著者
横溝 末吉 大久保 夙郎
出版者
「三菱電機」編集部
雑誌
三菱電機
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.305-311, 1952-09
著者
久保 倫子 由井 義通
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.460-472, 2011-09-01 (Released:2015-10-15)
参考文献数
21
被引用文献数
3 8

本研究は,「メジャーセブン」と呼ばれる主要なマンション事業者によるマンション供給の特性および供給戦略を分析し,1990年代後半以降の東京都心部におけるマンション供給の変化を明らかにすることを目的とした.1990年代後半以降,東京都心部においては「コンパクトマンション」と呼ばれる小規模世帯向けの分譲マンションが供給されるようになった.メジャーセブンによるコンパクトマンションの供給は2000年以降単身女性向けに始まった.2005年以降は,単身男性や核家族による都心部でのマンション需要が顕在化したことを受けて,事業者によって,超高層マンションの供給を中心としコンパクトマンションをこれに取り込んだものや,高級なコンパクトマンションに特化したブランドを確立したもの,さらに東京周辺区部での比較的安価なコンパクトマンションの供給を進めたものなどに分化していった.事業者によって,コンパクトマンションの供給地域や販売価格,対象とする世帯が異なるため,東京都心部においてはコンパクトマンションの供給戦略は多様化した.これによって,東京都心部においては,住宅タイプによる居住分化がより複雑化したと考えられる.
著者
竹内 淳彦 森 秀雄 八久保 厚志
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.20-40, 2002-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1

大田区を中心とする東京城南地域の工業集団は,多様な加工業をベースに東京地域機械工業体系の技術集団として重要な役割を果たすとともに,ME化など技術の先端化に自助努力で対応してきた.1990年代に入り,厳しい経済環境変化の中で工業集団は新たな対応を示している.すなわち,戦後創業した第1世代の職人的技術に加え,ME技術を持ち,あるいは,新しいセンスを備え持った新世代が台頭している.両者は融合・結晶化し,それによって,ますます高度化する技術の自前化を進めるとともに,地についた企業間父流とそのネットワーク化を実現している.その結果,大田区の地域的な技術集団の機能はさりに局まっている.同時に,大田区の工業集団は,日本機械工業の技術高度化の核心としての新たな役割を担いながら,他地域との間の分業システムを強化させている.
著者
山根 康嗣 下田 一宗 黒田 浩一 梶川 翔平 久保木 孝
出版者
一般社団法人 日本塑性加工学会
雑誌
塑性と加工 (ISSN:00381586)
巻号頁・発行日
vol.62, no.720, pp.1-7, 2021 (Released:2021-01-25)
参考文献数
25

This paper discusses the effect of inclusions on internal fracture in skew rolling. The prediction of internal fractures is crucial given that internal fractures cause loss of product strength and are difficult to detect. Our previous report, published in 2019, proposed a new ductile fracture criterion that considers the effect of shear stress on void coalescence in a cylindrical coordinate system. This paper covers the following three points: (1) the evaluation of the hot workability of materials with different inclusions in tensile testing, (2) the relationship between the hot workability and the damage value determined using the proposed criterion, and (3) the effect of inclusions on void evolution in skew rolling. Given that the critical damage value decreased with decreasing hot workability, internal fractures are more likely to occur in a material that contains numerous large inclusions. The experimental results led to the hypotheses that the plastic strain nucleates the voids originating from inclusions and that shear stress allows the voids to coalesce. This study has demonstrated that decreasing the diameter and number density of inclusions is effective toward suppressing internal fractures.
著者
菊地 克子 五十嵐 敦之 加藤 則人 生駒 晃彦 金久保 暁 照井 正
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.13, pp.2763-2770, 2019-12-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
50

皮脂欠乏症は乾皮症と同義であり,加齢により生じる老人性乾皮症や皮膚機能が未成熟である乳幼児に生じるもののほか,アトピー性皮膚炎や魚鱗癬あるいは糖尿病や慢性腎臓病などの疾患に併発すると共に,一部の抗がん剤や放射線治療などに伴っても生じる.皮膚乾燥はしばしば瘙痒を伴い,搔破によって湿疹などの状態になることから,セルフメディケーション製品を含めた保湿剤による治療を疾患や病態に合わせて行う必要があるものの,明確な治療基準は存在しない.そのため,治療に関する指針が定められることが望まれる.
著者
久保田 潤平 遠藤 眞美 久保田 有香 柿木 保明
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.10-16, 2015 (Released:2015-06-30)
参考文献数
16

食事は生活のなかの楽しみとなるため,味覚が障害されると食欲低下の原因となるだけでなく,精神的苦痛をこうむることにもつながる.しかし,味覚障害の原因は多岐にわたり治療に苦慮することも少なくない.また,明確な診断がつかないために特発性味覚障害と診断され,適切な治療が行われていないこともある.著者らは以前の研究で,382人の調査において水分代謝不良が味覚障害のリスクとなる可能性を明らかにした.そこで今回は,水分代謝不良と関連する味覚障害と考えられた者に対して水分代謝を改善する漢方薬である五苓散と八味地黄丸を応用した者への臨床的有用性を検討した.対象:平成23年7月~平成26年3月の間に味覚の異常感を訴えて九州歯科大学附属病院口腔環境科(以下,当科)を受診した患者で,当科受診前に他科・他院を受診し,特発性味覚障害とされた82人のうち,当科において水分代謝不良と関連する味覚障害と判断した45人を対象とした.方法:対象者の診療録から全身状態や主訴に関する項目を抽出するとともに,五苓散または八味地黄丸の服用による有効性の検討を行った.結果:服用開始6カ月以内における自覚症状の変化は“治癒”が21人(46.7%),“改善”が20人(44.4%),“不変”が4人(8.9%),“悪化”が0人(0.0%)であり,有意(p<0.01)に改善がみられた.本調査より,水分代謝不良と関連すると思われる味覚障害患者においては,水分代謝を改善する漢方薬の応用が有用であることがわかった.
著者
石川 真紀子 清水 順也 金谷 誠久 白神 浩史 久保 俊英 中原 康雄 後藤 隆文
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.224-229, 2011-11-15 (Released:2012-10-25)
参考文献数
15

シスチン尿症は腎尿細管,小腸上皮におけるシスチンと二塩基性アミノ酸の吸収障害を本態とする疾患であり,尿路結石の頻回再発やそれに伴う腎不全への進展が問題となる。症例は,結石分析,尿中アミノ酸分析にてシスチン尿症と診断し,重曹による尿アルカリ化治療を行っていた2歳男児である。定期受診時に,顕微鏡的血尿と,超音波および腹部CTにて左水腎水尿管と左膀胱尿管移行部に巨大結石を認めた。体外衝撃波結石破砕術は適応外と判断し,開腹にて尿路結石除去術を施行し,術後は十分な尿量確保と尿アルカリ化の継続,シスチン易溶化薬剤の内服を開始した。シスチン尿症の管理においては尿路結石の再発予防が最も重要となるが,乳幼児期での十分な尿量確保や蛋白制限は困難なことが多い。本症例を通してシスチン尿症の適切な管理法について考察し報告する。
著者
平野 和宏 木下 一雄 千田 真大 河合 良訓 上久保 毅 安保 雅博
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.356-363, 2010-08-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
36

【目的】本研究の目的は,解剖学的観察を基に,MRIを用いて腸骨筋の機能を科学的に検証することである。【方法】実習用献体4体8肢を用いて大腰筋と腸骨筋の走行を確認した。腸骨筋前部線維は,腸腰筋腱とは別に筋線維のまま直接小転子と大腿骨に停止していた。他動的に大腿骨を操作し股関節を屈曲すると,初期屈曲では腸骨筋前部線維が短縮した。この所見を基に,健常成人11名を対象として股関節屈曲30°と屈曲90°の2条件の運動後,MRIのT2値を用いて大腰筋と腸骨筋前部・中部・後部それぞれの部位の筋活動に差があるか検討した。なお,T2値は安静時のT2値に対して運動後のT2値をT2値増加率として表した。【結果】股関節屈曲30°では,腸骨筋前部が大腰筋ならびに腸骨筋後部より有意にT2値増加率が高値を示した。屈曲90°では各部位間に有意差は認められなかった。各部位にて屈曲30°と屈曲90°のT2値増加率を比較すると,全ての部位にて屈曲90°のT2値増加率が有意に高値を示した。【結論】腸骨筋前部線維は股関節初期屈曲に作用している結果となり,屈曲角度の少ない動作は,腸骨筋前部線維が担っている可能性が示唆された。
著者
瀬戸 博 大久保 智子 斎藤 育江 竹内 正博 土屋 悦輝 鈴木 重任
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-12, 2001-01-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
37

ヒト肺に蓄積した多環芳香族炭化水素 (PAHs) および炭粉を測定し, それらの濃度と年齢, 性, 喫煙, 居住地, 職歴, 死因等との関連について調べた。1988年から1993年に東京の病院で亡くなった患者の剖検肺試料 (男性477例'女性284例) を分析に供した。PAHsおよび炭粉のレベルは男性の方が女性よりも有意に高かった。主要な蓄積要因は加齢 (暴露期間) で, 次に男性では職歴が, 女性では居住地又は職歴による影響が強かった。職業による比較では, PAHsおよび炭粉のレベルは技術系・技能系労働者および外勤職の方が事務, 管理的職業および主婦よりも高かった。また, 居住地による比較では, PAHsのレベルは区部に居住していた方が区部以外に居住していた場合に比べて高かった。しかし, 炭粉のレベルは地域による差がなかった。喫煙はこれらの物質の主要な蓄積要因ではなかった。男性の肺がん群のベンゾ [a] ピレン, ベンゾ [g, h, i] ペリレンおよび炭粉の濃度は非がん群に比べて有意に高かった。更に, 男性の扁平上皮がん群のPAHsおよび炭粉濃度は非がん群に比べて有意に高かった。一方, 腺がん群では非がん群と差がなく, 外来性物質の蓄積状態において組織型による差異がみられた。これらの結果は, 大気中のPAHsや炭粉を含む微粒子 (PM2.5) が肺がんの増加に影響を及ぼす可能性があることを否定できないことを示している。
著者
岡本 宗司 久保 道也 林 智秀 堀 聡 堀 恵美子 柴田 孝 堀江 幸男 桑山 直也 黒田 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.159-165, 2014
被引用文献数
3

【目的】神経線維腫症に合併した頭蓋外巨大内頚動脈瘤破裂例に対してtriple coaxial system を用いて内頚動脈トラッピング術を施行したので報告する.【症例】症例は41 歳の神経線維腫の女性.左頸部の急激な腫脹,嗄声,嚥下障害が生じ,当院に入院した.頚部CT では長径約40 mm の頭蓋外内頚動脈瘤を認め,咽喉頭部が対側に偏位していた.MRI では,動脈瘤からの出血を示唆する所見があり,再出血防止目的で緊急血管内治療を行った.血管脆弱性と術後のmass effect 増大防止の観点から動脈瘤の前後で内頚動脈をトラッピングする方針とした.バルーン付きガイディングカテーテルをproximal flow control 用に内頚動脈起始部に留置し,動脈瘤の遠位にマイクロカテーテルを誘導したが,支持性が弱く,コイル挿入時に動脈瘤内にキックバックした.そこでインナーカテーテルとして4FrセルリアンGTM を組み合わせ,triple coaxial system とした.その結果,瘤の遠位・近位ともに内頚動脈にコイルをコンパクトに留置でき,トラッピングすることができた.術後,症状は改善し,MRI では,動脈瘤の血栓化を認めた.【結論】頚部内頸動脈瘤に対して母血管のトラッピングを行う場合,バルーン付きガイディングカテーテルに4Fr インナーカテーテルを組み合わせたtriple coaxial system は有用と思われた.
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
安達 友広 久保 勝裕 木曾 悠峻
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1296-1303, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
24

明治20年代から本格化した北海道の市街地建設では、多くがグリッド市街地と鉄道施設が同時期に建設された。そして、鉄道駅に直交する駅前通りの設置、それに間口を向けた街区計画など、合理的な計画が実践された。しかし、開拓の経緯や、近世遺構や微地形などが市街地設計に影響を与えており、北海道における市街地空間の固有性の検証においても、こうした視点を改めて見直すことが必要であろう。本研究では、かつての舟運に注目し、建設時から現在までの船着場を中心とした市街地構造を把握し、現在まで継承されてきた都市軸の実態を明らかにした。例えば、名寄市街地では、駅から離れた船着場付近に当時の中心街が形成された。現在では、その後に拠点化した駅前地区との間に「L字骨格」を継承している。千歳市街地では、自衛隊基地等の立地も影響し、船着場があった川沿いに飲食店街等が発達した。現在でもそのゾーニングは継承され、千歳川を都市軸として都市機能が集積している。以上、開拓期の船着場は物流基地として高い拠点性を持った。これが一因となり、市街地固有の都市軸の形成を促し、駅中心の市街地構造に移行しながらもそれを現在に伝えている。
著者
久保 茉莉子
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.102, no.2, pp.67-74, 2020-09-17
著者
福森 信隆 安藤 弘 久保 喜一 湯澤 勝廣 長澤 明道 高橋 博 矢野 範男 不破 達 大橋 則雄 小縣 昭夫
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理 (ISSN:13499041)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.58-65, 2010 (Released:2010-05-28)
参考文献数
9

東京都によるいわゆる脱法ドラッグ条例の制定と国による追随の結果、未規制薬物市場においては化学系違法ドラッグが減少する代わりに、植物系ドラッグが増加している。今回、リゼルグ酸アルカロイドの含有が疑われる市販品のハワイアンウッドローズ種子からの抽出液をマウスに経口投与して、行動及び神経症状に対する影響について我々が開発したスクリーニング試験法を用いて調べた。高用量群で、首振り運動や鎮静作用、音に対する外界反応の亢進、痛反応及び払いのけ反射の増強等がみられた。これらの変化には、脳内セロトニンの消長が関与するものと示唆された。
著者
幸福 智 久保 雄広 北村 立実 松崎 慎一郎 松本 俊一 山野 博哉 西 浩司 菊地 心 吉村 奈緒子 福島 武彦
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.235-243, 2020-09-28 (Released:2020-11-30)
参考文献数
27

本研究では,全国の一般市民及び霞ヶ浦流域の住民を対象にウェブアンケート調査を実施し,霞ヶ浦が有する生態系サービスについて,選択型実験(コンジョイント分析)を用いて経済価値評価を実施した.選択型実験では,漁獲量(供給サービス)・湖岸植生帯(調整サービス)・希少種(基盤サービス)及び水質(文化的サービス)の 4 つの属性からなる選択セットを提示し,望ましい案を選択してもらうようにした.調査の結果から,生態系サービスが劣化した状態,現状及び 2040 年の将来の値(良好な状態)の水準の値を設定し,値の変化に対する支払意思額(WTP)を求め,これに人口を乗じて生態系サービスの経済価値を求めた.霞ヶ浦の生態系サービスに対する経済価値は,現状は全国では 1 兆 302 億円,県では 253 億円,流域では 70 億円, 2040 年の将来(望ましい状態への改善)の場合は,全国では,1 兆 4,264 億円,県では 324 億円,流域では 89 億円という結果となった.
著者
西 浩司 久保 雄広 北村 立実 松崎 慎一郎 松本 俊一 山野 博哉 幸福 智 菊地 心 吉村 奈緒子 福島 武彦
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.245-256, 2020-09-28 (Released:2020-11-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究では,ベスト・ワースト・スケーリング手法(BWS)を用いて,霞ヶ浦が有する代表的な生態系サービス(農産物,水産物,飲料水等の供給サービス,気候の調整サービス,観光,景観等の文化的サービス,多様な動植物の育成等の基盤サービス)の重要度を明らかにすることを目的として,全国及び霞ヶ浦流域を対象にしたウェブアンケートを実施した.BWS では,霞ヶ浦の生態系サービス(恵み)の組み合わせを変えて選択肢として提示し,最も重要と思うもの(Best)と最も重要でないと思うもの(Worst)を選んでもらうことを複数回繰り返すという方法で実施し,Best と Worst の選択回数の比率を生態系サービスごとの重要度の評価の指標とした.霞ヶ浦については調整サービスの「水質の浄化」,供給サービスの「水の供給」,基盤サービスの「生物の生息場所」など,湖沼の水環境保全により維持される生態系サービスが重要と評価された.この結果を食料の供給(農産物,水産物)とのトレードオフの可能性も踏まえて,今後の施策の検討へ反映することが必要と考えられた. また,今後の観光振興策の検討に資する情報を得るために,同じ手法を用いて霞ヶ浦周辺の観光地を訪れている人に現地アンケートを行い,生態系サービスの重要度を評価した.「農産物」,「水産物」に加え「生きもの」が重要と評価されたされたことから,生きものの保全をブランド化した産物の創出等が振興策として有効ではないかと考えられた.