著者
松浦 正憲 齊藤 菜穂子 中村 純二
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP11, 2015 (Released:2018-10-01)

1.背景 幾つかの種類のヤドカリは、神奈川県三浦市や三重県志摩市周辺等の一部の地域で刺身や味噌汁として食されている。不思議なことに、ヤドカリの中でもオニヤドカリ(Aniculus miyakei)摂食後、水を飲むと甘味が誘導される現象が知られている。このように水を甘く感じる作用から、オニヤドカリは「あまがに」とも呼ばれている。この現象を引き起こす甘味誘導物質については、水や有機溶媒に可溶な低分子化合物であることが報告されていたが、詳細は未解明であった1)。そこで、この特異な味覚修飾作用に着目し、甘味誘導成分の解明を目的として研究に着手した2)。2.甘味誘導成分の同定 実験材料として三重県伊勢市にて採取したオニヤドカリを用いた。まず、ヤドカリを身と内臓部分に分けて、水飲用時の甘味誘導を検討したところ、内臓部分(中腸腺)に甘味誘導作用があることが確認できた。摂取直後はほとんど味を感じないが、10秒ほどして徐々に弱い甘味を感じるようになり、水を飲用すると甘味が明確に誘導される。そこで、この水飲用時の甘味誘導作用を指標に、関与成分の探索を行った。凍結乾燥した内臓部分をクロロホルム/メタノールで抽出後、ヘキサンと90%メタノールで分配した。続いて、90%メタノール層をブタノールと水にて再分配し、ブタノール層を得た。得られたブタノール層を、逆相クロマトグラフィーによる精製を繰り返すことで、甘味誘導画分を得た。得られた甘味誘導画分は、クロマトグラム上では複数のピークを示すものの、NMRスペクトル上では、ほぼ単一成分であったため、各種NMRスペクトル解析により、この画分の主成分はオクテニル硫酸エステル(1)であると決定した(Figure 1)。そこで別途合成品を調製し(Scheme 1)、スペクトルを比較したところ、良い一致を示し(Figure 2)、さらに官能評価の結果、甘味誘導画分と同様の水飲用による甘味誘導作用が確認できたことから、オニヤドカリ由来の甘味誘導成分は1であると決定した。なお1は新規化合物であった。 続いて、オニヤドカリ中の1の含有量を調べた。オニヤドカリの内臓部分の抽出液をLC-MS/MS MRMモードにて定量分析したところ、乾燥内臓部分1 gあたり(約1個体分)、50mg以上の1を含有していることがわかった。1はおおよそ数mgの摂取で水飲用時に甘味が誘導されるため、オニヤドカリ中には甘味誘導に十分な1が含まれていることがわかった。また、比較対象として甘味誘導作用を示さない別種のヤドカリ(未同定)についても、その含有量を調べたところ、1が若干量含まれているものの、オニヤドカリと比較してその含有量は1/10程度であった(Figure 3)。この結果から、オニヤドカリ特有の甘味誘導現象は、1の含有量の差が原因であると考えられた。 (View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
國松 淳和 前田 淳子 渡邊 梨里 加藤 温 岸田 大 矢崎 正英 中村 昭則
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.130-139, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1

背景:家族性地中海熱(FMF)は不明熱の原因としては稀であるが,近年本邦でも疾患認知が高まり,診断数が増加してきている.著者らは「短期間で終息する発熱エピソードが反復する」という発熱パターンに注目することによって,一般内科外来で多くのFMFを診断してきた.当科FMF30例の臨床データを解析することにより,診断のための注意点について論ずることを本調査研究の目的とした.対象:2012年9月02015年8月までの3年間に当科でFMFとして診療された全患者を対象とした.Tel-Hashomer基準を満たさないものは除外した.結果:対象となったのは38例で,このうちTel-Hashomer基準を満たしていたのは30例だった.14例でMEFV遺伝子変異が見いだされ,変異の有る例が少ない傾向にあった.平均発症年齢は27.8歳と高かったが,典型発作を有する例は17例(56.7%),コルヒチン抵抗性例は3例(10.7%)と既報とほぼ同等だった.結論:FMFは外来に多く潜在し得る.発熱するが数日で自然軽快し,それを周期性に反復する病像に注目すべきである.
著者
増澤 真実子 生野 麻美子 中村 美夏 鈴木 典子 天羽 康之
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.133, no.9, pp.2169-2175, 2023-08-20 (Released:2023-08-20)
参考文献数
10

インターネットで話題になっている,洗濯衣類の生乾き臭予防目的に使用したオスバンSⓇ(10%塩化ベンザルコニウム液)による接触皮膚炎の2例を報告する.いずれも前医で診断と治療に難渋し,特異な浮腫性紅斑と強い色素沈着は衣類の密着部位に一致していた.両例とも約1年のオスバンSⓇ使用歴があり,中止により速やかに皮疹は軽快した.塩化ベンザルコニウムによる接触皮膚炎は点眼液によるものが知られているが,洗濯時の不適切使用により全身に皮疹を生じた例は本邦で報告がなく,注意喚起を要する.
著者
橋本 ゆかり 髙井 舞 中村 衣里 松浦 寿喜
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.113-117, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1

In recent years, many medical institutions have begun using water-soluble dietary fiber (WSDF) as a deglutition aid to improve oral medication compliance. WSDF has been reported to adsorb carbohydrates and lipids, and lower blood levels of glucose and lipids. Thus, dietary fiber could potentially adsorb drugs in a similar manner, thereby decreasing the amount of a drug absorbed and attenuating its efficacy. In the present study, we used the ultrafiltration method to assess the drug adsorption of three types of WSDFs with different physicochemical properties. Each WSDF was incubated with the various drugs in a 37ºC thermostatic bath for 10, 30, 60, 120, 240, and 360 minutes and then subjected to ultrafiltration to elute the unadsorbed drug, which was measured by HPLC. Glucomannan showed higher drug adsorption than the other types of WSDF. The adsorption of atorvastatin calcium hydrate to glucomannan and pectin was about 60%, which showed almost no change from 10 to 360 minutes after the start of incubation. On the other hand, the adsorption to xanthan gum was increased from 22% at 10 minutes to 47% at 360 minutes. The present results demonstrate that there are cases of time-dependent increases in drug adsorption depending on the WSDF and drug combination.
著者
中村 年子 遠藤 仁子 本間 恵美 平光 美津子 渡辺 久美子 Toshiko Nakamura Hitoko Endo Emi Honma Mitsuko Hiramitsu Kumiko Watanabe
雑誌
東海女子短期大学紀要 = The journal of Tokai Women's Junior College (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
no.12, pp.47-51, 1986-03-31

1.正月用餅と鏡餅の入手方法は,自宅が最も多かったが,正月以外の餅では,店頭購入が最も多く,梶本らの調査の賃搗き,自宅,店頭購入の順とは異っていた。店頭購入では,正月用餅・鏡餅とも餅菓子屋がマーケットより遙に多いが,正月以外の餅はマーケットでの入手が多かった。自宅については,きね搗きは少なく,特に正月以外では電気餅搗き器の使用が圧倒的に多かった。このことは最近の電気餅搗き器の普及によるものと考えられる。2.餅の嗜好度は,嫌いが1.6%で一般に好まれていた。3.正月3が日の餅の喫食量は,最少量37g,最大量705gで個人差が多かった。1日平均喫食量は74.1gであり,1972年の短大生の喫食量の調査における125gの約60%に当り,かなりの減少が見られた。4.餅は白餅の角餅が圧倒的に多く,特に正月用では93%を占めていた。正月以外では行事に因んで餅を食することもあって,丸餅も20%使用されていた。5.餅の食べ方については,一般に朝食に喫食されることが多い。正月用餅は,雑煮が圧倒的に多く,正月以外では焼き餅が最も多かった。雑煮については,元旦が82%で2日は約半数に減った。元旦でさえ食さない者が18%もあり,雑煮を全然食さない者も11%あった。また元旦の朝から焼き餅やぜんざいを食している者もあって,若い世代の正月の雑煮離れの傾向が僅かながら見られた。この地方の雑煮は,澄まし仕立ての汁に角餅を入れて煮込み,小松菜とけずり節を添えるといったものが一般的であった。正月以外の餅は約2/3の者が喫食してはいるが,いつも食べるは0で,時々食べるも僅か10%であり,短大生にとって餅は好きな食品ではあるが,やはり正月のものであり,法事,節句,祭り等の行事に因んで喫食していることがわかった。
著者
南 雅代 中村 俊夫 平田 和明 長岡 朋人 鵜澤 和宏 Hoshino Keigo
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.18, pp.134-143, 2007-03
被引用文献数
2

第19回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成18(2006)年度報告<第2部> Proceedings of the 19th symposiumon on Chronological Studies at the Nagoya University Center for Chronological Researchin 2006 日時:平成19 (2007)年1月15日(月)~17日(水) 会場:名古屋大学シンポジオン Date:January15th-17th, 2007 Venue:Nagoya Uhiversity Symposion Hall
著者
横田俊平 黒岩義之 大西孝宏 中島利博 中村郁朗 西岡久寿樹
出版者
医薬ジャーナル社
雑誌
アレルギー・免疫 (ISSN:13446932)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.786-793, 2018-05-15

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種後に多彩な症状を呈する副反応症例の解析により,症候学的に,① 生命機能,② 高次脳機能・辺縁系,③ 感覚機能,④ 運動機能の4つの機能の恒常性の破綻が推定され,HPVワクチンのL1抗原とアジュバントによる視床下部・脳室周囲器官の病変が原因と推定された。一方,ASIA(Autoimmune/inflammatory syndrome induced by adjuvants)症候群は,アルミニウム塩,シリコンのアジュバント作用に由来し,自己免疫疾患はアジュバントによる慢性刺激が原因であると推定された。いずれも症候を詳細に検討する余地が残されており,今後,一般的症候との差異を明らかにする必要がある。
著者
虎石 顕一 中村 規子 由井薗 陽一 森 真弓 山田 正紀 高橋 司 黒川 美智子
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.479-483, 1998-10-10 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12
被引用文献数
12 9

In order to improve children's compliance in taking bitter medicine, a gel base confectionery, which immediately changes into a jelly from after adding a special liquid, was used to mask the characteristic taste of the medicament. In pre-clinical trials, this jelly was evaluated by six adult volunteers who all reported the bitter taste to distinctly disappear in the jelly-formed quinia compared to a the powder of this medicine. Furthermore, we confirmed no comparable changes to exist in the serum levels of acetaminophene between acetaminophene alone and the gelbasemedicament mixture by oral administration. A clinical trial in three pediatric patients, who usually refuse medication because the bitter taste of the drugs, resulted in a 100% drug compliance for these children.
著者
箱崎 真隆 三宅 芙沙 佐野 雅規 木村 勝彦 中村 俊夫 奥野 充 坂本 稔 中塚 武
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

十和田カルデラ(青森県/秋田県)と白頭山(中国/北朝鮮)は、10世紀に巨大噴火を起こした。その痕跡はTo-aテフラ、B-Tmテフラとして、北日本の地層に明瞭に残されている。この2つの噴火は、それぞれ過去2000年間で日本最大級、世界最大級のものと推定されている(早川・小山1998)。しかしながら、この2つの噴火に関する直接的な文書記録は、周辺国のいずれからも見つかっていない。そのため、その年代は長らく未確定であった。また、年代が未確定であるために、人間社会や地球環境への影響評価も進んでいなかった。近年、白頭山の10世紀噴火の年代は、日本で発見された西暦775年の炭素14濃度急増イベント(Miyake et al. 2012)を年代指標とする「14C-spike matching」と、日本で実用化された「酸素同位体比年輪年代法」により、西暦946年と確定した(Oppenheimer et al. 2017, Hakozaki et al. 2018, 木村ほか 2017)。この年代は、早川・小山(1998)が日本列島と朝鮮半島のごく限られた古文書(「興福寺年代記」や「高麗史」)から読み取った「遠方で起きた大きな噴火」を示唆する記述と一致した。一方、B-Tmの年代が確定したことにより、十和田カルデラ10世紀噴火の年代に疑義が生じた。十和田カルデラ10世紀噴火は、「扶桑略記」における東北地方の噴火を示唆する記述や、ラハールに埋没する建築遺物の年輪年代をもとに西暦915年と推定されてきた。この915年を基準にTo-aとB-Tmの間に挟まる年縞堆積物をカウントし、上手ほか(2010)は白頭山の噴火年代を929年と推定していた。しかし、先のとおりB-Tmの絶対年代は946年であったため、上手ほかの推定から17年のズレがあることが明らかとなった。つまり、十和田カルデラ10世紀噴火は西暦946年から14年を差し引いて西暦932年である可能性が生じた。もし、これが正しいとすれば、扶桑略記の西暦915年の記述は、十和田カルデラ以外の火山で起きた噴火を示唆している可能性がある。最近、宮城県多賀城跡の柵木に、酸素同位体比年輪年代法が適用され、西暦917年の年輪が認められた(斎藤ほか 2018)。この柵は、考古学的調査ではTo-aテフラ(915年)の降灰前に築造されたと考えられてきた(宮城県多賀城跡調査研究所 2018)。その構造材に西暦917年の年輪が認められたことは、To-aテフラの年代と大きく矛盾する。さらにその構造材には樹皮も辺材も残存せず、伐採年は917年よりも後の年代であることが明らかである。本発表では、「14C-spike matching」と「酸素同位体比年輪年代法」という2つの新しい年輪年代法によって、白頭山や多賀城跡の木材の年代がどのようにして決定したのか、十和田カルデラ10世紀噴火の絶対年代の確定に必要な調査とは何かについて示す。
著者
中村 亮
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.172-188, 1961-02-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
36
被引用文献数
3 2
著者
黒岩 義之 平井 利明 横田 俊平 鈴木 可奈子 中村 郁朗 西岡 久寿樹
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.185-202, 2019 (Released:2019-12-27)
参考文献数
50

脳室周囲器官と視床下部は恒常性維持器官であり,自律神経,概日リズム,神経内分泌(ストレス反応),情動・記憶・認知,感覚閾値・疼痛抑制,歩行・運動,神経代謝・神経免疫(熱エネルギー代謝,老廃物排出,自然免疫・腫瘍免疫)を制御する.血液脳関門を欠く有窓性毛細血管が密集する感覚性脳室周囲器官が感知した信号(光,匂い,音,電磁波,レプチン,グレリン)は視索前野,背内側視床下部を経て,休息型視床下部(摂食行動抑制中枢)と活動型視床下部(摂食行動促進中枢)に伝達される.心理ストレス情報は扁桃体から,概日リズム情報は視交叉上核から視床下部に入り,視床下部からオレキシン,バゾプレシン,オキシトシンが分泌される.視床下部症候群(脳室周囲器官制御破綻症候群)の背景疾患として,ヒトパピローマウィルスワクチン接種関連神経免疫症候群,慢性疲労症候群,脳脊髄液減少症,メトロニダゾール脳症,化学物質過敏症,電磁過敏症などがある.
著者
矢部 信成 村井 信二 横瀬 崇寛 尾戸 一平 吉川 貴久 北里 憲司郎 清水 裕智 小島 健司 水野 達人 大久保 恒希 味生 洋志 池谷 仁美 林 量司 中村 雄二 浅野 朗
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society Kanto Chapter
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.184-185, 2015
被引用文献数
3

Transanal rectal foreign bodies are foreign items retained in the rectum following direct insertion through the anus. In general, the treatment strategy is to attempt endoscopic removal of the foreign body through the anus. At our hospital, there were 4 cases of rectal foreign bodies during the 4-year period from April 2010 to March 2014, and the foreign bodies were removed endoscopically in all the cases. All the patients were male, with a median age of 22.5 years (16 to 87 years) . Their motives for the foreign body insertion were sexual preference in 2 cases, amusement in 1 case, and habitual practice to induce defecation in 1 case. The foreign bodies found were vibrators in 2 cases, the plastic cap of an nasal spray in 1 case, and a toothbrush in 1 case. In all the cases, the removal was carried out under intravenous conscious sedation. The instruments to be used for the removal procedure were determined according to the case. Non-invasive procedures for the removal of transanal rectal foreign bodies are greatly beneficial for the patients.
著者
湯浅 俊彦 中村 聡史 入江 伸
出版者
京都大学図書館機構
巻号頁・発行日
2010-10-19

会期・会場: 2010年10月19日(火) 13:10-17:00 : 京都大学附属図書館3階ライブラリーホール ; 主催: 京都大学図書館機構. 共催: 国立大学図書館協会近畿地区協会. 協賛: 大学図書館近畿イニシアティブ.
著者
中村 優理菜 梶原 健吾 矢野 裕子 松下 昂樹 吉井 隆一 中村 朋文 富田 正郎 木下 博之 向山 政志
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.177-181, 2023 (Released:2023-05-28)
参考文献数
8

症例は,90歳女性.1年間でCre 1.97 mg/dLから3.86 mg/dLまで増悪する腎機能障害を認め,呼吸苦や胸水貯留も認めたため,透析導入も含め精査加療目的に当院救急搬送となった.入院後精査の結果,粘液水腫昏睡が診断され,持続緩徐式血液濾過透析(CHDF)とともに甲状腺ホルモン補充を行った.全身状態および腎機能は改善を認め,通常の血液透析(HD)に移行,その後HDも離脱した.甲状腺機能低下症は腎機能障害の原因としては頻度が低いが,速やかな介入によって腎機能は改善するとされている.今回のように腎機能障害の原因検索の際には,甲状腺機能低下症を鑑別にあげて,ホルモン値の測定などの精査を行うべきであると考えられた.
著者
工藤 慎一 桑原 保正 Zoltán Korsós 市来 弥生 森田 将史 浅野 泰久 中村 泰之 田辺 力
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.135-137, 2014-10-05 (Released:2019-04-25)
参考文献数
9

We observed egg-brooding behavior in two Japanese millipedes, Eutrichodesmus elegans (Miyoshi, 1956) (Polydesmida: Haplodesmidae) and Cryptocorypha sp. (Pyrgodesmidae), under field conditions. In the former, females remained curling the body around the soil-made mound-like egg-chamber (containing eggs) constructed on dead leaves in the litter. In the latter, a female brooded an egg-mass under the bark of a decaying fallen log.