著者
藤井 尚子 戸苅 創 鈴木 賢一 小松 弘和 森田 明理 小田 久美子 岩田 広子 小黒 智恵子 村瀬 裕
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、入院患者が着用する衣服である「病衣」について、名古屋市立大学附属病院の看護部や化学療法部の医師と連携し学際的研究チームを構成し、現状の病衣の実状調査をふまえ「脱着容易性」と「患者の回復意欲の向上」に重点をおき、名古屋市の伝統技法「有松・鳴海絞り」の伸縮性を応用する病衣デザインの開発と研究を進めた。成果は以下のとおりである。(1) 国内外における病衣および療養環境の先行研究調査に基づく中長期療養型病衣の提案(2) 容易な脱着性を実現する病衣の基本的構造およびデザイン要件の抽出「有松・鳴海絞り」を活用した病衣プロタイプの製作および検証(3) 病衣デザインの公的発表
著者
有木 康雄 滝口 哲也
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研課題では、スポーツ実況放送の音声認識、及び状況理解を目的としている。状況理解により、スポーツ実況放送のシーンを構造的な単位に分割し、検索のためのメタ情報として利用可能とする。本研究課題では、確率的な枠組みに基づく音声と状況の同時認識、スポーツの進行に伴う状況変化のモデル化、状況に基づく音声認識モテルに特色がある。状況変化モデルは、発話された音声を認識し、発話内容に基づいてイベント推定、及び状況の遷移を行うモデルとなる。ここでは特に発話内容からのイベント推定が重要となる。本研究では、多様な発話を高精度に分類可能なAdaBoostを推定のためのモデルとして用いた。ただし、AdaBoostの出力は確率ではないことから、スコアをsigmoid関数により擬似確率化して用いた。また、AdaBoostを行う際の特徴量として、単語順序を考慮可能な手法であるDTA-Kernel PCAについても研究を行った。状況に基づく音声認識では、状況に応じて変化する言語的・音響的変化に対し、音声認識のモデルを適応する手法について研究を行った。本研究では、それぞれ状況に対応した複数の言語・音響モデルを構築しておき、認識時にモデルを切り替える手法を用いた。状況依存モデルの尤度、及び発話内容からの状況推定の尤度を統合し、最大化することにより、音声認識と状況推定を同時に行った。スポーツ実況放送では、興奮した音声を含む場合があり、興奮音声の認識は通堂の音響モデルでは困難である。研究課題では、さらなる認識性能向上のため、新しい音声認識特徴量、発話スタイルの変動に頑健な音響モデルについても研究を行った。
著者
小野 恭靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

今年度は昨年度に引き続き、諸図書館・文庫などに所蔵されることば遊び関連文献資料の閲覧調査、及び複製の収集を行った。具体的には国立国会図書館、東京都立中央図書館、早稲田大学図書館、京都大学附属図書館、京都府立総合資料館、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター図書室、大阪府立中之島図書館、大阪市立中央図書館を訪ね、ご所蔵のことば遊び関連文献(写本・版本)の閲覧と複製の収集を実施した。今年度はきわめて多岐にわたることば遊び資料の閲覧が叶った。また、自ら古書店を訪ね、研究費の一部を用いて、貴重な江戸期のことば遊び文献資料(文字絵関係資料、三段なぞ関係資料を中心とした諸種のことば遊び資料)を購求し、大阪教育大学図書館に蔵書として収めることができた。そして、それらの一部については『学大国文』誌に翻刻紹介をし、広く公開を図った。ことば遊び研究に関わるその他の実績としては、高校生向けの啓蒙的な文章を執筆し、大阪桐蔭高等学校発行の教育研究誌『桐』に二度(「回文・倒言・アナグラム」と「早口ことば」)にわたって発表した。また、今年度も、歌謡文学に見られることば遊びの分析を文献調査と並行して行った。中でも昨年度に引き続き、ことば遊びときわめて関連の深い子どもの歌謡(以下、「子ども歌」と呼ぶ)を対象として研究を実施した。この「子ども歌」の研究成果の一端は、医療生活協同組合編『comcom』誌上に連載エッセイの形で発表した(本成果についてはエッセイのため裏面の「雑誌論文」からは除外した)。また、NHKラジオ第二放送「私の日本語辞典」に出演し、「子ども歌の系譜」と題して40分の番組を4本収録した(放送は平成20年4月)。
著者
猶木 克彦 副島 研造 池村 辰之助 浜本 純子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

EGFR変異陽性肺癌にはEGFR阻害剤が著効するが、多くは1年以内に増悪(耐性化)するため、その克服が重要である。細胞株を用いた検討により、これまで報告されていない繊維芽細胞増殖因子(FGF)および受容体(FGFR)が、EGFR阻害剤耐性に関与することを明らかにした。臨床検体では、FGF9高発現が肺癌患者の予後に関係することを見出した。FGFを肺上皮細胞に導入すると形質転換し、免疫不全マウスでの腫瘍形成が促進し、FGF阻害剤によりそれが抑制された。FGF/FGFR経路が肺癌の予後・腫瘍形成・耐性化に関与しており、治療標的となることを、細胞株から臨床検体レベルまでにおいて系統的に明らかにした。
著者
高田 弘一
出版者
札幌医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

Stabilized Alpha-Helix of BCL9 peptide (SAH-BCL9) を設計・合成し,SAH-BCL9 が Wnt/β-カテニン転写活性を特異的かつ効果的に阻害し,大腸癌細胞株の増殖を抑制するのみならず、大腸癌の浸潤・転移、血管新生を抑制することを明らかにした. SAH-BCL9 は BCL9/Wnt シグナルが活性化している大腸癌において新たな分子標的薬として有用である可能性が示唆された.
著者
木原 誠 朱雀 成子 早瀬 博範 吉岡 剛彦 相澤 照明 相野 毅 田村 栄子
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

三年間に亘る本研究の目的は、「国際文化学」の理念構築、及びその建築された理念を速やかに教育現場で実践していくための教育図書を備えた研究の出版にあった。この目的は、一昨年の『ヨーロッパ文化と日本』、昨年度の『歴史と虚構のなかの<ヨーロッパ>-国際文化学のドラマツルギー』(共に昭和堂)の出版において一つの結実をみた(さらに、今年度は『国際文化学と<旅・移動>』という表題で出版を予定)。研究に関してはすでに二冊の教育研究図書刊行により、すでに十分、企図を達成していたことから、最終年度にあたる平成19年度は、やや不十分であった実践的側面に重点をあてることを最大の課題に掲げた。その具体的成果は、佐賀大学文化教育学部に一昨年より新しく開講された「国際文化学概論」での教育の実践、具体的には、本研究により出版された二冊の図書を教科書に用いて、本研究の研究者全員がオムニバス形式で授業を行ない、その後、改善の検討会議を行なうことにより遂行された。また、本年度は、これまでの本研究成果を踏まえて、国際文化学会の研究会を「B面の国際文化学」という表題のもとで、佐賀大学で開催したことも特記しておきたい(尚、本研究の成果のあらましは、国際文化学誌、平成20年度『インターカルチュラル』で、「佐賀大学における国際文化学の歩み」という表題で掲載予定)。
著者
岡本 洋輔
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

日中における暴露光の波長(色)が覚醒・認知に与える影響について検討した.異なる波長の光に暴露した条件下で認知課題を遂行しているときの脳波・脳磁界を解析した結果,短波長(青色)の光に暴露されているときには,他の波長の光に暴露されているときよりも認知処理に係る大脳活動が大きく変化した.これは,日中における青色光への暴露は認知処理機構に影響を与えることを示している.
著者
李 豪潤
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究17-19世紀の日中韓の儒学思想の展開を中心に、東アジア知識人の対外観および交流史を明らかにした研究である。殊に17-19世紀の日本・中国・韓国の知識人・民衆の交流および、書籍の移動に伴う知の連鎖・知のネットワークを通じて東アジア思想空間を総合的に研究するきわめて重要な位置を占めている。そして、本研究で試みた17-19世紀の中国の思想展開と朝鮮王朝・徳川思想の比較研究は、近代以降のそれぞれの歴史展開の分岐をより明確に理解する上でも重要な課題であろう。
著者
岡本 悦司 神谷 達夫
出版者
福知山公立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

特定健康診査・保健指導によるメタボ医療費の抑制効果を評価するため,医療給付実態調査のレセプトデータより,2010~13年度の4年間に継続して被保険者であった者について,メタボ疾患を主傷病とするレセプトの医療費の伸びを追跡した。突合人数100人以上の1038組合484万6222人を対象とした。4年間のメタボ医療費の平均伸び率の分布は,1.05~1.1に最多の330組合が分布しており,歪度1.81と右側(=医療費増加)に偏っていた。若干の加齢による影響も加味しなければならないが,各保険者がメタボ対策にとりくんだ4年間においても明確なメタボ医療費削減効果は観察されなかった。
著者
重田 謙
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

後期ウィトゲンシュタイン(Ludwig Wittgenstein, 1889-1951)の言語の意味に関する洞察に基づいて,「意味のデフレーショナリー理論 (DMLW)」という意味に関する独自の理論を提唱し,①解釈の観点から,DMLWが後期ウィトゲンシュタインの意味をめぐる議論と整合的であるかどうかを検証し,②解釈とは独立した観点から,DMLWが意味の理論として妥当であるかどうかを検証し,それによって③DMLWがこれまで提唱されてきている意味論とどのような関係に立つのか,その位置づけを解明してきた.
著者
苅宿 俊文 郡司 明子 刑部 育子 茂木 一司 古川 聖 戸田 真志 植村 朋弘 佐伯 胖 高木 光太郎
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の研究成果は3点ある。その概要は、1、WSは参加者、ファシリテータ、活動対象の3つから構成されていることを基に、F2LOモデルを定義した。2、WSの3つの構成要素は、相互間の関係性の分析を重層的な視点から組み立ていくことの重要性を指摘した。そして、WSにおけるコミュニケーション構造は「位置づく-見立てる-味わう」の3つの場面の重層的な関係性を調査した。3、WSの重層的な関係性を分析していくために、iOSアプリ「デキゴトビデオ」を制作した。この「デキゴトビデオ」は、映像の編集を簡単に出来ることで臨床的な調査に適したツールである。今後、学習環境デザインの分野で活用することが期待されている。
著者
薮下 聡 森田 将人
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

複素座標法は、量子力学的準安定状態である共鳴状態の位置と寿命を、非エルミートな固有値問題を解くことで直接決定する理論的手法であるが、実際の応用に際して、基底関数の選択など技術的に困難な側面を持つ。本研究は、複素数軌道指数を含む基底関数を用いてそれをエネルギー勾配法で最適化するなど、いくつかの計算科学的な技法の開発によってその問題点を解決するとともに、具体的な系に応用するものである。
著者
渡邊 賢一 馬 梅蕾
出版者
新潟薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

糖尿病性心筋症や不全心筋のエネルギー変化を画像化することを目的とした。脂肪酸代謝機能を評価する標識薬剤として[I-131]9MPAを,糖代謝機能を評価する薬剤として[C-14]2DGを、交感神経機能として[I-125]MIBGをそれぞれ用いた。心不全モデルラット・糖尿病モデルDN14-3-3トランスジェニックマウスを作成し、代謝異常と遺伝子異常を検討中した。(1)自己免疫性心筋炎後心不全モデルラット・糖尿病モデルDN14-3-3トランスジェニックマウスを作成した。8週齢Lewisラットに精製したブタの心筋ミオシンを後足の皮下に注射し、感作すると自己免疫性心筋炎が発症する。我々の方法では疾患発症率が100%である。炎症により傷害され脱落した心筋組織は線維組織で置換され、慢性期には心室拡張と心機能低下により拡張型心筋症類似の病態となる。DN14-3-3トランスジェニックマウスにストレプトゾトシンを投与し糖尿病マウスを作成した。血糖値が正常マウス100mg/dlから約300-500mg/dlに上昇した。(2)血行動態を測定・心エコー検査を行った。心不全ラットでは、吸入麻酔下に各群ラットの外頚静脈と大腿からカニューレを挿入し、血行動態測定装置でそれぞれの心拍数・血圧・中心静脈圧・左室収縮圧・左室拡張末圧・心筋収縮力を測定すると、明らかに病態モデルと正常モデルで差がみられた。各群ラットの心エコー検査を行い、心室壁厚・心室内径・心筋の収縮力測定による心機能評価も同様であった。(3)モデル動物に、[I-131]9MPA・[C-14]2DG・[I-125]MIBGを投与し、画像化(TLC像・BAS5000画像・病理組織像など)した。不全心筋では、9MPA・MIBGの取り込みが低下し2DGの増加が見られた。
著者
佐藤 博明 石橋 秀巳
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

火山噴火には爆発的噴火と非爆発的な噴火様式があり,それぞれ防災対策は異なり,噴火様式の違いを生む機構の解明が求められている.この研究では富士火山等について,噴出物結晶組織・組成の分析から,噴火様式を左右するファクターとして浅所でのマグマ脱ガスの程度,及び最終的な浅所火道でのマグマ上昇率が重要であることを示唆した.また,噴火様式を左右する要因である結晶を含むマグマの粘性係数測定をショショナイト,海嶺玄武岩等について行った.
著者
内藤 林 谷澤 克治 箕浦 宗彦 高木 健 木原 一 野澤 和男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

強非線形の流体現象の数値計算できる可能性があると判断した粒子法について3年間の研究で以下の成果を得ることができた。1.粒子法の有効性を計算と実験値を比較することで示した。すなわち、粒子法が、衝撃的な短時間に生起する強非線形現象、例えばスラミング、デッキウエットネスなどの現象をよく表現できることを我々自身の実験と計算で確認した。2.粒子法は、その計算領域が大きくなるとそれに従って計算時間はうなぎ昇りに長くなる短所を持つ。このことを解決するために、計算領域の境界から波の反射を無くすため、そこに完全波吸収システムを設置する手法を示し、その有効性を確認した。この波吸収システムは研究代表者が他の研究で開発したシステムであり、それを粒子法に合うように改良し、成功を収めた。このシステムを設置した境界における波エネルギー吸収量を計算した結果、ほほ100%の波吸収を実現でき、境界からの反射をなくすことができた。3.波動場の計算領域を狭くするために、水底をどこに設定するかも、計算時間に直接的に響くとともに波が伝播するうちに減衰する計算上の現象を解決する上からも重要な問題である。そこで、有限水深の水底を波動運動させる手法を導入した。水面上の撹乱から計算水底境界の撹乱を推定し、それに基づいて水底を強制的に動かすことで波の減衰を大幅に減ずることができ、水深に関して計算領域を画期的に減ずる事を可能にした。4.3次元現象の解明のために、粒子法計算コードを3次元問題への拡張を図るためには、計算時間の短縮化技術が必要である。その目的のために、並列化計算手法を完成して大幅な時間短縮技術を完成した。5.自由表面上で波動場中で前進速度をもった船舶に起きる3次元強非線形現象の計算プログラムを作り、数例の計算例を示すことができた。6.前進速度を有する二次元船舶の運動計算を行い、従来計算が不可能であったポーポイジングなどの現象を計算上で得ることができるようになった。7.工学に必要な力の計算において、考えられない、実験値にもない高周波数の変動が計算値に現れていた。この現象を補助方程式を使うことによって除去できる計算法を完成させた。このことによって工学で最も大切である、物体に働く力の計算精度向上に大きな前進を示した。8.船舶海洋工学分野で難しい強非線形問題に、この粒子法が極めて強力な計算手法であることを、他の各種の具体的な問題を通じて明示した。9.この手法を広く国内外に周知するために国内外の論文雑誌に投稿するとともに、国内外の各種会議に積極的に出席し衆知してきた。多くの国外研究者からの問い合わせを受け討論を深めることができた。
著者
浦西 和彦 増田 周子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

大阪出身の著述家、大阪で活躍した文学者の著者別の書目である。明治から現代までを取り扱っている。対象とした著述家は、宇田川文海、渡辺霞亭、村上浪六、西村天囚、角田浩々歌客、菊池幽芳、河井酔茗、中村吉蔵、小林天眠、久津見蕨村、木崎好尚、高安月郊、上司小剣、斎藤弔花、薄田泣菫、奥村梅皐、食満南北、今中楓渓、石丸梧平、直木三十五、宇野浩二、渡辺均、北條秀司、長谷川幸延、藤沢桓夫、武田麟太郎、井上友一郎、織田作之助、河野多恵子、谷沢永一、向井敏、開高健の33名である。
著者
高田 豊 安細 敏弘 邵 仁浩 粟野 秀慈 中道 郁夫 吉田 明弘 後藤 健一 園木 一男 藤澤 律子
出版者
九州歯科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

心機能と口腔機能の関連について高齢の患者で検討した。心機能は携帯型24時間心電図と心エコー検査と血清NT-pro-BNP濃度で、口腔機能は歯数、アタッチメントロス、ポケット深さ、アイヒナー指数で評価した。重回帰分析を使用して性別と年齢の影響因子を補正しても、アイヒナー指数と上室性期外収縮、心室性期外収縮、心室性頻拍に有意な関係を認めた。現在歯数と心室性期外収縮連発、上室性頻拍との間にも関連があった。本研究結果から、咀嚼機能や残存歯数と不整脈の間には関連があることが示唆された。
著者
澤田 治
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、自然言語におけるスケール性の意味・機能上の役割について、意味論と語用論のインターフェースの観点から考察した。具体的には、程度副詞、比較表現、モーダル指示詞、指小シフト等のスケール現象に焦点を当て、真理条件的なスケール的意味と非真理条件的なスケール的意味(慣習的推意)の関係について考察した。本研究により、(i)スケール性は、狭義の意味論レベルのみならず、ポライトネス、発話モード、会話の優先性、感情表出等が関わった意味伝達(語用論)の次元においても重要な役割を果たしており、(ii) 意味論レベルのスケール構造と語用論レベルのスケール構造の間には平行性があるということが明らかになった。
著者
厚 香苗
出版者
神奈川大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

ソウル特別市冠岳区の三地点において、露店をめぐる観察および聞き取り調査をおこなった。各調査地点における露店の概要は以下のとおりである。(1)地下鉄2号線ソウル大入口駅付近-行政管理型の露店冠岳区が推奨している「デザイン露店」が夜間を中心に営業している。「デザイン露店」は都市美観に配慮した機能的な露店である。区から営業可能な時間と出店場所が指定されている。(2)冠岳山入口付近-行楽地型の露店冠岳山はソウル南部で気軽に登山を楽しむことができる観光地で、中高年の登山客でにぎわう。その登山口には「デザイン露店」もあるが、人の通りが多いところは「不法露店」が占めていて、登山の途中で食べる餅、蒸かし芋、海苔巻などの軽食を売っている。気候の良い時期の昼間の商いである。(3)6洞市場-在来市場型の露店新林再整備促進地区の中心に形成されている在来市場である。小規模小売店と露店商が混在している。露店商と常店の商人が、野菜や豆腐など、同じ商品を扱っていることもあり、露店と常店の違いはあいまいである。ここの露店のほとんどは「不法露店」だと考えられる。
著者
白井 英子 小川 貴代 吉田 礼維子 山本 愛子
出版者
天使大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、食行動上のプロセスに障害がある在宅独居高齢者の食行動と食満足との関連性を明らかにし、さらに集団的介入を試み、その効果を質的に分析した。その結果、以下の事項が明らかになった。1.在宅障害高齢者の食行動は、入手行動では「自分で買い物をする」「買ってきてもらう」「野菜づくり」「買い物に行けない理由」「食材入手の要因」、調理行動では「自分でつくる」「つくってもらう」「自分でつくる意欲」「調理できない理由」「調理サポートの受けとめ」、摂食行動では、「自分の手で食べたい」「食事環境」「食べる理由」から構成されていた。2.食満足は「おいしい」「食べたい」「食の伝承」から構成され、食満足に影響する食行動の要素は、「自分の手で」「好きなもの」「食の情報」「味へのこだわり(自分の味・昔の味)」であった。3.食満足に影響する調理・摂食行動の要素は、「温かいもの」「食べたいとき」「誰かと食べたい」「外で食べたい」であった。これらの要素を充足する方法としてグループで調理をして一緒に食べる集団的介入(食事会)を実施した。その結果、食事会では、「みんなでつくる」「みんなで食べる」という共同作業と場の共有から「楽しい」「おいしい」体験が得られ、それらが「つくる意欲」に関連しており有効であった。さらに、定期的な開催の要望があり、生活の意欲にも影響を及ぼしていることが明らかになった。4.本研究の対象は、都市環境で生活している独居高齢者で厚生労働省生活自立度(寝たきり度)判定のJとAランクにある比較的障害が軽度である者であった。今後、障害の程度が重度である高齢者に対する食満足を高めるための介入方法の検討、在宅障害高齢者を取り巻く地域環境の差を考慮した高齢者の食生活の質を高める援助策を検討する必要がある。