著者
森田 繁春
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. I, 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-13, 1994-09

E.E.カミングスの詩"anyone lived in a pretty how town"については,言語学者もさまざまな分析を試みている。本論文では,それらの研究の特徴を3つに分類しその概要を述べた後,ローマン・ヤコブソンらによって提唱された構造主義詩学の方法が文芸批評と言語学的分析を繁ぐ方法として有効であることを,実際に当該の詩を分析することによって示す。Various linguistic approaches have been proposed to e.e.cummings's"anyone lived in a pretty how town."They are roughly classified into three types,grammatical,lexical and structural,the barest outlines of which we shall first give and then insist that the method of structuralist poetics by Jakobsonian linguists can possibly be a connection between literary criticism and linguistic analyses of this poem.
著者
木村 仁 高島 俊
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, 2000

エアーリード楽器の一種である尺八は人間の指と口顎部を微妙に動かすことで様々な奏法を繰り出すことができる。その人間の微妙な動作を機械システムで実現しようというのが本研究の目的である。今回は自動演奏ロボットにおける全体的な構想および実際に開発した運指部・口顎部の機構システムについて報告する。
著者
池田 幸代 大川 一郎
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.23-35, 2012-03

本研究の目的は,保育者のストレス評価の特徴に注目し,保育者のストレッサーは職場や職務に対する認識が媒介することによって変化が生じ,その結果職務に対する精神状態に影響をおよぼすという構造仮説モデルを,保育士と幼稚園教諭という職種別に検討することである。具体的には保育士119名と幼稚園教諭114名を対象に質問紙調査を実施し,パス解析を行った。その結果,保育者の認識の媒介効果は部分的に証明された。保育者の認識のうち保育者効力感を規定するポジティブな効果がみられた媒介変数は,保育士・幼稚園教諭ともに「専門職としての誇り」「保護者・子どもとの信頼関係」であった。「職場の共通意識」は,保育士の場合はバーンアウトを低減させる効果が示されたが,幼稚園教諭の場合は媒介変数としての効果は何もみられなかった。よって,保育職一般にとっては職務における個人的なやりがいや満足感といった認識はストレス軽減に関与し,職場内のまとまりや共通意識は,保育士にとってはストレス軽減要因となるが,幼稚園教諭にとってはストレス評価に関与しないという現状が明らかになり,保育職のうち職種の違いによって独自のストレッサーおよびストレス関連要因の存在が示唆された。今後,これらの要因を調整することにより,保育者の精神的健康が守られることが期待され,ひいては子どもの健全な発達援助の一助になると考えられる。
著者
Pope Edgar W.
出版者
北星学園大学
雑誌
紀要 (ISSN:03871932)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.31-44, 2000
著者
津上 智実 Motomi TSUGAMI
出版者
神戸女学院大学研究所
雑誌
神戸女学院大学論集 (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.201-210, 2015-12

米国ハーヴァード大学ホートン・ライブラリー所蔵のアメリカン・ボード宣教師文書(American Board of Commissioners for Foreign Missions Archives, 1810-1961, Call No.ABC 1-91)の調査を2015年9月16日から4日間行い、イライザ・タルカット、エリザベス・タレー、シャーロット・バージス・デフォレストの3人を中心に書簡の収集を行った。この宣教師文書は、1810年から1961年までの150年間に世界各地の宣教師から寄せられた書簡類を中心にまとめたもので、全長385メートルに及ぶ膨大な史料群である。これまでに858巻のマイクロフィルムが作成されているが、全体から見れば極一部でしかない。本学図書館が所蔵するマイクロフィルムには、タルカット書簡62通、タレー書簡21通、デフォレスト書簡60通が収められており、それらの予備調査を行った上で渡米した。現地調査の成果として、1)マイクロフィルムでは解読困難な手書き書簡を中心にデジタル・カメラでの撮影を行って鮮明な画像を得ることができた。 2)マイクロフィルム化されていない史料の中に、婦人伝道団宛のタルカット書簡46通を始めとして、メアリー・ラドフォード書簡2通、デフォレスト書簡(1920年代)221通、同(1930年代)約180通、同(1940年代)63通、"Kobe College"と題されたファイル3冊とボックス2箱があり、大量の史料が手つかずのままになっていることが判明した。 3)史料の一部は傷みが激しく、早急に対策を講じる必要があることが痛感された。この調査は、本学研究所の「総合研究助成」による研究(研究課題:宣教師文書の解読と解明~デフォレスト文書を中心に~)の一環として行ったもので、収集した画像を活用して、今後書簡の解読を進めていく計画である。
著者
野口 将人 田島 ゆう子 松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.82, pp.15-20, 2001-08-04
被引用文献数
3

筆者らは尺八譜の情報処理システムの研究を行ってきた.今までに様々な機能拡張や仕様変更を行ってきたため、動作が不完全な機能、他の機能との整合性が取れなくなった機能、使用不能となった機能等の不都合も生じてきた.尺八譜のための標準データ形式 COMSO の譜字コードが新たに改定されたこと、都山流、琴古流、竹保流の3つの主な流派に対応可能となったことに伴い、今回、システム全体にわたって機能の再調整と強化を行った.特に譜字の入力・編集機能、印刷機能、標準MIDIファイルでのデータ互換機能の強化を行い、新しい「尺八くん」として一応の完成を見たので報告する.The authors have been developing Shakuhachi tablature information processing system. During the development, a lot of functions have been added and some specification changes have been mede to the system. As the result, some functions have been incomplete, unavailable, or inconsistent with the other functions. In order to solve these problems, we have modified and upgraded the system based on new COMSO, and we obtain the perspective that the system will be applicable for Shakuhachi tablature production and publication.
著者
文沢 義永
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.176-186, 1971-09-30

1.日本の神話伝説については,従来,文献学,倫理思想史,神話学の立場から論究されてきたし,最近は文化人類学の立場から研究されつつあるが,心理学的立場からの研究はきわめて少ない。2.日本の神話伝説についての意味づけ,受けとめ方を心理学的に研究するとしても,具体的にはどんな側面をどんな方法で行なうかについて,まだ十分に論議されていない。本研究では,一般的な日本神話の概念を自由記述式の質問紙法,Semantic Differentia1法,因子分析法によってデータを収集し分析した。3.自由記述式質問紙法によると,現代の小中学生は神話物語についての知識が貧弱であり,それに対する感動性も弱い。神話物語を現実性や合理性の立場から受け取ろうとする傾向があり,男子よりも女子の方はその物語を読もうとする関心が高いようである。4.日本の神話伝説についてrelevantに表現すると思われる形容語句を46対選定し,この尺度上にそのイメ一ジを7段階で,高校生,大学生,一般成人に評定させた。その結果に基づいてセマンティック・プロフィールを描いてみると,一般に大学生は日本の神話を否定的な方向に受けとり,高校生と一般成人は肯定的な方向に受けとっている。男女の差では大学生よりも高校生の方が著しいことがわかった。5.大学生グループと高校生グループの形容語対に対する回答データについて因子分析してみると,第I因子幸福性第II因子伝統性第III因子活動性と神秘性第IV因子複雑性と真実性第V因子親近性の5因子が算出された。6.日本の神話伝説についての心理学的な研究の意義および研究方法論について考察を加えた。日本の精神的文化遺産として神話に親しみを愛情をもち続けることが,日本人らしい倫理的情操につながることであろうと思われる。
著者
三浦 香苗 長澤 陽平 石井 正子 Kanae MIURA Yohei NAGASAWA Masako ISHII 千葉市立宮崎小学校 植草幼児専門学校 Miyazaki Elementary School in Chiba-shi Uekusa Kindergarten Teacher Training School
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 = GAKUEN (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.761, pp.27-39, 2004-02-01

The purpose of this study is to investigate how contemporary college students perceive destroying living things. In Study 1, an attempt was made to make a scale incorporating factor analysis of various items concerning destroying lives. The result extracted three subscales: "brutal destruction for play", "destruction for human living", and "destruction for educational practice". In Study 2, we examined relationships between the three subscales and student past experiences. Results showed that the three subscales had correlations with "wild play experience" and "experience of gathering food". In Study 3, the scale of destroying lives was completed, and the correlation with human living experience and their sense of life value were investigated. The results showed that experience of keeping a pet worked negative toward "brutal destruction" and "dissection". Also, "field play experiences" and "experiences in home" worked positive toward "dissection".

1 0 0 0 IR 重力の観念史

著者
奥村 大介
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.129, pp.43-72, 2012-03

投稿論文Dans cet article, nous voudrions tenter de faire une analyse diachronique des idées relatives à des notions telles que la gravitation, la pesanteur et la chute depuis l'Antiquité jusqu'au vingtième siècle. Certes, la gravitation dans le sens scientifique est la fruit du temps moderne, si bien que l'essai de la chercher dans l'Antiquité risque de retomber dans l'anachronisme. Donc, ce que nous voudrions essayer de faire est plutôt de traiter des notions comme "a gravitation", "la pesanteur", "l'attraction", "la chute" etc. dans le contexte extra-scientifique et culturelle pour en donner un relief de l'histoire intellectuelle là-dussus. En un mot, on pourrait qualifier notre effort de "la généalogie philosophique sur la pesanteur". L'idée moderne de la gravitation est le sujet de l'histoire des sciences avec les génies comme Kepler, Newton et Einstein etc. Mais ici, nous recherchons les émergences d'idée de la gravitation ou la pesanteur dans les domaines alentour de l'histoire de la philosophie, la littérature, la penseé religieuse et la penseé sociale comme Platon, Dante, Bossuet, Charles Fourier, Italo Calvino, Simone Weil etc., parallèlement au développement concomittant des idées scientifiques. Et cette histoire culturelle de la pesanteur sera constituée surtout sur les deux axes, à savoir, "la maîtrise de la pesanteur" et "le consentement à la pesanteur".
著者
小澤 理恵 大岩 幸太 牧野 俊夫 島村 祐輝 山本 修悟 小川 博 安藤 元一
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;神奈川県厚木市では総延長約 25kmのシカ・サル兼用の広域柵が,2008-2012年に段階的に設置された.このような広域柵は耕作地の周囲に設置される簡易柵と異なり,違い容易に張り替えることはできないし,頻繁な維持管理作業も困難である.本研究ではこうした広域柵の維持管理状況を踏査と聞き込みによって調べた.踏査は 2009~ 2012年にかけて 2週間に 1回の割合で実施し,倒木による破損数,動物による破損数,柵上部にある電気柵への通電の有無,破損箇所の修理状況,サルが枝伝いに柵を越えることのできる樹木(柵から 2m以内の樹木)の数を記録した.柵の管理については市役所と自治会にも聞き取りを行った.<br>1)広域柵の設置には地権者の了解が必要なので,柵 25kmの設置を完了するのに 5年を要した.設置費用は 12,000円/m,年間維持管理費用は年間 100円 /mであった.市が管理を地域自治会に委託する折には,月 1回の見回りと年 2回の草刈りが委託条件であった.しかし実際の管理方法は自治会ごとに異なり,倒木や柵のめくれ等が何年も放置されている場所も見られた.<br>2)倒木による破損は 0.6ヶ所 /kmの割合で見られた.地権者の伐採許可を得ることができないために,サルが柵を越えることのできる樹木は 78本 /kmの割合で存在し,サルが広域柵を超えられる場所は数多く存在した.柵基礎部分の土砂が流出することによって将来的に倒壊の危険性のあるカ所は 3.7カ所 /kmの割合で見られた.台風のために大規模な修理を要する柵破損カ所は 1.5カ所 /kmの割合で見られた.すなわち,柵メーカーの示す耐用年数は 16年であったが,実際にはその半分の年数も満たないうちに多くの破損が確認されたことになる.<br>3)漏電や倒壊のために柵上部の電線に電気が流れていない期間は,ある区間の例では 177日中 44日に及んだ.距離で見ると,多くの調査日において 25kmのうち 2-3kmは通電されていなかった.