著者
中澤 信彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.77-86, 2006-06

19世紀ブリテン思想史研究のマスターピースである『かの高貴なる政治の科学』の内容を約説し、本書のバーク研究およびマルサス研究における今日的意義を概括する。
著者
宮田 彬
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.43-46, 2007-01-10

晩秋の寒い朝,夜の間に灯火に来たアケビコノハやムクゲコノハの胸部に触っても彼らは飛ぶことが出来ない.その代わり翅を開いて,逆立ちするような威嚇姿勢を取り,後翅の目玉模様を露出し,翅を小刻みに振動させる(Miyata, 2005).目玉模様を持つガは敵に出会うと,自らその模様を見せびらかすらしい.しかし気温が高い夏の朝,ムクゲコノハに触ると直ちに飛び去る.晩秋の頃と反応が違う.ウチスズメも後翅に目玉模様を持つので,威嚇姿勢を取るかどうか試した.6月の早朝,白布に止まっているウチスズメの胸部をパチンと指ではじくか,触り,反応を観察した.驚いたガは脚を突っ張り尾端や翅の先端を腹方に強く曲げる.そのまま地面に落下する個体や白布に止まったままの個体もあるが,いずれも脚を突っ張って胸部を突き出し翅を腹方に曲げる運動と,力を抜き翅が水平に近くなる運動,つまり一種の屈伸運動を反復する.その運動を初めて観察した個体は地面に落ちてそこで屈伸運動をしたもので,35秒間に6回その運動を繰り返した.また触った時,白布に止まったままの1頭は35秒間に20回屈伸運動を繰り返した.屈伸運動のリズムは受けた刺激の大きさ,屈伸運動を始めてからの経過時間によって違う.この運動は後翅にある目玉模様を一層際だたせる効果があると考えられる.同属のコウチスズメの場合は,驚くと翅を広げ後翅の目玉模様を露出する.触った後,相当長い間,少なくとも10分以上,翅を開いたままであるが,ウチスズメのような屈伸運動は見られない.また後翅の赤いモモスズメやウンモンスズメも調べたが,触ると一瞬翅を開くだけで,コウチスズメのように長い時間後翅を露出することはなかった.その他のスズメガも同様であった.ウチスズメは古くから知られている普通種なのに今回発見した威嚇行動を,今まで誰も報告していなかったのは誠に不思議である.ヨーロッパと北アフリカに分布するウチスズメの近縁種S. ocellatusでも同様の行動が見られると予想される.誰か調べて欲しい.またヒメウチスズメは九州には産せず,威嚇行動が見られるかどうか調べることが出来なかった.
著者
山田 勅之
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.1330-1356, 2009

During the Ming Period from the Tianshun era (天順) on, the native official surnamed Mu occupied and ruled Tibetan regions, even Yongning in Yunnan and Yanjing in Sichuan which were regarded as native governance by the Ming Dynasty. Many documents record that the native official surnamed Mu acted as "buffer" for the Ming. Almost all earlier studies have pointed that this native official was under the control of the Ming Dynasty on the basis of such documents. This article intends to clarify the military activities of the native official surnamed Mu and how it governed the regions in question after its occupation of them, examine the perceptions and responses to that situation on the part of the Ming Dynasty and the region's Tibetan population, and consider the significance of such foreign expansion. First, concerning the Tibetan response to military activities within their region, the native official surnamed Mu was perceived not only as military rulers, but also guardians of the Karma pa sect of Tibetan Buddhism. Next, concerning military movements in Yongning and Yanjing, after a settlement was reached in 1535, the 14th year of the jiajing era (嘉靖) over territorial disputes among Lijiang, Yongning and Yanjing, the native official surnamed Mu refused to abide by the settlement and proceeded to occupy almost all of Yongning and Yanjing. Meanwhile, the conflict between the Ming Dynasty and the Tibetan regions continued unabated, a situation under which the native official surnamed Mu's invasion can be viewed as matching Tibetan anti-Ming activities, which probably explains the silence concerning his occupation of Yongning and Yanjing. In other words, a reciprocal relationship was established between the native official surnamed Mu and the Chinese world, a relationship that would continue for generations. It was in this way that he achieved political autonomy and displayed its ability to maintain social order throughout the Ming Period.
著者
坂本 信雄 Sakamoto Nobuo
出版者
京都学園大学経営学部学会
雑誌
京都学園大学経営学部論集 (ISSN:0916734X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.15-26,折り込2P, 2014-03-01
著者
江渡 浩一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.41, pp.11-18, 2007-05-11

WikiWikiWeb (Wiki)は、1995年にウォード・カニンガムによって開発された Web 上の情報共有システムである。Wiki は建築家クリストファー・アレグザンダーによるパターンランゲージの概念から考え出されたシステムであり、利用者が設計に参加できるようにするという目的が存在していた。また、同じ出発点を持つ方法論として XP (エクストリーム・プログラミング)があり、両者は目的設定において非常に近い関係にある。本論では、ウォード・カニンガムが Wiki を作り上げた経緯を出発点とし、どのように Wiki が発展していったのかを概観することによって、Wiki が本来持っていた目的とは何かを明かにすることを試みる。WikiWikiWeb (Wiki) is an information sharing system on the Web developed by Ward Cunningham in 1995. Wiki is derived from pattern languages proposed by Christopher Alexander, a building architect. The original goal of Wiki is helping users participate in design processes. The XP (Extreme Programming), a methodology for software development, also has similar backgrounds and goals. In this paper, I describe the history of Wiki and try to confirm the original goal of Wiki.
著者
岩井 洋
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.5, pp.79-89, 2004-03

日本人の宗教観や宗教意識を表現する際に,しばしば使われるのが「無宗教」や「無神論」といった表現である。本稿では,「日本人=無宗教」あるいは「日本人=無神論」という言説が生まれた背景を探るとともに,日本人が無宗教・無神論であるのかについて検討する。そして,それを踏まえて,日本宗教と異文化における宗教との比較研究を深化させる視点や,グローバル化状況における日本宗教を理解する視点を提示したい。
著者
山田 奨治
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.201-226,xii, 2002

ドイツ人哲学者オイゲン・ヘリゲル(一八八四~一九五五)は、日本の弓道を通して禅を広く海外へと紹介した人物として知られている。しかしながら、彼の生涯の全体像について、とりわけ幼少期と来日前後の活動状況、戦前・戦中のドイツを支配していた国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)との関連については、いまだ明らかではない。本論文では、ドイツ南部にある複数の文書館から見出された未公刊資料をもとに家族歴と来日前後の活動を解明し、へリゲルの生涯の再構成を試みた。 その結果、(1)ヘリゲルは来日以前にハイデルベルクで多くの日本人と接触し、禅に関する知識は大峡秀榮と北昤吉から得ていた、(2)へリゲルを知る者のなかには、彼の人間性に疑問を投げかける者もいた、(3)へリゲルは帰国後ナチスに入党し、エルランゲン大学学長として地方政治に関わったことにより、戦後非ナチ化法廷によって罪に問われ、「消極的な同調者」の判決を受けた、の三点を明らかにすることができた。 資料の分析をとおして垣間みえたことは、ヘリゲルとナチスの関わりを消そうとする力の存在である。この力は彼を精神的な人としてイメージするのに必要な、暗黙の共通意志のようなものである。そういった力こそがヘリゲルのいう「それ」ではないだろうか。 本論の付録として、ヘリゲルの非ナチ化裁判に関する弁明文の参考訳を付した。
著者
竹林 幹雄 黒田 勝彦 杉田 孝 吉田 純土
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.613-618, 2003

本論文では, 旅客のチケット予約行動においてウイナー過程を仮定した最適SICモデルを構築することを目的としている.特に最適シートブロックとチケット販売期間の構成に着目した.まず, 特定のフライトにおける旅客のシート予約を販売座席数と予約時間の関数として定式化した.次にモデルが伊藤積分によって最適解が求められることを示した.続いてモンテ・カルロ・シミュレーションにより数値計算を行い, シート・プロテクションと販売期間の関係を明らかにした.最後にオーバーブッキングの効果について検討し, その結果, シート・プロテクションごとに最適OB率が存在することが示された.
著者
山角 博
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.423-440, 1969

著者は思春期心性を離人症との関連において理解するために,知的に比較的正常ないし上位にあると思われる高校生915名に,CMI,クレペリンテスト,離人感に関するアンケートなどの心理テストをおこない,さらに問題があると思われる生徒には,面接,ロールシャッハテストをもおこない,その結果を検討するとともに,思春期離人症例との比較考察をおこなった。そして次の諸点を認めた。1)正常な思春期の過程にも,神経症的傾向を示すものがみられる。2)離人感は思春期においては,正常な人々にも,特に内省的な人にはしばしば体験される。3)調査した高校生のうちで,特に離人状態群として分類された生徒に,思春期に特有な心性と思われるものが顕著にみられた。4)離人症と思春期心性にな,密接な関係がみられた。5)思春期において,両親からの分離独立,自己同一性の確立の失敗により,自己不全感,自己同一性の混乱をもたらしたものが離人症を招く可能性があると考えられる。6)離入状態群に分類された生徒では,その離人感は流動的であり,葛藤の固定化にまで至っていないのに対し,思春期離人症者では,離人感はより深刻であり,自我機能の制限,さらに自我の分裂にまで至る場合がある。
著者
堀田 裕子 松崎 那奈子 萩原 孝泰 井上 康子 小川 博
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.33, pp.64, 2017

<p>スマトラオランウータンはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に指定される希少動物である。また,国内個体数が少ないことから,種の保存のために動物園で計画的に飼育下繁殖を進めていくことは重要である。そのために園間同士での個体の移動は必要なことである。一方で,動物の輸送には身体的および精神的ストレスが伴う。動物はストレス因子が極度の場合生理学的機能が激しく損なわれ死亡することがある。コルチゾールはストレスの指標となりうるホルモンであることから,尿を用いて非侵襲的にそれを測定した。昨年スマトラオランウータンの園内での新獣舎への移動,および園間またいでの移動が行われた。この際のストレスについて検証すべく,スマトラオランウータン雌1頭雄1頭を対象として,尿中コルチゾール濃度をEIA法を用いて測定し,その動態を追った。またそれと同時に行動観察を行い,行動と生理の面からそのストレスについて調べた。雌雄また園内と園間それぞれ,コルチゾール濃度および行動に変化がみられた。その結果からストレス要因およびストレス軽減要因について考察し報告する。</p>