著者
原田 勇希 三浦 雅美 鈴木 誠
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.164-176, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
33
被引用文献数
1

The aim of this research was to examine the influence of perception of utility value for entrance examination on “proactive, interactive and deep learning”. The results show that the teacher evaluated children with high perception of utility value for entrance examination as “proactive, interactive and deep” learners even if adjusted for the effect of interest value and utility value for practice. As indicated by the result of research 2, critical thinking mediated the effect of utility value perception for entrance examination on “proactive, interactive and deep learning” as evaluated by teachers. On the other hand, it was shown that high perception of utility value for entrance examination also promotes class participation behaviors due to a concern about being evaluated by teachers. Based on the above results, it was concluded that high perception of utility value for entrance examination can promote “proactive, interactive and deep learning” in science classes, and the large size of this variable should not be denied as a motivating factor for science learning.
著者
間瀬 久美子
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.61, pp.一-三一, 2019-12-31

近世後期光格天皇を挟む前後の時代の朝廷・幕府の災害祈禱を考察することが課題である。天明飢饉以降、大政委任論や国内外の危機的状況の深化に伴い、幕府も災害祈禱に直接関与するようになった。開港後の朝廷祈禱の中心は攘夷へと移っていくが、幕府の衰退と反比例して朝廷の国家祭祀権が単純に強くなったとのみいえない面もあり、多面的な考察が必要であることを提起したい。
著者
涌井 秀行
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.44-53, 2016-01-20

This paper offers a description of how economic development in Japan was accomplished so quickly. The industrial production index (based on GDP) in five advanced countries shows the rapid economic growth of Japan after World War II. The economy grew about eightfold in the 25 years from 1955 to 1980, which was as much as 2.5 times the economic growth of the United States, Germany, and France, and 1.6 times that of Britain. The speed of economic growth of Japan was phenomenal. This paper discusses the issue of this speed. How was Japan able to increase its productive force rapidly and become an industrialized nation so quickly? The speed shows the differences of structure in various economies, which will be described from the following two perspectives: The first perspective is the world-historic condition, i.e. the Cold War structure, or the U.S. Cold War system vs. the U.S.S.R Cold War system. The second perspective is Japanese domestic conditions, which are broken down under three headings: (1) Capital (funds; machine or technology); (2) Labor (person); (3) Land ownership (agriculture and farmers). From these three conditions, the author defines the Japanese Capitalism structure after WWII as " Exogenous Reproduction Structure." This paper discusses "land ownership." There are three types of land ownership: agricultural land, land for housing, and land for enterprise. Japan accomplished its rapid economic growth by converting the land ownership into capital. Originally, land was not a value-thing, but Japan created the capital by putting a price on the land. It has become the fictitious capital. The stagnation of the Japanese economy is not a problem of business cycles (prosperity-depression), but rather a problem of structure, which appeared as marginal villages (depopulated villages and towns with most inhabitants being senior citizens) in rural and city communities. The Japanese economy has shrunk. The long-lasting sluggish economy is called the "Lost Two Decades." This is the state of the present Japan.
著者
松崎 昇
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
no.38, pp.25-50, 2013-12-28

現代世界経済は三つの本質的な特徴をもっている。第一にその歴史形式的な特徴は<資本の過剰化>にある。それは具体的には<貨幣の過剰、生産手段と労働力の過剰、商品の過剰>として現象する。いわば<カネ余り、キカイ余りとヒト余り、モノ余り>である。そしてこの四つの過剰は<利子率・利潤率・賃銀・価格>の低下低位現象をもたらす。第二にその地理形式的な特徴は<資本のグローバル化>にある。それは具体的には<先進諸国の苦難、新興諸国の伸長、資源諸国の主張、無産諸国の沈殿>として現象する。そしてそのような内部構造をもちつつも、世界経済はあくまでも<一体のものとして同調同時化し増幅する>運動を展開している。第三にその内容的な特徴は<資本の究極化>にある。これはいわゆるICT 革命のことであるが、その核心はネットワーク・コンピューティングによる人の思考記憶機能の代替増強にある。いわば<TMT(Thinking Memory Technology)革命>である。これにより生産工程が極度に<標準化・簡易化・省力化>されてきている。都合、資本が<余り、広まり、極まってきている>わけである。そして以上三つの基本的な特徴を総合するならば、概して、先進諸国には資金や設備や製品が溢れており、途上諸国には人手が溢れている。とりわけ先進諸国から溢れ出た膨大な資金が外資として新興諸国に滔々と流れ込み、現地の低賃銀労働と結び付いて安価品の大量生産を生み出すことになった。これを技術実体的に捉え直すならば、TMT(ICT)革命がこの生産拠点の世界的な移動をいとも簡単に実現してしまった。これに対して新興諸国における旺盛な需要などにより、自然を基盤とする鉱産物や農産物等は不足気味となり、同価格は上昇高値傾向を示す。以上のゆえに、特に、これまで名実ともに先導主導的な地位にあった先進諸国の製造業界に、<製品価格の低下安値傾向と原燃料価格の上昇高値傾向との挟撃による利幅の縮減>という大いなる難問が降りかかってきている。
著者
久保 倫子
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.43-56, 2010 (Released:2018-04-12)

本研究は,日本においてマンションを扱った地理学的研究を供給,需要の両面から分析・検討し,1990 年代後半以降に日本の居住地構造が変容してきたことに関して,マンション研究をもとに議論することを目的とした。地理学においてマンションを扱った研究は,高層集合住宅の立地にともなう都心周辺部の土地利用変化,住民構成や人口動態の変容,マンション供給者の戦略などの視点で行われた。また,マンション居住者の特性や人口移動に関する研究,居住地選択や世帯特性による居住選好の違いや,マンション居住者の居住地選択に関する意思決定過程を扱った研究も行われた。一方,1990 年代以降のマンション供給増加によって,都市中心部が居住空間として再評価を受けるようになり,都市の居住地構造が変容してきた。マンション需要者の住宅ニーズの変化に対するマンション供給の変化,全国や都市圏レベルでのマンション供給動向,世帯構成による居住選好の差異や郊外第二世代の住宅取得行動に対する研究が今後必要であろう。マンション居住者の現住地選択過程についても,都市の規模や供給時期に応じた多様な研究が待たれる。
著者
朝日 元生 高嶋 和毅 築谷喬之 北村 喜文 岸野 文郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3879-3889, 2008-12-15

本研究では,マウスポインティング時にC-D比が運動特性に与える影響を調査し,適切なC-D比に関する指針を提案することを目的とする.C-D比とはカーソル速度を決定する指標であり,ディスプレイ上のカーソル移動距離に対するマウス移動距離の比と定義される.運動特性とC-D比の関係を調査するために,2段階の実験を行った.実験1では一般的なGUI環境で,実験2では大画面環境でポインティング実験を行った.実験1では効率的なポインティングを行うために適切なC-D比は,0.125&sim;0.25という結果となり,実験2では0.0625が適切なC-D比であるという結果となった.これらの結果から,ポインティング動作を行う際に動的にC-D比を変更することの有効性が示唆された.また,どちらの実験においても,極端に小さいC-D比条件(0.0625)では,素早くターゲット付近に到達できるが,直感性の低下を招く可能性があり,ポインティング効率(ポインティング時間)と直感性(速度波形の歪み)にはトレードオフの関係が見られた.また,ピーク速度が検出される位置やターゲット突入時のカーソル調整に必要な距離はどちらの実験でもC-D比に依存していなかったことから,ポインティング運動の計画は主にターゲット距離によってのみに決定されることが示唆された.
著者
小野寺 敦子 青木 紀久代 小山 真弓
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.121-130, 1998-07-30 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
4

はじめて父親になる男性がどのような心理的過程を経て父親になっていくのか, そして親になる以前からいだいていた「親になる意識」は, 実際, 父親になってからのわが子に対する養育態度とどのように関連しているのかを中心に検討を行った。まず, 父親になる夫に特徴的だったのは, 一家を支えて行くのは自分であるという責任感と自分はよい父親になれるという自信の強さであった。そして父親になる意識として「制約感」「人間的成長・分身感」「生まれてくる子どもの心配・不安」「父親になる実感・心の準備」「父親になる喜び」「父親になる自信」の6因子が明らかになった。親和性と自律性が共に高い男性は, 親になる意識のこれらの側面の内, 「父親になる実感・心の準備」「父親になる自信」が高いが「制約感」が低く, 父親になることに肯定的な傾向がみられた。また, これらの「親になる意識」が実際に父親になってからの養育態度にどのように関違しているかを検討した。その結果, 「制約感」が高かった男性は, 親になってから子どもと一緒に遊ぶのが苦手である, 子どもの気持ちをうまく理解できないと感じており, 父親としての自信も低い傾向がみられた。さらにこれらの男性は, 自分の感情の変化や自己に対する関心が高い傾向が明らかになった。
著者
久保 圭 クボ ケイ
出版者
大阪大学日本語日本文化教育センター
雑誌
大阪大学日本語日本文化教育センター授業研究
巻号頁・発行日
vol.12, pp.23-31, 2014-03-31

日本語には、似た意味をもつさまざまな言葉がある。たとえば、「誤りを直すJという意味をもつ日本語のサ変名詞には、修正、是正、訂正、改鼠などがある。しかし、その意味的なニュアンスや用法(どのような対象における誤りを直すのか、など)は一律ではなく、すべて異なっていると考えられる。これは、上記に挙げた類義語がすべて同じ意味をもつのであれば、これほど多様な表現は必要ないと考えられるためである。上記のような類義語の使い分けの習得に関心を寄せる留学生は少なくないように感じられる。しかし、日本語の言語直感をもたない彼らにとって、その学習は困難をともなうものであるため、類似した意味の言葉を教授する際には、効果的な説明を準備しなくてはならないだろう。本論文では、日本語学習者に向けた教育の現場において、類似した意味をもついくつかの語の意味と使い分けを説明する際に、大規模コーパスから得られる、各類義語の共起関係に関する調査データの活用が有効であることを示唆する。
著者
竹森 敬祐 三宅 優 中尾 康二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.68, pp.27-32, 2002-07-18
参考文献数
11
被引用文献数
1

コンテンツの変更を検知してアラームを通知するWebサーバリモート監視システムにおいて,正規の更新によって通知されるアラームの中に,注意すべき改竄アラームが埋もれてしまいかねないという問題が明らかになった.そこで本稿では,監視中のコンテンツに変更を検知した場合,そのコンテンツの特徴や変更前後の変化の様子を解析することで,改竄を的確に検出する改竄判定手法を提案する.提案手法は,改竄にみられる特徴のうち1つでも1つでも該当する項目があれば改竄とみなす手法であり,その判定結果は,正規の更新と改竄を区別して出力する.実際の改竄のデータを用いて提案手法の改竄判定率を評価した結果,小さな誤判定率で全ての改竄を検出できることを確認した.これにより,サイト管理者は改竄アラームに集中できるようになり,検出された改竄の特徴を知らされることで,コンテンツの改竄状況の把握と改竄時の対策を迅速に実施できるようになる.We have developed a remoto patrol system for web servers which detects the change of contents. However, it could not distinguish between regular updata and and unauthorized manipulation. The administrator of web servers may receive many alarms from this system if the contents are updated, frequently. In this paper, we propose detection algorithm of unauthorized manipulation by concentrating on the characteristics on HTML contents as well as the correlation between before and after changes. We could abstract six characteristics, which are so-called signatures to detect manipulations based on the several sample data. We also evaluate our algorithm using many sample data, and as the results our algorithm is quite feasible to detect any types of contents with little miss-detection of faults positive. In conclusion, administrators of web servers detect and manage the unauthorized detection efficiently among their routing works.
著者
藤川 徳美
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.670-674, 2004-12-25 (Released:2009-06-05)
参考文献数
10

1997年にAlexopoulosとKrishnanは脳血管障害に伴ううつ病(depression)を脳血管性うつ病(vascular depression;VD)と呼ぶことを提唱した.VDは脳血管障害が臨床所見(脳卒中発作の既往,局所神経徴候)もしくは検査所見(CT,MRI)にて認められるものを示し,1)脳卒中後にdepressionを生じる脳卒中後うつ病(post-stroke depression;PSD)と,2)うつ病患者においてMRIにて脳梗塞が発見されるMRI-definedVDに分類される.PSDは局所神経症状などの臨床所見とCTなどの検査所見の両方で脳梗塞の存在が確認される.MRI-definedVDは,MRIにて脳梗塞が発見されるが臨床所見では脳梗塞の存在が確認できない(脳卒中発作の既往がなく,局所神経徴候も存在しない)ものを指し,潜在性脳梗塞(silent cerebral infarction;SCI)を伴ううつ病と同じものである.感情や意欲に関連する神経回路の一部に脳梗塞が生じ,その脳梗塞病変がある閾値を超えて集積するとVDが発症するものと考えられる.VDにおいては脳梗塞病変の集積による器質的因子の関与が遺伝負因の関与や社会心理学的因子の関与より大きいものと考えられている.
著者
古屋 健
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.165-174, 1991-03-20 (Released:2016-11-30)
被引用文献数
2

Lies are considered one of the most important impression management strategies. This study tested the hypothesis that the greater one's skills in, and concern for, impression manegement are, the more likely one is to lie. Ninety-six university students were asked to rate their willingness to lie in 20 lying episodes in which each depicted a person lying in a specific situation. Skills in and concern for impression management were measured by the Machiavellianism scale, self-monitoring scale, revised self-monitoring scale, concerns for appropriateness scale, and social skills scale. The lying episodes were divided into 6 clusters by a oblique component cluster analysis. The relations between the 6 cluster scores and the scale scores were examined by multiple regression analyses. Results showed that cluster scores had significant correlations with one or some of scale scores in 4 clusters. For instance, Machiavellianism scale scores were positively related to the clusters scores in 2 clusters that comprised situations where lying led to personal benefits.
著者
平田 正吾 奥住 秀之 国分 充
出版者
茨城キリスト教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

自閉症スペクトラム障害(ASD)児における不器用すなわち運動スキル障害の特徴について、国際的によく知られた運動アセスメントであるMABC2を用いて評価すると共に、その成績の個人差に関わる要因について探索的に検討した。重篤な知的障害のないASD児を対象とした一連の測定の結果、ASD児における運動スキル障害の個人差は、彼らの自閉症特性や内部モデルの機能水準などと関連することが明らかとなった。また、ASD児の運動課題遂行の様相を分析したところ、運動要素間の移行がスムーズでない可能性が示唆された。更に年齢縦断的に見ると、ASD児におけるMABC2の低成績は改善する場合もあることが明らかとなった。