著者
椎名 勇
出版者
東京理科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

エステル合成に代表される脱水縮合反応は有機合成化学において最も基本的な反応の一つであり、古くから数多くの手法が開発されている。しかし、従来知られている脱水縮合反応では、一方の試薬を他方の試薬に対して大過剰に用いる平衡移動反応による手法や、反応温度を高め系内で生じる水を系外に取り除くなどの操作が必要であり、現在でも当量のカルボン酸とアルコールから収率よくエステルを簡便に得る方法は数少ない。(1)筆者は、まず、ルイス酸触媒およびρ-トリフルオロメチル安息香酸無水物の存在下、カルボン酸シリルエステルとアルキルシリルエーテルを室温で反応させると対応するエステルがほぼ定量的に得られることを見いだした。(2)また、他の求核剤を用いて反応を行うことを試み、アルキルシリルスルフィド、フェニルシリルエーテルまたは求核性の低い置換アニリンを求核剤に用いた場合にも対応する活性チオールエステル、活性フェノールエステルまたはアニリドが収率良く得られることを明らかにした。(3)分子内環化反応に適用した結果、ω-シロキシカルボン酸シリルエステルを用いる効率的なマクロライド合成法を開発することができた。(4)これらの反応をさらに簡便かつ有用な手法とするため、遊離のカルボン酸とアルコールをケイ素誘導体に導くことなく一挙にエステルを得る触媒的反応の開発を目的として検討したところ、ビス過塩素酸ジクロロチタンとクロロトリメチルシランから系内で調整される触媒の存在下で円滑に反応が進行し、対応するエステルがほぼ定量的に得られることを明らかにした。(5)上記反応を分子内反応に適用したところ、ビストリフルオロメタンスルホン酸ジクロロチタンとクロロトリメチルシランから系内で調製される触媒を用いることにより、大環状マクロライドが高収率で得られることを見い出し、さらにこの反応を利用し、天然マクロライドであるレシファイオライド類縁体リシネライディック酸ラクトンを92%の収率で得ることができた。
著者
小松 秀和
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

①介護の経済効果、②高齢者住まい法改正による民間高齢者施設の再編、③民間高齢者施設の料金とサービス内容の関連性、について次の研究成果を得た。①産業連関分析によると、介護のような労働集約型産業では一次効果は公共事業等より低いものの追加効果を含めて考えればそれらを上回る経済効果をもつ場合がある。②サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の登場で状況把握・生活相談が重要なサービスに位置付けられ、外部の介護サービスの利用次第ではサ高住が特定施設等の代替となり得る。③民間高齢者施設の料金は立地と人員配置と強い関連性が見られる。ただし、人員配置はあくまで標榜上の数値であり、それを担保する仕組みが必要である。
著者
水島 昇 斉木 臣二 野田 展生 吉森 保 小松 雅明 中戸川 仁 岩井 一宏 内山 安男 大隅 良典 大野 博司 木南 英紀 田中 啓二 佐藤 栄人 菅原 秀明
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

本新学術領域研究は、オートファジーの研究を推進するために、無細胞系構成生物学、構造生物学、細胞生物学、マウス等モデル生物学、ヒト遺伝学、疾患研究を有機的に連携させた集学的研究体制を構築することを目的として設置された。本総括班では、領域における計画研究および公募研究の推進(企画調整)と支援を行うとともに、班会議・シンポジウムの開催、領域活動の成果の発信、「Autophagy Forum」の開設と運営、プロトコール集公開などを行った。
著者
小牧 元 岡 晃 安藤 哲也 猪子 英俊
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

摂食障害、特に神経性食欲不振症(AN)は遺伝性が強いにもかかわらず、いまだにその原因遺伝子が同定されていない。そこで、ANの家族症例を対象に全エクソンをシークエンシングするエクソーム解析を実施し、その原因遺伝子の同定を試みた。その結果、家族内の罹患者に共有するアミノ酸置換を伴う複数の変異が見出され、その中でも特に神経伝達物質のレセプターをコードするこの遺伝子上に、神経性食欲不振症の原因変異が蓄積されている可能性が示唆された。さらにこの変異はこのタンパクの相互作用に影響を及ぼすことが推定された。今後はこの遺伝子ファミリーに限定した、さらなる変異の追及と、機能的な解析が必要であると考えられる。
著者
野口 博司
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

パセリのCHS制御領域-46〜+8(ATG)とBoxI-IIをGUSにつなぎPUC-19に組み込んだpBTu1-2、ベチュニアのCHS-Aの-800までをCATに繁いだ遺伝子、同様にして金魚草のCHSの-357までをPUC-19に組み込んだ遺伝子をブドウの色素生産株に導入しそれぞれの発現の比較を行った。対照としてCAMV35Sプロモーターを用いた。この発現を調べたところ強弱はあるもののいずれも発現した。さらにキントキニンジンの培養系で2、4Dを加えた増殖培地中と2、4Dを除いた分化培地中で発現を調べたところ何れでも発現が見られ、果たして以上の実験がアントシアンの生産に関与する制御領域のポジティブなコントロールとなるか否か、再考察が必要となった。さらにこれらをタバコ培養系に導入したところイーストエキス処理の有無にかかわらず発現が誘導された。最近欧米では上記の遺伝子をフラボノイドをファイトアレキシンとしないタバコの培養細胞に加えて発現の見られることが報告されており、植物の外界からの刺激に対する応答の複雑さの一環と思われる。クズ培養細胞より刺激に対応してえられたCHSライブラリーから独立なCHSを検索したところ、独立なクローン1-14が得られた。この14はインゲンの5上流と極めて相同性が高く、エリシター由来であることをうなずかせるものだったが、ダイズのchs-1、chs-2との相同性は低く、またパセリのCHSとの比較では全く近縁性がないことは上の結果と考え合わせると、刺激に対応する配列はひとつでなくより緻密な解析を行わなくては植物の応答性を論じることは難しいという結果となった。
著者
松本 珠希
出版者
四天王寺国際仏教大学短期大学部
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

【目的】月経前に周期的に種々の症状が自覚される月経前症侯群(PMS)は、種類や程度を問わなければ生殖年齢にある女性の大半が経験する。PMSの病態に関してはまだ明らかにされていないが、PMSを伴う女性の愁訴には自律神経系の機能異常を疑わせる症状が多いことが報告されている。平成13年度の研究において、PMSの自覚症状が比較的少ない若年女性でも、卵胞期と比較した場合、黄体後期において身体的・精神的不快症状が有意に上昇し、また安静時の自律神経活動が顕著に低下していることを発見した。本年度の研究では、PMSと自律神経活動動態との関連をさらに探求するため、卵胞期と黄体期における安静時自律神経活動だけでなく、生理的負荷刺激に対する自律神経反応性もあわせて検討した。【方法】内科的・婦人科的疾患を有しておらず、喫煙習慣のない39名の女性が参加した。日誌的な方法による即時的記録法「PMSメモリー」を用い、実験期間3ヶ月を含む6ヶ月間に亘り、参加者全員に基礎体温と月経に伴う不快症状の程度を毎日記録してもらった。被験者の健康状況を詳細に検討した結果、正常月経周期をもち、且つ黄体後期において常に不快症状が上昇する健康な非肥満女性16名(20.4±0.4歳)のデータを解析対象とした。測定は、卵胞期と黄体後期に各3回、午前中の同一時間帯に行った。被験者は、起床時に床の中で舌下温を測定し、早朝第1尿を採取した後、実験室に来室した。10分間安静を保持した後、胸部CM_5誘導の心電図を連続的に仰臥位で17分間、その直後立位にて5分間測定した。自律神経活動動態の評価には、心拍変動パワースペクトル解析を用いた。【結果】基礎体温(ρ,<0.01)、クレアチニンで補正した尿中卵巣ホルモン値(ρ<0.01)、体重及びBMI(ρ<0.05)は黄体期において有意に上昇した。安静時の自律神経活動は、心拍数、Total power、Low及びVery low成分が黄体期において顕著に低下した(ρ<0.05)。体位変換による自律神経活動の変化率に関しては、黄体期で低下傾向が観察されたが、両周期間で有意な差は認められなかった。PMSメモリーから評価した月経周期に伴う不定愁訴(身体的・精神的・社会的)は、いずれの項目においても黄体期においてより多くの症状が出現し、スコアーの総計も有意に上昇していた(ρ<0.01)。【考察】20代後半から30代の女性と比較すると、月経前症候群の頻度や程度が比較的少ないと報告されている健康な若年女性においても、即時的記録法を用いることにより、黄体後期において不定愁訴の程度が顕著に増加することが確認された。PMSの発生機序に関しては、様々な仮説が報告されているが、本研究結果を考慮すると、自律神経活動及び体温・熱産生調節機能の低下もまた、黄体後期特有の複雑多岐な症状の発現に関与する可能性が示唆された。欧米と比較し、我が国ではPMSに対する認識も低く、PMS改善も含めたヘルスケア対策も十分とはいえない。本研究結果は、PMSの病態だけでなく、女性性を考慮した健康支援プログラムを究明するうえで有意義であると思われた。
著者
山本 真鳥
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

サモア諸島出身者は、主として環太平洋の諸都市に移民してコミュニティを形成し、今では本国の人口をしのぐほどとなっている。彼らが慣習によって本国の内外で盛んに行う儀礼交換は、互酬性を通じて本国へ現金を送り出す仕掛けとなっており、海外サモア人にとっては大きな負担であるが、サモア人のアイデンティティの徴としてきわめて重要になっているために、なかなか参加がやめられない。一方で、移民アーティストたちはそれに批判的で、参加していない者が多いが、それは彼らが儀礼交換に頼らずともアートにより自らのアイデンティティを作り出すことができるからである。
著者
安藤 寿男 長谷川 卓 太田 亨 山本 正伸 長谷部 徳子 高橋 正道 長谷川 精
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

モンゴル南東部の白亜紀中期(シネフダグ層)とジュラ紀中期(エーデムト層)の湖成層を対象に,(1)炭素同位体比,カイエビ化石,凝灰岩のF-T年代などに基づく年代層序の構築と,(2)岩相変化(頁岩・ドロマイト互層)から復元した湖水位変動の周期解析,鉱物・主要元素組成による化学風化度変動,有機化学指標(TEX_<86>)による湖水温復元などに基づく古環境変動復元を行い,モンゴル湖成層には,白亜紀中期温室期に頻発した海洋無酸素事変期(OAE1a~1b)の,地球軌道要素を反映した降水量および古気温変動が記録されている.
著者
尼崎 光洋
出版者
愛知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、青年期における性感染症の予防法としての男性用コンドーム(以下、コンドーム)の使用に至るまでの心理的プロセスにおいて、コンドーム使用に関連する環境要因の影響性について検討した。その結果、パートナーを始めとした人間関係といったコンドームの使用に関わる社会的な環境が、コンドームの使用を間接的に促進する要因であることが明らかとなった。一方で、コンドームの購入や所持に対する否定的な状況が、コンドームの使用を間接的に阻害する要因であることが示された。
著者
川口 潤
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

人は,日常場面において, 過去の音楽や流行ったものと出会うと,単に過去の記憶を想起するだけでなく,「なつかしさ」という複雑な感情を伴った心的状態におちいることがある.本研究はこの点について,以下の側面から検討しようとするものである・ 「なつかしさ」はどのような心的過程を経て生まれてくるのであろうか・ 記憶の機能が深く関わっていることは確かであるが,記憶の進化から考えて「なつかしさ」どのような働きをしているのであろうか本年度は,以下の点について検討を進めた1) なつかしさ(nostalgia)喚起の時間的特性の検討過去約15年にわたるヒット曲を用いてなつかしさ感情が迅速に生起するかどうかを検討した.その結果,音楽提示から3秒弱でなつかしさ感情が生起すること,また自伝的記憶の詳細さ想起との相関は有意であったものの,その成分ですべてが説明されるわけではないことが明らかとなった2) なつかしさ感情生起の神経基盤に関する実験的検討なつかしさ感情生起の際にどのような脳活動が生じているかを明らかにするために,昨年度に引き続き実験参加者を増やしてfMRI実験を実施した.その結果,音楽提示によって自伝的記憶の想起と関わる部位の活動が高まること,またなかでもなつかしさを強く感じた場合と感じていない場合とで異なった領域の活動が見られることが明らかとなったこれらの成果について,Psychonomic Society大会において「Brain activity during feeling nostalgia and retrieving autobiographical memories : An fMRI study using music excerpts」と題して発表を行った.また,なっかしさがどのような心理的機能を持っているかという側面について,「ノスタルジアとは何か:記憶の心理学的研究から」という論文にまとめた
著者
小布施 秀明
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

層状構造を持つ3次元弱いトポロジカル絶縁体における2次元表面状態は、層間の結合が均一な場合は不純物が存在しても局在しないが、不均質な結合がある場合、乱れが増加すると局在-非局在転移を生じ、そのユニバーサリティ・クラスは2次元symplecticクラスであることを明らかにした。また、2次元の量子ホール絶縁体転移におけるdescendant演算子のスケーリング次元を高精度に数値的に計算する手法を確立した。さらに、フロッケトポロジカル相を誘起する時間発展演算子に対する対称性やトポロジカル数を定義し、1次元量子ウォークにおける表面状態の不純物に対する安定性をトポロジカル相の観点から明らかにした。
著者
佐藤 章夫 田坂 捷雄
出版者
山梨医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

1)新潟県下のトリクロロエチレン作業者を対象にしてトリクロロエチレン暴露と消化器症状および強皮症様症状の出現頻度との関係を調べた。腸管嚢腫様気腫と関連の深い症状(腹部膨満感、排ガス、腹痛、交代性便通異常、泡沫状粘血便)は女性のトリクロロエチレン作業者に症状合併率が有意に高かった。強皮症様症状(手足・顔・体幹の皮膚の硬化、指の皮膚が硬くつっぱる、指のこわばり、寒さで皮膚が変色する)の合併率は男女ともトリクロロエチレン作業者に多いことが確認された。また、長野県下で行った同様の調査で、トリクロロエチレン作業者における腹痛と腹部膨満感の訴え率とトリクロロエチレン暴露の間に量ー影響関係が認められた。2)腸管嚢腫様気腫新発生4例の作業環境を調査するとともに、長野県下で過去に発生した15例(計19例)の腸管嚢腫様気腫症例の労働衛生状況について調査した。その結果、多くの症例がトリクロロエチレンと同時に高濃度のメタノ-ルに暴露されていることが判明した。トリクロロエチレンとメタノ-ルの混合暴露が腸管嚢腫様気腫の発生にどのような影響を与えるか検討する必要が示唆された。3)トリクロロエチレンとメタノ-ルを単独あるいは混合して経口的に与え、腸管の変化を観察した。2回のバリウム注腸・X線検査で腸管に変化は認められなかったが、トリクロロエチレンあるいはメタノ-ル群の腸管(下降結腸)の粘膜下組織あるいは漿膜下組織に浮腫が認められた。同一部位から採取したコントロ-ル群には全く認められなかったので、この変化はトリクロロエチレンあるいはメタノ-ルの投与によって起こったものと思われる。しかしこの変化が腸管嚢腫様気腫とどのような関係にあるのか不明である。
著者
永田 恵十郎 渡辺 晴基 井口 隆史 平塚 貴彦 北川 泉 岩谷 三四郎 猪股 趣
出版者
島根大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

63年度に行った主な研究作業は, 過去3ヵ年の研究の総括とそのために必要な補足調査である. 研究の総括は毎月1〜2回の頻度で開催した研究会の場で行った. 研究会では, それぞれの分担者が担当課題についての研究結果を報告し, それをめぐって全研究分担者が討論し, 率直な批判検討を積重ねるという方式で進めた. また補足調査は, 自然減社会の実態構造, 減返強化米価引下げによる地代負担力の減少とそのことによる借地返還多発の実態構造等の把握に力を注いだ.以上を通じて, 3ヵ年の研究成果を『過疎山村の再生』というテーマで世に問うことを決定し, 63年度の研究成果公開促進費の交付申請を行った. もっとも, 『過疎山村の再生』というテーマは, すぐれて具体的, 現実的課題をふくんでいるだけでなく, 理論的にも掘下げなければならない課題も多々ある. そこで, 上記研究会には地元の各機関, 団体の関係者の参加も求め, 具体的, 現実的な課題への認識を深めることにした. なお, 共同研究者以外の研究会参加者は延25名(県庁農林水産部, 農林漁業金融公庫松江支店等)であった. さらに, 63年12月にはたまたま来松の機会のあった和田照雄(東京大学), 森田学(京都大学), 陣内義人(鹿児島大学)の3教授にも研究会への参加を要請し, われわれの理論フレーム(仮設)についてコメントを頂いた.
著者
蜂矢 真郷 金水 敏 岡島 昭浩 岡崎 友子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、近世から近代にかけての資料を中心に、「口語性」と不連続・不整合を見せる語彙、ないし形態を積極的にとりあげ、その由来・発展の過程を明らかとした。概要を以下に記す。(1)北原白秋・長塚節などが、歌や詩で使う語には様々な背景がある。そこで、古語を復活させたり、口語を古語めかしたりする手法を明らかにし、そこから言語意識を伺うことが出来た。「すがし」「かあゆし」「すゆし」「たゆたし」などの語の考証を行ったが、詳しくは、研究成果報告書に記してある。(2)明治からの、ピジン日本語に関わる資料や、ピジン日本語らしきものを使用した文献をいくらか集めることができた。田舎者言葉とされる「あるだよ」は、江戸・東京以外の関東方言の言い方を土台にしているが、これが外国語からの翻訳にも使われているものを、大正時代から見いだすことが出来た。(3)脚本類からの調査も行った。大正時代の『近代劇大系』(外国の脚本を翻訳したもの)を中心に用例を拾った。これは継続して調査・整理中であり、研究成果報告書には、一部しか反映できなかった。なお、この科研費による研究の成果ならびにこれに関する諸情報は、ホームページ(http://www.let.osaka-u.ac.jp/jealit/kokugo/fuseigo/)に示しており、今後も増補を続ける予定である。
著者
杉田 弘子 重藤 実 踊 共二 新田 春夫 川中子 義勝 GRAEB?KONNEKER Sebastian
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は社会史的視点からドイツ語の歴史的発展を近世から現代にいたるドイツ社会の変遷との関わりにおいて捉え直そうとするものである。15〜16世紀ドイツの言語と社会に関して踊は、宗教改革運動における大衆向け活版印刷物を分析し、宣伝ビラや「新聞」が大衆メディアとして一般信徒の日常生活に浸透し、相互のコミュニケーションに重要な役割を果たしていたことを明らかにした。16、17世紀について新田は、この時代、遠隔地とのコミュニケーションが増えたことから文書の社会的重要性が高まった結果、書き言葉が言語的規範となり、ドイツ語も書き言葉的性格を強めたことをルターのドイツ語の分析によって示した。また、重藤は、近世ドイツ語を中心に現代語に至るまでの分詞によるさまざまな構文を分析し、ドイツ語における分詞用法の歴史的衰退を代替表現との関連において考察し、他の言語との比較によってその類型的位置付けを試みた。18世紀ドイツの言語思想の流れの中で川中子は、ハーマンの言語論を中心的な分析対象とし、彼の言語思想における詩学・文芸学、とくに、比喩形象・修辞の役割を明らかにした。また、ハーマンの生涯について調査し、その全体像を描いて、著書にまとめた。19世紀について杉田は、ニーチェの言語思想を同時代の社会的思想状況の背景において分析し、彼の言語不信はその優れた言語芸術上の才能と知見のゆえのアンヴィアヴァレントな現れであることをを明らかにした。20世紀のドイツの言語と社会に関してSebastian Graeb-Konnekerは、ナチズム運動における文学と言語の問題を分析し、そのさまざまな言語的な現象の具体例をDokumentationという形で公刊した。
著者
山崎 要一 岩崎 智憲 早崎 治明 齊藤 一誠 稲田 絵美 武元 嘉彦 嘉ノ海 龍三
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

流体シミュレーション技法は、3次元管腔気道の通気機能を詳細に評価できた。具体的には、上気道の通気障害部位の検出に効果的であることが示された。さらに、本方法は上気道の部分的な通気状態の評価も可能で、上顎骨急速拡大による鼻腔通気状態の改善状況も確認できた。また、本方法でClass IIのdolichofacial typeとbrachyfaicial typeの通気状態を評価し、上気道通気障害が顎顔面の垂直的成長と関連が深いことを示すことができた。
著者
國吉 幸男 新垣 勝也 宮城 和史 山城 聡 上江洲 徹
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

【目的】本研究は腹部内臓動脈急性閉塞において虚血・壊死に陥る腸管の範囲を術中に迅速に確定する方法を確立することを目的として遂行した。【方法】ビーグル成犬(n=3)を開腹し、空腸から回腸までの小腸全体を5等分して定点側定部位とした。各点で1)腸管内へラテックス製バルーン付き圧transducerを用いて、腸管運動に伴う腸管内圧変動を測定・観察した。2)小腸漿膜面腸管壁内へ白金電極を刺入し誘発電位検査装置(日本光電MEB-7202)を用いて腸管筋電図測定を行った。3)ニードルタイプ酸素電極を小腸漿膜面腸管壁内へ刺入し酸素分圧測定装置(Inter Medical PO_2-100)を用いて組織内酸素分圧を測定した。以上についてControlを測定後、Cranial mesenteric arteryを閉塞し一定時間(1時間、6時間、12時間)後、再灌流を行った後上記を測定した。【結果】1時間動脈閉塞では再灌流により速やかに腸管のcyanosisは消失し、10〜12回/分頻度の腸管収縮運動とそれに伴う腸管筋電図の現出を認めた。組織内酸素分圧はControl値(35〜40mmHg)に復した。6時間動脈閉塞後再灌流では腸管のcyanosisは全体的に消失したが、30〜40%程度の領域が壊死に陥った。壊死部以外では腸管運動、腸管電気的活動の回復を認めた。組織内酸素分圧も30〜35mmHgに復した。組織学的には絨毛の脱落を認めたが一部では陰窩は保たれていた。一方、12時間動脈閉塞では、再灌流後も腸管運動を示す所見は認められず、組織内酸素分圧は0mmHgのままであった。組織学的には腸管壁全体の出血性梗塞を認めた。【まとめ】1.12時間動脈閉塞では小腸全体が出血性壊死に陥り腸管運動は認められなかった。2.6時間動脈閉塞では一部は壊死に陥ったが、陰窩層が保たれている所見が認められた。3.腸管のviabilityを左右するturning pointは動脈閉塞時間6時間前後にあることが示唆された。4.動脈閉塞時間6時間においても斑状に壊死に陥った個体や小腸の中間点のみ壊死に陥った個体など所見に差があり部位に関しては一定の傾向を認めなかった。5.今回、測定した3項目に関しては組織所見との明らかな相関は見られなかった。今後、例数を増やし再実験するとともに、新たなモニター項目の追加や実験方法の検討が必要と思われた。
著者
眞野 あすか
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

神経性食欲不振症(AN)は、ストレスに関連した摂食障害や過活動を示す疾患である。ストレスホルモンであるCRFは摂食抑制、不安惹起、活動性の亢進などの作用を持ち、ANの病態解明においてCRFの関与様式の解明は必要不可欠である。しかしながらANのモデル動物の過活動性拒食症(ABA)モデルラットのCRFニューロンの活性化の有無については明らかではなく、これらを明らかにすることを目的とした。ABAラットでは視床下部のCRFニューロンは過度の活性化を示し、ストレスの指標となる血中コルチコステロンも高値を示した。以上の結果からABAラットの行動の表現型の一部はCRF過剰分泌に起因することが推測された。
著者
中坪 史典
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

感情的実践としての保育者の専門性について、特に保育者が子どもの自律的問題解決を促すために自らの感情を意図的に抑制する場面に焦点を当てて検討した。具体的には、日本の保育実践の映像を用いて、日米の保育者にインタビューを実施した。結果は次の通りである。(1)自らの感情を意図的に抑制する保育者の実践は、子どもに介入しないけれども関与しないわけではない「非介入的関与」である。(2)自らの感情を抑制しながらも保育者は、視線や表情を媒介として自らの感情を表出しており、それによって子どもは安心感を得ることができる。(3)子どもの自律性を促すために保育者は、問題状況を共有しながらも自らの感情をあえて抑制する。
著者
吉田 寛
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、コンパートメントモデルにおける薬物動態に対する解析手法の開発を行った。手法の特色として、通常のTime domain(時間tの空間)上ではなく、ラプラス空間上で反応定数を決定する事が挙げられる。これにより、従来のTime domain上では、複雑だった式が、ラプラス空間上では、簡潔かつ厳密に表された。本手法は、特に、観測できない、あるいは、したくない時系列データが存在し、そのデータの代替として目的部位以外の参照部位を観測した場合に、有効である。更に、コンパートメントモデルと非線形な酵素反応が絡む系においても、上記の手法を適用した。その結果、定常状態を仮定した上でミカエリス・メンテン型に変形して解析する従来の方法では扱えないような非平衡系における解析が可能となった。この系は、過少決定系であって、本質的に素イデアル分解が必要になった。このように、本手法は、コンパートメントモデルには収まらない薬理動態の解析を押し広げるものである。実応用として、マウスのDox動態において、Dox・TetR蛍光イメージング技術に適用した。