著者
田頭 瑞萌 中川 隆文
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.31-39, 2021-03-10 (Released:2021-04-03)
参考文献数
50

In this paper, we present a method for facilitating the diagnosis of vascular stenosis in hemodialysis treatments. Sensory evaluation based on vascular sounds is usually used to identify vascular stenosis. However, skilled clinical judgement is required for this work. We applied the Mahalanobis-Taguchi Method to the assessment of vascular abnormalities. Mel-frequency cepstral coefficients, histogram kurtosis, and autocorrelation coefficients are used as features. The difference between normal and abnormal sounds is measured by Mahalanobis distance (MD). The performance of this method is estimated for 60 vascular sounds, with correct results obtained at a rate of 87%for abnormal sounds. The proposed method provides better discrimination than sensory evaluation. In addition, the relative change in MD values along the auscultation positions is similar to the result achieved by sensory evaluation.
著者
中川 伸
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-31, 2017 (Released:2018-10-22)
参考文献数
17

うつ病の病態・治癒過程は発症,急性期症状,反応,寛解,再燃,回復,再発など動的なものであり,神経可塑的な変化が想定しやすい。一方,病的な状態における可塑性とは異なる正常なしなやかさである「レジリエンス」を考慮することは,うつ病の予防,軽症のうつ病の状態を考えるときに有用であると思われる。本稿では生理学的なストレス反応として惹起される視床下部─下垂体─副腎皮質系を中心として,その神経可塑性の動き,破綻,養育環境による変容などを概説する。
著者
山田 高成 橋本 雄一 浅井 隆 滑川 元希 中川 雅史 古谷 健太
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.447-461, 2021-05-01

「全身状態が悪いので局所麻酔で手術してみたのですが,結局うまくいかなかったので,麻酔科管理でお願いします!」外科医からこう依頼されると気持ちは複雑だ。麻酔科医冥利に尽きる機会に間違いないと思う反面,よほど状態の悪い患者に違いない。聞けばこれまでに術後抜管困難で気管切開したことがあるとか。しかも腎移植後で,血管閉塞の手術をしたいとのことである。今回は気管切開せずに済むかな…,大事な腎臓も守り切れるか…。あれ,頸から何か入っている! ミニトラックだ! 抜いていいのか? こんな時は…そうだ,LiSAの症例カンファレンスで全国の麻酔科医に相談しよう! というわけで,先生方,お力をお貸しください!
著者
小野 真理 中川 幹子 大家 辰彦 一瀬 正志 米持 英俊 犀川 哲典
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 = Electrocardiology (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.143-148, 2004-05-25
参考文献数
14
被引用文献数
1

先天性QT延長症候群のLQT2患者では夜間睡眠中に目覚まし時計で覚醒した際に心事故が頻発する, 我々は健常者を対象とし, 目覚まし時計覚醒時に起こる循環動態の経時的変化, 特に心室再分極過程の変化を検討した.対象は健常成人16名 (平均年齢22.6歳) である.ベッド上安静臥床し仮眠をとらせ, 約30分後に目覚まし時計を鳴らし, その後安静を維持した.安静睡眠中, 覚醒直後, 10秒, 20秒, 30秒, 1分, 2分後の各時間における血圧, 心拍数, QT (QTc) 時間, T波およびU波高を測定した.収縮期・拡張期血圧, 心拍数とも目覚まし刺激直後に有意に上昇した.QTc時間は刺激直後より有意に延長し, 直後~10秒後にピークを呈した, T波高は有意に減少し, U波高は有意に増大した.症例によっては, QT延長症候群患者の心電図に類似した複雑なT-U complexを形成する例もあった.いずれの指標も1分後には前値に復した.健常人において, 目覚まし時計による覚醒時に交感神経活性が急激に短時間亢進し, 心室再分極過程の異常を呈した.
著者
岩崎 祐貴 折原 良平 清 雄一 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.1J3OS22a4, 2013

<p>近年,ブログやtwitterなどソーシャルメディアの普及により誰でも気軽に情報発信できるようになった.それに伴い頻繁に炎上が起こり,ブログの閉鎖や個人情報の特定といった被害に合うリスクが高まっている.そこで本研究では,実際に炎上したtwitterやブログ記事を収集,分析することで炎上の原因を調査した.また,今後の炎上を防ぐため,過去の炎上事例を教師データとした機械学習の適用方法を提示する</p>
著者
中川 成美
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は1990年代に新たな分析理論として出発したクィア理論を、日本文学研究の上に照らしだし、新たな批評理論の可能性と実践を、国際的な共同研究のもとに実施したものである。クィアネス(クィア性)を作品批評の一つの軸と設定することによって、文学批評の地平は大きく変化していく。本研究で開催したワークショップや講演会、シンポジウムはその一面を拓いていったものと考える。特に1)ジェンダー配置の不等性2)災禍と女性配置3)クィア理論と情動理論の融合、についての、新しい知見を得たことが主たる成果である。
著者
村尾 俊道 藤井 聡 中川 大 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.3, pp.103-108, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
12

本研究では、京都都市圏での通勤交通における課題を明らかにするとともに、京都府での実際のプロジェクトを紹介することを通じ、職場MMの実行過程に着目し成功要因や課題を整理する。その結果、実施に至る準備段階においての関係者間の合意、組織の意思形成が重要であることを明らかにするとともに職場MM成功のための知見を提供した。これは、今後、職場MMを他地域で展開される際に極めて有益な知見となる。
著者
大庭 哲治 松中 亮治 中川 大 北村 将之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_405-I_414, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
10
被引用文献数
3

長年にわたって地域の商業活動の中心を担ってきた商店街の衰退が進んでいる.衰退の原因は様々であるが,商店街は街の賑わいを生む場であり,他の商業施設にはない価値を有する.多様な特徴を持つ商店街の賑わいと土地利用及び業種構成の現在の関係に着目して,本研究は,京都市内86商店街の土地利用及び業種構成を現地調査によって詳細に把握した上で,賑わいとの関連性を定量的に分析した.その結果,小売業(食品系)の割合と歩行者密度は正の関連を有すること,駐車場・低未利用地の割合と歩行者密度や路線価には負の関連があること等,土地利用及び業種構成によって商店街の賑わいが異なることを明らかにした.
著者
李 世欽 鈴木 清 中川 威雄
出版者
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.552-557, 1988

For further development of the high performance self-lubrication materials being proof against vacuum or high temperature, cast iron fibre composites containing a large amount of graphite were investigated. The cast iron fibre of 20-40 &mu;m in diameter and 1.2 mm in length, which was prepared by chatter-machining a ductile cast iron bar, was mixed with graphite powder and consolidated by compacting in a die, sintering and finally repressing. The optimum conditions for the processing were determined experimentally, and the composite of the almost same mechanical strength as grey iron was made with an addition of 28.8 vol% graphite. In conclusion the fibre metallurgical processing of the high performance self-lubrication composite materials of cast iron and graphite is feasible in the production.
著者
林 裕樹 金城 達也 西垣 大志 宮城 良浩 中川 裕 高槻 光寿
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.293-301, 2021

<p>症例は26歳の女性で,妊娠を契機に径10 cm大の骨盤内腫瘍を指摘され,試験腹腔鏡検査にて後腹膜腫瘍の診断となった.囊胞成分のほかに充実成分を伴っており悪性疾患の可能性が示唆され,加療目的で当院紹介となった.腹部造影CTおよびMRIにて仙骨前面に多房性囊胞性腫瘍を認め,腫瘍背側には造影効果を有する小結節が存在した.腫瘍摘出術を施行し,病理組織学的診断では後腹膜成熟囊胞性奇形腫であり,小結節は神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下,NETと略記)の診断であった.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.成人発症の後腹膜成熟囊胞性奇形腫はまれな疾患であり,年齢とともに悪性化の頻度が高くなるとされている.悪性化すると予後不良であるため,早期手術が推奨されている.今回,我々は極めてまれなNETを併存した成人後腹膜成熟囊胞性奇形腫の1例を経験したので報告する.</p>
著者
田中 佳 松本 正美 田中 千津 中川 静代 柳田 善為 永田 勝宏 飯沼 由嗣
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.179-185, 2015-03-25 (Released:2015-05-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

我々は過去3年間に当院で尿酸アンモニウム(Ammonium Urate; AU)結晶を報告した15検体に関して患者背景および関連の検査結果を検討した。その結果,尿pHは15件中13件が酸性側に出現しており,これはAU結晶の多くはアルカリ性尿に出現するとされていたこれまでの報告とは異なっていた。その原因のひとつとして,近年本邦の尿沈渣検査が迅速に検査されるようになり,採尿時間が経過してアルカリ化した古い尿が減少したことなどが推察された。また,本結晶出現検体の背景を対照群と比較した結果,患者の多くは低年齢層であり(p < 0.001),男性に偏りを認めた(p < 0.05)。これは酸性AU結石症による腎後性腎不全の出現背景とも合致しており,AU結石症と尿沈渣検査のAU結晶の関連性が示唆される。また,尿比重は有意に高値を示し(p < 0.001),脱水・乏尿(p < 0.001)の症状が高頻度に見られた。尿の濃縮,停滞は尿路結石症のリスクファクターであることから,尿沈渣におけるAU結晶の出現はAU結石症に注意すべき所見であり,かつ脱水にも注意すべき所見と考えられた。
著者
中川 みなみ 南出 靖彦
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.28, 2016-06-06

正規表現マッチングは文字列を操作するウェブプログラムなど,様々な場面で用いられており,その実装の多くはバックトラックに基づいている.そのため,正規表現マッチングにかかる時間が文字列の長さに関して線形でないことがあり,最悪の場合指数関数時間となる.本発表では正規表現マッチングの時間計算量を判定する手法を提案する.対象の正規表現から先読み付き木トランスデューサを構成する.その先読み付き木トランスデューサから準同型写像や有限遷移系を構成し,それらを用いた遷移過程の中に反復補題が成り立つ遷移過程が存在しているか調べることで計算量を判定することができる.この判定には,AhoとUllmanによる木トランスデューサの増加率の判定法を先読み付き木トランスデューサに拡張したものを利用する.先行研究では,EngelfrietとManethのマクロ木トランスデューサの増加率の判定法を用い,正規表現マッチングの計算時間が入力文字列に対して線形であるかどうかを判定する手法が提案された.本発表で提案する手法は,時間計算量が線形であるかどうかの判定だけでなくO(n2),O(n3),...になることも判定できる.この提案手法をOCamlによって実装し,既存のPHPプログラムで使用されている正規表現を対象に実験を行った.実験の結果,393個中入力文字列の長さに対して338個が線形,44個が2乗,6個が3乗の計算量であると判定された.
著者
中川 泰代 大澤 真由美 早川 美幸 山口 直彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.299, 2007

目的 植物にはポリフェノール化合物が広く存在しているが、この化合物は酵素的酸化で、褐色色素へと変化すると共に、その抗酸化性は大きな影響を受ける。この酸化酵素は熱によって容易に失活することはよく知られている。抗酸化性の評価を、DPPH還元力測定の他に、リノール酸に対する抗酸化性をも測定したので報告する。方法 _丸1_試料はリンゴ、ごぼうなど7種類を使用。みじん切りしたものを2本の100ml三角フラスコに5gづつ精秤した後、1本は電子レンジで1分間処理し加熱区(H)、他の1本はそのまま1時間常温放置し、生区(L)とした。これらに40%エタノールを加え抽出液を得た。抽出液の_丸2_DPPH還元力測定、_丸3_過酸化物価はロダン鉄法にて測定し、その値が3.0に達するに要する日数を誘導期間とした。_丸4_リノール酸に対する抗酸化性は含水系(pH7.0)で測定し、50℃の恒温器中にて保存実験を行った。結果 _丸1_紅玉など4種のリンゴ(皮)のH区の全フェノール量は286~226mg/100gの範囲内であったが、L区のそれは204~118mg/100gと少なかった。一方、抗酸化性をみると紅玉のH区の効力は著しく強いが、他の3種のH区の抗酸化性は大変弱い。さらに、L区の効力がH区に比較して大きく減少するのは紅玉のみであった。_丸2_産地の異なるごぼう3種のH区の全フェノール量は宮崎:402mg、北海道:250mg、及び中国:134mg/100gであった。一方、L区のそれは186mg、126mg、及び96mg/100gへと減少した。H区とL区の抗酸化性を比較すると、宮崎産と北海道産はその誘導期間が減少したが、中国産は殆ど変化しなかった。
著者
中川 滋人 小室 透 福島 直 小畠 昌規 宮崎 義雄 米田 稔
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.567-570, 2003-10-30 (Released:2012-11-20)
参考文献数
11

The purpose was to investigate the efficacy of several diagnostic methods to detect superior labrum injuries in throwing shoulder. Fifty-four throwing athletes, who underwent arthroscopic surgery, were prospectively studied. There were superior labrum injuries in twenty-four cases and loose attachment of the superior labrum in six. The efficacy of preoperative diagnostic methods were investigated comparing them with arthroscopic findings of superior labrum injuries. The forced shoulder abduction and elbow flexion test (forced abduction test) was diagnosed as positive, when pain at the postero-superior aspect of the shoulder in forced maximal abduction was reduced or diminished in elbow flexion. The most useful test to detect superior labrum injuries was the forced abduction test, and the sensitivity, specificity, and accuracy was 73%,69%, and 70%, respectively. Loose attachment of the superior labrum significantly increased false positive rate of this method. Forced abduction tests were simple and effective for diagnosis of superior labrum injuries in throwing shoulders.
著者
中川 幸恵 石川 祐一 渡辺 啓子 朝倉比 都美 西村 一弘 藤井 文子 林 進 今 寿賀子 井上 小百合 貴田岡 正史 増田 創 米代 武司
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.813-819, 2014-11-30 (Released:2014-12-01)
参考文献数
17

栄養指導の糖尿病改善効果は指導頻度を高めるほど得られやすいと考えられている一方,糖尿病罹病期間が長くなるほど得られ難くなることも知られている.本研究では,栄養指導の糖尿病改善効果に対する指導頻度の影響が罹病期間に依存するか否かを調査した.281病院に通院する2型糖尿病患者725名を対象とし,管理栄養士による栄養指導の開始時と6ヶ月後の臨床データを収集した.HbA1cは罹病期間が長い者に比べ短い者の方が(P<0.001),指導頻度が低い者に比べ高い者の方が(P<0.001)改善した.指導頻度依存的なHbA1c改善効果は長期罹病患者でも認められた(P<0.05).ロジスティック回帰分析を用いて年齢,性別,糖尿病家族歴,糖尿病薬の変更,HbA1c初期値,罹病期間で補正したところ,指導頻度はHbA1c改善の有意な規定因子になった(P<0.001).高頻度な栄養指導は,糖尿病患者の罹病期間に係わらず病態改善効果を高めることが判明した.
著者
青木 俊明 稲村 肇 中川 隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.231-238, 1999-09-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
16

本研究は産業構造と人口移動との関連と人口増加に大きな影響を及ぼす産業構造を明らかにすることを目的としている. FSM法という構造化手法を用いて, 人口成長状態の異なる地域毎に産業の構造化を行った. その結果を地域間・時系列比較を行うことにより, 人口増加に影響を及ぼす産業構造について検討した. 産業構造の分析において, 商業・サービス業及び産業構造の複雑さといった点に注目した. その結果, 1) 商業またはその他サービス中心の産業構造, 及び, 2) 一定以上の規模と複雑なネットワークを有する産業構造であること, が社会増加を促す産業構造であったことが分かった.