著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[165],
著者
六反 一仁
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.121, no.1, pp.15-20, 2003 (Released:2003-01-28)
参考文献数
26
被引用文献数
4 4

熱ショックタンパク質(HSP, heat shock proteins)は,種々のストレスに反応して細胞内にすばやく合成され,ストレスに対して強力な抵抗力を誘導する.このHSPの臨床応用を目指した研究が始まってから10年以上が経過した.この間,HSPの構造と機能の解析が進み,HSPは,ストレス応答に加え分子シャペロンと総称される機能を介して,細胞内タンパク質の品質管理,情報伝達,さらには,細胞外タンパク質としての機能まで,多岐にわたる役割をもつことが明らかにされた.HSPのなかでも,強力な細胞保護作用を誘導するストレス誘導性Hsp70を安全に,選択的に誘導する化合物として,geranylgeranylacetone(GGA)が登場した.GGAは日本で最も多く服用されている胃粘膜保護薬であるが,胃以外の臓器でも,脳,心臓,肝臓,小腸をはじめその効果が動物実験で報告されている.また,国内外でのGGA研究の広がりを通じて,新しい薬理作用も明らかにされつつある.例えば,チオレドキシンや抗ウイルス遺伝子の発現を誘導する作用も報告された.さらに,分子シャペロンの新しく発見された機能に関連して,例えば,小胞体ストレスやfolding diseasesと総称される細胞内の異常たんぱく質の蓄積を主体とする疾患においても,GGAの有効性を検証する必要がある.これからの課題として,例えば,小胞体シャペロンのように,特定の場所で特定の標的タンパク質と相互作用する分子シャペロンをターゲットにした薬剤の開発も魅力的な研究課題と思われる.こうした情勢を踏まえ,分子シャペロン誘導剤の第1号として登場したGGAの現状と問題点を解説し,新たな分子シャペロン誘導剤の可能性について解説した.
著者
肥後 温子 島崎 通夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.597-605, 1982-11-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

サツマイモ, サトイモ, ジャガイモ, ナガイモをマイクロ波と伝熱とで加熱し, でんぷん成分の変化と硬化との関係について調べると, 次のようになった.1) サツマイモとサトイモはマイクロ波加熱によって硬化現象がみられ, ジャガイモとナガイモは硬化しなかった.2) 糖化によってでんぷん含量が少なくなったサッマイモは, 硬化しにくくなった.3) 硬化したイモの組織では未膨潤なでんぷん粒とでんぷんのゲル状溶出物の存在がみられた.4) サツマイモとサトイモのでんぷん粒はマイクロ波加熱によって破裂するために溶出物が増え, ジャガイモとナガイモのでんぷん粒は破裂に至らないことが, モデル系で確認できた.以上の結果は, イモ類の硬化現象にでんぷん成分の果たす役割の大きいことを示すものと考える.
著者
江川雄太 一藤裕 今野将
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.591-592, 2011-03-02

近年、ECサイトなどインターネットを利用して商品を購入する形態が普及してきたが、<br />このECサイトには電子掲示板の機能を用いて商品に対するレビューを書き込むことができるものがある。<br />ECサイトにおいてこのようなレビューがそれを利用する消費者の購買行動に対して何らかの影響を与えることが予想されるが、未だその影響は明らかにされていない。<br />本研究ではその影響を分析するために、ECサイトのレビューやその他のパラメータを取得するためのシステムを構築し、<br />ここから取得したデータを基にユーザレビューと消費者の購買行動の相関関係を分析し、<br />その影響を明らかにする。
著者
谷口 亘
出版者
関西医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

脊髄損傷(Spinal cord injury: SCI)後疼痛モデルラットを作成し、損傷レベルより下位の脊髄後角でin vivoパッチクランプ法により自発性興奮性シナプス後電流(sEPSC)の解析を行った。SCIモデル群はコントロール群よりsEPSCの頻度が増強していた。このことから、脊髄損傷後疼痛では損傷部より下位の非損傷脊髄内において、何らかの興奮性の神経可塑的変化が生じ、中枢性感作の状態になっていると考えられた。次にこのSCIモデルにミクログリア活性化阻害薬のミノサイクリンを灌流投与することでsEPSCの増強に抑制が得られるか検討したが、予想に反してsEPSCは減少を認めなかった。
著者
榊原 良太
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.163-173, 2017-03-31 (Released:2017-04-07)
参考文献数
37

Recent studies have given attention to and have investigated factors that moderate the effect of emotion regulation strategies. This study examined whether cognitive appraisal of a situation moderates the relationship between cognitive emotion regulation strategies and psychological health via a one-week longitudinal study. At Time 1, participants were asked about the most stressful situation at that time and how they appraised it. At Time 2, they were asked what kind of cognitive emotion regulation strategies they used during the previous week to cope with the stress. The result indicated that when centrality, which is a factor of cognitive appraisal, was high, rumination and catastrophizing predicted higher anxiety, whereas when centrality was low, blaming others predicted lower anxiety. Moreover, when commitment, which is also a factor of cognitive appraisal, was high, blaming others predicted lower well-being, whereas when commitment was low, positive refocusing predicted higher well-being. This study revealed that how people appraise a situation moderates the relationship between cognitive emotion regulation strategies and psychological health.
著者
橋本 京子 子安 増生
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.233-244, 2011-04-20 (Released:2011-06-23)
参考文献数
32
被引用文献数
6 3 1

本研究は,楽観性と,ポジティブ志向(現実のポジティブな面を強調するような,必ずしも現実に基礎をおいていない認知),および主観的幸福感の関連を検討することを目的として行われた。大学生337名を対象に,楽観性尺度,主観的幸福感尺度,ポジティブ志向尺度から成る質問紙調査を実施した。因子分析の結果,楽観性,主観的幸福感は,両者とも1因子構造であること,およびポジティブ志向は,ポジティブに認知する際の基準をどこに置くかの違いによって,「上方志向」と「平静維持」の2因子に分かれることが明らかになった。楽観性がポジティブ志向の各因子を経て主観的幸福感に至るモデルを構成し,共分散構造分析によって検討したところ,楽観性は,「上方志向」および「平静維持」と正の関連がみられた。また,主観的幸福感は,楽観性および「上方志向」と正の関連がみられたが,「平静維持」との関連はみられなかった。
著者
坂手 誠治 澤井 睦美 南 和広 寄本 明 星 秋夫
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.157-163, 2013 (Released:2013-01-25)
参考文献数
15
被引用文献数
4

本研究の目的は,大学生の熱中症予防教育に役立てるために,我が国の大学生の熱中症の実態を明らかにすることである.調査は質問紙を用いて実施した.対象は 18 歳から 24 歳の男性 792 名,女性 439 名の 1,231 名(19.1±1.0 歳)であった.熱中症の重症度について,過去のスポーツ活動時に経験した自覚症状より I 度~III 度に判別した.重症度の判別結果は I 度 5.6%,II 度 80.4%,III 度 14.0% であった.男性は女性と比較して III 度の該当率が高かった.体育系学部の学生はそれ以外の学生に比べて III 度の該当率が低かった.熱中症に関しては,90% 以上の学生が正しく認識していた.熱中症に関して正しく認識している者は,そうでない者に比べて III 度の該当率が低かった.WBGT および日本生気象学会,日本体育協会の熱中症に関する予防指針を知っていると回答した者は,知らないと回答した者に比べて,いずれも III 度の該当率が高かった.熱中症の経験があると回答した者は,ないと回答した者に比べて III 度の該当率が高かった.しかし,熱中症の経験がないと回答した者の重症度の内訳では,III 度の該当率は 10% であった.熱中症で病院に搬送されたことがある者は,ない者に比べて III 度の経験が高く,また全員 II 度以上であった.しかし運ばれたことがないと回答した者の重症度の内訳では,III 度の該当率は 12.2% であった.以上より,大学生の熱中症に対する知識は十分ではなく,熱中症による事故を防ぐためにも,より効果的な教育を実施する必要がある.
著者
古賀 麻奈美 長谷 麻由 芳野 千尋 籾井 佑都 松本 彬 田鍋 拓也 有吉 雄司 山本 浩由 甲斐 悟 高橋 精一郎
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.H4P3260-H4P3260, 2010

【目的】<BR>大脳皮質でストレスと認知された刺激は自律神経系,内分泌系,免疫系を介して全身に伝達され,身体的,心理的な反応を引き起こし,精神疾患以外にも生活習慣病など様々な疾患の引き金になると考えられている.そこでリラクセーションとして用いられている深呼吸のストレス緩和効果を明らかにする.<BR><BR>【方法】<BR>健常成人女性15名(平均21.8±0.7歳)を対象とした. ストレス後の深呼吸の効果をみるために,深呼吸介入と非介入の条件で測定日を2日以上離してランダムに測定した.対象者には椅子坐位での5分間の安静後にストレス負荷として内田クレペリン検査を15分間実施し,その後,深呼吸群は5分間の深呼吸行い,コントロール群は5分間の安静を行った.深呼吸はストップウォッチを見せながら呼息6秒・吸息4秒の条件で実施した.深呼吸非介入時は安静を保った.安静開始4分後,ストレス負荷12分後,深呼吸開始及び深呼吸非介入時には安静4分後に,唾液アミラーゼを測定(CM-2.1,ニプロ株式会社)した.飲食物の影響を避けるため,食後直ぐには行わなかった.測定は,室温23~26°C,湿度30~50%の環境で実施した.統計学的分析は,二元配置分散分析と多重比較検定を行った.有意水準は5%未満とした.<BR><BR>【説明と同意】<BR>対象者には本研究の目的および方法を説明し,同意を得たうえで測定を実施した.また,被験者はいつでも研究への参加の同意を撤回する権利を有し,それによる不利益は決して生じないことを説明した.<BR><BR>【結果】<BR>深呼吸介入時の唾液アミラーゼの値は,それぞれ<BR>安静時 45±21.3 KU/L,ストレス負荷時:83.2±33.3 KU/L,深呼吸時:40.7±16.3KU/L であった.<BR>深呼吸非介入時の唾液アミラーゼの値は,それぞれ安静時51.7±17.9 KU/L,ストレス負荷時:86.2±23.0 KU/L,深呼吸非介入時:69.8±33.2KU/Lであった.ストレス負荷時と深呼吸介入時には統計学的有意差(p<0.05)が認められたが,深呼吸非介入時には有意差が認められなかった.<BR><BR>【考察】<BR>本研究の結果,唾液アミラーゼの値からは深呼吸がストレスを緩和する効果があることが示された.ストレス負荷時では,大脳皮質でストレスと認識された刺激により大脳辺縁系が不安,怒りなどの情動を引き起こし,視床下部へと興奮が伝わった結果,内分泌系や自律神経系に作用し交感神経を刺激したことが考えられる.その結果,交感神経系の指標とされるノルエピネフリンの増幅器として働く唾液アミラーゼの分泌が亢進されたことが考えられる.生理学的に,深呼吸をすると迷走神経が興奮して心拍数減少が認められており,副交感神経活動が優位となるといわれている.また,深呼吸時に吸息時間より呼息時間を長くすることで,副交感神経をより高めるという報告もみられた.このことから,深呼吸を行うことで副腎髄質のノルエピネフリン分泌と交感神経の興奮が抑制され,唾液アミラーゼの値は減少し,副交感神経が有意に働いたことでストレスを緩和したと考えられる.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>理学療法領域での深呼吸の有用性に関しては,肺気腫や気管支喘息などの呼吸器疾患患者に対する症状改善が報告されている.また,平成19年の労働者健康状況調査では仕事上のストレスを感じている人が58%,すなわち2人に1人がストレスを感じていると報告されている.臨床で接する対象者や医療従事者も日常生活で様々なストレスを抱えていると考えられ,ストレスに対するコントロール法が必要とされている.今回の研究においては,深呼吸を理学療法に取り入れることで治療場面のみならず,予防医療の一環として有用である可能性が示された.
著者
堀川 貴司
出版者
中世文学会
雑誌
中世文学 (ISSN:05782376)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.27-35, 2016 (Released:2018-02-09)
著者
清水 洋 福田 一史 井上 明人 鴫原 盛之 松井 彩子
出版者
Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University
巻号頁・発行日
2018-12

ゲーム産業生成におけるイノベーションの分野横断的なオーラル・ヒストリー事業
著者
佐野 公俊 加藤 庸子 藤沢 和久 片田 和広 神野 哲夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.37-43, 1985

急性期破裂脳動脈瘤の治療方針は, 手術時期, 重症例の手術適応, 脳血管李縮の対策など幾多の問題が残され, 意見の統一をみない.<BR>本報告では, 本院にCTが導入され画像の安定した1976年9月から1982年8月までに当院に入院した315例の脳動脈瘤患者の死亡率, symptomatic vasospasmの発生率, 転帰につき, 24時間以内手術例と, それ以外の症例での推計学的検討を行った.<BR>死亡率は24時間以内手術例で82例中28例 (34%) と高いがそのうち26例はgrIV, Vの死亡例である.2週間以後の待期手術例では死亡率は142例中3例 (2%) と低く手術の安定性を示している.そこで24時間以内手術例82例と, それ以外の症例232例につき各重症度別に死亡率の有意差検定を行うと, 重症度がgrIVに近づく程, 24時間以内手術例が有意に優れていた.<BR>symptomatic vasospasmの発生率は, 24時間以内手術例及び2週間の待期中には8%~12%であったが, 48時間~2週間以内の手術例では40%前後と多かった.更に24時間以内手術例とそれ以外の例で推計学的有意差検定を行うと, 重症度がgrIIIに近づく程, 24時間以内手術例が有意に優れていた.<BR>転帰は神経学的重症度がgrIVに近づく程, 有意に24時間以内手術例が, それ以外の症例に比して優れていた.<BR>これらにより, grI, IIで脳底槽血腫の少ない症例に対しては, 再破裂防止の為の早期手術の適応であり, grIIで脳底槽血腫の多い例や, grIII, grIVの例では, クモ膜下出血の病態改善のための早期手術の適応であり, 重症例程, 24時間以内早期手術の絶対適応であるといえる.
著者
皆川淇園 著
出版者
巻号頁・発行日
vol.[8], 1816