチーフなどが挙げられる.そこで我々は,これらの音楽的特徴と作曲者,年代,ヒットチャートとの関係や,あるユーザの好みの楽曲の音楽的特徴の関係やユーザ同士の好みの楽曲の音楽的特徴の関係といったマイニングを行う.本稿では,以上に述べたことのマイニングを行うために,ポピュラー音楽を対象としたコード進行に着目した楽曲クラスタリングシステムを提案する.コード進行の類似度に関して,我々は音楽理論にて定義されている近親調をもとに定義した.Recently we have more chances to listen to a lot of music due to the spread of MP3 players. There are various features in music, including musical instruments, harmony, chord progression, ryhthm patterns, and motifs. Target of our study is mining of relativity among various features of music and their attributes, such as composers, date of release, ranking of hit charts, and among features of listeners' favorite music. In this paper we propose a music clustering system focusing on the chord progression of popular music for mining of the above relativity. We define similarity of chord progression according to relative keys defined by music theory.
著者
石井 宏典 イシイ ヒロノリ ISHII Hironori
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.21, pp.108-121, 2010-09

2009年衆議院総選挙では「脱官僚・政治主導」の旗印の下、歴史的政権交代が行われた。これまでわが国においては、官僚機構が最大のシンクタンク機構として時の政権の政治行政における知恵袋として機能してきた。しかし近年新たな民間非営利のシンクタンク、また政党シンクタンクの創設など日本のシンクタンク文化が大きく変化しつつある。シンクタンクの定義は各国の事情に即したものであり一概に確定しきれないが、本稿ではその歴史と動向を紹介し、萌芽期にある日本のシンクタンクの現状と今後の可能性を公共哲学の理念からシンクタンク論へと結びつけ、これまで調査委託研究が主であった調査型から提案型・提言型による「新しい日本型シンクタンク」の導入可能性について言及する。その実現への大きな三段階の柱を〈公共〉〈政策理念〉〈実践〉として、日本型シンクタンクの独自性を明らかにしたい。